二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: オリ+αによるボカロ替え歌小説 ( No.3 )
日時: 2015/01/31 14:02
名前: 小雪 (ID: 9ikOhcXm)

【アザレアの亡霊】
[孤独]

主人公:アルト(スマブラオリ)

そう気高く濁した、廃都市のような街。
姫の依頼を終えた俺はそこに戻ってきた。
いや、正確には依頼に失敗して報告にし来たのだが。
そこに立つ鉄塔を仰いだ街が姫自身なんだろうか。
「あいつらもな…」
仲間たちがいる潜める墓場。
負け犬の戯言は届かないか。
そんな街に大停電が降った。
「ああ、電球消えた」

最初にこの街に来た時、俺はどんな気持ちだったろう。
この世界に飽きていて、きっとここも味気ないくらい価値もない舞台だって思っていて。
「愛なんてねえよ…」
半透明の蜃気楼は白昼に腐った。
この街の人が笑顔で泣いていないのも情がないからだろうって思っていた。
「どうか幸せで——」
意味もない歌を歌っていた。だってつまらないだろ?
そんな街に
「あ、ねえ君…兵士やってみない?」
姫がいた。

鈍色の廻り廻る感情が重なり合った。
この大都会の愛と哀を熱く絡ませて。
「お、直った」
『人』を守る街は光を戻した。
その赤黒い雨が降って視界を塗りつぶす。
「まぶし…」
愛も知らないままで、汚れたまま。
声を絞り上げながらまた少し吐き出した。
平べったい言葉は静寂を切った。
俺はまだあの時のことを後悔している?
「姫…」
「あ、×××!依頼どうなった?」
「それが…」
「ああ、いいよいいよ!」
少しほっとしたのもつかの間で。
「そんな役立たずの兵士さんは排除しなくちゃね…」
「は…」
今までの穏やかな姫はどこにもいなくて、それは俺を狙う刃になった。
自己防御に独占欲が溶けた。
歯車のネジも群衆を駆けて。
最期までダメだった、捻くれた俺だ。
誰も、きっと許してくれない。

いや、もう俺は最初から狂っていたのかもしれない。
最近意識が虚ろになっていて。
じゃあこんな未来なら姫も愛も崩れ去れば
「鎖は解けるの?」
最期に見た夜光虫に似た街灯。
誘う月光列車。
湿る世界から姫をはじきだせば誰の物になるのだろう。
皮肉に咲いた街。

そこで廻り廻る感情は重なり合った。
この大都会の愛と哀を熱く絡ませて。
人を守る街は切なく尖った。
まるで姫の操り人形のように。
「誰か許してくれ…許して許して許して許して許して許して許して許して許して……」

ってただ身勝手な声を響かせていたあの日。助からないことだって仕方がないってわかってる。
人を守る街に姫はいなくなって。
それなら俺はこの乱闘と街の孤独な亡霊だ。
「部長、仕事して」
「してるよ!」
愛も知らないまま、生きつづけよう。