二次創作小説(映像)※倉庫ログ

特に意味のない短文 ( No.851 )
日時: 2016/03/27 18:30
名前: 抜間さん (ID: z/hwH3to)

特に意味のない短文そのじゅうご
『「おやすみ」を貴方に』

今回はあるカップルにスポットを当てた短文です。ここのところギャグばっかり書いていたので息抜きにノマカプ要素ありのほのぼの?な文章を書いてみたけど、うーん……やっぱりうちはギャグの方が向いてるのかも;
とりあえず、いつもの抜間さんらしいギャグ的な成分をがっつり網でこしとった残りカスに砂糖をスプーン2杯ほど加え、仕上げにシリアスをひとつまみふりかけたような文章になりました←





ある休日のこと。この日はカレンダーに赤印がつく休日の日及び、それに伴った大乱闘一日完全オフの日となっていた。そのため、多くのファイターが任天街やあらゆる世界に外出しており、外出しなかった僅かなファイターもトレーニングルームやら自室やらで思い思いに休日を過ごしていた。いつもなら「にぎやか」という言葉の手本とも言えそうな騒がしさのスマブラ屋敷は珍しく閑古鳥のすみかと化しており、唯一盛り上がりをみせている場所といえば(あれを盛り上がりというレベルで済ませていいものなのかはさておいて)、軍師先生による赤点者対象への特別補習授業真っ只中の勉強部屋ぐらいだ。


ゼルダ「久しぶりの休日ですね。せっかくですし、ずっと読みたかった小説を今日一気に読みきりましょうか♪飲み物はルキナさんから頂いたベリーティーをいれて…」

この日ゼルダは、屋敷に人が少ないならばリビングを占領して気兼ねなくゆっくり出来るはずと考え、ティーセットと買ったばかりの小説をおともにリビングに向かっていた。たまにはこういうのも悪くないと鼻唄を歌いながら歩く姿は年頃の少女そのものであり、いたって平和な光景だ。

ゼルダ「今日はいい天気ですし、過ごしやすくていいですね…あら?」

しかし、いざドアを開けてみれば誰もいないと思っていたリビングはすでに先客によって占領されており、広々としたテーブルやソファーが物であふれかえっていた。立ち上げっぱなしのノートパソコン、時間がたち冷えきったマグカップ、床やテーブルに散らばった紙と筆記用具、そしてソファーに見える緑色の服を着た人影…。


リンク「………」
ゼルダ「まあリンク、貴方もこちらにいらしたのですね?」


そこにいたのはスマブラチームのリーダー格であり、ゼルダの愛する恋人でもある時の勇者だった。思ってもみない先客にゼルダが顔を綻ばせながら恋人の名前を呼ぶが、少し待っても彼からの返事は一言も返ってこない

リンク「………」
ゼルダ「…返事くらいしてくださいな…こんなところでどうしたのですか?」

いつもなら私に気づけば優しく笑いかけてくれるのに…そう不思議に思ったゼルダがそっと歩みより、顔を覗きこむ。すると……



リンク「…すぅ、すぅ……」
ゼルダ「……あら?」



近づいてみて初めて気がつく静かな呼吸音と閉じられた瞼にゼルダは思わずキョトンとする。見ればリンクは大きなソファーを一人で陣取ってはいたものの、背もたれに力なく身体を預けた体勢で、さらによくよく見てみると左手にはシャープペンが弱々しく握られていた。 そう、彼はソファーに座ったままうつらうつらと夢の中に旅立っていたのだ。

ゼルダ「返事がないのはそういうことでしたか」
リンク「んー……」
ゼルダ「起こさない方がいいですよね…でも、こんなところで寝ていたら風邪を引きますよ?」

リンクのうたた寝の状態やテーブル周りの散らかり方、パソコンの画面に写された未完成の文章などから見るに、書類を作成している途中で急な睡魔に襲われてしまい、少し休憩するつもりで目を閉じたらそのまま眠ってしまったのだろう。ゼルダはリンクの手からシャープペンを抜き取り散らばった書類や筆記用具を集めてテーブルの上に置き、ノートパソコンを操作して画面をスリープモードに切り替えた。それからリビングに備え付けのタオルケットを持ってくる。


感想まだ。本格的なリンゼルを書くのは初めてかも

特に意味のない短文 ( No.852 )
日時: 2016/03/27 18:33
名前: 抜間さん (ID: z/hwH3to)



リンク「…すぅ…すぅ…」
ゼルダ「…………ちょっとだけなら、起きませんよね?」
リンク「…んぅ……」


しかし、リンクの身体にタオルケットをかけようとしたところで、ふと彼女の心にちょっとした悪戯心が芽生えたようだ。
辺りをキョロキョロし、リビングに自分達しかいないこととしばらくはここに来客はいないだろうことを確認すると、そろそろと移動しリンクの隣にぽすりと座る。

ゼルダ(お……起きないでください起きないでください起きないでください起きないでくださいぃ……/////)
リンク「……」

リンクの身体を支えながら彼を起こさないようにソファーに倒しながら、リンクの頭が自分の膝にくるように位置を調整。これによってリンクはゼルダの膝に頭を乗せながらソファーに寝そべっている、いわゆる膝枕の体制になった。

リンク「んー……すぅ……」
ゼルダ「ほっ…」


リンクは相変わらず眠っており、自分が恋人に膝枕されていることにも気づいていないようだ。なんとか起こさずに済んだことに内心ホッとしながら、自分の膝の上で目を閉じている恋人の顔をまじまじと見つめた。

今は閉じられた瞼の奥にある鮮やかなブルーの目を始め、凛々しい眉にすっと通った鼻筋…それらの顔のパーツ一つ一つがバランスよく整いその全てが調和しあった、いわゆる「美形」という言葉がふさわしい精悍な顔立ち。耳はハイリア人特有の長いエルフ耳であり、そこに付けられた青いピアスが光を淡く反射して控えめながらも存在感を主張し、持ち主の魅力を引き立てていた(本人曰く、ピアスは7年の眠りから覚めたらいつの間にか耳についていたものらしいが)。蜂蜜が溶け込んだような濃い金色の髪は癖のないストレートで、彼が身じろくたびにさらさらと揺れて輝いている。その髪にじかに触れてみたくなって、彼の頭にあった緑の帽子を外して自分より少し硬い髪質のそれを手櫛でそっとすいてみれば、ゼルダの指の間をするりと通り抜けた。


ゼルダ「……やっぱり、綺麗……」


ゼルダの口から思わず感嘆の声が漏れた。恋人の贔屓目を抜きにしても彼は外見内面共に魅力的であり、恋人持ちであることを公言していてもなお彼に近づく女性がいるのもうなずける。
額の真ん中で分けられた金色の髪を指先で弄びながらリンクの寝顔をじっくりと堪能するゼルダ。……しかしここで、彼の顔にあったあるものに気がついた。




ゼルダ「あら……これって、隈…?それに、唇が……」



ゼルダがリンクの目元を指先でなぞる。そこにはごくうっすらとだが確かに隈が出来ており、唇もわずかだか皮がむけてがさがさしている。よく観察してみれば眠りも浅いものであり、先ほど身体を動かしたのに起きなかったのは奇跡に近いだろう。
もしやと思いテーブルの上に積まれている書類やノートパソコンのデータを見ると、それは博識スキル持ちのゼルダから見ても明らかに時間も労力も費やすだろうことが想像出来る類のものであり、量もすごく多い。しかも飲み残しのコーヒーに至ってはコーヒー好きのファルコンやイシスが見たら確実に顔をしかめるぐらいに濃くて苦く、それも甘党な彼にしては大変おかしいことに、砂糖やミルクが一切入っていなかった。
…これらの事実が意味することはすなわち、一つしかないだろう。


ゼルダ「…リンク…もしかして、また……」




リンク「……ん……?」


と、もやもやと考えてながら指を動かすゼルダの指のむずかゆさに反応したリンクが身じろぎ、目を開いた。眠りが浅かったとはいえ寝起きなので完全に覚醒しきれてないのか、目をしきりにこすっては今の状況を理解しようとする。

リンク「…ぜる、だ…」
ゼルダ「あ、起きてしまいましたか?」
リンク「ん…思ったよりは眠れなかったけど…もしかして、膝…貸してくれてた?」
ゼルダ「はい、随分お疲れだったようなので。お仕事、大変なのですね?」
リンク「仕事………あ!!!」

ゼルダとの会話もおぼつかないくらいにぼんやりとするリンク。しかし、五秒くらい目をぱちくりさせた後に慌てた様子でがばりと勢いよく起き上がった。

特に意味のない短文 ( No.853 )
日時: 2016/03/27 19:04
名前: 抜間さん (ID: z/hwH3to)


リンク「…ーー!!!そうだ…書類、明日までなんだ!!今日中になんとか出さないと…(グイッ!!)おわっととと……!?」


しかし、ぐいっといきなり左腕を引っ張られたことでバランスを崩し盛大によろけてしまった。

ゼルダ「…私の細腕でもこうして引っ張れるんですから、体力的にも限界なのでしょうね…」
リンク「ぜ、ゼルダ?どうしたんだいきなり…離してくれないか?膝を貸してくれたのはありがたいけど、俺ならもう大丈夫だから」
ゼルダ「駄目です。リンク、鏡を見てみてください…目の下、隈が出来ていますし唇もすこしがさついてますよ?」

なんとか空いた右腕で倒れないように身体を支えるリンクの目線の先には、少しむくれたゼルダがおり、恋人を逃がすまいと両手でリンクの腕にしがみついている。

リンク「あぁ、これか?こんなの、少し疲れただけだからすぐに治るって…」
ゼルダ「いえ、普通に仕事をしているだけならあり得ないことです。寝不足と、あとはストレスがあるのでしょうか?」
リンク「ぎくっ!?まあ確かに眠いっちゃあ眠いが……」
ゼルダ「それだけではありません。思い返してみれば、今朝の朝食の時間も皆さんがフレンチトーストやオムレツをしっかりと食べていたなかで、貴方が食べたのはシリアルをごく少量だけ、しかも食べ終わって食器を片づけたらさっさと部屋に戻っていましたよね?」
リンク「うぅっ……;」

某異議ありな裁判ゲームの尋問パートの如くズバズバと突きつけるゼルダに、居心地が悪そうにうぐぅと唸るリンク。事実、これらの証拠は明らかに「彼は無理をしてます」と言ってるようなもの…このまま今のような無理をすれば倒れるのも時間の問題だ。
だが、当の本人は自分の体調を顧みずに何としても書類を書き終えようと躍起になるばかり。自分を見つめるサファイアブルーの瞳から目を背けつつゼルダの手をほどき、ソファーに座り直した。


リンク「でもそれはそれ、これはこれだゼルダ。なんとしても今日完成させなきゃやばいんだよ…」
ゼルダ「あの、さっきの言葉から察するにその書類は明日まで期日なのでしょう?どうして今日中に提出しなければならないのですか?」
リンク「だって、今日中には片をつけないと…その、明日に響くだろ?」
ゼルダ「明日……あっ……」

言いづらそうに言葉を濁すリンクの様子と「明日」というキーワードに、どうして彼が無茶をしてまで仕事をしていたのかをようやく察する




ゼルダ「…もしかして、明日のデートの予定を気にされていますか?」




実はリンクとゼルダは、二人揃って明日一日の有給休暇を運営に申請しており、それに合わせて有名なテーマパークにデートに行く約束をとりつけていたのだ。一ヶ月近く前から計画していたこのデートをゼルダは大変楽しみにしており、普段から多忙なリンクもこの日のために計画的に仕事を終わらせて当日に備えていた。しかし、デートの二日前になってリンクは、いきなりとんでもない量の書類の仕事を申しつけられてしまった上に、その書類の期日は明日までという二重の意味で最悪な事態になってしまったのだ。
明日という日をゼルダが楽しみにしていたことを知っていた時の勇者は、何とかして全て片をつけようとここ二日間で限度を超えた無理をしてしまい……


ゼルダ「……それで、その隈というわけですか…。しかもこれ、よく見たら料理対決の書類じゃないですか。もしかしていきなり仕事がきたのって…先日正式に対決が終了したから?」
リンク「ああ。あれだけスケールも被害も大規模なイベントだったから書類の量もすごくてな。渚は今進学に関わる大切なテスト期間で、それに専念したいっていうからファーエとソエルと俺とで分担しながら進めてるんだが、いかんせん提出期日がよりによって明日までで…」
ゼルダ「だからって、大乱闘や通常の当番や会議もあるでしょうに……貴方のことですから、空いたわずかな時間や睡眠時間や食事の時間を削っていたのでしょう?」
リンク「だって、これ(書類作成)を言われるよりもずっと前々からデートの約束をしていたんだし、ゼルダもあんなに楽しみにしていたじゃないか…」
ゼルダ「…………」
リンク「ほら、これ。休日だからゆっくりしにきたんだろ?」

リンクはゼルダが持ってきた本を手渡しながら「俺なら大丈夫だから」と不満げなゼルダの頭を撫でてやり、それから疲れた身体に鞭を打って、パソコンと向き合おうとした。


しかし……






ゼルダ「でしたら、私の持っている今日という休日の時間を全部貴方にあげます」
リンク「……は……?」



突然ゼルダがパソコンにのびかけたリンクの手をつかみ、素っ頓狂なことを言い出したではないか。これにはリンクといえど、完全に意表をつかれてしまった。
そんな藪から棒な発言に呆気にとられたままなのをいいことに、ゼルダは再びリンクの身体を自分の膝枕にもっていった。今度は疲れた身体に負担にならないようにゆっくりと、それでいて労るように自分の膝に導く。


リンク「休日を全部俺に…って、何を考えてるんだ?」
ゼルダ「そのままの意味です。貴方に、私が過ごすはずだった休暇をあげますので貴方は休んでください。その代わり私が代わりに貴方の分までこの書類を進めます」
リンク「…は、はぁ!!?いきなり何を言い出すんだ!!俺の仕事なのに、きみにやらせるわけにはいかないじゃないか!?」
ゼルダ「言っておきますが、私は本気ですからね?」


そう、ゼルダは今日の休日を使ってテーブルの上にある書類の山と今から戦おうというのだ。この量を本気で相手する気なのか…さっきまで自分もこの書類を相手していたことを棚に上げて驚くリンクだが、ゼルダはその言葉通り本気なようだ。
この知恵姫は意思が強く見た目よりも行動的な一方で、変なところで頑固な一面がある…彼女の性格を一番よく知っているリンクとはいえ、この展開は予想外であった。

特に意味のない短文 ( No.854 )
日時: 2016/03/27 19:13
名前: 抜間さん (ID: z/hwH3to)

ゼルダ「恋人である私にも貴方の仕事に干渉する権利くらいあります。安心してください、「仕事と私とどっちが大切なの?」などといういかにも男心を理解する気がないような発言は致しませんから」
リンク「気遣いは有難いが、何処でそんな言葉を覚えてきたかが気になるところだな;いやまぁ、大方どこぞの桃姫が吹き込んだんだろうけど…」
ゼルダ「ふふっ冗談ですよ。…ただ、私の休日を貴方にあげる代わりに、お疲れなリンクはもうしばらく私の膝枕で安眠するスペシャルコースを受けてもらいますからね。そこは譲れません」
リンク「ハイラルの王女直々の膝枕とはまた魅惑的なサービスだな…でも、その間ゼルダは動けないしどうするんだ?」
ゼルダ「貴方が休んでいる間にこの書類を出来るだけ進めてみます。大丈夫、私もDX組参謀としてよくデスクワークをしてますから慣れていますし、二人でやれば今日までにどうにかなるかもしれませんしね」
リンク「…それ、料理対決のだぞ?ゼルダ、色んな意味で大丈夫なのか?」
ゼルダ「…実技は確かにまあ………あれですが、知識はちゃんとありますから。それに博識スキルもありますし、運営の行っていたこともあらかた把握はしてますよ」

なんだか、自分が意図しないところで悉く自分の意見がねじ伏せられながら話が進んでいる気がする。リンクはこのままでは恋人に申し訳ないと、最後の悪あがきとばかりに彼女が楽しみにしていたデートの話題を使って反論するが……。



リンク「……もし明日になっても終わらなかったらどうするんだ?ゼルダがあんなに楽しみにしていたデートが台無しになるんだぞ?」
ゼルダ「…その時は予定を変更して明日を使ってゆっくり終わらせて、それから二人で過ごしましょう。私は貴方がいれば行き先は歩いて行ける近場でも全然気にしませんし、何でしたらお部屋にこもってゆっくりおうちデートだっていいじゃないですか」
リンク「え…」
ゼルダ「むしろそっちの方が、貴方を独り占めできそうですね♪」
リンク「………………」



ぐうの音も出ない、とはまさにこのことか。
リンクは、ゼルダの言葉と表情にあっけにとられたかのようにしばし目を見開き反論しようとするも、返す言葉が一向に見つからない。もはや完全に彼女に論破されている……。

だが、やや強引な言い方とは裏腹に「ね?」と微笑みながら頬をなでてくるその表情に、せっかくの休日や明日のデートの予定を台無しにしたリンクを責めたり侮蔑したりする様子など微塵も見られなかった。あるのは、疲れた身体に鞭を打つ恋人を純粋に心配する気持ちと、大切な人を慈しみ愛する、深く真っ直ぐな想いだけ。…結局、この恋人はどんな風にすれば自分を言い負かして諭すことが出来るのか、どうすれば自分にとって最善のシナリオに持っていけるかを熟知しきっているのだ。


リンク「…降参だよ…まいったな。これは俺達固定審査員の問題だからってせっかく誰にも言わずに頑張ってたのに、そんなことを言われたら甘えないわけにはいかなくなるじゃないか」
ゼルダ「恋人にくらい好きに甘えてくださっていいんですよ?むしろ、貴方に甘えていただけるなら本望です」
リンク「結局、ゼルダは全部お見通しってわけか……俺、一生ゼルダに敵わないかも。いやはや、何度きみに惚れればいいんだろうな?」
ゼルダ「ふふっ、それはお互い様でしょう。私だってリンクに敵わないところが沢山ありますし、何度貴方に惹かれたかわかりません」

ゼルダの言葉に敵わないなぁ、と思いつつ柔らかな笑みを浮かべ、リンクはゼルダの右手に自分の左手を重ねる。

リンク「…ゼルダ」
ゼルダ「はい」
リンク「………ありがとう…それから、心配かけてごめんな……」
ゼルダ「……そう思うなら、仕事や私を大切にする前にもっとご自身のことも大切にしてください…。いつも私のことを気にかけて大切にしてくださる貴方を、私も大切にしたいんですから」
リンク「…悪かったよ……」
ゼルダ「それに、過労でやつれたリーデットが旦那様というのはいくら私でもごめんですよ?」
リンク「うぐっ…とんだ言われようだな……;」
ゼルダ「もう少し私を頼ってくださってもいいのといつもおっしゃっているのに、私に黙ってこんな無茶をしたのですからこれくらいは我慢です。というわけで、後でリンクにはそれを沢山教えてさしあげなくてはいけませんね」
リンク「あははっ、お手柔らかにお願いするよ」
ゼルダ「ふふっ…」

二人はそのまま、互いを見つめあい穏やかな笑みを浮かべあった。



リンク「…ふぁ、あふ……」
ゼルダ「リンクったら……大きなあくびですね?」
リンク「…ごめん、もう限界かも…眠い…」
ゼルダ「心配せずとも私は貴方が望むならずっとここにいます。だから、今はゆっくり休んでください」
リンク「ありがとう…明日は、沢山可愛がってあげるからな……」
ゼルダ「ええ、楽しみにしています。」

と、リンクの口からふぁあとあくびが漏れる。彼の睡魔の限界を察したゼルダがタオルケットをリンクの身体にかけ、瞼を温めるように目元をそっと撫でる。限界を迎えた瞼はあっけなく落ち、ほんの数秒で時の勇者は恋人の膝に身を預けたまま穏やかな寝息をたて始めた。

ゼルダ「おやすみなさい、リンク」
リンク「ん……おやすみ、ゼルダ……」






ゼルダ「…………リンク」
リンク「くぅ……」

あれから数分、リンクが今度こそ深く眠りについたことを確認し、ほっと安堵するゼルダ。その表情は穏やかでありながらも、恋人を気遣い心配する気持ちがありありと浮かんでいた。


ゼルダ「…長い付き合いになりますが、無茶をしすぎるところは子供の時から治りませんね…まあ、そういうお人好しなところも含めて好きなんですけど」

…大変やっかいなことにこの勇者はたとえ限度を超えた無茶でも平気で挑戦し、限界ギリギリになるまで音をあげないという困った癖がある。しかも全くといっていいほど顔や行動に自分のピンチを出さないので尚更タチが悪く、そのやっかいさたるや一度過労で倒れて熱を出したこともあるくらいだ。忙しいのはまだしもぶっ倒れるのは流石に洒落にならないので、いつもならそういったリンクの変化に気づける人…例えば恋人である自分を筆頭に、親友のスマブラ四天王や副リーダー組として関わりが深いフォックス、剣士組の中では特につきあいの長いマルスとロイ、同一人物であるムジュリンや弟分兼自称一番弟子のオセロ天使などといった面子が彼をフォローし負担を和らげていた。だが、今回はピンチになったのか急だったこととリンク自身がそれを解決するために自分の部屋にいてばっかりだったのとで気がつくことが出来ずにいたのだ。

ゼルダ「我ながら少し強引でしたかしら?…でも、もうあれ以上苦しむ貴方を見たくなかったんです…ですからリンク、ゆっくりと休んでいてください」


リンクを大切に想う他の人達には少し悪いが、彼らではなく自分がリンクのピンチに気がつけてよかった、とゼルダは思う。どうせ予定もないままにだらだらともて余していた時間なのだから、頑張りすぎな恋人を独占しながらたっぷり甘やかして過ごすのも悪くないだろう。
ゼルダは、愛しいひとの体温を膝に感じながらテーブルの上のノートパソコンへと手を伸ばした。

ゼルダ「……さて、まずはデータを見てみましょうか。っと、リンクを起こさないようにパソコンの音量も消しておきましょうか」

……このあと二人が無事に書類を終わらせてデートに行けたか、それとも予定を変更して屋敷でゆっくり過ごしたかは、彼らのみぞ知る。


おわり


【あとがき】

はい、というわけでギャグのイメージが強いうちにしては珍しく、ギャグ要素が一切ない文章になりました。現在執筆しているサバゲーの続きが完全にカオスだったので、ここいらでちょっと息抜き的な文章もいいかなというわけで前々から書きたかったリンゼルのがっつりノマカプに挑戦。うちとしてはいつもの頼もしさはどこへやら嫁に敵わなかったリンクと、彼を気遣いながらも持ち前の大胆さで珍しくリンクを翻弄するゼルダが書けたので個人的には満足かなぁと。ちなみにこの翌日、リンゼルがどんな風に過ごしたかは皆さんのご想像におまかせします。
ちなみにタイトルの「おやすみ」二つの意味があります。寝る時の挨拶である「おやすみなさい」と、ゼルダがリンクにあげたおやすみ……すなわち「休暇」でさりげなくかけてます。うーん、我ながら単純;

とりま、今回はここまで。コメントおk