二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 新・ワイルド能力者のコミュ事情:烈&氷海編 ランク1 ( No.644 )
- 日時: 2015/02/03 22:48
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UIcegVGm)
霞む視界。
私はこの感覚を、知っている。
「う…。」
ゆっくりと、意識を覚醒させると、そこには…。
「ようこそ、ベルベットルームへ。」
青一色のリムジンの室内で優雅に座る女性が一人…いた。
「貴方とは初めまして、かしら。」
「恐らく、私達は一度、会っていると思われますが…正直、覚えていません。」
「そうね。では、初めまして、のつもりでいくわね。…私はマーガレット。このベルベットルームの住人で…貴女のよく知る、エリザベスの姉よ。」
「私は対シャドウ特別制圧兵装七式、アイギスであります。」
私はきちんと女性—マーガレットさんに名乗り返す。
思えば、ベルベットルームに来るのも久しぶりな気がします。あの繰り返される三月三十一日以来…でしょうか。
「時間もないから手早く話すわね。お客様は、これから新しい場所で新しい生活をする事になるそうね。」
「はい。美鶴さんのいるシャドウワーカーを離れ、風花さんと一緒に。」
そう、私は今日から、花村さん達のいるあの場所に向かう事になった。美鶴さんからの依頼で、そこに移り住み、花村さん達の力になってほしいと願い渡されたのだ。
「そこで、貴方は…今まで以上の試練と共に…新たな絆を得る事になるでしょう。」
「試練と、絆…。」
試練は…もしかしたら、氷海さんの一件の事でしょうか。風花さんや美鶴さんに伺った、あの…去年の五月頃の話。それがまだ、終わらないと言う話でしょうか。
そして、絆は…やはり、あの場所に住む昴さん達とでしょう。機械の私が、絆を深められるか心配ですが…。
「それから、これを。」
マーガレットさんは私に、カードの束を渡しました。裏面は、あの仮面のような絵ですが…。
「まっさらであります。」
表は…真っ白でした。まっさらなカードを私に渡す意図がわかりません。
「その内、貴方の役に立つ時が来る。この場所にあるという事は、何の意味もない事はないのだから。」
このベルベットルームでは、無意味な事は起こらない。そう、鳴上さんから聞いた事がある気がしました。
ならばこの白紙のカードにも、いつか意味ができるのでしょうか。
「…。」
いつか意味が来るのならば、私はこれを持っているべきでしょう。
「あ…。」
話は終わりだ、とでも言うかのように、私の視界が再び歪みだす。
「どうやら、お目覚めの時間のようね。では、また…合間見える時まで、ごきげんよう…。」
マーガレットさんの声を遠くに聞きながら、私の意識は薄れていきました…。
- 新・ワイルド能力者のコミュ事情:烈&氷海編 ランク1 ( No.645 )
- 日時: 2015/02/15 00:48
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0bGerSqz)
誰かが、キーボードを叩く音が聞こえる。
私はゆっくりと、まずはシステムチェックをする。
…オールグリーン。良好であります。
「あ、アイギス、おはよう。」
アイセンサーを稼働させ、声のした方を見る。そこには、私のメンテナンスをしていたらしい、風花さんがいた。
「調子はどうかな? 一応、こっちでも見てみたけど…。」
「はい、システムオールグリーン。良好であります。」
「よかった。」
そう言って風花さんは、私にあるものを手渡してきました。
「はい、アイギス。」
「…。」
それは…また着るとは思ってなかった、月光館学園の制服。
そう、私はまた、高等部二年生として、風花さんは大学部の二年生として…この、BEMANI学園に通う事になった。
高校二年生の理由は、美鶴さん曰く、この学年ならば花村さん達と連携をとりやすいからだそうな。それに、私は所謂ロボットなので、見た目的にも大丈夫であります!
「それにしても、またその制服を着たアイギスを見るとは思わなかったよ。」
「私も、着る事はないと思っていました。何だかちょっとむず痒いです。」
「あはは…。」
風花さんに苦笑されました。気持ちは…分からないでもないであります。
「さて、そろそろ行こうか、アイギス。早くしないと遅れちゃうよ?」
「そうですね、行きましょう、風花さん。」
流石に転校初日から遅刻は恥ずかしいです。なので、私は風花さんと一緒に学校へと向かう事にしました。
朝食、ですか? …風花さんの壊滅的な料理を食べる勇気はないので、素直に食堂に向かって食べたであります。私、食べてませんけど。
■
時間余裕で学校に着くと、風花さんと別れ、私は一人職員室に向かいました。
「おー、アイギス、来たか。」
職員室にいたのは、MZDさん。いつものように飄々としています。神様って本当に飄々としているものなのでしょうか。
「飄々としてるのはこの馬鹿だけだよ。」
「おい影、どういう意味だ!」
なんと、影さんに心を読まれてしまいました! ですが、何だか嫌な気分は抱きません。影さんだからでしょうか?
「あはは、ありがとね、アイギス。さてと、おーい、DTOー!」
完全にMZDさんを無視して、影さんはDTOと誰かを呼びました。
程なくして、ヘッドフォンをつけた少しちゃらそうな大人の人が。
「アイギス、紹介するね。DTOだよ。これから君の担任になる先生だよ。」
「お前が転校生のアイギスか。…なぁ、お前って確か何年か前に高校生してたよな?」
「それにはツッコミを入れないでほしいであります。」
そこは置いておいてほしいであります。割と本気で。
「まぁ、この馬鹿校長から大体の話は聞いてる。確かに俺のクラスには直斗もいるし、連携は取りやすいと思う。」
「これから、よろしくお願いするであります。」
「ああ、宜しく。んじゃ、そろそろホームルームだし、行くか、アイギス。」
「はい!」
私はDTO先生と一緒に、彼の担当するクラスに付いて行く事になりました。
「…しかし、転校生がお前だって知ってみんなどんな顔をすっかな。」
「…確実に驚きそうでありますね。」
…そう、一応、私は高校を卒業しているので、流石に驚かれてもおかしくないであります。
まぁ、反応も楽しみであります。
- 新・ワイルド能力者のコミュ事情:烈&氷海編 ランク1 ( No.646 )
- 日時: 2015/02/03 22:59
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UIcegVGm)
そして、私はDTO先生の言う通り、廊下で待っていました。
「ほーら、席に着けー。ホームルーム始めんぞー。」
チャイムと同時に入っていった彼は、そう皆さんに言い放ちました。
「えー、聞いていると思うが」
「先生! 転校生って女!?」
「おいリュータ、俺が言う前に聞くんじゃねぇよ。」
…何だか楽しそうなクラスであります。
…ん? そういえば、直斗さんと同じクラスといっていましたね。という事は…。
「今回の転校生も別嬪の女の子だぞー。」
「よっしゃあぁぁぁっ!!」
クラスの男子、喜びすぎであります。
「はは、現金な奴等…。」
「烈君、それは言わないお約束ですよ。」
…あぁ、やはりそうでしたか。このクラスは…。
「まぁ、見てもらった方が早いな。おーい、入ってこーい。」
「失礼するであります。」
私がその発言をした時、ガタンッ! と盛大な音が三つ程響きました。
中に入り、目的の人物達を見る。恐らく音を立てたであろう、三人の人物達を。
「…。」
やっぱり、私の登場に烈さんがわなわなと震えながら私に指を差し、氷海さんと直斗さんが目を見開いて私を凝視していました。
クラス中がざわざわしました。年齢の事に触れているのが聞こえます。まぁ、そうですよねー。
「えー、転校生のアイギスだ。」
「対シャドウ特別制圧兵装七式、アイギスであります。宜しくお願いします。」
「仲良くしてやれよー?」
全員、ようやく目の前の現実を受け入れたのか、「はい。」と返事をしました。何とかショックから立ち直った烈さん達も、席に戻っていきます。…目は、何でお前ここにいるんだと言いたげですが。
「席は…直斗、お前の前なー。」
「はひゃいっ!?」
直斗さんが凄い素っ頓狂な声を出して、驚きました。何故、そんなに驚くのでしょうか…。
(答え:メカ好きの直斗の前にアイギスを設置されたから授業が集中できない的な意味で。)
「さて、学校案内は昼休みに…氷海、烈、頼んでいいか? 何か直斗の精神状態はそれどころじゃなさそうだしな。」
「そうなるよう設置した先生がいけないと思うんだけどさ、俺は。」
烈さんが何かいいましたが、DTO先生は私をさっさと席に着かせ、ホームルームを始めました。
- 新・ワイルド能力者のコミュ事情:烈&氷海編 ランク1 ( No.647 )
- 日時: 2015/02/03 23:04
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UIcegVGm)
で、昼休み…。
「ここが、生徒会室です。」
「氷海は生徒会長だから、大抵ここにいる事が多いかな。」
私は烈さんや氷海さんと共に、学校を見て周っていました。なるほど、氷海さんは生徒会長、と。
「美鶴さんと同じであります!」
「ふふっ、そうね。私なんかじゃまだまだ桐条さんの足元には及ばないけれどね。」
足元には及ばない、でありますか…。
「でも、胸は同じくらいであります!」
「ぶふぅっ!?」
私がそう言うと、烈さんが盛大に噴出しました。氷海さんは顔を真っ赤にして胸を押さえています。
「む、胸って! 胸って!! た、確かに氷海も結構でかいけど…。」
「烈!」
笑いを堪える烈さんに、氷海さんは怒鳴り散らします。私、変な事を言ったでしょうか…。
「とっ、とにかく。放課後、私に用がある時は、ここか、私の父が勤める病院にいますので。」
「俺はうちの酒屋か…放課後だったらもしかしたら剣道場にいるかもしれないかな。」
「あら、烈、剣道部に入部したの?」
「ああ、まぁ。由梨先輩に教わる内に何か面白くなってきてさ。で、入部したんだよ。」
烈さんは剣道部でありますか…。
「でもまぁ、この学校の部活って、とりあえず部活の日はあれど、出ても出なくてもいい見たいな感じで緩いんだよな。だからみんな掛け持ちとかしてるんだぜ。」
「月光館学園も、結構緩かったであります。大会前とかは結構本格的だったようですが…。みなさんは何か部活を掛け持ちしているのですか?」
「私は弓道部一本ね。」
「俺も剣道部一本だな。つか氷海、お前も弓道部入ったのかよ。」
「ええ、理由は烈と同じよ。葉月先輩に習っていると、何だか面白くなってきて。」
弓道部…。ゆかりさんと一緒であります。ゆかりさんに話したら、飛びついてくる可能性大であります。
「アイギスさんは何か部活はいるのか? あ、でも忙しいか…。」
「うーん、私も何かに入りたいであります。皆さんとの交流や、技を磨くのにいいと思って…。」
「あの変態とは違う理由で入りたいって思うならいいよな。」
「そうね。」
クスクス笑う氷海さんと呆れ顔の烈さん。あの変た…あぁ、なるほどなー。
「まぁ、その辺はDTO先生とこう、相談してくれ。」
「わかりました。」
部活動、楽しみであります。お二人のいる弓道部や剣道部…。そこにはいれば、きっと皆さんとも楽しく過ごせそうであります。
「まぁ、なんにせよ…。」
烈さんと氷海さんは、私に手を差し伸べてきました。
「これからよろしくな、アイギスさん。」
「宜しくお願いしますね、アイギスさん。」
「…。」
私はその手を…そっと握り返しました。
—我は汝…、汝は我…。汝、新たなる絆を見出したり…。 絆は即ち、まことを知る一歩なり。汝、“女教皇”、及び“運命”のペルソナを生み出せし時、我ら、更なる力の祝福を与えん…。
握り返すと同時に頭の中で響いた、その声。そして、この胸の…『パピヨンハート』の高鳴り…。
これが…これが、彼も体感した…コミュニティの芽生え…。絆の片鱗に触れる事…!
「…。」
「アイギスさん?」
「! あ、す、すみません…。今、お二人の手に触れた瞬間…声が聞こえて…。」
「声?」
烈さんが首を傾げながら聞いてきました。お二人にはこの声が聞こえていなかったのでしょう。
恐らく、私と彼との時も、きっと彼だけにしかその声が響かなかった。私には聞き覚えがないから。
私がどう答えようか考えていると、烈さんはポンと手を打ちました。
- 新・ワイルド能力者のコミュ事情:烈&氷海編 ランク1 ( No.648 )
- 日時: 2015/02/03 23:11
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UIcegVGm)
「あぁ、コミュ発生したんだな。」
「えっ?」
「そっか、アイギスさんも一応ワイルド能力者だったな。」
「けれど、メイン回路が焼ききれる可能性があるので、今はアテナしか呼べませんが…。」
氷海さんが訳が分からないといった顔で烈さんと私を見てきます。
「アイギスさんも昔、ワイルド能力を得ていたんだよ。で、今アイギスさんにしか聞こえなかった声はきっと、コミュ発生の台詞だよ。」
「まぁ、そうだったの…。えっと、それで、アイギスさん、私達のコミュのアルカナは…?」
「烈さんが“運命”。氷海さんが“女教皇”であります。」
「やっぱり運命か…。」
烈さんがふむふむと頷く横で、氷海さんががっくりと項垂れていました。
「私…雪子先輩と同じアルカナ…。」
「あー、まぁ、そこショックだよな、以外に…。でも、さ。風花さんとも同じだし、元気出せよ。」
そう、女教皇は風花さんと同じアルカナであります。
「そ、そうね…。そう思う事にするわ…。」
よろよろと立ち上がる氷海さん。よほどショックだったのでしょうか、女教皇に…。
「おっ、そんな話してる間にもう時間がやべぇぞ!?」
「えっ? あらやだ! 次体育よ!?」
「着替えて移動しなきゃやばいかもな。じゃ、アイギスさん、またな! 氷海、後頼んだ!」
そういい残して、烈さんは男子更衣室に向かっていきました。
「アイギスさん、私達も着替え…。」
氷海さんは何かを言おうとしましたが、台詞を切って私を見ました。
「…ジャージ、とか…で、行くんですか…?」
「体育はジャージで出るであります。」
あぁ、私の体を心配したのでありますね。ご心配なく。ジャージを完備しているであります!
「なら、いいけど…。さぁ、私達も行きましょう。」
「はい!」
私は氷海さんと共に、女子更衣室へと向かいました。
コミュニティ、試練…。
これから先、何が待ち受けているのか、何が起ころうとしているのかわかりません。
ですが…この絆を育んでいけば、きっと皆さんと共に試練に打ち勝てる。
私は…そう信じます。
だから…貴方も見ていてほしい。
私の…この小さくて大きな、頑張りを…。
続
- 新・ワイルド能力者のコミュ事情:烈&氷海編 ランク1 ( No.649 )
- 日時: 2015/02/03 23:19
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UIcegVGm)
後書き de 雑談
昴
「オシオキをお待ちの皆様、すみません。今ようやく全体のオシオキが書けた所で、気分転換がてらに書いた話が完成したのでこっちを先にあげました。」
アイギス
「今度からは私が絆を育むであります。」
悠
「え、俺とのコミュは?」
マーガレット
「貴方と誰もコミュフラグを立てようとしていないから、アイギスに引き継ぐ形になったのだと思うのだけれど、どうかしら?」
悠
「がーん!」
昴
「当たり前だ。お前みたいな変態と誰がこれ以上絆を育みたいと思う。」
悠
「がーん!」
アイギス
「と、言うわけで、これからは私がコミュ活動をしていくわけですが…。レベルがダウンしてるであります。」
昴
「まぁ、お前と烈達の絆は悠と結んだものとは別物として扱う。だから、結び直しというよりかは、お前と烈達の絆を新たに結ぶっていう形だな。」
アイギス
「なるほどなー。でも私、楽しみであります!」
マーガレット
「私達もお客人のサポートをさせていただきます。まぁ、私達にできる事は少ないでしょうけどね。」
昴
「これからのアイギスの活躍を楽しみにしながら、ここで失礼します、っと。」
アイギス
「またお会いしましょう! であります!」
■
私
—カキコの人にちょっと聞きたいけど…まぁ、pixivの方でも語られていない事多いけど、キャラについての質問とかってあるかなーっと。
昴
「ネタが出ないんですね分かります。」
私
—うーるーさーい。ネタバレ範囲外なら答えられるものはいつか質問回みたいな感じで纏めてみたいなと思って。あ、多分オリキャラ組の過去についてはあんまり触れられないだろうけど。それと、別件で…これは支部にいる人で私の作品を読んだ事がある人が答えてほしいけど…もう一度読みたい作品とかあるかなって。カキコの方に移植するのもいいけど、作品数多すぎてどれを移植していいか…。あ、続き物でまだ未完成品は除外してください。
昴
「と、言うわけで、感想とかあればどうぞ。」