二次創作小説(映像)※倉庫ログ

実食 凪&セシル編 前書き ( No.20 )
日時: 2014/08/31 22:14
名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)

採点方法
五段階評価を下す。内訳は以下の通り。


五、 メニューに拘らず、遊び(アレンジ)を加えており、なおかつ美味しい。

四、 メニューに依りすぎな所はあるが、程よく遊びを加えており、美味しい。

三、 メニュー通りの品。遊びなどはないが、メニュー通りなので普通に美味しい。

二、 メニューに沿ったのだろうが、ミスが目立ちすぎて美味しくない。が、まだ改善の余地がある不味さ。

一、 救いのない不味さ。キッチンに立たせたら死ぬ。


お題:『インスタント麺』
煮るだけで出来る袋麺ならば、種類は問わない。
絶対条件として、袋麺の中身を全て使う事。
アレンジは具材のみ。



「今回は僕とセシルだねー。」

セシル
「…食べられる料理に当たりたいですわ…。」


「うーん…確かにねー。」

実食 凪 ( No.21 )
日時: 2014/08/31 22:17
名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)



ご機嫌な表情で出ていった風雅と入れ違いでやって来たのは、凪だった。

「風雅、随分とご機嫌だったねー。」
「そりゃ、最高評価に当たったからな。あの風雅が。」
「本当に何か起きたんじゃないかって、いや、これから起きるんじゃないかって不安になったよー…。」

本当に信用ないんだな、風雅の運。

「とにかく、次はお前って事は、いいのが来るかな。」
「…何かもうわからなくなっているがな…。風雅が先程のを当てた時点で。」
『そ、そこまで言う程なんですか…。』
『風雅は自他共に認める不幸体質だ。そんなあ奴にいきなりとてつもない幸運が舞い込んで全員驚いているだけだ。…凪も下手をすると、最悪な方向になるやも知れん…。』

風雅に訪れた突然の奇跡。それに全員驚いている。
もしかしたらその分身たる凪にも、大きな不幸が舞い込むのではと心配した紅。
だが、等の本人はいつものように飄々としていた。

「んー…大丈夫じゃないかなー? 多分ー。でも僕としてはツイてないよー。だってまた直斗の料理食べ損ねたもーん…。」
「誰が作ったかはわからないけど…。」
「リリィから話を聞いて、これ絶対直斗だって思ったよー。うー、それが心残りー。直斗の食べたかったー…。」
「終わったら作ってもらえよ。」
「そーするー。」

恋人の料理が食べられなくてしゅんとうなだれる凪だが、昴の説得で顔を上げてにこーと笑った。
昴はそんな凪に癒されてから、エレベーターの方まで向かう。

「さて、家事手伝いに組み込まれている女子はこれで残りは由梨だけか?」
「えっと、家事手伝い組って確か…。」
「烈、完二、鈴花。最初はこの三人で回ってたけどー、理乃さんと由梨さんが来てからは、五人でローテーション組んでるんだよねー?」
『うむ。恐らく理乃と鈴花の料理は既に出た。残るのは由梨だけだろう。』
「当たりと呼べるような料理はあとアイツだけか…。ここで当たっちまうかな?」

戻ってきた昴は、お盆を置きながら言う。

「…ここで由梨のが当たったら、残りはその後の腕次第だけど…前回評価二か、一しか残ってないんだね…。」
「パステルくん、それ言うな。凪、色々準備はできてるか?」
「ばっちりー。」

凪がにこーと笑いながら、回復薬と健康保険証と胃薬と小児用オブラートを出す。

「じゃあ、開けるぞ。」

何の疑いもなく開ける昴。
中には汁が無く、何の具も乗っていない蕎麦に、中に納豆が入っているものと、温泉卵が入っている小鉢があった。

「…?」

これには全員怪訝そうな顔を浮かべる。具がない。アレンジどうした? そんな考えが巡る。

「…動かすぞ。」

毎度のごとく、昴はアワーグラスβのボタンを押す。
醤油ベースの出汁のいい香りがする以外は、何の変鉄もない汁無しの蕎麦。

「お蕎麦だから由梨さんかと思ったけど…なにこれ。」
「具がないって…何だろうな。」

とりあえず箸を持って食べようとした時…。

『昴さん、みなさん、七番の子から食べ方について注文があるそうです。』

風花からこの通信が入り、止めた。

『よく混ぜて、お好みで納豆や温泉卵を加えて下さい。混ぜれば何となく予測はつくだろう。だそうです。』
「混ぜる?」

全員、何も乗っていない蕎麦を底から掬い上げるように混ぜ始めた時、全てを理解した。

「はは…。こういう仕組みかよ!」

底から出てきたのは、とろろと少しの汁。どうやらこのとろろを覆い隠すように蕎麦を盛ったようだ。

「む? とろろの色が僅かに茶色いな…。とろろにも味をつけたか。」
「うーん、ほんのり醤油が利いてておいしー!」
「ツルッと入って食欲の落ちる夏場にはいいな。納豆かけてみよっと。」

昴は納豆を軽く混ぜ、麺に投入する。
すると、更に粘りが強くなり、麺と絡む。

「ボクは更に温泉卵加えよーっと!」
「にゃぐー!」

パステルくんとにゃぐわは、納豆を加えた後に更に温泉卵を加えた。
温泉卵により、まろやかになって更に食が進む。

「おいしーい!」
「これはインスタント麺にしておくのは勿体ないくらいだ。」
「にゃぐー!」
『具をいれなかったのは正解かも知れない。と言っている。』
「逆に具をいれたら邪魔になりそうだしな。むしろこれでいい。」

そして、早々に完食した昴達は、

「おかわり!」

全員、出てくるはずのないおかわりを求めたそうな…。











総評:五


昴:個人評価…五
とろろ蕎麦なんてやるな。ネバネバって体にいいし、夏場にはツルッと行けていいな。何にもないと思わせておいて混ぜればわかるなんていうのもサプライズ的な意味で○。今度は一から作ってくれ。

パステルくん:個人評価…五
夏場だからとろろ蕎麦にしたのかな? すっごく美味しかった! とろろと納豆がいい具合にネバネバしてたから食べやすかったよ! インスタント麺だって言うのが勿体ないくらいだよ!

にゃぐわ:個人評価…五
これ、きっと蕎麦をうどんにしても美味しいし、オクラとか加えても美味しそうだニャ! インスタント麺なのにお店で出してもおかしくないかもニャ! こんな蕎麦ならオイラ、お金払って食べたいニャ!

ジョーカー:個人評価…五
食欲が落ちる夏場にはこういったするっと入る麺類はいいな。とろろも納豆も栄養化は高い。夏場にはいいかもしれんな。我にも今度教えてほしい。

凪:個人評価…五
とっても美味しかったー! ネバネバがツルッと入っていい感じだったよー! 今度、これ麺や汁を自家製でつくったらもっと美味しくなりそう! とりあえずおかわりもらっていい?

実食 セシル ( No.22 )
日時: 2014/08/31 22:29
名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)



凪と入れ代わりでやって来たのはセシルだった。
いつものローブ姿でやって来たセシルは、目の前の現状にびくりと肩を震わせた。

「あ、あの、みなさん。何故そんなに落ち込んでいるのですか?」

そう、全員ががっくりと肩を落としているのだ。

「当たりが全員消えた。」
「…残りは上達してなきゃ二とゲテモノしか残ってないよ…。七海の料理は見た事ないけど、由梨のあの言い方じゃ絶対死ぬ。」
「にゃぐ…。」
『しかも前回来たあの激辛ゲテモノがまだ来てないと言っている。(そう言えば忘れていたな…。)』

紅はりせの料理を頭から抹消していたようで、心の中で呟いた。

「何かそろそろあの激辛ゲテモノに当たってもおかしくないな…。取ってくる。」

昴は重い腰をあげ、エレベーター前に向かった。

「…。」
「…あの。ひとつ、気になった事があるのですが…。」

暫くの間沈黙が襲い掛かり、それに耐えかねたセシルはおずおずと尋ねる。

「どうしたの? セシル。」
「…りせの料理って、それ程までに酷いのですか?」
「酷いなんてものじゃないよ。下手をすると高血圧で死ぬよ?」
「パステルくん、すんなりと死ぬなんて言わないで下さい。ですが、何となく分かりましたわ。」

パステルくんのその対応で、何となく分かってしまったセシルだった。
程なくして、昴が戻ってくる。

「さて、セシル。色々と準備はいいか?」
「ええ、大丈夫ですわ。」
「んじゃ、開けるか。それっ。」

昴はパカッと蓋を開ける。

「」

開けた瞬間に、絶句する。
目の前にあったのは、赤い、いや、紅いカレーうどん。上には真っ赤に染まった唐辛子とひき肉のそぼろ。
…一目、見た目で分かった。この料理を作った人物。

「…当たりがない中でこれかよ…。」
「お、終わった…ボク、終わった…。」
「にゃぐ…。」

がっくりと項垂れる昴とパステルくん、にゃぐわ。
だが、がっくり項垂れる場合ではない。昴は起き上がり、頭を押さえた。

「…セシル、擬人化しておけ。恐らく次来るのは犬の嗅覚じゃきつい。」
「わ、わかりました…。」

セシルはすぐに擬人化し、スタイルのよい女性になった。
ちなみに、擬人化する前の姿では動物本来の性質を持つので、セシルは感覚が犬と同じになるのである。

「…動かすぞ。それっ!」

昴がアワーグラスβのボタンを押すと、強烈な臭いが辺りに広がった。そして、カレーうどんにはボコボコとマグマのように泡立っている。

「うぎゃあぁぁぁっ!」
「にゃぐ、にゃぐぅぅぅっ!!」
(目が、目があぁぁぁっ! って…にゃぐわ、それどこのラピュタ王だ。)

パステルくんとにゃぐわは鼻を押さえ、叫び出した。
どうやらにゃぐわは某大佐のごとく目を傷めたようだ。それ程までに激辛なのか…。

「こ、この臭いは…擬人化して正解でしたわね…。犬の嗅覚では、食べる前に死んでしまいそうですわ…。」
「だろ…。うぅ、駅前のあのカレー屋で出てきたりせ(所持者達の日記:カレーの辛さは甘口から中辛に限る参照)並みにきつい…。」
『本人作なんだから当たり前だろう、神。』

紅はきっぱりと言い放つ。そう、これは恐らく、昴と同じ誕生日のサーチャー作だろう…。

「…紅、黒、アイギス。救援準備。風花も念の為クマに扉前に待機しているよう言っておけ。」
『うむ。』
『わかった。』
「了解しました。」
『わかりました。…クマ君、念の為扉前にいてください。』
『オッケークマ! …スーチャン、クマ、頑張るクマ。だから死んじゃ駄目クマよ。』

風花の通信能力を介し、クマの切なさそうな声が響く。
確かにこの料理は正直、死ぬかもしれない。だが、ルールはルール。食べなければならない。

「…ジョーカー。セシル。パステルくん。にゃぐわ。」

昴は一人一人、名を呼ぶ。
そして全員に向き直り、笑顔を見せた。

「…逝く時は、みんなで一緒だ。」
「…。」

全員、コクリと頷き、一斉に箸をつけ、一口含んだ。
と、同時に…全員、机に突っ伏してしまった…。

「全員の意識喪失、血圧上昇を確認。」
『ふむ。流石は本場。一口で簡単に意識を喪失させるとは…。』
『アイギス、黒君! そんな淡々と言わないで下さい! くっ、クマ君! 早く部屋に入ってえぇぇぇぇっ!!』
「スーチャン! セシチャン! 貴方のクマ、今参上! なんて言ってる場合じゃないグマアァァァァァッ!」
『氷海いぃぃぃっ! 父親を、父親を呼べえぇぇぇぇぇっ!!』

救援係の紅と風花があわただしく叫ぶ中で、アイギスと黒は冷静に現状を見ていた。
そしてクマと氷海の父親、そして食あたり専門チームによって懸命な治療が再び開始された…。











総評:一


昴:個人評価…零
何でも辛くすればいいってもんじゃない。

パステルくん:個人評価…零
三番の作ったマーボカレーうどん一回食べてみれば? 君とは月とすっぽん。天と地の差だから。

にゃぐわ:個人評価…一
舌が痛いニャ。鼻が痛いニャ。胃が痛いニャ。目が痛いニャ。

ジョーカー:個人評価…一
人の血圧を上げて何がしたい?

セシル:個人評価…一
辛(から)い通り越して痛いですわ。辛(つら)いです。

実食 凪&セシル編 後書き ( No.23 )
日時: 2014/08/31 22:37
名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)



後書き de 雑談



「」
※セシル、ジョーカー、パステルくん、にゃぐわと共に集中治療室にて治療中…。


—サブタイトルつけるとしたら、天国。そして地獄へ。

風花
「み、みなさん、大丈夫でしょうか…。」


「うええぇぇぇん! すーさんが、すーさんがあぁぁぁっ!!」

風花
「き、鏡君、泣かないで! 毒盛られても死ななかったから大丈夫だよ!」


「うえ、えぐ…。」


—風花ちゃん、三番の子にマーボカレーうどん五つ追加させといて…。

風花
「食べる為の物が、回復する為の物になってしまいましたね…。頼んではおきますが…。」


—それ言わない。お願いね…。

風花
「…と、とりあえず、昴さんを回復させないといけないし、鏡君も宥めないといけないので、ここで終わりにしてもいいですか?」


—うん、いいよ。…昴、治るといいけど…。

風花
「き、きっと大丈夫ですよ…。それでは、また。」


—ばいばーい!






—とりあえず、Pixivに載せた所はここまでです。感想等あればどうぞ。