二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- フラワーギフト その一 ( No.140 )
- 日時: 2014/11/10 01:02
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fE.voQXi)
「昴っ、聖域の一角、ボクに頂戴!」
突然神殿にやって来たローズが、昴にそういきなり懇願し、昴は面食らった。
「いきなり何だ、ローズ。突然やって来て理由も言わずに人の土地くれっておかしいだろ。」
「いーじゃん! 結構広いしケチケチしないでもさ!」
「広いのは認めるし正直土地余ってるから分けてあげてもいいけど、理由くらい話せよ。」
「う、そ、それは、えっと…。」
理由について聞くと、しどろもどろになるローズ。
昴はひとつ溜息をこぼしつつも、立ち上がった。
「まぁ、いいだろ。お前の事だし、悪用はしなさそうだろうから。」
「いいの?」
「ああ。どんな感じの場所がいいんだ?」
「んとね、広くて、樹があんま無い方がいいな。」
ローズの注文に、昴は頷いた。
「んじゃ、案内するからついてこい。」
「うんっ!」
昴はローズと共に神殿を出ていった。
■
昴の案内でやって来たのは、広い場所だった。木々もあまり無く、ローズの理想とする場所だった。
「ここでいいか?」
「うん! こんな感じの場所がよかったんだ!」
「…何企んでるか分からないけど、まぁ、いいか。良からぬ事じゃないだろうし。好きに使え。」
「ありがと! 昴!」
ローズは昴に飛び付き、ぎゅっと抱き締めて感謝の意を表した。
とは言っても、ローズの方が小さいので、昴の胸の辺りで大きく手を広げるくらいだったが。
「よしよし。んじゃ、俺は帰るから後は好きにしろ。」
「うんっ!」
昴はローズにそう言ってから、神殿へと帰っていった。
- フラワーギフト その二 ( No.141 )
- 日時: 2014/11/10 01:06
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fE.voQXi)
「さーてと。」
昴が帰ったのを確認したローズは、四次元バッグ(ジョーカー作)から数枚の板と釘とハンマーを出した。
「(流石にボク一人じゃ無理があるから…誰かに手伝ってもらおっと。この力、何時振りだろうなー。)でてこいっ! ミルキーホワイトベア!」
ローズが高らかに命じると、落書きのような白熊が現れた。
「ミルキー! 久しぶりー!」
「がうー。」
「早速で悪いけど、ちょっとボクに力を貸して? あ、いや、この間みたいなバトルじゃないんだけど…その…。」
白熊—ミルキーにそうしどろもどろになりながら懇願すると、ミルキーはちらりと板と釘とハンマーを見たのか、「がう!」と一声鳴いてハンマーを持った。
そして釘を持ち、板を繋ぎ合わせた。
「ありがとー! じゃあボクは、っと…。」
ミルキーが作業をしている間に、ローズは数個の植木鉢と種の入った袋を取り出した。
さらにスコップを取り出し、植木鉢の下に石を置いてから土を掘り、入れる。それを何度か繰り返して、植木鉢を土で満たした。
「えへへっ、これで準備はオッケー!」
「がうがうー。」
そうやっている間に、ミルキーの作業が終わったようだ。
ミルキーが作ったのは、立派な棚だった。
「ありがとミルキー! ついでにこの植木鉢をそっちに置いてもらっていい?」
「がうがー。」
ミルキーはローズの言いつけ通り、そっと植木鉢を棚に置いた。
ローズは種袋を開け、植木鉢に丁重に埋めていく。
「よしっ! これで準備はオッケー!」
「がうー!」
「ミルキーもありがとー。もう大丈夫だよ! ここからはボクがやるから!」
「がうー!」
ミルキーは光に包まれ、帰っていった。
残されたローズは植木鉢に如雨露で汲んできた水をやり、その日は帰っていった。
- フラワーギフト その三 ( No.142 )
- 日時: 2014/11/10 01:12
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fE.voQXi)
一週間後…。
「むぅ…。」
ローズは壁に直面していた。
一週間も経てば芽を出すと花の説明書には書かれていたが、一向に芽が出ない。
「おっかしいなー。ナナホシ、何かわかった?」
「…。」
天道虫のナナホシを召喚し、探らせては見たものの、ナナホシにもわからなさそうだった。
「うーん、何でだろ…。」
「土に十分な栄養がないね、これ。」
「だから種の発育が遅れているのかも知れませんね。」
「やっぱ土かなー…って、うわあぁっ!!」
突然横から聞こえた声に驚いて、ローズとナナホシは驚いて、横に避けた。
「お、驚かさないでよ理乃! 七海!」
「あはは、ごめんごめん。真剣だったからつい声かけらんなくてさー。」
(貴方は真っ先に声をかけようとしたじゃない。)
…どうやら理乃に止められて声をかけられなかったようだ。
「で? 何してるのこんなとこで。栄養がない土とにらめっこしててさ。」
「見てわかんないの? 花育ててるんだよ。あと、栄養がないって何度も言わないでくれる?」
然り気無くショックだったのか、ローズはふくれ面でそう言った。
「うーん、腐葉土とか入れた方が良かったかなー…。やっぱ鈴花みたくうまく育てられないや…。」
「鈴花さんの為に育てていたのですか?」
理乃が問いかけると、ローズは一瞬しまった! とでも言いたげな表情をしたあと、頷いた。
「う、うん…。鈴花の夢…あの学園を花いっぱいにする夢を、ボクも手伝いたいんだ。鈴花の育てるお花、ボク、大好きなんだ! だから、学園だけじゃなく、色んな場所で鈴花の花を見たいんだ! …それに…。」
「それに?」
「…何でもない。ねぇ、七海って地属性なんでしょ? 土に栄養を与える方法、わかる?」
「モチ! 何なら私がババーンと力を使ってその土の栄養価を高め」
高めようか? と言おうと思ったのだろうが、その前に理乃の拳が彼女を沈めた。
「貴方じゃ手加減なしでやるから、活性化させるどころか高すぎて植物にとっては毒性の高い土を作るからノームを呼んで。」
「はーい…。」
大きなたんこぶを作った七海に、ローズは何も言えなかった。
七海はのっそりと起き上がり、痛む頭を擦りながら構えをとる。
が、お忘れではなかろうか。彼女が馬鹿な事を。
「…ねぇ、理乃、ノームを呼ぶ詠唱なんだっけ?」
この発言に、理乃はおろか、ローズとナナホシもずっこけた。
『お前ってホント馬鹿だなー。オイラもシャドウも何でお前みたいな奴を認めたかわかんないと思い始めてきたぞー。』
「うっさいわノーム! 馬鹿馬鹿言わないでよ!」
『馬鹿に馬鹿って言って何が悪いんだー?』
「主人を敬いなさいよー!」
「え、え? 七海、幻聴でも聞いた?」
突然独りでに話を始めた七海に、ローズは混乱する。
どうやら七海が聞いた言葉は、ローズには聞こえていないようだ。
「はぁ…心で念じるだけで届くって何回言わせるのあの馬鹿…。」
混乱するローズを見た理乃は、溜息をつきながらローズに向き直った。
「混乱させてすみません、ローズさん。私達は宝珠を通じて、私達の世界に待機させている精霊達の声を聞けるのです。ですので今、彼女は自身が使役する精霊の一体、ノームと地の宝珠越しに会話をしているのです。宝珠を介しての会話ですので、私達には聞こえません。本来ならば心の中で会話が可能なのですが…あの馬鹿は忘れているみたいですね。」
「へー…。あ、そう言えばあの時、りせと昴の誕生日の時に、由梨がヴォルトに、『火の宝珠越しに聞いていたな?』って聞いたけど…。」
「(由梨、そんな事を言っていたのね…。)私達の行動は、宝珠越しにですが、精霊達も知る事ができます。だから、ローズさんが困っている事も、ノームは承知の筈です。話は通っているので、後はあの馬鹿が召喚させればその土を栄養豊富な土に変えるか、アドバイスをしてあげるかと思いますが…。」
「…まだ四苦八苦してるね…。」
死んだ眼を浮かべながら七海を見るローズと理乃だった…。
- フラワーギフト その四 ( No.143 )
- 日時: 2014/11/10 01:18
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fE.voQXi)
「気高き母なる大地の僕(しもべ)よ! 地の司(アース・コンダクター)、金杉七海の名において命じる! 出でよ、ノーム!」
それから数時間後、ようやくノームに言われて詠唱を思い出した七海は、すぐにノームを呼び出した。
程なくして、地面からつぶらな瞳と赤いリボン、手のスコップが印象的な土竜が現れた。
『お前、詠唱思い出すの遅すぎだぞー。何でもう夕方なんだー? と言うか思い出すって言うより完全にオイラが正解言ったよなー?』
「うっさい! 主人を労りなさいよノー」
『話は聞いてるぞー。この植木鉢の土を元気にすればいいんだなー?』
「聞けーっ!」
何かをいいかけた七海を無視し、土竜—ノームがローズに語りかけるも、ローズは首を横に振った。
「この花は、ボクの力で育てたいんだ! だから、力は使わなくて大丈夫! …あ、でも…わっ!」
ローズがすべてを言い終える前に、ノームはローズの頭を撫でた。
『お前、偉いなー。何でもかんでも力に頼るあの馬鹿とは大違いだー。』
「えへへ…ありがと、ノーム! でも、やっぱり初めてで土の事なんかわかんないから…アドバイスくれるとありがたいな…。」
『それくらいまかせろー。』
「私も、簡単な庭いじりくらいならした事がありますし…簡単ですが、アドバイスならしてあげますよ? 以前ノームに作ってもらって、余った腐葉土とかもありますので、お裾分けしましょうか?」
「いいの、理乃!?」
『おー、オイラの作った腐葉土なら栄養は十分だぞー。何するかわかんないけど、綺麗な花を咲かせられるといいなー。』
「うん!」
新たな協力者、理乃とノームを得たローズは、ますます花を咲かせる為に意欲を見せた。
■
それから、数日後。
「やったー!」
聖域中に、ローズの声が響き渡った。
「やった、やった! 芽が出たー!」
『おめっとさん、やったな、ローズー。』
「ノームの腐葉土のお陰だよ!」
「ノームを呼んだ私は無視!?」
喜びを分かち合うローズとノーム。七海は一切無視されていたり。
「後はこれに花が咲いてくれるといいんだけど…。」
『きっと咲くってー。自身持てー。ローズ。』
葉月とは違ったほえーんとした口調だが、しっかりと励ましている事に気がついたローズは、にこっと微笑んで頷いた。
「…。」
『どしたー? 理乃ー。』
「少し、気圧が変…。もしかしたら、台風みたいなのが来るかも。」
南の空を眺めている理乃にノームがそう声をかけると、彼女はこう切り返した。
「えっ…!?」
台風、と聞いてローズはビックリする。
「一日二日で上陸するとは思えないのですが…また近くなったら教えますね。」
「う、うん。お花さん、折角芽を出したのに…。」
「…せめて温室みたいなのがあればよかったのですが…。」
理乃とローズは溜息をついた。
- フラワーギフト その五 ( No.144 )
- 日時: 2014/11/10 01:23
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fE.voQXi)
その夜、帰り際に雨が降った。
(このくらいの雨なら、お花さん、大丈夫だよね…?)
ローズは不安そうに外を眺める。その瞳が、不安そうに揺れた。
(…風、出てこないといいな…。)
不安になりながらも、ローズは外を見続ける。
が、ローズの思いを邪魔するかのように、風が出てきた。
「風が出てきたね。今夜は嵐かな?」
「えっ!?」
不安そうに窓を眺めるローズの背に鈴花が声をかける。
その言葉に、ローズは一層不安になった。
「(嵐…!? 理乃は一日二日じゃ来ないって言ってたのに…!)ボク、外に出てくる!」
「あっ、ちょっと、ローズ!」
ローズは居ても立ってもいられず、外に飛び出した。
■
ごうごうと降りしきる雨の中、ローズは傘も差さずに聖域までやって来た。
(お花さん、大丈夫かな…!?)
雨に体を打ち付けられながらも、ミルキーが作ってくれた棚のある場所まで向かう。
「…えっ!?」
が、そこにあるはずの棚も、植木鉢も、ない。
影も形も、なかった。
「な、何で!? まさか…!」
この強い風で吹き飛ばされた、と考えるまでに、時間はかからなかった。
絶望したローズは、へなへなと力なく地面に降り立ち、膝を折り、そして…。
「う…うわあぁぁぁぁんっ!」
その目に溜めた涙をこぼし、泣きじゃくった。
聖域中に木霊するように、ローズの泣き声が響き渡った。
「ひっぐ、ぐすっ、り、理乃、台風、まだ来ないって、言ったのに…うわあぁぁぁぁんっ!」
打ち付ける雨にも構わず、ローズは泣き続ける。
ただ、悔しかった。理乃の言葉を信じ、何の対策もしなかった自分を。
(屋根があるとこなら、昴に出してもらえばよかった! 事情を話して昴の神殿にしまっておく事もできたのに! 理乃は注意してくれたのに…ボクは、何もしなくて…!)
後悔ばかりが、脳裏に過る。
悔しくて、悔しくて、涙が止まらない。
- フラワーギフト その六 ( No.145 )
- 日時: 2014/11/10 01:29
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fE.voQXi)
『んあー? ローズも来てたのかー。』
「ふぇ…?」
ふと、のんびりとした声が聞こえ、ローズは涙をぬぐい、振り向いた。
「ノーム!」
『まー、こんな雨じゃ心配するよなー。だからオイラもこっち来たしなー。』
いつものような姿に、ローズは一瞬安心するも、すぐに花の事を思い出し、また涙を流した。
「ふぇ…!」
『ん、うぉー! 何で泣いてんだー? ローズ。』
いきなり泣き出したローズに驚き、一瞬いつもののんびりさを消したノーム。それ程までに驚いたのだろう。
「だ、だって、理乃、折角、ボクに注意、してくれたのに…ボクは、ボクは…!」
『あー…。理乃もお前に謝ってたぞー。台風、意外にスピードが早くて予測していたのと違ったってー。オイラ、シルフ逹に聞いて心配してここに来たけどー…“もう対策は済んでたみたい”だぞー。』
「えっ…?」
対策は済んでいた? 自分は何も対策なんかしていない。じゃあ誰が? ローズの頭は混乱していた。
「おっ、来たか、ローズ。」
「あ…!」
聞き覚えのある声が、ノームの後ろからして、ローズは驚いた。
「昴!」
「まったく、花育ててるだけなら理由を話してくれたってよかったじゃないか。そしたらもっと早く力になってやったのに。」
そこには、レインコートを着た昴がいた。雨なのか汗なのかわからないが、額が水滴で滲んでおり、疲れの色もわずかに見えていた。
「まぁいい。まずは雨風凌げる場所にいくぞ。」
「う、うん…。って、昴。そっちに神殿はないよ?」
神殿とは真逆の方向に歩き出した昴に問いかけるように首を傾げながら言うローズだが、そんなローズの背をノームが押した。
『いーのいーの。いけばわかるぞー。』
「う、うん。」
ノームに言われ、ローズはノームの頭に乗って昴の後をついていった。
■
着いた場所にあったのは、小さな小屋だった。だがその屋根も壁も、透明な板が張られている。そう、これは…。
「え、温室!?」
「モドキ、だけどな。とりあえず雨風凌げる場所を、って考えて創ったらこうなったんだよ。でも、天井も開くようにしたし、窓も着けたから、風の通りはいいはず。多分。」
「何でそんな自信ないの?」
「急拵えだからだよ。いきなり理乃から連絡あった時は何だと思ったぞまったく…。」
どうやら、嵐が思ったよりも早くこちらに来ている事を察知した理乃が、昴を使って手を打っていたようだ。神様使うとかよくできたな、理乃。
「あ、そうそう。花は無事だ。あん中に入れといたぞ。棚ごとな。」
「あ、ありがとう! 昴!」
「礼を言われる筋合いはねぇよ。ほら、風邪引くから中に入るぞ。」
「うん!」
昴とローズとノームは、温室モドキの中に入っていった。
中は暖かく、モドキと言うには本格的な温室だった。
「あっ…!」
入ってすぐ目の前に置かれていた物に、ローズは飛び付く。
「お花さん!」
「傷みとかはないみたいだ。風が強くなる前に何とかできてよかったよ。」
「お花さん! お花さん! えへへ、よかった…。」
安心したのか、気が抜けて、へなへなと崩れ落ちるローズ。
余程安心しきったのか、そのまま意識を飛ばしてしまった。
「…寝ちまったか。」
『結構心配してたみたいだから、無理もないと思うぞー。』
昴はローズを持ってきていたタオルで包み、濡れた体を拭いてやる。
『なぁ、昴。ローズが花を育ててるもう一つの訳、教えてやろうかー?』
「鈴花の手伝い云々だけじゃないのか?」
『うん。オイラとローズの、二人だけの秘密だけどー、昴には話した方がいい気がしたんだー。ローズはなー…。』
ノームは、昴に話始めた。ローズが花を育てている、そのもう一つの訳を。
- フラワーギフト その七 ( No.146 )
- 日時: 2014/11/10 01:35
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: fE.voQXi)
翌朝…。
「まっ…たくっ! 心配かけさせないでくれる!? ローズ!」
「ごめんなさい…。」
朝になり、嵐も過ぎ去って、ローズを探しに来た鈴花が、この温室までやって来た。
ちなみに、ノームは昨日の内に帰っていった。七海の魔力から切り離したはいいが、自身が存在できる程の魔力がなくなりかけたので、帰っていったのだ。
鈴花はどうやら全員に連絡を取り、ローズの居場所を探していた所、その時にかけた七海の言葉でここだと思い、やって来たそうな。
その際に、七海はすべて…鈴花の夢を手伝う為に花を育てていた事を洗いざらい喋ってしまったようだ。ちなみにノームは七海にローズのもう一つの目的を話していない。理由? これ。
「はぁ…もぅ、花なら私の家で育ててもよかったのに…。」
「…ボクが一人で育てたかったの。一人で育てた花を、鈴花に投げてほしかったんだ…。」
「は?」
これには鈴花も疑問符を浮かべる。
投げる、とは一体…。
「ブーケトス。」
「えっ?」
「だから、ブーケトスだ。ほら、結婚式で花嫁がブーケを投げるだろ? んで、受け取った女性は次結婚できるとか言われてるアレ。」
「あ、あー…。って、投げてほしかったって…えっ!?」
いまいち要領を得ないのか、理解したくないのか、鈴花は首を傾げるばかり。
「だーかーらっ、お前と完二の結婚式にローズが育てた花でブーケ作って、それを投げてほしいからローズは花を育てたの。花畑みたいなのをここに作ろうとしたんだよ。」
ノームから聞いた情報を、鈴花に余す事なく伝える昴。ちなみにローズは、ノームから話された事を知っているので、顔を俯けて頷いた。肯定の証だ。
「ちなみに、ブーケトスを知ったのは、お前の両親の寝室を片付けてて偶然見つけたお前の両親の結婚式のビデオテープを見て知ったそうだ。」
「…。」
鈴花は昴から語られる事柄に、何も言えなくなった。
いや、恥ずかしくて何も言えない。
「鈴花…。」
「そっ…。」
「そっ?」
「そんな事考えてる暇があるなら、花の勉強でもしなさいよっ!」
鈴花の怒鳴り声が、聖域中に響き渡る。驚いた鳥逹が一斉に聖域の木々から飛んでいった。
「ふぇ…!」
怒られたと思い、泣き出すローズ。あまりにも煩かったのか、耳を押さえる昴。
そんな二人からふい、と体を後ろに向かせ、「…まぁ。」と続けた。
「…ローズが本気なら…私の結婚式の日には、ローズの花を…頼もうかな。」
「鈴花…!」
ぽつりと呟かれた鈴花の言葉に、ローズは嬉しくなって、鈴花の背に飛び付いた。
「ありがと、鈴花! ボク、頑張る! 二人がいつ結婚してもいいように、頑張ってお花育てる!」
「ちょっ! 完二と私はライバルだってばー!」
そう言う鈴花だが、その顔は…真っ赤だったが、どこか嬉しそうに笑っていた。
「…やれやれ。」
昴はそんな鈴花とローズを眺めながら、肩を竦めた。
その後、この温室はローズ専用の温室となり、ノームと理乃の協力の元、花の育成に勤しんだとさ。
おしまい。
- フラワーギフト 書き ( No.147 )
- 日時: 2014/11/16 19:24
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: mb1uU3CQ)
後書き de 雑談
私
—今回は司組の四人と昴で後書きをお届けします。ノーム、初登場だね。
七海
「確か、容姿って何だっけ? なんかのゲームを参照してるんだよね?」
私
—テイルズオブシンフォニア。行った世界なんだから覚えときなさいよ…。
七海
「あー! サディスト大佐がいるとこ」
由梨
「それはアビスの世界だ。仲間の世界くらい覚えろ馬鹿。ちなみに、アタシらはファンタジアからアビスの世界まで旅をしてたんだ。それと、精霊は全員シンフォニアの容姿だ。だが、二体ほど例外がいるがな。」
葉月
「私のセルシウスと理乃のシルフ四姉妹の事だね。」
理乃
「葉月のセルシウスはマイソロ基準で、シルフ四姉妹は…長女のセフィー、次女のユーティス、三女のフィアレスの三姉妹はそのままシンフォニアの容姿ですが、更に末子にラフィーと言う、容姿がエターニアのシルフを参照にしている子がいます。」
私
—ラフィーちゃんはオリジナルだよ。容姿は別のを参照してるけど。四人にしなきゃいけない理由が、この司組の人数にある。まぁ、それは追々。さて、本編に絡んだ話をしないと。
理乃
「今回はローズさんが主役ですね。」
昴
「いきなり土地くれって言われた時にはビビったよ…。でも、理由聞いて悪い事じゃなくてよかったぞ。」
葉月
「ちなみに言うと、ローズ君、牡丹ちゃんの温室入りを必死で拒んでいるそうだよ?」
昴&由梨
「無理もない。」
葉月
「だよねー。それから、みんなの結婚式にブーケを作ってあげたいって。」
理乃
「あら、可愛らしい。」
七海
「じゃあ烈と陽介のけっ」
昴&由梨
「馬鹿、ちょっとこっち来ようか。」
※(物理的)話し合い中…。しばらくお待ちください。
理乃
「葉月、何にも聞こえないんだけど…。」
葉月
「理乃は何も気にしなくていいの。」
私
—きっと肉の塊になって帰ってくるでしょう。昴逹はあのままにして、この辺でしめようか。
葉月
「そだね。じゃっ、またねー!」
※昴逹が帰ってから数分後。
七海
「」
※へんじがない。ただのしかばねのようだ
■
感想などあればどうぞー。