二次創作小説(映像)※倉庫ログ

実食 七海&由梨編 前書き ( No.56 )
日時: 2014/09/19 23:07
名前: 奏月 昴 (ID: a0p/ia.h)

採点方法
五段階評価を下す。内訳は以下の通り。


五、 メニューに拘らず、遊び(アレンジ)を加えており、なおかつ美味しい。

四、 メニューに依りすぎな所はあるが、程よく遊びを加えており、美味しい。

三、 メニュー通りの品。遊びなどはないが、メニュー通りなので普通に美味しい。

二、 メニューに沿ったのだろうが、ミスが目立ちすぎて美味しくない。が、まだ改善の余地がある不味さ。

一、 救いのない不味さ。キッチンに立たせたら死ぬ。


お題:『丼』
アレンジは具材のみ。
ご飯へのアレンジは基本的になし。汁だくはOK。


七海
「次は私達だよー!」

由梨
「お前の馬鹿舌で評価できるのかよ…。」

七海
「何か言った破壊魔。」
※ナックル準備

由梨
「破壊魔はテメェだろこの馬鹿女。」
※大剣準備


「こんなとこで喧嘩すんなよお前ら!」

実食 七海 ( No.57 )
日時: 2014/09/19 23:14
名前: 奏月 昴 (ID: a0p/ia.h)



胃薬と理音からの物資のお陰でようやく落ち着いた昴達は、次の審査員を呼んだ。

「やっほー! 来たよ!」
「おし、こいつの評価は無視決定。」

顔を覗かせた七海を無視しつつ、昴は審査員全員にいい放った。

「何でよ!」
「お前の舌は馬鹿だからだ。そんな舌で公平な判断ができるとは思えない。」
「馬鹿じゃないもん! 審査できるもん!」
「どうだか…。取ってくる。」

昴は微妙な顔をしてエレベーター前に向かった。

「むー。昴さんの馬鹿ー。馬鹿舌じゃないもーん。」
『馬鹿舌でないならばあのゲテモノを作れる理由を教えてもらいたいし、由梨から聞いたが、昔お前が作ったエビチリで吐き戻したと聞いた。それについても教えてもらいたいのだが。』

ふくれ面を浮かべる七海に、紅がそう訊ねた。
心なしか怒っている気がします。

「ゲテモノじゃないもん! ただ少し不味くて動いちゃっただけじゃん!」
『十時間もの大手術をさせた代物がちょっと不味いで済むかたわけ者! 貴様のせいでここにいる審査員全員が死にかけたんだぞ!』
「生きてるからよし!」
「んな訳あるかーっ!」
「ぎゃーっす!」

パステルくんの氷魔法とジョーカーの力、そして紅の発火と戻ってきた昴の【ガルダイン】が七海に炸裂した。

「チッ、たく…。」
「昴殿、こいつは放っておいてもすぐ回復するだろう。」
「審査始めちゃおうよ。」
「にゃぐー!」
『にゃぐわも賛成のようだ。神、さっさと始めよう。』
『お前達何気に酷いな。』

プスプスと煙をあげて倒れながらも無視されている七海を見て、何だかシンパシーを感じたのか、黒がポツリと呟いた。

「さて、と。んじゃさっそくオープンといくか。」
「開ければいいの? それっ!」
「回復早いし勝手に開けんな馬鹿!」

昴は握り拳をワナワナと震わせながら、いつの間にか回復して勝手に蓋を開けた七海に怒鳴り付けた。
中には、海老、舞茸、大葉、穴子…様々な天ぷらが盛り付けられ、更に茶色いタレがかかる美味しそうな天丼があった。

「にゃぐー。」
『ああ、これは天丼だな。にゃぐわ、また涎。』

一番手の時と同じように涎を垂らしたにゃぐわを、黒がタオルで拭いてやる。
見た目も申し分なく、とても美味しそうだ。

「…。」

だが、その筈なのに、昴の様子がおかしい。ある一点を見つめて、固まっている。

「…? どしたの? 昴さん。」
「…昴殿、どうし…あぁ、あれか。」

ジョーカーは昴の視線の先にあったものを見て、納得する。
そこにあったのは、南瓜の天ぷら。

「…昴さん、南瓜苦手なの?」
「…昔、ちょっとあってな。それ以来苦手で…。」
「ふーん…。」
「でも、素揚げとか天ぷらなら食えなくもないけどな…。」

昴はアワーグラスβのスイッチを押し、時間を動かした。
タレの芳しい香りがふわりと香る。美味しそうだ。

「にゃぐー…。」
『にゃぐわ、また涎。』

三度、黒はにゃぐわの涎を拭いてあげる。だが、にゃぐわの涎も無理は無い。この場でいい香りをかいでいる黒はそう思う。

「これは当たりだと思っていいかな。いただきまーす。」
「いっただっきまーす!」

全員、箸をつけて食べ始める。

「おいしーい!」
「うむ。天ぷらの衣もさっくりしていて美味い。」
「にゃぐー!」
『タレも美味しいといっている。ご飯と絡んでなお美味いそうだ。』
「…美味しそうであります。」

機械ゆえに物を食べられないアイギスだが、にゃぐわ達が美味しそうに食べているので、ちょっとだけうらやましくなったようだ。

「あれ? アイギスさんは美味しいってわかるの?」
「『美味しい』という定義はわかりますが、実際に味わった事はありません。ですが、皆さんが楽しそうに食べているので、きっと美味しいのだろう、そう、思いました。風花さんや美鶴さんも、美味しいものを前にしたら楽しそうに食べていましたので。」
「そうなんだー。アイギスさんもいつか食べられるようになるといいね!」
「はい。機械の体ゆえに難しいかもしれませんが、いつか皆さんと一緒に『美味しい』料理を食べたいです。」

そんなアイギスに疑問を感じたパステルくんが話しかけ、アイギスは自分の考えを話す。
これにはパステルくんも納得を見せた。

「…。」

だが、その中でも、昴は沈黙していた。
箸で南瓜を掴みながら。

「…昴さん?」
「…誰だこれ作ったの。」
「え? 何かあった?」

昴は嫌そうな表情をして南瓜を食べるように言った。

「みりんで一回煮たのかな? 程よい味付けで美味しいね!」
「…そうか、それが原因か。」
「えっ?」
『神はその南瓜の甘く煮付けたのが苦手なのだ。』

素の南瓜のままならまだ食べられただろうが、甘く煮付けられた南瓜は昴の大の苦手なもの。
昴が嫌そうな表情をしている理由、それが分かった一同は、うんうんと頷いた。

「…総評は俺の意見を無視していい。パステルくん、ジョーカー、にゃぐわが決めてくれ。」
「苦手なものが出てきたんだもん、しょうがないよね…。」
「ちょっと! 私もいるんだけど!」

またも無視された七海はぶーぶーと文句をたれる。

「じゃあ聞くけど、それに味を感じるか?」
「全然。」
「じゃあ駄目だ。」

その確認をすると、昴達は評価用紙に向き直った。











総評:四


昴:個人評価…三
天ぷらもさっくりしてて美味しかった。タレも絶品。家で食うにはちょっともったいないかなって感じ。しかし、だ。しかし…悪いって言うのはわかってるんだ。だが、南瓜は勘弁して。しかも甘く煮付けないで。せめて素のまま揚げてほしかった…。

パステルくん:個人評価…四
タレも美味しいしお野菜や海老もいい感じに揚がってた! 凄く美味しかったよ!
ただ、やっぱり審査員の好みは把握しておいた方がいいかも…。

にゃぐわ:個人評価…四
タレがいい感じにご飯に絡んで美味しかったニャ! もう一杯食べたいニャ! もっと別の天ぷらでも食べてみたいニャ!

ジョーカー:個人評価…四
うむ、安心して食べられる味だった。欲を言えばもっと消化を助けるものがほしかったかな。
あ、七海の評価は無視していい。味がしないとほざいたからな。

七海:個人評価…一
味がしないんだけど…。ていうか無視していいって酷くない!?


実食 由梨 ( No.58 )
日時: 2014/09/19 23:24
名前: 奏月 昴 (ID: a0p/ia.h)



「ちーっす。」

次にやって来たのは、由梨だった。

「よっ、由梨。次はお前だったか。」
「ああ。そういや、あの馬鹿が不満そうな顔して出てったが。」
「あの馬鹿舌には感じない程の味付けだった」
「はい了解。理由がはっきりわかった。」

昴の台詞を遮り、いつも通りだ。とでも言いたげに頷く由梨。
伊達に一年一緒にいないか。

「あの馬鹿は忘れて、次の審査に行こうぜ。」
「だな。取ってくる。」

昴は由梨との会話を打ち切るとすぐにエレベーター前に向かった。

「ふぅ…。」
「由梨さん、元気がありません。溜息の回数、増えていきます。」
「…何カウントしてんだよ。誰の料理が来るか分からないから不安なんだよ…。順番的にも不吉な番号だし…。話を聞くと、悠が前々回にこの番号で犠牲になったんだろ?」
『うむ、確かそうだ。だが前回はリリィがこの番号だったが、直斗の料理で助かっている。今回も助かると思っておこう。』
「…不安だが…まぁ、いい。そう思う事にするさ。」

紅の励ましに、由梨は溜息をつきつつも、調子を取り戻す事にした。
そんな折、昴が戻ってくる。

「さて、由梨。胃薬の用意は?」
「ああ、出来てる。」

由梨はポケットから胃薬を取り出す。準備は万端だ。

「よし、じゃあ開けるぞ。それ!」

昴は勢いよく蓋を開け、中を見る。
…中にあったのは、親子丼だろうか、お肉と卵が盛り付けられている。だが…。

「あー…。」

卵が、茶色かった。恐らく醤油の入れすぎだろう。

「うん、単純な失敗系だろう。」
「うん、だな…。うーむ、これはハズレと捉えるか、まだマシな方の当たりと捉えるか…。」

微妙な表情の全員。目の前にある失敗作をハズレと捉えるか当たりと捉えるかで悩んでいるようだ。

「とにかく、食おうぜ。うん、七海のゲテモノよりマシだと思えば食える。」
「同感。」

おいいいのかそれで。比べる対象が総評零でいいのか? って、何て言っても聞こえないわね。
とにかく、昴はアワーグラスβを使って時間を動かした。
醤油の強い匂いが、辺りに漂った。

「うん、ちょっと醤油が強いな…。」
「だな…。いただきます。」

全員、箸を持って口につけた。

「しょっぱい…。」
「完全に醤油の入れすぎだな…。卵もその影響で茶色いし…。」
「肉もちょっと生焼けだね。うーん…救いが無い訳じゃないけど、ここまで酷いと評価三はあげられないかな…。」
「にゃぐー…。」
『完食出来ない訳ではないが、流石に塩分取りすぎとなるので遠慮したいそうだ。』

微妙な表情で、全員評価用紙に向かった…。











総評:二


昴:個人評価…二
肉がミディアムレアの状態だし、割下が塩辛い。その影響で卵の色が濃く変わって正直美味しいとは思えないけど、完食は出来る。
レシピ見たけど手を滑らせて一気に突っ込んだか?

パステルくん:個人評価…二
お肉に火を通せなかったのはちょっとまずかったかな? 食中毒とかそう言った危険があるから気を付けようね。
あと、やっぱり塩辛かったなぁ…。

にゃぐわ:個人評価…二
見た目、茶色でイマイチだニャ。せめて緑は加えられたかと思うニャ。
うーん、もう少し頑張ってほしいから、評価は二だニャ。でも、きっと三にすぐ上がれるニャ。頑張るニャ。

ジョーカー:個人評価…二
色合いがイマイチなのや味も含め、正直美味いとは言えない。
が、にゃぐわと同じ意見だ。お前ならゲテモノは出さないだろうし、レシピもきちんと見るだろうから、期待を込めて二だ。

由梨:個人評価…二
和食とか菓子って結構繊細だから、ちょっと入れすぎるだけで変わるんだよな。今回は完全に入れすぎ。肉にも火が通ってないから正直食うには危ないかもしれない。
しかし、あの馬鹿よりは数百倍マシだ。


実食 七海&由梨編 後書き ( No.59 )
日時: 2014/09/19 23:27
名前: 奏月 昴 (ID: WpxyeKoh)


後書き de 雑談



—ちなみに、カボチャ嫌いになったきっかけは父方の祖母が多分砂糖とみりんで作ったカボチャを食べさせてもらい、その時に一気に頬張ってあまりの甘さに吐き戻しかけたのがきっかけ。


「昔は食えてたんだけどな。今はなんとか…醤油で味付けしたり、素揚げや天ぷらなら食える程度に戻った。だがカボチャコロッケとかポタージュとかプリンとか、原型なくして潰れてるとダメなんだ…。」

りせ
「お姉ちゃんも嫌いなものがあったんだね。意外。」


—辛いものは今まで何回か言ったけどね。あとはセロリ。それからウニとカニ。セロリは臭いがダメで、ウニとカニはギャップのせい。塩っぽい味だと思ったら甘いんだもん…。

由梨
「想像の味と実際の味のギャップで苦手になったのか…。」


「まぁ、ウニは生臭いからってのもあるがな。さてと、今回も割と無難に終わったな。」

理乃
「由梨のものが評価低かったのですが…まぁ、許容範囲ですよね。」


—評価二だからね。まだ救いある二なら、多少不味くても大丈夫じゃない?

風花
「あ、あの刈り取る者の気配がする荒ぶるクトゥルフよりは…。うぅ、思い出したら怖くなってきた…。」


「やめろ風花思い出させるな。そんな記憶忘却の彼方に飛ばせ。」

風花
「わ、わかりました…。」


「さて、と。そろそろ締めるか?」


—そーね。それじゃ、また!





感想OK!