二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 何でどうしてこうなった。(by昴) その一 ( No.44 )
- 日時: 2014/09/14 20:34
- 名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)
九月になり、学校も始まり、学生は大忙し。
そんな土曜、午前授業で帰宅となったある日の放課後。神殿にて。
「うん、うまいな、これ。肉料理、得意になったんじゃね? あー、飯で食べたいなこれ。」
「これならば三の評価は出せるな。だからパステルくんが言っただろう。麺とスープを分ければ簡単だとな。」
「うむ。普通だが、美味い。やり方を覚えれば簡単だろう? 雪花。」
先のインスタント麺対決で評価二の氷海、雪花、千枝が、評価五の鈴花、由梨、理乃のアドバイスを受けながら再度同じ品を作り、フランシス、ジョーカー、陽介に再度試食をさせていた。
え? 雪花の料理を悠が食べていない理由? …察して下さい。
「ほ、ほんと!? 花村!」
「ああ。美味い。小鉢に分けりゃ、麺と一緒に食えるからいい案だな。」
「あ、いや、その…理乃ちゃんのアドバイス…。肉料理が得意になったのも、理乃ちゃんが『自分の好きな物から極めてみたら如何ですか?』って言ってたから…。あたし、やっぱ肉丼が好きだからさ、その…まずは肉丼を極めようと思って。…あいかちゃんにレシピ譲って貰ったり、理乃ちゃんにも何度か食べて貰ってアドバイス貰って…。」
「成程な。里中がこうして美味い飯作れるようになったのはあいかや理乃ちゃんのお陰か。」
「いいえ、中村さんだってレシピを渡しただけですし、私はアドバイスをしただけです。聞き入れて自分のものにし、頑張ったのは里中さんですよ?」
「あ、あはは…。て、照れるな…。」
感心したように頷く陽介に、千枝の横に控えていた理乃は謙遜してそう言った。
確かに、レシピやアドバイスがあっても、本人に聞き入れる気とやる気がなければ、ここまで上達しないだろう。
「氷海もこういった所を直せば、すぐに上達しそうだな。鈴花、時折氷海に教えてやったらどうだ?」
「もちろん、そのつもりだよ!」
「あ、ありがとう、鈴花。」
「…恋する乙女同士、花嫁修行のつもりで互いに切磋琢磨すれば、いずれ伴侶となる烈や完二を幸せ太りさせられるんじゃないか?」
「は、伴侶!?」
フランシスの放った言葉に、氷海も鈴花も顔を赤くしてしまった。
そんな二人に、フランシスはクックッと小さく笑う。まるで悪戯が成功して嬉しいみたいに。
「私、やり方が間違っていただけだったのね…。」
「具と一緒に煮るのが一般的だと思っていた事にアタシは驚いたんだが。味見はしたのか?」
「え、ええ…。何度もやったのですが、美味しくなくて…。」
「…とにかく、雪花。不味いと思ったが原因がわからないなら我や昴殿を頼れ。教えてやる。」
「ありがとう、ジョーカー。…ああ、でも凄く恥ずかしいわ…。何で具とラーメンを一緒に煮るなんて思ったのかしら…。」
「…なぁ、雪花。お前、天然の気があるだろ。」
そう訊ねる由梨の顔はひきつっていた。ジョーカーも横で苦笑を浮かべている。
「しかし、評価二が救いのある奴等ばかりで良かったな。評価一でも割と救いのある奴はいるけど…。」
由梨がポツリと呟いた瞬間、キッチンから爆発音が聞こえた。
「…。」
「葉月先輩、何でフライパン扱ってるだけなのに壁が壊れるんだ?」
「何も言わないで何も聞かないで烈君。私昔からこうなの。ドジッ子なの。」
「ドジッ子のレベル遥かに越えてると思うんだけど。先輩は普通に料理できるんだから勿体ねぇな…。」
後に、手伝い当番だった烈と葉月の会話が聞こえる。どうやらまた壁を壊してしまったようだ。
「…あれでもか?」
「うん、ごめん、何でもない。」
ジョーカーが指差したキッチンから目を背ける由梨。
うん、背けたくなるわな。救いある方だが、部屋を壊すのはいただけない。しかもそれは身内だしな…。
- 何でどうしてこうなった。(by昴) その二 ( No.45 )
- 日時: 2014/09/14 20:41
- 名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)
「むぅ…。」
「なんか不満そうだな、りせ。どうかしたのか?」
そんな様子を見ていたりせが、不満そうに頬を膨らませていたので、昴達の夕食を作り終えた烈がキッチンから出てきながら問いかける。
「何で評価二の人達ばっかり優しくしてんの。」
「自分で自分の料理を食ってから言おうな?」
笑顔を浮かべ、あ、いや、青筋を立てた烈が、来ていた人物達にお茶を出しながらそう言った。
「いくら辛いの好きだからと言っても、辛くしすぎたら毒だよ、りせちゃん。」
「あの料理でセシルが暫く辛いものに敏感になったわ…。」
「昴さんもジョーカーも、暫く辛いものは遠慮したわ…。」
流石にあの殺人的な辛さには参ったのか、りせの料理を食べた全員暫く辛いものは疎遠になったようだ。それを知っているのか、千枝、氷海、雪花がりせに向けて言う。
というか評価二にそれを言われるりせって…。
「むぅ…!」
「りせ、まずはレシピ通りやれよ。アレンジ加えるのはそれからだ。」
「そうだぞ、りせ。あと、アレンジ加えたら誰かに食ってもらえ。」
烈と陽介が、きっぱりと発言する。それがりせには面白くなかったようで…。
「もっ、文句言うなら男子も作ってよ! ジョーカー達も作ってないし! まぁ、仮に作ったとしても絶対私達より美味しいものはできないと思うけどね!」
「はぁっ!?」
りせの売り言葉を買ったのは、烈だった。
「テメェより上手く作れるっつーの!」
「じゃあやってみなさいよ!」
「ああ、やってやるよ!」
ヒートアップする烈とりせに、流石に嫌な予感を感じたのか、陽介と由梨が止めにかかる。
「おい烈、ちょっと落ち着けよ!」
「ムキになるのは分かるが、少し落ち着け。」
「落ち着けるかよ!」
どうやらもう止まらなさそうだ。それを見た陽介は諦めた。
「よーっし、じゃあ早速」
りせが携帯を取り出そうとした瞬間、由梨の携帯が鳴り出した。
相手は…昴。
「もしも」
『とりあえず烈とりせぶん殴っていいか?』
はい、りせから連絡が行く前に通じてました。誰からって? 勿論創造者から。
「(あー…こりゃまた連絡行ってたな。)うん、まずアタシにかけてきた理由はあえてスルーする。第三回戦が起こりかけてる。恐らく互いに一歩も引かないから、もう決定事項と見ていいかな。」
『マジでりせをぶん殴りたい。はぁ…。』
昴は電話越しに盛大な溜息をついている。二度も死にかけたから、嫌なのだろう。
『由梨。理乃と鈴花を今から神殿に…ってもう三人共来てるか。お前ら三人とジョーカーで料理を決めるから残ってろ。もし門限過ぎたら泊めてやる。』
「わかった。(…嫌そうだな。やっぱ。)」
『嫌に決まってんだろうが。じゃあ、後でな。』
それを最後に、昴の通話は切れた。
「由梨、昴さん、何だって?」
「早い話が、諦めた。理乃、鈴花、悪いけど残ってくれって。アタシと理乃とお前とジョーカーで決めるってさ。」
「あー…。わかった。お母さんにちょっと連絡するね!」
そう言って鈴花はパタパタと走り、リビングから出て行った。恐らく電話をするのだろう。
「烈、陽介。お前等は悪いんだけど寮にいる男子全員にこれを連絡。」
「ああ、構わないぜ。」
完全に乗り気な烈。りせの言葉で余程カチンと来たと見た。
「(あーあーもー…。ガキっぽい所出ちまったみたいだな。)頼んだ。陽介、乗り気じゃないの分かるけど、諦めろ。アタシ達もそうやって巻き込まれたし。」
「だよな…。うぅ、帰って完二に料理ちっと教わるか…。」
陽介はげんなりとした様子で先行く烈の後を追っていった。
「鏡と凪は我等が伝えるとして…リリィは烈から伝わるだろうから…氷海、セシルに今の件を伝えてくれ。鈴花には戻って来次第、ローズに伝えるよう頼んでおこう。…フランシス、すまないが風雅にはお前から言っておいてくれ。」
「あんまり気乗りしないのですが…分かりました。」
「フランシス、それはきっとみんな同じよ…。セシルにはちゃんと伝えておくわね。」
「頼んだ。さて、りせ。お前はもう帰れ。早く帰らないと昴殿が帰ってきて真っ先にお前を説教部屋に通すぞ。」
ジョーカーはてきぱきと残っていた氷海とフランシスに指示を出すと、りせに向き直り、こう言った。
説教部屋、と聞いた瞬間、りせの表情が青ざめた。
「流石にそれ勘弁! じゃあ、またね!」
「…りせちゃんったら…。じゃあ、あたしも帰るね。」
まるで逃げるように、りせは出て行った。その後を、千枝と葉月が追いかける。
三人も帰ったので、フランシスと氷海も帰り支度をして、帰っていった。
「…逃げるように帰るなら、提案しなきゃいいのに…。」
戻ってきた鈴花が、りせの出て行った玄関の方を見ながら、ポツリと呟いた…。
- 何でどうしてこうなった。(by昴) その三 ( No.46 )
- 日時: 2014/09/14 20:45
- 名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)
仕事から帰ってきた昴を交え、鈴花、由梨、理乃、ジョーカーの五人は出されたお茶を飲みながら、まるで重役会議のような雰囲気を醸し出していた。
議題は勿論、避けられなかった第三回・料理対決のお題。
「取り合えずりせは後でぶん殴る。」
「昴さん、気持ちは分かるけど落ち着こうよ…。」
完全に殺る気満々の昴に、鈴花は抑えるよう言う。
が、分身たる彼女が作った毒物をこの目で見ているので、気持ちは分かる。故に、それ以上の事は言わなかった。
「とにかく、決まってしまったものは仕方が無い。昴殿、腹を括って食べようではないか。」
「それに、男子は結構料理が得意な方が多いと思います。…死ぬようなものは出さないかと。」
理乃がそう言うと、全員考え込んだ。
「…家事スキル男子トップの完二、ジュネスのバイトで鉄板焼が美味いクマ。小さい頃からの英才(?)教育で家事はそこそこな烈。変な選択をしなければ美味いものが作れる悠。レシピを見れば大体作れる陽介。…あ、言われてみれば確かに。」
「我等も一通りの家事は出来る。レシピを見てもいいならば、失敗するような子達ではない。」
「…そう考えれば、当たりの率は高いな。不安要素は…やっぱり鏡と凪か。」
「正直風雅君も不安要素だけどね…。」
長い事一緒に暮らしている鏡と凪の料理の腕を見ている昴と、同じクラスであり、調理実習で何度も風雅と同じ班になって彼の料理の腕を見ている鈴花が少し表情を青ざめさせた。
だが、それ以外は当たりと見ていいだろう。多分。
「なら、男子はちょっと難しくしても平気じゃないか?」
「でも、あんまり難しくしすぎてもなぁ…。それに、出来れば私達と条件をそろえたいかな。簡単なアレンジっていうのの。そうすればさ、公平なジャッジが出来るんじゃないかな? 私達と男子でどれだけ料理の腕の差があるかっていうの。」
「成程な、確かに鈴花の言う通り、公平なジャッジをしてゲテモノ組を黙らせないとな。もう二度と料理対決なんて事が起こらないように。」
…随分根に持ってるな昴。まぁ、二度も死に掛けたし無理も無いだろうが押さえろ。
「またインスタントラーメンはありきたりだよな…。」
「流石に食い飽きるぞ…。」
「簡単なアレンジ…。うーん…。」
全員、頭をひねる。考えても考えても浮かばないのだ。
「…あ。」
ふと、そこで理乃はある言葉を思い出す。
—うん、うまいな、これ。肉料理、得意になったんじゃね? あー、飯で食べたいなこれ。
先程、千枝の料理を食べた陽介が放った言葉。それが切欠となり、理乃の中である料理が浮かんだ。
「丼物はいかがでしょうか?」
「丼物?」
その場にいる全員が、理乃に注目する。
「はい。ご飯への細工は無しにして、上に乗せる具のみで勝負させれば、私達と条件は同じになります。それに、丼物はバリエーションが豊富ですから、様々なアレンジが可能です。」
「丼か…。成程な。理乃、名案じゃないか。」
「うん! 凄いよ、理乃センパイ!」
「うん、確かにそりゃ名案だ。やっぱ頼りになるな、理乃。」
次々と褒め称える昴達に、理乃は少し照れながら、だけどいつものようににこやかに微笑みながら、
「ふふっ、花村さんと里中さんのお陰です。」
と答えた。
確かにこの案を出す切欠をくれたのは、千枝の料理と、それを食べた陽介の感想だ。
「では、丼物にするという事でかまわないか?」
纏めるように言うジョーカーの言葉に、全員頷いた。
- 何でどうしてこうなった。(by昴) その四 ( No.47 )
- 日時: 2014/09/14 20:52
- 名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)
翌日、日曜日。
全員を神殿に集めた昴は…。
「お題は丼物。混ぜご飯にする等のご飯への細工は禁止。汁だくはオッケー。異論は認めない。」
「俺らの意見を完全に無視する気かよ。」
反対意見を言わせないようにしつつ、お題の発表をした。これには烈もツッコむしか出来ない。
「食うメンバーは恒例の俺、パステルくん、にゃぐわ、ジョーカー。それからくじで決まった一人。それは変わらずだ。」
「ぱ、パステルくん、いいの…? 何だか勝手に決められているけど…。」
完全に強制決定のようになっているパステルくんに、氷海は心配になって声をかけた。
「え? 一応昨日聞かれたけど、オッケーしておいたの。だって昴さん一人に逝かせたくないもん。」
「にゃぐー!」
『死ぬ時はみな一緒だ。自分達は既に運命共同体だ。と言っている。(だからにゃぐわ、死ぬの確定なのか。)』
「まぁ、今回は死ぬ程の料理は出てこないと思うが…。」
死ぬ事を前提としている二匹に、ジョーカーは苦笑した。
「評価も以前までと同じで…あ、女子は初めてだったっけな。」
「まぁ、何となく予想は出来ますけど…。」
苦笑しながら直斗は答える。だが、一応初めての人達ばかりなので、改めて昴は説明をする為に紙を取り出した。
五、メニューに拘らず、遊び(アレンジ)を加えており、なおかつ美味しい。
四、メニューに依りすぎな所はあるが、程よく遊びを加えており、美味しい。
三、メニュー通りの品。遊びなどはないが、メニュー通りなので普通に美味しい。
二、メニューに沿ったのだろうが、ミスが目立ちすぎて美味しくない。が、まだ改善の余地がある不味さ。
一、救いのない不味さ。キッチンに立たせたら死ぬ。
「とまぁ、こんな感じの評価を、個人で出してもらう。あと感想な。美味いと思ったのは三以上の評価を頼む。」
昴はそう締めくくろうとしたが…。
「あれ? 零が無くない?」
七海のこの発言で、昴の表情が氷のように固まった。
「零はお前だけの特権だ馬鹿。」
「なっ、酷くない昴さん! 私そんなゲテモノ作ってないもん!」
「ついこの間やったインスタント麺対決はどこに葬り去られた?」
「それはそれこれはこれ! とにかく零を増やしてよ!」
「いーや、増やさない。どう考えたって零の料理が出るのはお前か牡丹だけだ!」
「私まで巻き込まないで下さいませ昴さん! それに私もそんな料理は作りませんわ!」
自分の名前が挙がってしまった牡丹も思わず反論。
「牡丹、お前の料理で死にかけた記憶があり、かつ今現在能力発動して今にもお前目掛けて放ちそうな鏡と風雅にそれ言えるか?」
「すみません言えません。」
それを聞くなり、鏡は左手の焔を消し、風雅は風を辺りに散らせた。…二人共、余程根に持っていたのね。
「んで? 七海は今現在左手に焔を宿してかつじりじりと迫って殴ろうとしている烈と、そんな烈を止めようともせずに加勢しようと剣を作り出している由梨と同じく能力を発動して今にも放ちそうな理乃に同じ事言えるか?」
「言える!」
七海がそう力説した瞬間、ガシッ、と彼女を掴む手が、三つ。
その手は七海をずるずると引っ張り、説教部屋へ…。
※暫くお待ちください…。
「とにかく、だ。女子の時と同じように、期間を一週間空ける。その間に何を作るか決めて、練習しておけ。」
「はーい。」
七海と、彼女を掴んだ手—理乃、由梨、烈—が戻ってきたのを見計らい、昴は説明を続ける。
え? 七海? 部屋の隅っこでぼろ雑巾状態で放置されてますけど。
「質問は…特にないかな。くじ引きは当日。それじゃ、解散。」
そんな感じで昴が締め括り、全員帰っていった。
「…。」
その場に残っていた鏡と凪が、浮かない顔をしており、昴は心配になった。
「…不安なのはよくわかってるよ。お前達の料理の腕も、知ってる。」
「うぅぅ…。知ってるならやめてほしかったー…。」
「烈の馬鹿…。もう口聞かない…!」
むぅ、と頬を膨らませて言う鏡に、昴は頭を撫でる。
「まぁまぁ、落ち着けよ。…確かにりせの売り言葉を買った烈が悪いが、きっと反省してるって。」
それに、と昴は微笑みながら続ける。
「俺はな、お前達がどのくらい成長したかも、楽しみなんだ。」
「えっ…?」
「流石に一年も経てば少しは上達してるだろ? …最初のあのゲテモノからどれだけ成長したか、見せてくれ。」
にこりと微笑む昴に、鏡と凪は互いに向き合い、キョトンとした表情を浮かべたあと、頷いた。
「うん、オレ、頑張る!」
「僕もー!」
やる気十分な二人に、昴はまた頭をポンポンと叩いた。
- 何でどうしてこうなった。(by昴) その五 ( No.48 )
- 日時: 2014/09/14 20:58
- 名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)
そして、一週間後…。
「さてと、お前ら、準備は大丈夫か?」
昴がそう訊ねると、全員健康保険証と胃薬を出した。
「外れは少ないと思いますが…。」
「一応、用意しないと不安だよね…。」
直斗と鈴花の表情が暗くなると同時に、全員浮かない表情に。
初めてであり、無理もないが…。
「男子の料理も、酷いのかな…?」
「あの蠢くラーメンのようなゲテモノ…再び映像に残したいです。」
「アイギス!」
前回と同じように遊び(とは名ばかりの救援)に来た風花が、わくわくしているアイギスを叱る。
全員、あの蠢くゲテモノは嫌なのだ。うん。
「さて、男子には既に籤を引かせてあるから、女子も引いちまえ。」
「んじゃ、女子恒例一斉引きでよくない?」
「恒例になっていたんですか…? まぁ、確かに恒例と言えばそうですが…。」
直斗が千枝にツッコミをするが無視され、昴が用意した箱に、全員手を突っ込む。
そして、
「みんな持った? せーのであげるよ。せーの!」
千枝の音頭で、全員籤を握りしめた手を上げた。
結果、
01.氷海
02.雪花
03.七海
04.由梨
05.鈴花
06.直斗
07.葉月
08.雪子
09.千枝
10.牡丹
11.理乃
12.りせ
となった。
「トリりせかよ…。」
「な、何!? 私がトリだとなんか不安なの!?」
「いや、不安はないが…ないが…。」
「何か言ってよ昴さん!」
目を死なせかけている昴に、りせは食って掛かった。
「不吉な番号だな…大丈夫か? これ…。」
「僕も凄く不安です…。」
「あたしも…。」
四番の由梨、六番の直斗、九番の千枝が凄く不安そうに呟く。
番号的に不吉なゆえに心配なのだ。
「まぁ、大丈夫だろ、多分。」
「あの馬鹿並みのゲテモノは来ないだろうしな…。」
昴が一同を励ますように言うと、由梨もなぜか納得を見せる。身内の料理よりも酷いものはでないだろうと踏んだのだ。
と、そんな時、キッチンからガチャン! と盛大な音が聞こえた。
「あー! うぅ、やっちゃった…。」
「あーあーもー…。何やってんだよ…。」
「これとこれと…あとこれかな。」
「おい、その食べ合わせはちょっとまずいんじゃ…。」
…嫌な予感しかしない声が聞こえます。キッチンから、嫌な予感がする声がします。
「…あれ? これ死ぬ…?」
「死ぬ…のかな?」
全員、それには黙る。
「…みんな。」
昴はスッ、と顔をあげ、笑顔を浮かべた。
「一緒に…逝くぞ。」
その言葉に全員、悟りを得たような表情で頷いた…。
続
- 何でどうしてこうなった。(by昴) 後書き ( No.49 )
- 日時: 2014/09/14 21:02
- 名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)
後書き de 雑談
私
—はい、始まりました。料理対決男子+ジョーカー一味編。
風花
「だ、大丈夫でしょうか…。」
由梨
「正直不安。でも大丈夫って信じるしかねぇだろ…。」
理乃
「あの馬鹿の料理並みなゲテモノが来ないといいけど…。」
昴
「…き、きっと来ないさ。多分、うん、多分。」
りせ
「不安だな…。」
全員
「…。」
昴
「…き、きっと大丈夫だ。きっと! 多分!」
私
—不安だわ…。じゃあ、この辺で失礼します。
全員
「また(な/ね)ー!」