二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 結果発表! 前書き ( No.77 )
- 日時: 2014/10/02 23:24
- 名前: 奏月 昴 (ID: AfVd82K9)
前書き de 注意事項
私
—はい、結果発表に移る前に注意事項です。
・ついに番長が裸族に
・変態番長誕生
・つまりは悠の救い様のないキャラ崩壊
です。以上が許せる方はどうぞ。許せない方は…すみませんがお引き取りください。
- 結果発表! 評価五 ( No.78 )
- 日時: 2014/10/02 23:27
- 名前: 奏月 昴 (ID: AfVd82K9)
全員の試食を終え、評価順に呼ぶ事になった昴は、進行表をとんとん、と纏めた。
「さて、と。何か初めてだな、こうやって俺が最初からやるの…。」
「二回連続で手術中だったからね…。」
「本来はこうあるべきなのにな…。」
「にゃぐー…。」
そう、本来は昴が最初から進行するべきなのに過去二回は毒とクトゥルフで戦闘不能の手術中だったもんね…。
「(言うな、俺。)じゃあ、早速最高評価を呼ぶぞ。紅、雪子と理乃とりせを呼んでくれ。」
『分かった。』
紅は翼を羽ばたかせ、外に向かった。
「よし、行ったな。八番とラスト二人! 上がってこい!」
昴は紅が行ったのを確認し、すぐに最高評価の三人を呼んだ。
「説教云々もしなくていいな。寧ろお礼を言わなきゃな。特にラスト二人。」
「だね! こうやって昴さんが進行できるのも、あの二人がラストだったからだもん!」
「にゃぐー!」
全員、今か今かと最高評価の三人を待った。
■
上がってきたのは、クマ、リリィ、そして完二だった。
「リリィ、完二、ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
「うぉっ!? な、何ッスかいきなり!」
「何でお礼言われるの…?」
上がってきていきなり昴達固定審査員にお礼を言われ、完二は驚き、リリィは首を傾げた。
「お前らがラストを引いてくれたお陰で、俺は無事に進行できるから。」
「手術もなしで無事に帰れるから。」
が、理由を説明すると、二人は何故か納得できた。
「籤運、良かったかもね、完二君。」
「おう、だな!」
「お前らは本当に救世主だよ…。あ、悪いな、理乃達。待たせちまって。クマもポカンとさせちまったな。」
先程から部屋にいた雪子、理乃、りせと、クマはポカンと口を開けて待っていたが、すかさず理乃が「気にしないで下さい。」と言って、場の雰囲気を変えた。
「じゃあ、まずは雪子はクマに、理乃はリリィに、りせは完二に評価用紙を渡してくれ。」
昴に命じられ、三人は用紙を渡す。
「はい、リリィさん、美味しかったです。」
「うん…。」
最高評価だと言うのに、どこか浮かない顔のリリィ。
どうしたのかと心配になる理乃だが、リリィが突然昴の前に行った為、何があったかを察知した。
「どうした? リリィ。」
「…あの後、烈君に聞いた…。ウニ…。」
「あぁ、ウニの件聞いたのか。」
「苦手なの、知らなかった…。ごめんなさい…。」
しょんぼりとうなだれるリリィに、昴はポンポン、と頭を叩く。
「反省してるならいい。次からは気を付けてな? …ウニ以外美味しかった。ありがとう。」
「…うん…!」
リリィはしょんぼりから一転、にこーと笑って理乃の元に戻っていった。
「オメェが食ったのかよ…。って、何だよこの評価!」
「あれ、ぜんっぜん辛くないんだもん! 完二、頭だけじゃなく舌も馬鹿じゃないの!?」
「お前に言われたくねぇよ! 辛くないからって料理のボートクまでするほど味変えんな!」
おい、リリィと理乃は穏やかに会話してると言うのに、この二人は…。普段から仲があまりよくないので仕方ないとは言え…。
「りせ、完二の言う通りだ。元から辛いものが苦手な俺やお前の料理のせいでトラウマになった他の審査員に気を遣った完二の心遣いと頑張りを冒涜するような真似は許されないぞ。」
「むー…!」
りせはまだ何か言いたそうだったが、昴の眼光に渋々引き下がる。
「ユキチャン、クマ、ユキチャンと料理を作ったら、味のないものができそうで怖いクマ。だからユキチャンとは料理作りたくないクマ。だったらツキチャンと作った方が楽しいクマ。」
「クマさん酷くない!?」
「レシピを見ないで味を行方知れずにさせるユキチャンに言われたくないクマ。でも、リセチャンとは違い、ちゃんと審査はできるようでクマ、ちょっと安心。」
「クマ酷い!」
雪子からのお誘いを葉月と作った方がマシだと即行で拒否し、なおかつりせにまで駄目出しをするクマ。本気で嫌だった上に幻滅したんだな…。
「…まともな審査員は女子にいないのか…?」
「いや、りせぐらいだろ、審査対象のモノを味変えるって…。」
「いいえ、絶対もう一人まともに審査していないのがいます。」
頭を押さえる昴を慰める完二。それに待ったをかけたのは、理乃だった。
「へ? い、いるんッスかんな奴。」
「ああ、理乃の言う通りなんだよ…。味は変えたりしてないけど、評価を無視していいってジョーカーが書いた奴がな。次の評価四食った奴見りゃ分かる。さて、こいつら放っといて次行くぞ。」
いまだにぎゃんぎゃん騒ぐクマと雪子とりせを放置し、昴は紅に目で合図をした。
『呼んでくる。』
「頼む。一番、三番、九番。上がってこい。」
短いやり取りで通じあった二人は、早速自分の仕事を始めた。
そのやり取りに、端から見ていた理乃、完二、リリィは…。
(長年付き合ってる夫婦みたい(ッス)…。)
失礼ながらも、そう思ってしまった。
- 結果発表! 評価四 ( No.79 )
- 日時: 2014/10/02 23:31
- 名前: 奏月 昴 (ID: AfVd82K9)
次に上がってきたのは、烈、悠、セシルだった。
「…えっ!?」
「ん? どしたの氷海ちゃん。」
「ん? ほほーぅ、なるなる。」
上がってきた相手の顔を見るなり、氷海は短い叫び声をあげ、千枝は心配し、七海は何かを察知したのか、ニヤニヤし始めた。
「じゃ、氷海は烈に、馬鹿は裸族に、千枝はセシルに渡してくれ。」
「えっ、えぇっ!?」
「うん、分かった!」
「ちょっと私の紹介の仕方おかしくない!?」
「俺のも変だぞ!?」
一部変な紹介をしたが、無視。
「あれ? 氷海が俺の食ったの?」
「え、ええ…。ちょっと量が多いけど、美味しかったわ。(あぁ、烈だったならもっと評価高くすればよかったわ…!)」
おい、氷海。思い人の料理だったからって贔屓しなかった事を後悔するなよ…。
「あー…俺のサイズに合わせちまったからな…。失敗したな…。」
「烈、お前の問題はそこだけだし、量さえ減らせば五は普通に狙えた。落ち込まなくてもいいぞ。」
「ああ、次に頑張るさ。…こんなの、二度とないのが一番だけどな。」
烈の言葉に、審査員全員同意する。
「はい、セシル! 美味しかった! 見た目もよかったし、今度作り方教えて!」
「ありがとうございます。…あら、四? わたくし、三だと思っていましたが…。」
「見た目でのポイントと、味が高評価を生み出した。だが、千枝やにゃぐわにとっては物足りなかったみたいだがな。」
「味が…? 味にはあまり自信なかったのですが…。」
「成程ね。味が自信なかったから、見た目でも勝負したんだ。味は問題なかったよ! セシルはあたしより料理うまいんだし、自信もってよ!」
「は、はい…!」
千枝とジョーカーに励まされ、セシルは頷いた。あの鳥の巣は自信のなさの現れだが、逆にいい結果を生み出したようだ。
「…七海、味がないって…。」
「味がないものは味がないの! ぜんっぜん味しなかったよ!」
「理乃センパイ、オレ、さっきセンパイが言った意味分かったッス。」
「ええ、あの馬鹿です。はぁ…。やっぱり味を感じてなかったのね…。」
「我が無視していいと書いた理由はそこだ。…あの馬鹿はもう末期の味覚障害ではないのか?」
「否定できません…。」
喧嘩腰になる七海を見る完二とジョーカー。そしてそんな七海に対して溜息をつく理乃だった。
「あ、あれ? 昴さんも評価が低いですね…。」
「南瓜だろ? 昴さん、南瓜が苦手だし。」
「烈の言う通りだ。苦手なものを更に苦手な味付けでぶちこみやがって…。」
怒りの色を濃くする昴に、悠は、
「苦手なのを知らなかったのは悪かった。だが、俺は!」
「何でいきなり脱ぐんだよ!」
なんと、急に脱ぎ出し、パンツ一枚になった。とっさの事に昴は思わず顔を覆ってしまう。
この僅かな隙を見逃さず、悠は蛙の飛び込みのような体勢を取り、昴に向かってきた。所謂ルパンダイブ。
「その苦手を克服させる為に、手取り足取り付き従え」
このままでは襲われる。そう思ったが、不意に、後ろに体が引っ張られる感覚がし、バランスを崩した。
そして悠の頭が横から伸びた腕から放たれた焔により、いきなり地面に沈んだ。
かと思ったら潰れたままの彼に二つの手が伸び、そのままズルズルと引っ張られていった。
「…さーて、どう料理しようか。」
「まずは下着の中にぶら下がってる汚いキノコを切り落とそうよ。」
「了解。その後はどうする?」
「これのテーマに合わせながら、肉焼きセットでグルグルとやろうよ。」
声の主の携帯電話だろうか、そこから、モンスターハンターで肉を焼く時にお馴染みのあの音楽が流れた。
「いいなそれ! じゃあ、まずは切り落として…。」
「待ってくれ里中! 烈! 男の勲章だけは見逃してくれ!」
「チッ、起きたか…。わかった。そこは見逃す。じゃあ、烈君、火、お願いね!」
「おう!」
「え、ちょ、待っぎゃあぁぁぁぁぁっ!」
あ、テーマが聞こえてきた。つか、悲鳴も一緒に聞こえますが、あえて無視しておきましょう。
そして…。
「上手に焼けましたー!」
絶対串に刺された悠をあげているであろう二つの手—千枝と烈の嬉しそうな声が神殿中に響き渡った。
「…あ、遼太郎殿? 済まないが今からパトカーを全速力で飛ばしてこっちに来て貰えないだろうか。公然猥褻罪で未成年を一人逮捕してほしいのだが。…うむ、そうだ。遼太郎殿の甥だ…。」
「セシル、見えない。」
「あの、巽さん、見えませんが…。」
「見ちゃいけません。あれは見ちゃいけません。(ローズがいなくてよかった…!)」
「センパイは見ちゃダメッスよ! 目に毒ッス!(鏡がいなくてよかった…。)」
「クマ、ああなりたくないなら人前で服を脱がない事。いいな? お前は悠と違って、まだ聞き分けは良い方だからな。」
「わ、わかったクマ…。」
どこかに電話をするジョーカーと、純粋なリリィと理乃の目を必死で隠すセシルと完二、そんな様子を見ながらクマに注意を促す昴。
…評価四の発表は、こんな形で幕を閉じた。
- 結果発表! 評価三 ( No.80 )
- 日時: 2014/10/02 23:35
- 名前: 奏月 昴 (ID: AfVd82K9)
烈と千枝が戻ってくるのを待って、昴は次なる評価三のメンバーを呼び出す事にした。
「というかさ、この評価四まで呼んだ段階でこんなに人がいるのは初めてじゃないか?」
現在、ここには固定審査員+救援組を抜かして十一人の男女がいた。
悠? 説教部屋でこんがり焼かれてるからいない。
『前回は確か…評価五とそれを食べた人達だけしかいませんでしたから…六人でしょうか。』
前回はここにいたのは風花の言う通り、六人だけだったのに…。
「評価三も三人だから、ここで六人来て…待機してるのが六人って…。」
そう、ここで評価三を呼んでしまえば、残りは二が一人と一が二人。
しかもその二人はゲテモノ組には該当せず、メシマズ組としていられる程ただ不味いだけだ。
女子のこのできなさ具合は一体…。
「…これが男女の差だ、りせ。」
「何で私を名指しするの!?」
元凶たるりせに現実を見せられて、ちょっと満足した昴は思わず彼女を名指ししていた。
「次、五番、七番、十番。来い。紅。」
『鈴花と葉月と牡丹を呼んでくる。』
息がぴったりな昴と紅に、一同は何も言えなかった。
■
上がってきたのは、陽介、ローズ、フランシスだった。
その三人の前に、鈴花、葉月、牡丹が並ぶ。
「…なぁ、結果を渡してもらう前に聞きたい事あるんだけど。」
「どうした? 陽介。」
「さっき何があった? 何か相棒の悲鳴の後に里中と烈の声が響いたんだけど。」
どうやら先程の悲鳴等は全部聞かれていたようだ。
フランシス葉月も鈴花も気になっていたのだろう、じっと、昴を見つめて答えを待った。
「ここに呼ばれた筈なのにいない奴がわかれば大体想像つくと思うけど?」
「ここにいないのだと? あぁ…。」
「悪い、納得した。」
「あのワイルドが何かしたんだね…。」
フランシスと陽介、葉月はその言葉だけで納得してくれたようだ。
「じゃあ、結果を渡してくれ。鈴花は陽介に、葉月はローズに、牡丹はフランシスにな。」
「…うん…。」
「わかりましたわ。」
嬉しそうな牡丹とは対称的に、浮かない顔の鈴花と葉月。
「鈴花ちゃん、どうした? 何か元気ないけど…。」
「…陽介センパイ、ごめんなさいっ!」
「へっ!? 俺、謝られるような事した!?」
鈴花は結果を渡しながら、陽介に謝罪をする。
突然の謝罪に面くらい、慌てる陽介。
「…あの肉丼…千枝センパイの為に作ったんだよね?」
「えっ…?」
唐突に自分の名前が出て驚く千枝。陽介は溜息をつき、頬をポリポリと掻いた。
「…前回、前々回とさ、里中の料理を食べたから、今回も里中に当たるかと思って…好物の肉丼をさ、俺なりに作ってみたんだ。…あいかにもレシピ貰ったりして、さ。」
「花村…。」
「けど、こればっかりは鈴花ちゃんを責めらんねぇよ。運が悪かっただけだからな。」
落ち込む鈴花を、陽介は撫でる。
「…花村、後であたしに作ってよ、肉丼。」
「おう、構わないぜ。」
顔を赤くしながらも、仲睦まじく話す二人。鈴花は邪魔してはいけないと思い、そっとその場を後にした。
…騒ぎ始めた雪子と七海を、氷海やセシルと一緒に説教部屋へと運びながら。
「…。」
「葉月、何で元気ないんだ?」
「…前回、私は瓦礫食べさせちゃったのに、ローズは美味しいもの作ってくれて…。何か、申し訳ないなって…。」
「なぁんだ、そんな事かー。」
やけにあっさりとしているローズに、葉月は首を傾げてしまった。
「葉月はさ、評価一の奴等の誰よりも希望はあるし、ちゃんと反省してるじゃん。あ、今度室内でキッチンの壁を破壊するなら、外で料理してみてよ。案外、上手くいくんじゃん?」
「そうね…。葉月は夜営の時にはちゃんと料理はできたから、多分広い空間なら料理できるんじゃないかしら? 試す価値はあると思うわ。」
「…う、うん! やってみる…!」
ローズの言葉に、納得を見せる理乃。
葉月はそんな二人に、背中を押された気がして、精一杯の笑顔で頷いた。
「三か…。まぁ、妥当な結果だな。」
「遊ぶ気はなかったんですの?」
「下手に遊ぶと、ジョーカー様達に不快な気持ちを抱かせるからな。自分で食べるだけなら遊ぶが、それ以外には危険をおかせん。」
(フランシス…ぶっきらぼうだけど、案外優しいんだな…。)
ジョーカー達固定審査員に、ただでさえ不味いものを食べさせられているのに、これ以上不味いものは食べさせられない。フランシスの心遣いがわかった昴は、笑みを見せた。
「甘いですわ! 美味しいものを食べさせた方が喜ぶに決まっています! 私が遊び方を教え」
「貴様のは遊びではなく毒の精製だ。悪いがお前から教わるくらいならこの評価でいい。」
「酷くありません事!?」
牡丹の誘いをきっぱりと断るフランシス。うん、それが正解。
「さて、三人は伸び代もあるから、俺から特に言う事はない。評価四以上の奴等から聞くなりして、勉強しとけ。」
「おう!」
「うん!」
「わかった。」
陽介、ローズ、フランシスは頷いた。この三人ならば、すぐに評価四まで登り詰めるだろう。
「さて、次の評価を呼ぶ」
「ちーっす。」
次なる人物を呼ぼうとした昴だったが、その前に評価二を食べた由梨がやって来た。
「由梨、来るの早くないか?」
「紅が呼びに来る前に来てちょっとは負担を減らそうかと思ってさ。…次に来る奴、絶対に説教してやる。アタシの前にあんな和食を出した報いだ。」
「…程々にしといてやれ? 四番、来い。」
早くも機嫌が悪い由梨に、昴は次なる人物を呼びつつ、押さえるよう言った。
- 結果発表! 評価二 ( No.81 )
- 日時: 2014/10/02 23:38
- 名前: 奏月 昴 (ID: AfVd82K9)
が、上がってきた人物を見て、由梨は先程の思いを消した。
「…由梨、説教は?」
「昴さん、アンタはアイツにできると思うか?」
「無理。」
「…だろ?」
そこにいたのは…鏡だった。今にも泣きそうで、俯いている。
「…あ、あのさ、由梨先輩。鏡は真面目にレシピ見て頑張ってたんだ。」
烈は由梨の隣で、おずおずと話始めた。
「…黙ってろ、烈。…鏡、評価を渡す前に聞きたい。何で親子丼にした? あと、レシピ見てたのに何でああなった?」
「…親子丼にしたのは、ね…。すーさんが、前に作ってくれて…美味しかったから、オレも見よう見まねでね、作ったの…。レシピも参考にして…頑張ったんだ…。」
どうやら、親子丼にしたのは、鏡の思い出の味だったからのようだ。
昴は多分、その時の事を覚えていないだろう。だが、鏡にとっては重要な思い出であり、成長を見せる意味で、昴と同じような親子丼を作ろうとした。一人じゃ不安だったから、レシピも見て。
しかし、その後…作っている最中に、何かがあったようだ。
「お醤油を計量スプーンで入れてる時に、いきなりおっきな物音がして…ビックリしてね、手を滑らせちゃって…お醤油が、ドバッて、中に…!」
「…もういい、わかった。」
涙を溜めた鏡の目を見て、由梨は話を中断させた。
そして、評価用紙を渡す。
「あの後さ、フランシスが気付いてくれて、すぐに醤油は退けられたけど…もう、手遅れだったんだ。」
「作り直すにも時間がない。そんな状況だったんだ…。しかも、鏡の奴、それに慌てていて肉を加えるのが遅れて…。」
「だから肉が生焼けだったのか。」
烈とフランシスの弁解に、昴は鏡の料理があんな悲惨になった理由を納得した。
ひとつの失敗で狼狽え、数々の失敗を生み出してしまった。時間に追われていなければ、恐らく三の評価は貰えたろうに…。
「…鏡。」
昴は鏡の元に行き、その頭を撫でた。
「頑張ったな、鏡。確かに美味しくはなかったけど…ちゃんと成長してるし、それに…気持ちは伝わったぞ。」
「すーさん…!」
大好きな昴にそう言われ、感情が爆発したのか、昴に飛び付いて泣き出した。
(…甘えん坊さんは変わらず、か。まぁ、それもいいか。)
昴はそんな鏡を抱き締めて、背中をポンポンと叩いてあげた。
「…料理って、食ってもらう奴の事を考えて作るもんなんだな…。」
泣きじゃくる鏡と、そんな鏡を抱きしめる昴を見て、完二はポツリと呟いた。
「完二?」
「…鏡は、昴さんの事を想って料理を作ったんだ。勿論オレらも思ってたけど、多分鏡の気持ちはオレらよりもこもってた。」
「…だから、あの程度の失敗で済んだ。そう言いたいのか? 完二。」
戻ってきた由梨にそう訊ねられた完二は、頭をボリボリと掻きながら難しそうな顔をした。
「…料理に失敗はつき物ッス。事故であれ、何であれ…。けど、料理に想いが込められてれば、その失敗はきっと、次の成功に行かせるッス。それに、想いが強ければ強いほど、きっと、失敗なんて気にならないと思うッス。…オレの、変な持論ッスけど。」
「…まぁ、完二の言う通りな部分、あるかもな。」
「あのゲテモノ共と鏡君や氷海ちゃん達評価二の人の失敗は全然違うもんね…。」
完二の持論に、由梨と鈴花はどこか納得をしていた。…ちらりと、りせの方を見ながら。
- 結果発表! 評価一 ( No.82 )
- 日時: 2014/10/02 23:46
- 名前: 奏月 昴 (ID: AfVd82K9)
鏡が落ち着いてきたのを見計らい、昴は再びこの場にいる一同を見渡した。
悠と雪子と七海がいないが、まぁ、いいだろう。
「後呼ばれてない奴等は…うん、あの二人か。まず鈴花、氷海、セシル。着替えなくて良いのか?」
「あ、気にしないで昴さん。」
服が若干赤い鈴花と氷海とセシルに、昴は着替えの有無を確認したが、鈴花にそう言われて引き下がった。
『神、我は雪花と直斗を呼びに』
「いや、いい。…ちょっと思い付いた。」
そう言うと、昴はマイクをつけた。一体何をするのかと言うと…。
「直斗、雪花。上がってこい。」
なんと、今までやらなかったマイクで女子を呼び出すと言う方法だった。
そんなのあるなら最初からやれよと言う話であるが、昴にはこの時でなければならない理由があった。
「昴さん、何で今になってマイクで」
陽介が訊ねた時、一階からガッシャアァァンッ! と盛大な音が聞こえた。
「うわあぁぁんっ! どーしよー風雅ー!!」
「お、落ち着いて凪! 大丈夫だよ! 直斗は僕の料理を食べたかもしれないじゃないか! 凪の料理を食べた可能性は半分だから!」
「そ、そうだね! …。」
一瞬の静寂。が…。
「って、どっちにしてもゲテモノ食べさせた事には変わりないよおぉぉぉっ!」
「あ。」
すぐに泣き叫ぶ。…それを聞き届けた一同は…。
(昴さんひでぇ。)
心の中で、そう思いながら笑みを浮かべる昴を見ていた。
■
その後、昴は雪花と直斗が上がってきたのを確認した後、先程狼狽えていた人物達を呼び出した。
が、上がってくるなり残りの二人は目の前にいる昴達から視線どころか顔を背けた。
「…うん、上がってきてくれたのはいいけど、まずこっち向こうか。」
昴がそう言うも、目の前にいる人物…風雅と凪はそっぽを向いたままだ。
「…おいこっち向け二人共。」
「…。」
「…はぁ…。直斗は風雅に、雪花は凪に渡せ。」
「え?」
渡す人物を言われた凪は、ようやくくるりと振り向いた。
そして、雪花を瞳に映す。
「はぁ…。直斗に食べさせたんじゃないかって不安になるのは分かるけど、まずは前を見て頂戴。」
「…でもどの道直斗は風雅の調味料全部入れを食べたんだよねー…。」
「やっぱり全部入れたんですか…。」
苦笑いを浮かべる直斗に、風雅はしゅんと項垂れた。
「で、何があったかを教えてほしいんだけど、風雅。」
「うん…。最初に、醤油を入れたんだけど、入れすぎちゃって…。砂糖でごまかそうとしたんだけど、間違えて塩入れちゃって…。慌てて棚にあった砂糖を取り出そうとしたんだけど、丁度近くに置いてあったお酢と唐辛子の瓶を一緒に砂糖をひっくり返しちゃって…。幸い、ガラスの破片は入らなかったけど、辛くてすっぱくなって…時間がきた。」
「…最初の大きな音はお前が酢を引っくり返したのか。しかも作り直す時間も無くなったのかよ。鈴花の言っていたお前の不安要素って、その運の無さ込みかよ。」
最初に聞こえた大きな音の正体が分かり、昴や他の女子達は苦笑い。恐らく鏡が醤油を引っくり返した切欠である音も、この音だったのだろう。
「風雅、お前はちょっと落ち着け。…凪、お前は何でああなった。」
「…好きなものとか美味しいものとか入れたら、ああなってたー…。完二から、食べあわせが悪いって聞いたー…。うぅ、ごめんなさい…。ほんとは、ドリアンとお酒の組み合わせも考えたんだけどー…そしたら昴さんとジョーカーしか食べられないしー…そう思って、やめたのー…。」
「お前な…。あと、ドリアンとアルコールはアウト中のアウトだ。死ぬから止めて正解だ。…でも、お前のは一品一品は美味しいから、その一品だけ極めろ。…ゲテモノは卒業したから、安心しているけど…流石にそれを纏めたりするな。纏めるとゲテモノになるから。」
「うぅ…。」
凪はしょんぼりと項垂れてしまった。だが、昴は嬉しかった。凪は初めて作ってもらった時よりも、大幅に成長している。それが見て取れて嬉しかったのだ。
…二人は反省しているし、このまま、何も無く終わる…。そう、思っていた。
- 結果発表! オシオキ…? ( No.83 )
- 日時: 2015/05/31 23:24
- 名前: 奏月 昴 (ID: KG6j5ysh)
「…さてと、凪と風雅。」
だが、パステルくんに急に名前を呼ばれ、風雅と凪はびくりと体を震わせた。
「君達は反省してるけど、不味いご飯を食べさせたのは事実だよねー?」
「うん…。それは反省してる…。」
「ごめんなさーい…。オシオキなら受ける覚悟はあるよー…。」
しょんぼり顔の風雅と凪に、パステルくんは小さく頷いた。
「じゃー…凪のリクエストでオシオキ、いきまーす! そこ動いちゃ駄目だよー?」
「ま、待てパステルくん! 本気でオシオキする気か!?」
昴はいつものスイッチを取り出してスパナを振り上げるパステルくんを止めたが、彼はなりふり構わず叩いた。
『フウガサン、ナギサンガ“クロ”ニキマリマシタ。オシオキヲカイシシマス。』
モニターに虚しく文字が描かれたのを見て、風雅と凪は目を閉じた。
同時に穴が開かれ、浮遊感が襲う。
しばしの浮遊感の後、地面に落ちた。これから何が起こるのだろうかと不安になりながらも目を開けると、そこは…。
「え…キッチン…?」
まだ、後片付けが終わっていないキッチンだった。
「君達へのオシオキはー…二人でキッチンの片付けだよー。後片付けも大事だからねー。」
「…。」
いつの間にか紅の背に乗って降りてきたパステルくんの声に、風雅と凪は顔を合わせた。
パステルくんの持つ看板には、『最後の大きな総仕上げ〜風雅、凪へのオシオキ〜』と書かれていた。
あまりにも軽い罰に、二人は小さく微笑む。
『風雅、凪。そんなわけだから、お前達二人でキッチンの片付けをしろ。…終わったら、YUMAさんの豚平焼、みんなで食べよう。』
「うん!」
スピーカーから聞こえた昴の声に、風雅と凪は頷いて、早速キッチンの後片付けに取り掛かった。
不慣れな凪をカバーするように、風雅が率先して後片付けをする。パステルくんはそんな二人を見て、終始笑顔を浮かべていた。
…くんさん様モード特有の笑顔ではなく、普通の、パステルくんの笑顔で。
■
そして、後片付けも終わり、みんなで集まってYUMAさんからの豚平焼を頂く。
「んー、おいしー!」
「うん、ソースが絡んで美味い。」
「はー…なんか、ようやく終わったって実感できるぞ…。」
YUMAさん、豚平焼、ありがとうございました。みんなで美味しくいただきました。
「しかし、今回は本当に無事に終わってよかったよ…。」
「ねー。」
美味しい豚平焼に舌鼓を打ちながら、固定審査員である昴とパステルくん、ジョーカーとにゃぐわが安堵の息をつく。昴とパステルくんとにゃぐわなんて二回も死にかけたもんな…。
「料理が出来ない奴がいる世界の人は、お勧めしないぞマジで。」
「それでもやった人がいるけどね…。」
「言うなパステルくん。」
それは言っちゃ駄目だよパステルくん。
そんなこんなで、豚平焼を平らげた一同は、各自解散していった。
了
- 結果発表! パステルくんの企み ( No.84 )
- 日時: 2014/10/03 00:01
- 名前: 奏月 昴 (ID: AfVd82K9)
…なーんて思った?
これで終わるかと思ったら大間違いだよ。
その夜、氷海の部屋。
「…。」
パステルくんはそこで、一枚の紙に何かをカリカリと書いていた。見ると、設計図のような感じがするが…。
「あら、パステルくん。何をしているの?」
「あ、氷海。」
就寝準備を整えた氷海が、パステルくんの後ろから覗き込む。その設計図のような図面に、首を傾げる氷海。
何をするのだろうか…。
「えっとね…。一部の女子がまともな審査をしていないし、まだ自分がゲテモノを出すっていう自覚が無いから、ちょっとお灸を据えてあげようと思ってねー。あと、あの変態もシメないとね。」
「(あ、くんさん様モードになっているわ。)あ、あぁ…何となく分かったわ。」
「この勝負を見守っていた皆さんも怒ってるみたいなんだよねー。だからー、みんなからどういったオシオキを希望するかを募ろうと思うの! で、ボクを含めた希望されたメンバーで執行するよ!」
取り合えず今決まっているのは…。
・評価一のメンバーにポイズンクッキングを食べさせる。(りゅーとさん案)
・りせに伝言を伝えた後、能力+αをぶっ放す。(同じくりゅーとさん案)
・おしおきメテオ+α。(SUSUKIさん案)
かな。あの変態共々お灸を据える為に、読者の皆さんにオシオキ案を募ろうとしているのだ。
そしてその執行場所を、パステルくんは作ろうとしているのだ。どこにって? 聖域に決まってるじゃないですか。
この状況を見た氷海は…。
(…これ、死ぬわね。)
評価一のメンバー(ゲテモノ組)と悠に、思わず同情してしまった…。
取り合えず、おーわれ。
- 結果発表! 後書き ( No.85 )
- 日時: 2014/10/03 00:06
- 名前: 奏月 昴 (ID: AfVd82K9)
後書き de 雑談
私
—まだ昴達はいないのか…。仕方ない。と言う訳で、結果は…。あ、()内が作った人だよ。
01.氷海(烈)
02.雪花(凪)
03.七海(悠)
04.由梨(鏡)
05.鈴花(陽介)
06.直斗(風雅)
07.葉月(ローズ)
08.雪子(クマ)
09.千枝(セシル)
10.牡丹(フランシス)
11.理乃(リリィ)
12.りせ(完二)
となったの。予想は当たってました?
鏡
「…由梨姉に怒られるかと思ったよ…。」
風花
「でも、事情を知って理解してくれたからよかったね。」
私
—まぁ、今回はそれ程酷い料理を出した訳でもないし、由梨ちゃんだって事情が分かればそこまで怒らないよ。さて、今回オシオキを募集した訳ですが…。あ、カキコでもpixivでもコメント欄やレスで受け付けるので、どちらに書いても大丈夫です。…一週間くらい募集しようかな。
りせ
「え、何で死亡フラグ立ってるの私に。」
私
—元凶である。ゲテモノ組である事を理解していない。そして極め付けが最後だ。何で完二君の料理に余計な手間を加えた。それでりゅーとさんの所の辛党がカンカンだよ?
鏡
「オレも頼まれたもん。よっぽど怒ってるんだよ…。あ、こっちのおじちゃんからお前のダークキャノン持ってけ。って言われた!」
私
—いいのか鏡君。それ君のトラウマじゃなかったっけ?
鏡
「りせに一泡付加せられるならいい!」
風花
「…何か、いい笑顔で怖い事言ってるよね?」
私
—それ程プッツン来たんじゃないの?
りせ
「」
私
—それじゃ、今回はこの辺りで。
鏡
「ばいばーい!」
- 結果発表! 募集要項 ( No.86 )
- 日時: 2014/10/03 00:12
- 名前: 奏月 昴 (ID: AfVd82K9)
募集要項
私
—と、言う訳で。お仕置き案を募っちゃうよー。
★今回のお仕置き対象者
前回評価一(葉月、七海、雪子、りせ、牡丹)と今回評価一(風雅、凪)と変態(悠)
★執行者
それ以外のメンバー
★必要事項
1.お仕置き者名
2.お仕置き方法
3.執行者名(うちの子以外なら、サンプルボイスがあると嬉しいです。)
4.その他(あれば。)
お仕置き案があれば、必要事項に明記の上、コメント欄かレスに残していってくださいな。一人いくつでも大丈夫ですよー。
りせ
「え、何で私までお仕置き対象に」
私
—後書きで言ったよな?
鏡
「そんな訳で、案待ってまーす!」
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感想及び案OKです!