二次創作小説(映像)※倉庫ログ

リミットブレイクと暴走娘 その一 ( No.133 )
日時: 2014/11/03 20:43
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: lQjP23yG)

『酒乱葉月』


ある日の事、風雅の家であるクリーニング店にて。

「ちーっす。」
「いらっしゃ…あ、由梨先輩。いらっしゃい。」

引き戸を開けて出てきたのは、由梨だった。手には袋がある。クリーニングに出しに来たのだろうか。

「よっ、風雅。お前が店番か。」
「うん。何かクリーニングに出すの?」
「ああ。これ。」

由梨は手に持っていた袋からエプロンを出した。所々絵の具で染まっている。

「完二に洗って貰ってたんだけど、流石に何回も頼むのも気が引けてさ。こうして出しに来た訳。」
「あー…。あれ? これって、油絵の絵の具?」
「ああ。」
「あ、そっか。由梨先輩、絵画も趣味だもんね。わかった。綺麗にして渡すよ。終わったら連絡するから。」
「頼んだ。…ん?」

カララ…と再び引き戸が開かれ、視線を向けた先にいたのは、烈だった。

「あれ? 烈、どうしたの?」
「フランシスがうちでぶっ倒れたから送ってきたんだよ。」

烈の手の中には、ぐったりとしているフランシスがいた。浮き上がる体力もないようで、烈の手にすっぽりと収まっている。

「あらら、泥酔状態だね…。何があったの?」
「うちの馬鹿黒がフランシスに無理矢理酒を飲ませてこうなった。更に酔ったばーちゃんが悪乗りして酒の海に沈めた。」
「フランシスにとっては地獄以外の何物でもないね。」

酒に弱いフランシスにとって酒を飲まされ酒の海に沈められたのは地獄だろう。

「フランシス“も”酒がダメなんだな…。向かいが酒屋って地獄だな、こいつにとって。」

不意に、由梨が気になる単語を発し、烈と風雅は彼女を見た。

「も? 誰か酒がダメなの知り合いにいるのか?」
「ああ。葉月。」
「葉月先輩が?」

風雅が聞き返すと、由梨は苦笑を浮かべて頷いた。

「ああ。…まぁ、あいつよりはフランシスの方が酷くはないかな…。」
「何があったの? 何かその、微妙そうな顔してるけど…。」
「…葉月のせいで痛い目見た奴がいてな。アタシ達がこの世界に来る前…シンフォニア世界を旅してた時なんだが…。」

由梨は苦笑を交えながらも、話始めた…。











救いの塔…。

「何でだよ…何でだよ!」

二本の刀を持った赤い服の少年、ロイド・アーヴィングが、刃を交える相手に悪態をつく。

「どうしてだよっ、ゼロス!」
「どうしてもこうしてもねぇよ、ロイド、君っ!」

刃がぶつかり合う音と共に、ロイドは吹っ飛ばされる。刃を交えていた赤毛の青年、ゼロス・ワイルダーはすぐに【ライトニング】の詠唱を始める。
その視線の先にいたのは、葉月だった。

「! 葉月! そっから離れろ!」

詠唱と魔力の感じで何が来るかわかったのか、由梨が走りながら警告を促すも、

「遅いよ由梨ちゃん!【ライトニング】!」

ゼロスが叫ぶと、雷が葉月に当たった。

「きゃあっ!」

水と対になる雷を食らった葉月は、怯んだ。ふと、葉月は体に違和感を覚える。

(か、体がピリピリして…動かない…! やばい、麻痺った…!)

麻痺状態になったと悟るのに時間はいらなかった。

「葉月!」
「(葉月から感じる電流…! まさか…!)麻痺った…!? リフィル!」

葉月に帯びる電気を感じとり、由梨は杖を持つ白髪の女性、リフィル・セイジに叫んだ。

「了解よ!」
「させねぇよ!【ウィンドカッター】!」
「きゃあっ!」

リフィルが【リカバー】の詠唱を始めようとした瞬間、ゼロスの【ウィンドカッター】がリフィルを襲い、詠唱が途切れてしまった。

「先生!」
「チィッ!」

由梨は悪態をつきながらも、ゼロス目掛けて走る。

「おっと、ロイド君の次は由梨ちゃんが相手ってか?」
「ゴチャゴチャ語るのはもういい。お前の話なんざ今は聞きたくない!」
「いつにも増して熱いねぇ…。」

しばらく、ゼロスと由梨は互いに剣をぶつける。

(由梨が引き留めてる間に、私はなんとか回復しないと…!)

葉月は持っていた道具袋から、ボトルのようなものを出した。状態異常を回復する、パナシーアボトルだ。

(リフィルの詠唱にも時間がかかる…! アイテムで直さないと!)

蓋を開け、一気に飲み干す。
…体の麻痺が、楽になる…はずだった。

「…。」

カラン、と音が響いて、直後、葉月が膝をついた。
音を聞き届けたゼロスと由梨は、打ち合いをやめて葉月を見、ロイドとリフィルも葉月を見た。

「…え? は、葉月ちゃん?」
「あれ…パナシーアボトル、だよな? 何か嫌な予感がするんだけど。」

ゼロスもロイドも何かを感じたのか、葉月から距離をとる。

「中身…腐っていたのかしら?」

リフィルはいつの間にか足元に転がってきたボトルを拾い上げ、鼻の近くにあてた。が、すぐ引き離した。

「って、これはお酒じゃない!?」
「何ぃっ!?」
「あー…もしかして、俺様が悪戯したボトルかな…? 一個だけ、パナシーアボトルの中身捨ててお酒、入れたんだよな。」
「なぁ、それよりも葉月の様子が変なんだけど。」

由梨は完全にゼロスから距離を起きつつ、葉月を遠回しに見ていた。

「…は、葉月ちゃん?」

ゼロスは遠くから声をかける。

「うふふ…うふ…うふふー…♪」
「ヒッ…!」

突然笑い出す葉月に、全員悲鳴をあげて引く。
葉月は顔をあげ、にへらと笑った。目がとろんとしており、今にも何か危なさそうだ。
その目で、葉月はゼロスをとらえる。

「…あー、ぜーろすー♪」
「あ、あの、葉月ちゃん? 何か目がやば」
「ぜーろすー♪」

とたとたと歩く事を覚えた子供のように歩き出し、ゼロスに抱きついた。

「は、葉月ちゃん?」
「えへへー、ぜーろすー♪」

ぎゅっと、葉月に抱きつかれて嬉しいはずなのに、ゼロスの頭の中で警鐘が鳴り響く。早く振り払えと、鳴り響く。
だが思いの外力が強く、離れそうにない。

「ぎゅーっ!」
「は、葉月ちゃ、やめ、ぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」

バキバキバキッ! と鈍い音が響く。ゼロスの骨が逝っている事に気付くのに、時間はいらなかった。

「ちょっ! あのままじゃゼロス死ぬ!」
「由梨! ジーニアス! 葉月を気絶させなさあぁぁぁぁいっ!」
「うわー…葉月から酒に弱いって聞いたけど、ああなるのか…。」
「由梨! そんな事言ってる場合じゃないよ!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」
「…だな。」

この後、リフィルの弟であるジーニアス・セイジと共に由梨は【インディグネイション】の詠唱を始めたとか…。











「あの後、コレットはクラトスが助けて、アタシ達の仲間になったんだ。…ゼロスは全身複雑骨折の全治半年の怪我で済んだ。」
「何その結果的なクラトスルート。」
「葉月先輩…そこまで酷かったの…?」
「あの時飲んだのが攻撃力をあげるフラノールバーボンだったのも災いしたんじゃないかな? あと、これはアタシの見立てだけど、あの時の葉月は多分フラノールバーボンの力を借りずとも馬鹿七海を遥かに凌駕する強さだった。」
「」

七海以上の力を持つ存在からのハグ…。
それを考えるだけで、烈と風雅が恐れるのは十分だった。

「それ以来、アタシ達は葉月にアルコールを一滴も入れないようにしている。でないと死ぬからな。」
「…俺達も気を付けとこうぜ。」
「うん…。」

烈と風雅は、そう心に決めた。





終われ。


リミットブレイクと暴走娘 その二 ( No.134 )
日時: 2014/11/03 20:46
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: lQjP23yG)



『暴走族・由梨』


とある休日、烈と陽介、理乃と由梨の四人は、ゲームセンターに来ていた。

「やっぱすげぇな、烈は。50を難なくクリアできてるし…。」
「あ、横にいる理乃先輩の方が怖いから。エンジェリオンパフェに加えてトイコン、ダージュ、サイレントフルコンしかもいずれも星だし、ムラクモが銅星だから。」
「こいつが化け物ってだけだ。」
「失礼ね、由梨。」

理乃はむぅ、とむくれる。いや普通に50フォルダ銅星以上が並ぶってあり得ないから。

「まぁまぁ、二人とも。あ、そだ。」

陽介はちょっと悪くなった由梨と理乃の空気を変えるべく、何かないか探した所、マリオカートの筐体が目に入った。

「あれやろうぜ? 丁度四台あるし。」
「マリカか。いいぜ。」
「アタシもやる。」
「いいですね、私もやります。(あれ? 何か忘れているような…。)」

三人は陽介の提案に乗り、由梨、烈、陽介、理乃と、女子で男子を挟む形で座った。
…ん? 理乃がなんか腑に落ちない事があるようだ。

「顔写真撮って…スタートだな。」

キャラ選択と顔写真撮影が終わり、いよいよスタート。

(…あっ!!)

そんな時、ようやく腑に落ちなかった何かを思い出した理乃は、バッ! と由梨を見た。
由梨は今…ニヤリと笑っていた。

「あー…。」
「ん? どしたの? 理乃ちゃん。」

頭を押さえて溜息をついている理乃に、横にいた陽介が声をかける。

「すっかり忘れていました…。由梨にハンドルを握らせてはいけない事を。」
「へ? どういう」

陽介が問いかけた瞬間、力強くアクセルを踏む音が横から聞こえた。

「ヒャッハアァァァァァッ!」
「ヒィッ!?」

突然声をあげた由梨に、横にいた烈が驚く。

「オラオラオラァッ! どけどけえぇぇぇっ! 退かないと轢き殺すぜぇぇぇっ!!」
「え、え、何事!?」

まるで暴走族のような物言いをしながらハンドルを回す由梨に、陽介が混乱した。疑似テンタラフー。

「風になるぜぇぇっ! ヒャッハアァァァァァッ!!」
「…由梨は、ハンドルを握るとああなるんです…。とはいっても、口調だけああなってちゃんと交通ルールは守るので、心配はしていませんが…。」
「」

クラスメイトのまさかの豹変と理乃の言葉に、陽介も烈も何も言えなくなった。

「レアバードのハンドルを握ってああなった由梨を見た時も私はあなた方と同じ反応をしたのを思い出しました。」
「ごめんもうちょい早く思い出しておいてそれ!」
「怖い怖い怖い怖い!」
「ヒャッハアァァァァァッ!!」

もう見慣れたのか、割と平然としている理乃を横目に、陽介と烈は怯えてしまった。
この後、烈は由梨に暫くの間よそよそしくなったとかいないとか…。





おーわれ。

リミットブレイクと暴走娘 後書き ( No.135 )
日時: 2014/11/03 20:55
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: lQjP23yG)


後書き de 雑談


昴&鏡&りせ&風花
「」

由梨
「…すまん。」

理乃
「みなさん、固まってしまいましたね…。由梨もそうですが、葉月…。」


「りせや雪子の場酔いよりも質悪いな…。つか、ゼロスはこれで助かってるのかよ。確かクラトスルートだと、ゼロスが死ぬんじゃなかったか?」

理乃
「結果的にはクラトスルートですが、これもあり、ゼロスが生存と言う特殊ルートになりました。」

由梨
「まぁ、葉月の件は結果オーライとして受け止めてくれ。」


「ああ、わかった。…つか由梨、お前な…。」

由梨
「すまん…。何か多分気持ちが高ぶるんだろうな…とは思う。」


「無意識かよ。」

理乃
「車のハンドルはおろか、バイクのハンドルでもこうなるんです…。試しに七海が悪戯でWiiで出ているマリオカートのあのハンドル型のコントローラーを持たせたら、性格が変わっていました。ハンドルと付くものがダメなんだと、その時に把握しました。」


—…由梨ちゃんはハンドルを持たないように。危害は加えないけど、質が悪いわ。

由梨
「それ、アタシにバイクを運転するなって?」


—怯えられるよりましだわ!


「アイツが珍しくツッコミになったところで、終わります。じゃっ、またなー。」





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