二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ほのぼの日和 ( No.770 )
- 日時: 2015/03/20 23:58
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 68ht.95d)
『ローズのち烈・所により鈴花と完二・時々大牙』
とある園芸店。
「ふんふふーん♪」
そこから出てきたローズは手にいっぱいの花の種を持ち、上機嫌で出てきた。どうやら目的の代物を買えたのだろうか。
「おっ、ローズ。」
「あ、烈!」
帰って聖域にある温室にでも植えようか、そんな事を考えていると、ばったりと烈に出くわした。ゲーセンの帰りだろうか。
「今から帰り?」
「まぁな。ローズはこんなとこで何してたんだ?」
「えっとね、ラベンダーの種を買ってた! 気持ちを静める安らぎの効果があるって理乃が言ってたから、育てて鈴花と昴に渡すんだ!」
「へー。…って、昴さんはともかく鈴花も?」
「うん! 何かね、大牙が最近更に鈴花にベタベタだから、鈴花がイライラしてて…。」
ローズの証言に、何も言えない烈。どうやら、最近帰ってきた大牙が見るも耐えないシスコンっぷりを発揮しているようで、ストレスが溜まりまくっているようだ。
「ローズ、鈴花に気分転換をお勧めする。どっかに一緒にいってやったらどうだ?」
「うんっ!」
そんな他愛ない話をしながら歩いていると、いつしか聖域付近に到着したようだ。
「あ、聖域についた! じゃあ烈、また」
「いや、俺も行くよ。丁度今日当番だから。」
まともになってきたとはいえ、まだまだ修行中の彼らに代わり家事をする当番制はまだ続いていたようだ。
「じゃ、もう少しお話ししよっ!」
「おう。何の話がいいんだ?」
「…。」
ローズは烈の言葉に暫し考える。やがて顔をあげ、烈を見た。
「烈はさ…。リリィにお兄ちゃんって呼ばれてるよね?」
「ん? ああ。」
「…嫌とか、思わないかな?」
「全然。むしろ俺一人っ子だし、妹ができたみたいで嬉しいよ。」
何か悩みがあるのかとは思いつつ、本心を語る烈。
「…羨ましいんだ。烈達が。ボクも…鈴花の事をお姉ちゃんって呼んでみたい…。」
「呼べばいいじゃねぇか。」
「で、でも…鈴花、嫌じゃないかな?」
自分みたいな年下の、血の繋がりのない子供がお姉ちゃん、と呼ぶのはどうなのだろう、と、ローズはずっと不安だったのだ。
「んな訳ねぇって。鈴花もローズの事、弟みたいに思ってるよ。試しに呼んで反応見てみたらどうだ?」
「…う、うん。」
烈の言う通り、試しに呼んで反応を見てみよう、そう考えたローズは、神殿に入る烈と別れて、温室へと向かった。
「あっ、鈴花! 完二も!」
「あ、ローズ! ごめん、勝手に来ちゃった。」
「悪いな、オレも来ちまった。それ、花の種か?」
勝手に温室に来ていた鈴花と完二を咎める事はせず、ローズは手に持っていた袋をあげた。
「うんっ! ラベンダーの種なんだ! 香りがよくて落ち着くって理乃から聞いたから、育ててポプリにして鈴花にあげるね!」
「わ、私にはいいのに…。」
「駄目だよ! 鈴花お姉ちゃんが倒れたら心配するもんっ!」
然り気無く、本当に然り気無く、鈴花の事をお姉ちゃん、と呼ぶローズ。それに鈴花はびっくりした。
「…ろ、ローズ、今…。」
「…や、やっぱやだった? ボク、ずっと鈴花の事、お姉ちゃんって心の中で呼んでて…。」
ローズは鈴花が嫌な風に捉えたと思い、すかさず謝罪するも…。
「もっ…!」
「もうやだよね…。ごめんっ、鈴花! 次からは呼ばないように」
「もっかい呼んで! いやいくらでも呼んで! 全っ然悪い気はしないむしろ嬉しいから!」
鈴花はそんなローズをぎゅっと抱き締めた。
「え、嫌じゃないの…?」
「嫌じゃないってば! ローズが弟かー。全然悪くないしむしろ嬉しいよ!」
「落ち着けよ、鈴花。まぁ、末子とか一人っ子って、兄弟に憧れるもんだろうしな。オレもよくわかる。」
「完二お兄ちゃんも一人っ子だもんねー。」
うんうんと頷くローズの言葉に、完二はピタッと動きを止める。
「おい、何でオレまで兄ちゃん呼び…?」
「え、だって、氷海から聞いたよ? 完二と鈴花がケッコンしたら、完二はボクのお兄ちゃんになるって!」
「お、おおおオイコラ! オレと鈴花はライバルだって何度言わせばわかるんだよ!」
(氷海ちゃん、後でひっぱたく…!)
氷海からもたらされた知識を話しただけなのに、完二は顔を真っ赤にし、鈴花は俯いてしまう。ローズはこの状況に首をこてん、と傾げてしまった。
そんな中、後ろからズドド…! と足音が聞こえ、ローズはくるりと振り向いた。
「ローズうぅぅぅっ! 大牙兄ちゃんの事も『お兄ちゃん!』と呼ん」
「やだ。」
走りながら何かを要求してくる大牙に、ローズが冷たく一言を発すると、彼は盛大に頭からスライディングをかました。要はずっこけた。
「な、何でだ!?」
「ボクの大切な仲間である烈を蹴ったあの時の事、忘れた訳じゃないから。」
どうやらローズは元旦の日に大牙と初対面をしたあの日の事を根に持っているようだ。無理もない。能力を使ったり、蹴ったりせずに事情を聴けばここまでいかなかったのに、彼はそれをしなかった上にリリィと烈を危険な目に遭わせたのだ。大牙の自業自得だ。
大牙はがっくりと項垂れてしまった。一生ローズに兄として認められないとわかったのだろうか。
「自業自得だよ、お兄ちゃん。そろそろ本気でいい加減私にベタベタしてくるのやめてよ。じゃないとどこかの私みたいにお兄ちゃんの事、『クソ兄貴』って呼ぶよ。」
「やめて鈴花それだけは! クソ兄貴って呼ばれたらお兄ちゃん立ち直れない!」
鈴花は相当うんざりしているようで、溜息をつきながら大牙に言い放った。大牙が更にへこんだのは、言うまでもないだろう。
「さっ、ローズ。お花の種、植えようか。」
「うんっ! 完二お兄ちゃんも一緒にいこうよ!」
「あ、あー…あー、もういいや。」
完二は何か反論しそうだったが、言っても無駄だと思ったのと、何だか満更でもない気持ちになったので、そのまま二人についていった。
…へこんで体育座りしていつつ泣きじゃくっている大牙を置いて…。
終わり
- ほのぼの日和 ( No.771 )
- 日時: 2015/03/21 09:08
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: y3VadgKj)
『大牙と猫とばーちゃんと』
「ありがとーございましたー。」
ある日、いつものように酒屋でアルバイトの毎日を過ごしていたリリィ。ちなみにいつもの猫モードのローブ姿である。
今日もお客さんを見送り、お辞儀をしてから中に入ろうとした、そんな時。
「…?」
どこからか視線を感じ、リリィは辺りを見回した。視線の主は…電柱の影にいた。
(何やってるんだろ、あの完二君っぽいけど似ても似つかない人…。)
影…完二に似ているけど似ても似つかない人—大牙は、リリィに向けてチョッ、チョッ、と舌を鳴らしている。どうやらリリィを誘っているようだ。
(…!)
何かを閃いたリリィは、一瞬ニヤリと笑ってから、大牙に尻尾を振りながら近づいた。
大牙はそれを見て、気があると思ったのか、嬉しそうな表情を浮かべた。
数分後…。
「お兄ちゃんの恨みっ!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!」
大牙の悲鳴が、辺りに木霊した。
「な、何じゃ!?」
悲鳴に気づいたのか、店の中にいた茜が駆けてきて、辺りを見回した。
そして、顔を押さえてうずくまる大牙と膨れ面のリリィを見つけ、何があったかを察し、駆け寄った。
「これ、リリィ。いきなり人を引っ掻いちゃ駄目じゃろう? すまんの、この子が粗相を…。」
「い、いや、大丈夫だ。」
「今、手当てをするから家の中に入るといい。おーい、救急箱を用意し」
大牙に手当てをしようと動く茜。だが…。
「おばあちゃん、この人だよ。元旦にお兄ちゃんを大怪我させたの。」
「…なんじゃと?」
リリィの言葉に、茜の表情は一変。笑みを消し、鋭い眼差しを浮かべた。あ、スイッチ入った。
うちの茜は孫大好き人間で、特に烈に怪我をさせた人間には容赦ない。
あぁ、鍛練等で怪我をさせた場合は、烈に「怪我も男の勲章じゃ。次は負けるでないぞ?」と言って手当てをしつつ、相手に「烈を強くしてくれてありがとうの。」と礼を述べるのだが…今回は事情が違う。
「…うちの孫を蹴り飛ばし、かつ謝罪なしな上にもう一人の孫も危険に遭わせたとな…?」
「いや、そっちのちっこいのには危害は加え」
「うん、怖かった…。」
怒りの表情を見せた茜に、しどろもどろになって答える大牙だが、その横でリリィがウルウル目攻撃を茜にした。あ、終わった。
「…ちょっと、来てくれんかの? なぁに、すぐ済むよ。ちょーっと、裏で、大人の話し合いをしようかのぉ…。」
ガッチリと、その小さな体のどこにそんな力があったのか、強い力で大牙を掴むと、店の奥に消えた。
…数分後、大牙の悲鳴が響き渡ったのは、言うまでもない…。
「自業自得。」
リリィはそう呟き、助けるそぶりも見せずに中に入り、店番を続けた…。
終わり
- ほのぼの日和 後書き ( No.772 )
- 日時: 2015/03/21 00:07
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: mSRzWlsB)
後書き de 雑談
私
—支部での生存確認とお仕置きの気分転換がてら書いた短編二つ。大牙君は不憫キャラな気がする。
昴
「リリィやローズが何で大牙を恨んでいるかは、元旦にあげた玉より食物を参照してくれ。後書きは読まなくても構わないけど。」
私
—早い話が大牙君の自業自得。
昴
「で、大牙はこのまま不憫にするのか?」
私
—一瞬かっこよくするよ。一瞬かも知れないけど。本当に不憫なのや悪人は分かりやすく作るから。メインメンバーに完全な悪人は作りません。
昴
「一時期な裏切りでの悪人は作るだろうがな。」
私
—逃走中とかで作る予定。本物の悪人もね。さて、話はもうないし、終わらせよっか。
昴
「じゃあ、この辺りで。またなー。」
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感想ok