二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 激突! 風雅VSフランシス その一 ( No.456 )
- 日時: 2015/01/14 22:49
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 3JMHQnkb)
フランシスは巧みに刃を操り、風雅へと飛ばしていく。
(…次は、右か。)
が、風雅も負けじと風の流れを読み、フランシスの刃を避けていく。
風雅の読み通り、刃は風雅の右側から彼目掛けて飛んできたので、慌てずに左へと避ける。
「フン…。」
(なっ…!)
だが、その先には、別の刃があった。
「くっ!」
風雅は素早く避けるも、先程右側から来た刃に腕を掠めてしまった。
「この攻撃で掠っただけとは、中々やるな。」
「どうも。(こいつ、中々侮れないな…。小さいのに、強い…!)」
ポケットからヨーヨーを取りだし、身構える風雅。
(本気でいかなきゃ…殺られる…!)
(どうやら本気になったようだな。俺も注意しておくか。)
互いに身構え、相手の出方を伺う。
その所為か、互いに動こうとはしない。
「来ないのか? ならばこちらから行くぞ!」
フランシスは風雅目掛けて四枚の刃を時間差で飛ばす。
(…大丈夫。落ち着いて。こう言う時は、焦ったら負け…。)
風雅は目を閉じ、風を周りに漂わせた。
(全て、地面に落ちるコースを辿ってる…。なら、上に逃げるしかない!)
そして大地を蹴り、上空に浮き上がった。
- 激突! 風雅VSフランシス その二 ( No.457 )
- 日時: 2015/01/14 22:54
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 3JMHQnkb)
「なっ…!?」
流石にこれはフランシスも驚いたようで、口を開けて風雅を見ていた。
「…驚いた? どうせ、人間が空を飛べる訳ないって思ってたんでしょ。」
「ああ、まぁ、な。」
「僕は生まれつき、風を操る能力があってね。空くらい、簡単に飛べるよ。勿論、こんな事だって、ねっ!」
風雅は風を一纏めにし、フランシス目掛けて飛ばした。
風は見事にフランシスを閉じ込め、更に風圧で中々出られない。
「ぐっ…!」
「やっ!」
脱出に手間取っている隙に、風雅は素早く接近し、その長い足でフランシスの体を蹴り飛ばした。
「がっ!」
フランシスは思ったよりも遠くに飛ばされたが、すぐに体勢を立て直し、四枚の刃を側に召喚させた。
「…フフ…。出来た奴だと思っていたら、妙な事を抜かす変な奴で…かと思えば、油断も隙も見せぬ出来た奴で…。お前は中々面白いな。」
「これでも、僕と同じ能力者の中では、弱い方だけどね。先に行った二人の方が強いし。」
「…お前を打ち負かす奴等か。興味はあるが…今はお前をここで倒さねばな!」
そう言った後、フランシスは素早く刃を振るう。
「ジョーカー様の元へは行かせん!」
刃は風雅を切り裂き、地面に落とす…かと思ったが、刃は風雅に届く寸前、速度を失った。
「刃に風を当て、勢いを殺したか。」
「こういう使い方もあるんだよ。」
「フン、ますます面白い。」
不適に微笑むフランシス。
(あれは…何を考えているんだ?)
風雅は油断なく身構え、迎撃に備えた。
- 激突! 風雅VSフランシス その三 ( No.458 )
- 日時: 2015/01/14 22:59
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 3JMHQnkb)
フランシスは四枚の刃を十字型に繋ぎ合わせ、回転させた。
(あれは…まずい!)
何かに気がついた風雅は、風から避けるよう動くも、その頬から一筋の赤い滴が垂れたのを見て、もうこの場から逃げられない事を悟った。
「お前が風を使えるように、俺も似たようなものを使えるのさ。」
「刃をプロペラにして、風圧で僕の風を封じると同時に、魔力の鎌鼬を飛ばしているんだね…。僕の方こそ、君を舐めてかかって悪かったって思うよ。」
「よく見破ったな。だが、遅かったな!」
フランシスは風雅に向けて風を送り続け、折を見て鎌鼬を飛ばす。
風雅の制服は見る見る内に切り刻まれ、傷ついていった。
(このままじゃやられるだけ…! 早く何とかしないと…!)
何とかこの状況を打破しようと考えをめぐらせる風雅。
そんな時、ふと、凪の姿が思い浮かんだ。
(…凪もあの時、こんな痛い思いしてきたんだよね…。それでも、機転を利かせて、みんなを助けて、また帰って来てくれた。無事に。)
凪の事を考えると、少しだけ、気持ちが楽になった。
(僕の記憶と力を元に生み出された凪ができて、僕にできない事は無い筈だ。…大丈夫。さぁ、やろう、風雅。早くこいつを退けて、この先にいる、パステルくんを助けないと!)
風雅は意を決し、まっすぐ突っ込んで行った。
「何をするつもりだ!?」
「決まってる…!」
そして刃に向けてヨーヨーを投げる。その糸は刃に絡みつくように巻き付き、刃の回転を止めた。
「くっ…!」
フランシスは刃を分解させ、すり抜けさせるように器用に取り出し、再び風雅目掛けて飛ばそうとした。
が、その時には既に、風雅は目の前にいた。その長い足をフランシス目掛けて振り下ろしながら。
「なっ!?」
「これで、終わりっ!」
「ぐあぁっ!」
風雅の踵落しが見事に決まり、フランシスは地面へと真っ逆さまに落ちていった。
だが、フランシスも黙ってはいない。最後の力を振り絞るかのように、上空に待機させておいた刃を風雅目掛けて時間差で飛ばし始める。
(一つは右、二つは左…。くっ! 一つ避けられない!)
一つ、二つ、三つ目までは難なく避ける事は出来た。だが、残り一つがどうしても直撃してしまうコースを辿っていた。
風雅は思わず手に持っていたヨーヨーを前に突き出した。
「あっ…!」
刃は丁度、寸分違わずヨーヨーに当たる。その衝撃で、ヨーヨーは粉々に砕け散ってしまった。
- 激突! 風雅VSフランシス その四 ( No.459 )
- 日時: 2015/01/14 23:04
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 3JMHQnkb)
「…今の、攻撃を…凌いだ、か…。」
フランシスは何とか起き上がろうとするも、地面へとぶつかった衝撃が大きかったのか、力が入らないようで、すぐに崩れ落ちてしまった。
「…やはり…お前は…出来た奴、だ…。」
その言葉を最後に、フランシスは何も語らなくなった。
風雅が側に寄って見てみると、僅かにローブが上下していた。どうやら気を失っただけのようだ。
「…敵ながら天晴れ、って、こう言う時に言うんだろうね…。」
そう呟いて、風雅はフランシスの体を持ち上げた。その時、ローブから何かが零れ落ちた。
「これは…?」
零れ落ちた物を拾い上げ、よく見てみると、それはクラブが描かれた緑色の玉だというのがわかった。
(フランシスが持っていた物なのかな。だとすると、これが、パステルくんの言っていたワンダークロックの針…?)
ワンダークロックの針は、リーダー以外の四体が奪っていったと、パステルくんが言っていた事を思い出した風雅は、首を傾げながら玉を見つめていた。
(針っぽく見えないけど…針の装飾品とか?)
そんな事を考えながら玉を見つめていると、突然、眩く輝きだした。
「うわっ!」
あまりにも眩い光に、風雅は思わず目を覆った。
その途端、自分の手が軽くなる。玉が勝手に離れていったという考えに至るまで、時間はかからなかった。
「あっ、待って!」
風雅は追いかけようとするも、既に玉はどこかへと消え去っていた。
「あの玉、どこに…?」
「風雅くーん!」
玉の行方を捜していると、後ろから誰かの声がした。振り向いてみると、そこにはあちこち軽い火傷を負った鈴花がいた。
「鈴花、無事だったんだね。」
「そっちこそ! …でも、大分制服がボロボロになっちゃったね。」
「君も、火傷しているじゃないか。制服も少し焦げ付いてるし。」
「あはは、これくらいなら風雅君の家で洗ってもらうよ。」
「ご贔屓にどうも。」
仲間の無事に安堵していたのか、互いにそんな会話をする余裕が生まれていたようだ。
ふと、風雅は鈴花の後方に目を移すと、そこには粉々に砕け散ったヨーヨーが映った。
「…。」
目の前には鈴花。かつて、あのバトルの時、自分の大切なヨーヨーを壊した相手…。
「…う…。」
「ど、どうしたの? 風雅君…。」
風雅はフランシスを投げ捨て、鈴花を突き飛ばし、ヨーヨーの前でがっくりと膝を折った。
「ヨー之助えぇぇぇぇぇっ!!」
そして、泣き始めた。この場に鈴花がいるにもかかわらず、彼女を無視して泣き続けた。
どうやら凪の作ったヨーヨーにも名前をつけていたようだ。というか、卓ゲーにはまってもヨーヨー愛は変わらなかったらしい。
(…男って、何でこんなに女々しい部分があるのかな…。)
鈴花は頭を押さえながら溜息を吐いた。
(…あーっ、もうっ! めんどくさいなぁっ!)
そうは言いながらも、鈴花は投げ捨てられたフランシスを自らの力で生やした蔦の上に寝かせ、風雅を宥めていた…。
- 激突! 風雅VSフランシス その五 ( No.460 )
- 日時: 2015/01/14 23:18
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 3JMHQnkb)
ワンダークロック前…。
(ローズに続いて、フランシスもやられたか…。)
ジョーカーは視線の先にあるクラブの玉が填められた事により動き出した針を見て、一つ溜息を零した。
(たかが人間と思っていたが、中々骨のある連中のようだ。)
そして、未だに気を失っているパステルくんを見た。
(…今回ばかりは、我も気を引き締めなければならぬようだな。)
ローブの下で不敵な笑みを浮かべ、パステルくんを見続けるジョーカー。
だが、暫くすると再びクラブの玉に視線を戻していた。
(…フランシス。よく、頑張ったな…。ローズも、ご苦労だった…。)
そのローブに隠された瞳は、どこか暖かかったのは、気のせいだろうか…。
■
「今思えば、何故俺はこいつに負けたのだろうか。こんな不運なトラブルクッキングの達人に。」
「酷くないフランシス!」
思い返しても、確かに風雅が一枚上手だったろうが、この不運の塊に不運が訪れなかった事が最大の敗因だとしか思えないフランシスだった。
「しかし、俺が寝ている間にこんな女々しい面を見せていたのか。というか俺を投げ捨てるな卓ゲー馬鹿。」
「だ、だって、あの時はヨー之助のショックが大きくて…。しかも丁度鈴花も来たし…。」
「だからと言ってフランシスを投げるのは駄目だと思うよ、風雅君…。」
理由はどうであれ、人を投げるのはいけない。いや、フランシス熊だけど。
「それにしても…風雅君も凪君の事を過らせたんだね。」
「あ、うん…。でも、凪の事を考えたら、何か気が楽になったって言うか…安心した…のかな。何だか、凪が力を貸してくれているような気がして、側にいるような気がして、何か…安心して…元気が出た。同時に、負けられないって思ったんだ。絶対、帰るんだって。」
「…もしかしたら、俺の負けた原因はそこかもな。」
「えっ?」
何かを納得したようなフランシスの物言いに、風雅は首を傾げた。
「凪の事を考え、必ず帰ると心に決めた。覚悟を決めた。俺達も必ずお前達を倒し、ワンダークロックを破壊して、元の住処に帰るつもりだったが、生きたい、帰りたいというその思いはお前の方が上手だったのかもしれない、そう思ってな。」
「…そう、かも。僕達があの事件で…フランシスが来る前に起こった事件で抱いた気持ちを、凪達には味わわせたくない。そう考えて…絶対に帰るんだ、そう思ったのかも。」
「その思いが、お前を奮い立たせたのかもな。まぁ、今となってはわからないがな。」
フランシスはそう言いながら、次のページをめくった。
■
私—いったん区切ります。感想あればどうぞ!
昴「次回は愛故に長くなります。愛故に。」