二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 実食 七番&八番 前書き ( No.260 )
- 日時: 2014/12/12 22:08
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: EdfQYbxF)
採点方法
五段階評価を下す。内訳は以下の通り。
五、メニューに拘らず、遊び(アレンジ)を加えており、なおかつ美味しい。
四、メニューに依りすぎな所はあるが、程よく遊びを加えており、美味しい。
三、メニュー通りの品。遊びなどはないが、メニュー通りなので普通に美味しい。
二、メニューに沿ったのだろうが、ミスが目立ちすぎて美味しくない。が、まだ改善の余地がある不味さ。
一、救いのない不味さ。キッチンに立たせたら死ぬ。
零、食材を与えないで下さい。
新ルール:±要素
今回新制度として評価に加え、更に±要素を入れる。
・+…あともう一歩で上位のレベルに上がれるくらいにおしい品。五+は五段階評価じゃ足りませんレベル。
・無印…妥当なレベル。惜しい部分もなければ、マイナス要素も特になし。
・−…ミスが多いのでお情けでこの評価に。零−は自覚しましょう。
お題:『お弁当』
両端に留め具の付いたお弁当箱に以下のルールを遵守し、提供すること。
1.昴が出したお弁当箱を使用する事
2.昴が出したスープジャーか水筒に温かい飲み物を入れて使用する事(両方でも可。また、既製品やお湯を入れるだけで完成する物でも可)
3.お弁当の中身は固定審査員の望む卵料理、魚料理、野菜料理、おにぎりを絶対条件として入れ、残る一品自分の好きな物を作って入れる事
4.同じお弁当を六つ作る事。内一つは自分で必ず食べる事
5.BEMANI学園の調理室で作り、神殿まで運ぶ事
昴
「」
私
—昴達は絶賛治療中です。…助かるかな…。
- 実食 七番&八番 救援…(汗) ( No.261 )
- 日時: 2014/12/13 15:50
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: OI3XxW7f)
ゆかり達を待つ風花は、不安そうな表情で神殿の玄関にいた。
(ゆかりちゃん、天田君、早く…!)
不安そうな表情で待つ風花。その耳には絶えず、医務室の喧騒が聞こえる。
胸が不安で押し潰されそうな時、呼び鈴がなった。
「! ゆかりちゃん!?」
ゆかり達が来たと期待に胸膨らませ、ドアを開けた。
が、そこにいたのは自分の知っている友人達ではなく…。
「…。」
「…。」
ふわふわな真っ白の毛並みとくりくりとしたお目めが特徴の二匹の生き物と、その子達を抱える男の子と彼の後ろに控えるように女性がいた。全員、特徴的なペンダントをつけている。
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「…あ、こ、こんにちは…。(か、可愛い…。ふわふわしてそう…。)」
二匹が同時に言葉を発し、風花は面食らいつつも返す。
「えーっと、どう言ったらいいかな?」
「早い話が救援に参りました。私はネリアと申します。彼は崎本明さん。そして右耳の赤い子がフレイさん。それから左耳が青い子がコールさんと言います。」
—大丈夫、風花ちゃん。この人達も救援だよ。
風花のポケットから創世手帳が飛び出し、そう書かれる。
—よく色んな話に感想をくれるエイヴさんのオリキャラ達だね。ネリアさんが回復持ちで明君がその補助。フレイ君とコール君は…行きたそうにしてたから連れてきたんだろうね。
「(連れてきたって…。)えっと、来て早々申し訳ないのですが、話は聞いてますか?」
「まぁ、この喧騒で予測は簡単にできそうだけど…。」
言われてみれば確かにそうである。風花は男の子—明の言葉にひとつ頷いた。
「あ、その子達は私が預かりますね。今、大分バタバタしてますので…。」
「お願いします。」
女性—ネリアと明は、未だに騒がしい医務室まで向かっていった。
「フレイ君とコール君は私と一緒に待ってようねー。」
「うん!」
風花の腕にすっぽりと収まった二匹の生き物—フレイとコールは頷いた。
直後、二度目の呼び鈴がなる。
(ゆかりちゃん達だ!)
期待を込めてドアを開けるとそこには…。
「風花さん!」
「え、メルちゃん!?」
なんと、メルがいた! しかも血相を変えて大きな段ボールを抱えている。
「りゅーとさんのとこのマリオさんからロイヤルキノコZだって! ぶっ倒れた皆に超速達で預かってきた!」
「え、あの裸ぞ」
裸族、と言おうとした瞬間、フレイとコールの事を思いだし、慌てて口をつぐんだ。
「マリオさんから聞いたよ! 昴さん達と由梨ちゃん、ぶっ倒れたんだって!?」
「う、うん。今、治療中…。メルちゃん、悪いけど、その物資を二階においてきてくれると助かるんだ! 私、ここでゆかりちゃん達を待たなきゃ…。」
「わかった! それくらいなら大丈夫! じゃね!」
メルは段ボールを持って二階に上がり、医務室に急いだ。
不安そうに待つ風花の耳に、再び呼び鈴がなる。期待を込めて三度ドアを開けると、そこには…。
「…。」
「…。」
中学生くらいのショートヘアーの女の子と眼鏡に銀髪(?)の白衣を着た男性と、白衣を着たマリオがいた。
「どちらさま?」
「どちらさま?」
固まる風花を他所に、腕の中にいたフレイとコールが声をかけた。
「こっちにマリーがお邪魔していると聞いたが…。」
—風花ちゃん、この人達はユリカさんの追加救援。マリーちゃんのお仲間さん、と言ったところかな。女の子の方は宮藤芳佳ちゃん。眼鏡の人がサイモン・ヨークさん。マリオの白衣バージョンは…説明不要っしょ?
(ドクターマリオさんですね…。)
どうやらマリーの仲間達がやって来たようだ。しかも全員治癒術や医術持ちだ。
「えっと、自己紹介は後にした方がよさそうです! 一刻も早く二階に上がってもらっていいですか!? 騒がしい場所で、皆さんの救援が必要なんです!」
「わかった。二人共、行こう!」
「はい!」
「ああ!」
ドクターが声をかけると、サイモンと芳佳は二階に上がって行った。
そのすぐ後、風花にとっては見知った姿が走ってきた。
「風花!」
「風花さん!」
「ゆかりちゃん! 天田君!」
彼女の望む救援が…岳羽ゆかりと天田乾が来たのだ。って、乾は普通に普段着っぽいけど、ゆかり、お前の服装…。
「…休憩時間だって言ってたもんね…。」
ドキツイピンクの戦隊ものの服装を…彼女の演じる、フェザーマンのフェザーピンクの服を纏っていたのだ。
「ふ、服には突っ込まないで! それよりも救援って…。」
「う、うん、二階! 騒がしい部屋がそうだよ!」
「急ぎましょう、ゆかりさん!」
「オッケー! 全力でいくよ!」
ゆかりと乾も、すぐに二階に向かった。
「…昴さん達、助かるかな…。」
「だいじょうぶだよ、ふうかさん!」
「きっとたすかるよ!」
不安そうな風花に、フレイとコールが声をかける。風花はそれに、ありがとうと、小さく微笑んだ。
- 実食 七番 ( No.262 )
- 日時: 2014/12/12 22:28
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: EdfQYbxF)
夜通しの治療により、昴達は何とか、何とか奇跡的に回復した。それを聞いた一同は両手をあげて喜ぶと同時に、全員バタリと倒れ込んでしまった。ちなみにゆかり達も監督にお願いをして、最後まで残ったようだ。
そして一夜明け、全員仮眠を取り、昴達は審査会場に戻ってきたものの…。
「だいじょうぶ?」
「だいじょうぶ?」
全員、床に突っ伏してしまっていた。由梨も今頃別室でぐったりしているだろう。
心配してフレイとコールが声をかけるも、昴達は手をふりふりと振るだけ。
声を出す気力もないのか…。だが、そんな事をしている場合じゃないと気付いたのか、ゆっくりと起き上がった。
「あんま、声、出したかないが…結果発表に、移る、か…。」
「昴さん、まだ料理は残っているであります。」
アイギスがそう言うと、昴達は固まった。
そう、今はまだ六品目を食べ終えたばかりだ。六番目で遺言回だったので、思わず最終回かと思っていたが、まだ六番目までしか終わっていないのだ。
「忘れてた…。」
「昨日ので終わりかと思ったんだけど、まだあったんだっけ…。うぅ…。」
『ですが、次の子は当たりかと思いますよ?』
「何でそう思うんだ? 風花。」
にこやかに話す別室の風花に、昴は首を傾げる。
『本人から直接、伝言を預かりました。追加の料理の事を。』
「追加の料理? 何だろうな。まぁ、それは次の審査員が来てからで」
「やっほー! 来たよ!」
どうやら次の審査員が来たらしく、挨拶をした瞬間…。
「どりゃあぁぁっ!」
「んげはぁっ!」
昴とパステルくんとジョーカーが渾身の力で殴り付けた。にゃぐわ? 殴りたかったけどフレイとコールを医務室に預けに行ったよ。つか、お前ら病み上がりだよな?
「何すんの昴さん達! いきなり殴るなんて酷くない!?」
「昨日のゲテの後にお前の顔は見たくなかった。だから殴った。わかったか? 七海。」
そう、彼女達の前に現れた次の審査員は、七海だった。よりによって毒物料理の次に見た顔がこいつかよ、と昴達は落胆していた。
「だからって殴らなくてもいいじゃん!」
「あぁ、五番の奴の恨みもあったか。七海、今度味を変えるような真似したら、理乃のスキルで切り刻んで浄化してやるから覚えとけ? とって…うぅ…。」
次なる料理をとってこようと動こうとするも、まだ本調子じゃないらしく、その場に崩れ落ちる昴。
『むぅ、やはり神達はまだ動ける状態じゃないな。』
「私がとってくるであります。」
「悪い、アイギス、頼んだ…。」
昴を席に戻しながら、アイギスは「お任せください。」と言ってエレベーター前に向かった。
程なくして、アイギスが戻ってくる。そして七海に心の準備を聞く前に、蓋を開けた。どうせ聞いても無駄と判断したのだろうな。
「…すみません、すっごい眩しいんですけどこの弁当の中身。」
中には、早く食べてと言わんばかりに光り輝いた黄色い俵おにぎりと炒り卵とポーチドエッグ、スパイスのかかった野菜炒めと香料の添えられた焼き魚。美味しそうなタンドリーチキンが入ったお弁当箱が! 更に三色に分けられたスープジャーが五つと水筒。更に…。
「この瓶のサラダって…。」
大きめの広口瓶の中にはカラフルな色をした層になった野菜サラダが入っており、一番下にはドレッシングが。
「あ、ボク知ってる! これ、ジャーサラダって言うんだって! スミスさんが作ってくれた事があるの!」
『そのジャーサラダが、追加食材です。昨日の一件があったので。寮にストックしておいたものを持ってきたそうです。追加での食材なので、評価は不要との事です。それと、振り混ぜてから食べてほしいそうですが、そんな体力がない場合は、スープジャーの中身から食べてほしいそうです。赤いのが春雨、黄色いのが茄子。白いのが豆腐入りだそうです。一応、中辛で作ったそうですが、辛い場合はポーチドエッグを中に入れてから潰して下さい。辛さが抑えられるはずです。あっ、ご飯はその中身をかけて食べても美味しいそうですよ。』
「百聞は一見にしかず。まずは食べてみるよ。」
そう言って昴はアワーグラスβで時間を動かした。一夜明けてもまだ止まってるとは、コレの制作者である理乃、恐るべし。
時間を進めると、香りが爆発したかのように解き放たれ、カレーの香りが辺りに広がる。
「スパイスの香りはするが、紅くないからりせじゃない。それに、春雨やら豆腐やら茄子やらと来たら…!」
昴は真っ先に一個しかない赤いスープジャーを取った。
パステルくんとにゃぐわは黄色を、ジョーカーと七海は白を選んだようだ。
中身は…!
「やっぱな。マーボカレーだ!」
そう、何度お世話になったかわからない、マーボカレーがあった! マーボカレー春雨を、昴は備え付けられた木のスプーンで食べ始める。どうやら一番同様、この七番も木のスプーンにしたようだ。
味はもちろん格別。
「美味い! あ、美味すぎて幸せすぎて涙が…!」
「あの毒料理の後にコレって君は神様ですかあぁぁっ!」
「にゃぎゃあぁぁぁっ!」
「お前達暴走しすぎだ。」
『ジョーカーも泣きながら食っているんだが。まぁ、あの毒からのコレはありがたいだろうな。』
あまりの美味しさに、固定審査員全員涙ながらに食す。だが七海は…。
「何これ、味がないんだけど。」
「」
案の定こうでした。
「七海の評価はいつものように無視でいい。」
「うん、知ってる。いつも通りでしょ。」
昴の言葉に、みんなを代表してパステルくんがこう言う。にゃぐわ達も頷いている。重々承知だ。とでも言いたいかのように。
「酷くない!?」
「タンドリーチキンウマー。ポーチドエッグを絡めたマーボカレー春雨ウマー。カレー風味の炒り卵ウマー。」
「サラダもドレッシングに仕掛けがしてあるのかな? 何だか体が楽になっていく気がする! 適度な酸味も効いてて味の変化もつけられてていいね! おにぎり? 程よいスパイスが効いてて言うまでもなく美味しすぎてボク作り方教わりたいんだけど。このドライカレーおにぎりにもマーボカレーのカレー粉が使われてるのかな?」
「にゃぎゃあぁぁぁぁ…。」
『魚…恐らく鱈か。香辛料が効いてて美味しいそうだ。何か美味しすぎて涙が止まらないそうだ。』
「野菜炒めも美味い。程よい辛さとスパイスの香りが鼻から抜けていくようだ。水筒の中身は…む、ミルクティーかと思ったらスパイスが効いてるな。確かこれは、チャイというものかな? …ふぅ、癒される…。」
七海を無視し、各々お弁当箱の中身やサラダを食べていく。ちなみに、サラダをあけるボウルも別に用意されており、急遽用意したとは思えないくらいの手際のよさだった。
「さて、誰が作ったかだけど…。」
それは、全員分かっていた。風花の言う当たり、そして、マーボカレー。
過去にこれを作った男子家事スキルトップは既に出た。食べた事はないが、恐らく六番で犠牲になった由梨も作れるだろう。が、審査員として出てる以上、これが彼女の料理な訳がない。鈴花やリリィも作れるだろうが、彼女達はまだレシピをもらっていない。
残るは…家事スキル女子、及び総合トップの彼女、だろう。
「まぁ、当然っちゃ当然の人物だな。」
「ボクも同じ人しか出てこないよ。」
「にゃぐー。」
「だが、それを食べたのが…。」
固定審査員達は、ここで七海をちらりと見た。
「…味覚馬鹿の親友って悲しいな。」
「何か酷くない!?」
七海の抗議を無視し、お弁当箱の中身もスープジャーの中身も全て平らげた昴達は、早速評価用紙に向かった。
☆
総評:五+
昴:個人評価…五+
インドに小旅行に行った気分だ。後付けのジャーサラダ、ドレッシングにエリクシールでも混ぜたか? 体が一気に楽になったんだが。酸味も効いててさっぱりした。
あと、この間のユマさんの一件が相当悔しかったと見た。だからボトル毎に分けたのか、具材。(※詳しくはYUMAさんの“自作逃走中ep1 幻想楽土と秘密基地”シリーズの“22.5実況席より。(Final)(延長戦)”をご覧ください。)
こんな素晴らしい料理を作るお前の親友がアレなのはドンマイ。今回はこいつが渡す相手が相手だから、前回以上に大荒れするだろうな…。
パステルくん:個人評価…五+
すみません、感想がないんですけど。素晴らしすぎて感想が出てこないんですけど。
とりあえず、チャイ美味しかったです。カレーおにぎりが美味しかったです。いえ寧ろ全部美味しかったです。
七海、親友の料理なのにその評価はなに?
にゃぐわ:個人評価…五+
毒物料理の後に君って、第二回コースと同じ道を辿っててビックリだニャ。もう女神様にしか見えないニャ。何か君の後ろに翼が生えてるのはオイラの気のせいにしておくニャ。
料理? うん、何もないニャ。いい意味で何もないニャ。美味しすぎて感想が浮かばないニャ。ごめんニャ。
親友がコレなのは…きっと一番君が胃を痛めてるはずだニャ…。愚痴くらいなら聞くニャ…。
ジョーカー:個人評価…五+
七海、後でこの料理を作った彼女に弱点属性の魔法をたんと食らえ。いや、我が言わずとも彼女ならやるか。
文句のつけようがないくらいうまかった。昴殿ではないが、インドに行った気分だ。サラダも少し酸味が効いててうまかった。評価はしなくともよいと行ったが、評価しない方が失礼だ。
七海:個人評価…零−
味がない! 以上! こんな味のないのが理乃の料理なわけないじゃん!
- 実食 八番 ( No.263 )
- 日時: 2014/12/13 00:38
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: OI3XxW7f)
ふてくされる七海を見送りながら、昴達は遠い目を浮かべていた。
「結果発表…荒れるな。七番がぶちギレて黒七番が降臨するに不二家のショートケーキ。」
「七番が七海に死に等しい程魔法を放つにモンブラン。」
「にゃぐー。」
『にゃぐわもパステルくんと同様の物に鯛だそうだ。』
「どっちもに高級日本酒。」
おい、何賭してんだあんたら。
『じゃあ、私は…えっ、えぇっ!? た、大変!』
「どうした、風花。」
いきなり誰かに話しかけられたのか、風花が慌ただしく声をあげる。昴は心配になって声をかけた。
『り、理乃ちゃんが倒れたそうです!』
「はぁっ!? 理乃が!?」
風花の答えに、昴達は驚きを隠せない。
何故なら、理乃が倒れる。即ち自分達の命を繋ぎ止める人物が一人減り、これから先毒物が出ると、死に直結する危険性があるからだ!
『結果発表までには何とか回復させるそうですが…これから先、理乃ちゃんの力は借りられない可能性が大きいようです…。』
「理乃がいなくなるのは痛いね…。」
「昨日はクマで、今日は理乃がダウンかよ…。ん?」
昴はここで、何かに気づいた。が、まだ黙ってる事にしたようだ。
「とにかく、次だ。八番の準備は?」
「もう出来ているわ。」
優雅な声が響いた後、やってきたのは、雪花だった。
「雪花か。…昨日は心配かけて悪かったな。」
「本当に心配したのよ? 鏡なんてずっと不安で付きっ切りだったんだから。凪もずっと昴さん達の側を離れなかったのよ。でも…本当に無事でよかった。ジョーカーも、みんなも。」
「…心配かけたな、雪花。我も子に心配をかけさせるとは、我もまだまだだな…。」
「ホントよ、もう。」
どうやら、本当に心配していたようだ。固定審査員達は全員、反省した。
「あ、あの毒物は私特製の氷室に昨日括り付けといたわ。」
「ナイスだ、雪花。取ってくる。」
どうやら七番の料理で体力気力とも回復したようで、昴は自力で取りに行った。
「さて、誰の料理かしらね、今度は。」
「そういえば、先程七海が出たのだったな。」
「あ。」
七海がここで審査員として出た。つまり、これから先、七海の料理はない、という事である!
「ボク達の死ぬ確立が減ったー!!」
「にゃぐー!!」
『残るは激辛劇物か…。同じように審査員側で出てくればいいが…!』
残るゲテモノはりせの激辛劇物のみ。それがここで出ない事を祈ろう…。
「ごめんなさい、氷海の二の舞にはなりたくないわ…。」
「雪花もあのゲテモノは食べないほうがいい。今までどれだけの人数がアイツの毒牙にかかってトラウマを増やしたか…。」
「…考えるのも怖いわ。」
「だが、七海がここできたのは朗報だ。そう思っておこうぜ。」
戻ってきた昴が、いい方に考えるように促すと、全員頷いた。
「雪花、胃薬の準備は?」
「出来ているわ。」
雪花はポケットから胃薬を取り出し、机に置く。
「よし、開けるぞ。それっ!」
昴は勢いよく蓋を開ける。そこにあったのは、何の変哲もない炒り卵とおにぎり、鮭と温野菜、それから、唐揚げが入ったお弁当箱。そしてスープジャー。
「スープジャーは…卵スープか。これはお湯入れれば出来る奴だな。」
「じゃあ、これは私みたいな料理に自信がない人のかしら。」
「多分な。」
アワーグラスβを用いて昴は時間を動かし、「いただきます。」と言って食べ始めた。
が、すぐに事件は起こった。
「んぐっ!!」
ガリ、と不快な音がし、昴は俯いた。
「ど、どしたの昴さん!」
「…何か、硬い何かに当たった…。」
舌を使い、器用に取り出すと、それは…白い物体。
「…殻だな。」
「殻、だろうね…。」
「にゃぐー…。」
『ん? どうした、にゃぐわ。』
なんと、炒り卵には卵の殻が混入していた! ん? にゃぐわも何だか様子がおかしい。
「…唐揚げから血の味がするんだけど…。」
「血…? アイギス、成分分析、出来るか?」
「可能であります。…結果、出ました。人間の血液を確認。…指を切ったのでしょうね。」
『…よくやるよね、指切って絆創膏のお世話になるとか、私もあるからなー…。』
絶対遠い目を浮かべているであろう風花。いや、風花の場合はそれ以前の問題もありそうな…。
『しかし、殻に血か…。』
「卵スープも普通だし、おにぎりも塩味で美味しいし、温野菜も普通だし、鮭は骨があるくらいで美味しいのに勿体無いよー…。絆創膏のお世話になるのは相変わらずなんだね…。」
「パステルくん、やはり貴方にはわかったのね、これを作ったのが誰か。」
雪花が問うと、パステルくんは頷いた。
「はぁ…。唐揚げ、あんなに練習してたのに本番で指切っちゃったか…。」
「となると、これは…雪花、お前の…。」
昴が聞くと、雪花は頷いた。
そう、これは恐らく、雪花の本体であり、パステルくんの友人である彼女が作ったもの。
「僅かな成長は見られたが…あー、何かもどかしいな…。」
煮え切らない何かを残しつつも完食した一同は、評価用紙に向かった。
☆
総評:二+
昴:個人評価…二+
だから雪花といいお前といい、何でお前らはこう惜しいわけ!? 成長は見られて嬉しいけどさ! 何かこう…もどかしいっつーのーっ!
パステルくん:個人評価…二+
昴さん、怒らないであげて…。成長はちょっとずつしてるから勘弁してあげてね…。
不器用なだけ、なんだよね…。おにぎりも美味しかったし、温野菜も普通に食べられたよ? 後は卵の殻と手の怪我を減らすようにね。烈が苦労しちゃうよ?
にゃぐわ:個人評価…二+
姐さん、気持ちはわかるニャ。オイラももどかしいって思うニャ…。
唐揚げの肉は血がついたら洗ってほしかったニャ。いやそもそもその、切らないよう気を付けてほしかったニャ…。ぶきっちょなのを直せば十分三は狙えたニャ。頑張るニャ。
ジョーカー:個人評価…三−
期待を込めて三だが、やはりミスは多目だからマイナスをつけた。昴殿、もどかしいのは全員一緒だ。
雪花:個人評価…三−
二と三を行ったり来たりな感じよね…。私も同じよ。卵の殻は確かに分かりづらい場所に入るとやってしまいがちだけど、取り除く努力はしたのよね? なら、結果発表の時に謝れば昴さんもわかってくれるわ。お肉、美味しかったわよ。怪我をしているようならお父様に見てもらいなさいね。
- 実食 七番&八番 後書き ( No.264 )
- 日時: 2014/12/12 22:45
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: OI3XxW7f)
後書き de 雑談
私
—沢山の救援物資、ありがとうございました。お陰さまで奇跡的に昴達は復活を果たしました。が、由梨ちゃんはまだ休ませます。あと、理乃ちゃんが倒れた理由を察してもお口チャックお願いします。
昴
「あの毒物には皆さん戦慄していたな…。」
風花
「まるで世界の終わりを目にしているかのような方もいましたしね…。」
私
—毒物、おそろしや。さて、折り返し地点が過ぎたね。
風花
「八番、手の怪我、大丈夫かな? あ、七番も八番も問題なく食べれますので試食はご自由にどうぞ。ただ、八番は殻に気を付けてくださいね?」
昴
「けど、成長が見られたし、いい傾向だな。」
私
—彼氏の為に頑張るんでしょうね。未来の旦那と義妹、自分より上位クラスだから、悔しいって言うのも何かあるのかもね。
風花
「ふふっ、それならこれからもっともっと伸びるね。」
昴
「ちょっと楽しみになってきたな。さて、この辺りで締めるか。」
私
—そうだね。それじゃ、またねー!
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