二次創作小説(映像)※倉庫ログ

異次元に突入! その一 ( No.442 )
日時: 2015/01/13 14:54
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /zhdonb0)

パステルくんは一人、車のような機体で先へと進んでいた。

(あの五人組は、多分ワンダークロックの前だ…。)

急ぎ、ワンダークロックの前に向かい、五人組を倒さなければ。
パステルくんはその、使命感のようなものに燃えていた。

「他所見してる場合かなぁ?」
「ぼ、ぼにゅっ!」

それに気を取られ、背後から来たらくがきの馬のような物に激突し、パステルくんは落ちていく。
だが、地面の代わりになるようなものがあったのか、体をそれに強く打ち付けた。

「また来たの? 懲りないなぁ、ネズミさん。」
「ぼにゅっ!」

パステルくんと同じくらいのサイズで、ウサギのような長い耳を持ち、ハート模様があしらわれた黒ローブを着た存在が、嘲笑うかのようにパステルくんを見ていた。

「そんなボロボロな体じゃ、ジョーカー様はおろか、ボクにだって勝てない、よっ!」

黒ローブの者は手に持ったキューブ型の何かを取りだし、パステルくんに向かって投げつけた。

「!」

パステルくんは咄嗟に体を庇うように身を縮込ませ、目を閉じた。

「…?」

が、いつまで経っても来ると思われた衝撃が来ない。
恐る恐る目を開けたパステルくんが見た光景は、大量の蔦が自分を守るように生えている光景だった。

「ふーん、蔦の方が強度は上、か。烈君や風雅君みたいに燃えも切れもしない、と。」
「だ、誰だよお前!」

パチン、と扇子が閉じる音が聞こえる。

「つぎドカ!メンバーの植物使い、鈴花だよ♪」
「ぼにゅっ!?」

突然の鈴花の登場に、パステルくんは驚きを隠せなかった。
鈴花は、パステルくんを守る蔦を操ると、彼が脱出しやすい形にした。

「ぼにゅ…!」
「パステルくん、行って。こんな奴、私一人で十分だよっ!」
「ぼにゅっ!」
「大丈夫! こいつ、多分…烈君達より、弱いもん!」

鈴花のこの言葉に、流石にカチンと来たようだ。

「このローズ・ハート様を馬鹿にするの!? もう頭きた!」
「あらら、四の五の言ってる場合じゃないね。パステルくん!」

挑発に乗った黒ローブの者—ローズを見て、鈴花は機体にパステルくんを乗せ、そして…。

「飛ばすよっ! どりゃあぁっ!」
「ぼにゃあぁぁぁぁ…!」

投げた。思いっきり。躊躇いも無しに。
パステルくんは、よくわからない悲鳴をあげながら、星になる。
鈴花はそれを見届けながら、背後に植物を生やした。直後、爆発音が響くも、鈴花に傷ひとつなかった。

「…烈君の火力より弱いね、君の爆発。」
「悪いけど、これが本気とは思わないでよね。」

ローズと鈴花は向かい合い、身構えた。
そして、二人同時に大地を蹴った。

異次元に突入! その二 ( No.443 )
日時: 2015/01/13 14:58
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /zhdonb0)

「ぼにゃあぁぁぁぁっ!」

ドシャーン、と盛大な音を立て、パステルくんはようやく止まった。あ、いや、墜落した。

(いてて…。鈴花ったら、乱暴だなぁ…。でも、ローズは鈴花に任せよう。…早く、ワンダークロックを取り戻さなくちゃ…!)
「ローズを退けた…訳じゃないみたいだな。」
「!」

パステルくんは何かに気がつき、すぐに機体を起動させてその場から飛び退く。
直後、巨大な刃のような物がパステルくんのいた位置に突き刺さった。
パステルくんが刃の飛んできた方を見ると、そこにはローズと同じ身長で、熊のような耳を持ち、クラブがあしらわれた黒ローブを着た何者かがいた。

「まぁ、いいか。どの道お前はここで俺にやられるんだからな!」

ローブの者はパステルくん目掛け、巨大な刃を飛ばす。

「させないよ。」

だが、それがパステルくんに届く寸前、何かが巻き付き、勢いを殺した。
巻き付いていたのは、ヨーヨー。それを持っているのは、彼しかいない。

「…凪の作った強化ヨーヨー、中々いい強度みたいだね。」
「ぼにゅっ!?」

そう、風雅だった。風雅はパステルくんの頭を撫でてやると、そのままローブの者に向き直った。

「パステルくん、ここは僕に任せて。やらなきゃいけない事、あるんでしょ?」
「ぼにゅ…。」
「僕なら大丈夫。君だって、氷海の応援しに来た時、僕の強さ、見たでしょ?」

風雅はそう言うも、パステルくんの表情は浮かないまま。

(…確か、あのバトルの時は鈴花にヨーヨー壊されて、ぼろ泣きしてたような…。)
「パステルくん? どうかした?」

要らぬ事を思い出していたら、風雅に顔を覗き込まれたので、悟られぬように首を二、三度振る。

(正直、最近の風雅だと…あ、いや、昔から不安だけど…早く、ボスを何とかしなきゃいけないのは確かだよね。ここは風雅に任せよう!)

パステルくんは風雅を見て、頷く。風雅も頷きを返す。
そして、パステルくんは再び奥へと向かっていった。

「…一人で残る、か。このフランシス・クラブも舐められたものだな。」
「お喋りは後にしてよ。僕だって早く帰りたいし。」
「…無駄なお喋りは嫌いか。中々出来た」
「早く帰って新しいネクロニカとクトゥルフのシナリオ作りたいんだ。まだ、メガテンのシナリオも作れてないしそれに」
「前言撤回していいか?」

帰りたい理由を聞いて、出来た奴と思っていた自分が恥ずかしくなるローブの者—フランシスだった。

異次元に突入! その三 ( No.444 )
日時: 2015/01/13 15:03
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /zhdonb0)

ずんずん奥に進む内に、景色が変わる。

(宝石…? 前来た時、こんなのあったかな…?)

辺り一面、宝石のような物が輝いている。パステルくんはその内の一つに触れようとした。

「…かかった。」
(あっ、しまった!)

何かを思い出したパステルくんが手を引っ込めると同時に、宝石が爆発した。
パステルくんは爆発には巻き込まれなかったものの、爆風により吹き飛ばされてしまった。

「ぼにゅっ!」

すぐにパステルくんは体勢を立て直そうとするも、無数の宝石がパステルくんの目の前に輝いていた。

(ま、まずい!)
「…大丈夫。気絶ぐらいに、留めてあげる…。」

パチン、と指が鳴る音が響き、宝石が一斉に爆発した。
だが、爆風が止んだ場所には、別の人物がいた。

「…ローズとフランシスの、時に…予測は、ついてた…。ネズミさん以外の…侵入者…。」
「声、ちっせぇよ。もっとはっきり喋ったらどうだ?」
「ぼ、ぼにゅっ!?」

上から聞こえた声に、パステルくんは驚く。

「大丈夫か? パステルくん。」
「ぼにゅっ…!」

パステルくんを爆風から守るように、腕に抱いていたのは、精霊化した黒に乗った烈だった。
烈はパステルくんを一緒に庇っていた車の機体に彼を乗せる。

「あいつは俺達に任せて、先に行ってくれ。」
「ぼ、ぼにゅっ!」
『ふむ、リリィは手強いから気をつけてとな。』
「リリィって…あいつか?」

パステルくんの注意の後で、烈は上を見る。
そこには、猫耳と長い尻尾を持ち、ダイヤ型があしらわれた黒ローブを纏う、パステルくん達と同じくらいのサイズをした何者かがいた。

「…私は、リリィ・ダイヤ…。ジョーカー様に遣える…。」
「ジョーカー…それがお前らのボスって訳だな。」
「ジョーカー様の元には…いかせない…!」

ダイヤ型の黒ローブの者—リリィは、烈に向かって宝石を飛ばしてきた。

「んなもん当たるかっ!」

烈は黒に避けるように指示をし、リリィ目掛けて焔を飛ばした。

「…!」

焔がリリィに着弾する直前、リリィの前に宝石を展開させ、その身を防いだ。

「パステルくん、行けっ!」
『ここは我らに任せて貰おう!』

烈と黒は、攻撃の混乱に乗じ、パステルくんにそう言う。

(…一緒なのが紅じゃなくて黒だし、正直心配だけど、烈が一緒なら大丈夫だよね!)

パステルくんはひとつ頷くと、再び奥へと向かっていった。
リリィはパステルくん目掛けて宝石を飛ばすが、烈が焔を飛ばしてそれを防いだ。

「邪魔をっ…!」
「パステルくんには近付けさせねぇぜ! 黒!」
『おう!』

烈は黒に命じ、リリィに向かって突っ込んでいった。

異次元に突入! その四 ( No.445 )
日時: 2015/01/13 15:09
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /zhdonb0)

(鈴花、風雅、烈…。)

パステルくんは背後に残してきた仲間達を思い、後ろを振り替える。

(みんな…ボクを助けに来てくれた…。みんなの分まで、頑張らないと…!)

一人、先を急ぐパステルくん。

(何とか、間に合って…!)
「行かせませんわ!」
「!」

突如、猛スピードで突っ込んでくる何かを見つけたパステルくんは、素早く機体を操作して避ける。

「わたくしのスピードを避けるとは…。中々やりますわね、ネズミさん。」
「ぼにゅっ!」

姿を表したのは、パステルくん達と同じサイズの垂れた犬耳と尻尾を持ち、スペードがあしらわれた黒ローブを着た何者かだった。

「ですが、ジョーカー様の元には辿り着かせませんわ!」
「あら、なら、私達はそれを邪魔するだけね。」

突然、冷気が吹き荒れ、パステルくんの背後から尖った氷が黒ローブの者に飛んでいった。

「! くっ!」

黒ローブの者は素早く避け、パステルくんの後ろを見た。

「ネズミさん以外の侵入者…!」
「ぼ、ぼにゅっ!?」

カツカツと、ヒールの音が辺りに響き渡る。

「パステルくんは私の大事な家族。その家族を傷つけられて、黙ってはいられないわ。」

パステルくんの後ろから現れたのは、氷海だった。先程の氷も、彼女が飛ばしたのだろう。

「家族…ですか。」

クスクスと笑う黒ローブの者。氷海はそれに怪訝そうな顔をした。

「何がおかしいの?」
「いいえ。…わたくしと貴女は、どこか似ていると思って。貴女がそのネズミさんを家族と思っているように、このセシル・スペードも、ジョーカー様を父親のように思っておりますの。」

黒ローブの者—セシルは、氷海を見て、構える。

「だから、ここから先は、行かせません!」
「…。」

セシルの言葉に、氷海も笑みを見せ、能力を発動させる。

「私も、パステルくんを先に進めさせる為に、戦うわ! つぎドカ!バトル二位の実力、舐めないで頂戴!」

二人は大地を蹴り、互いの力をぶつけ始めた。

(氷海…! 気をつけて!)

パステルくんはその隙に、車の機体を作動させ、奥へと向かっていく。

異次元に突入! その五 ( No.446 )
日時: 2015/01/13 15:34
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /zhdonb0)

ずんずん奥に進むパステルくん。その前方に、巨大な時計が見えた。

(着いた…! よかった! まだ壊れてない!)

恐らく、あの時計が、ワンダークロックなのだろう。パステルくんはそれが壊れていない事に安堵の息を漏らす。

「…あれほど我にボロボロにされたと言うのに、また来たのか、小鼠よ。」
「! ぼにゅっ!」

ワンダークロックの中心部が渦を巻きながら歪み、奥から何かが出てきて、パステルくんは身構える。
セシル達同様、小さなサイズで、悪魔のような角、光輝く悪魔のような翼、星とMの字があしらわれた黒いローブを纏う者。恐らく、リリィやセシルが言っていた、この事件の犯人、ジョーカーだろう。

「だが、我はこれを破壊するのに忙しいのだ。またやられたくなければ、早々に去れ。」
「ぼにゅっ!」

パステルくんはスパナと、ネジが象られた盾を機体から取りだし、ジョーカーと対峙する。

「…これを壊させぬと? その為に、我と再び対峙すると? 愚かな…。」
「ぼにゅっ! ぼにゅぼにゅっ!」
「意地でもこの時計を壊させぬか。」

ジョーカーは溜息をつき、パステルくんを見る。

「…これは、あってはならぬ物なのだ。この時空に絶望をもたらす為にはな!」
「ぼにゅぼにゅっ!」
「そんな事は誰も望まぬ、か。」

クックッと笑うジョーカー。そんなジョーカーに、パステルくんは氷の粒を作り出し、放った。
だが、ジョーカーは難なく避ける。

「貴様の力はその程度か?」
「ぼ、ぼにゅっ!」

パステルくんは何度も何度も、氷の粒を放った。だが、ジョーカーはすいすいと避けていく。

「フンッ、我が力を見せるまでもない。」
「ぼ、ぼにゅ…!」
「貴様は、ここで眠っていろ!」

ジョーカーはパステルくんを掴み、ワンダークロック目掛けて投げつけた。

「ぼにゅっ! ぼ…にゅ…!」

パステルくんの体はずるずると落ち、ワンダークロックの真下に落ちた。

「…。」

ジョーカーは自らが出てきた穴から再びワンダークロックの中に戻っていった。











「で、こっから各々バトルか。」
「そう言うこったな。」

ここまで振り返り終えたと同時に、全員そっぽを向いた。

「…鈴花、あの時は本当にゴメンね…。」
「私も…ゴメン…。」
「だぁーっ、何か暗くなってんぞお前等!」

無理もないだろう。今はこうして仲良くしているのだが、以前まではこうして敵同士だったのだから。

「昔はそうだったかもしれないけど、今は仲がいいんだからいいじゃねぇかよ。そう思っとけ。」

無理矢理話を区切りながら、昴は次のページをめくった。








ここでいったん区切ります。感想あればどうぞ。