二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第一章:飛翔の暴龍/流星の悪龍 ( No.8 )
- 日時: 2015/04/11 23:55
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
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ポケモンとは、高度な戦術ゲームである。相手の構築から何をしてくるのかを読み、そして有利なものを繰り出すと同時に、その対策もされていると踏んで、現れると思われる仮想敵に対して最も適切なものを更に……といった具合に何手も何手も先を読んだ読み合いなのだ。だからといって深読みやガンメタ(特定のポケモンへの対策)をし過ぎるとドツボにハマってしまうなど、これがポケモン対戦の面白さといえるだろう。
さて、言ったものの翼は本当に勝てるか、心配だった。
ぶっちゃけると、相手のパーティ次第だったのだ。1に、厳選したポケモンを努力値振るだけ振ってレベルを上げるのを忘れていたのだ。
勢いに任せて行動した結果がこれだよ! という奴である。
よく考えてみれば、昨日は眠くて結局寝てしまったのだ。
仕方が無い。静谷と初めて戦ったパーティにはなるが、ある程度は改善を加えている。
本当にある程度、なのだが。
さて、パーティの見せ合いであるが、結局こうなった。
翼
ボーマンダ
メタグロス
ガルーラ
ファイアロー
ゲッコウガ
サンダース
御剣
ハッサム
ニャオニクス
ズルズキン
ウルガモス
ウォッシュロトム
ガブリアス
といった具合だったが、まず存在感を引くのがガブリアス、である。現環境トップメタ、高い攻撃種族値130と多くの100のポケモンに対する嫌がらせのような102という素早さ種族値。
この2つの要素に加え、さらに高い耐久と加われば、硬い・速い・強いの三拍子揃ったポケモン・ガブリアスの完成である。
ボーマンダももう少し素早さがあれば、今の環境でも使われていただろう。少なくとも、ガブリアスを超える素早さを持っていれば、という話だが。
そして、構築から見て翼は1つの結論を出した。
--------積みパ、だな。ガブリアスはステロ播きだろ。
積みパーティ、略して積みパ。先発の補助ポケモンからエースにつなぎ、剣の舞や竜の舞など自分の攻撃面の能力を底上げして相手のパーティを崩壊させるパーティだが、この場合ニャオニクスかウォッシュロトムがリフレクター・光の壁を貼るか(それぞれ物理・特殊技の威力を2分の1にする壁を5ターンの間貼る)、ガブリアスがステルスロック(交代で出てきた相手にそのポケモンの最大HPの8分の1ダメージを与える。さらに、タイプ相性に左右される)を撒いて後続が積む起点を作るか。この3体のうち、どれかが出てきて、残り2匹はエースで間違いないだろう。
しかも、2匹も壁貼りということはないはずなので、ウォッシュロトムは物理受けで間違いない。
ウルガモスは無いはずだ。ファイアローに対して弱すぎる上にボーマンダが岩技を持っている可能性も捨て切れないはず。
加えて、ファイアローはウォッシュロトムを除けばガン刺さり。等倍以上で通る。
そのため、ウォッシュロトムは出てきてもおかしくはないとは思う。何せ、こいつに弱点を突ける草タイプの技を持つポケモンが、翼にはいない。
……ということは、ファイアローの枠を別のポケモンに変えた方が良いか。
後は、多少リスキーでもウォッシュロトムでファイアローが処理できると考えて、”あいつ”は出てきてもおかしくはない------------
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対戦開始のゴングは今、鳴った。
翼からすれば、初手はガブリアスかニャオニクスと予想している。その2匹に役割が持てるポケモンを繰り出した。
親子ポケモン・ガルーラ。メガシンカ後の特性・親子愛は自分が攻撃した後に、威力を0.5倍に弱めた攻撃をもう一度行うというもの。
そして、使うたびに攻撃を一段階上げるグロウパンチを使えば、攻撃が二段階上がり、最早誰にも止められない。
ウォッシュロトムを後だししても無駄だ。
「ガルーラ、頼んだぜ!」
「へっ、予想済みだ。行け、ガブリアス!」
ステルスロックを撒かれてしまえば、ファイアローやボーマンダは弱体化される。
しかも、下手にグロウパンチや恩返しを撃てば特性・鮫肌と接触判定2回によって、体力を4分の1削られ、その後に逆鱗で大きく削られて後続の技で終わる。
物理型メガガルーラなら、無理矢理にでもグロパンで積むか、恩返しを撃つところだろう。
「行くぞ、ガルーラ! メガシンカだ!」
【ツバサのメガストーンとガルーラのガルーラナイトが反応した!】
【ガルーラはメガガルーラにメガシンカした!】
翼のキーストーンと、ガルーラのメガストーンが反応し、ガルーラが進化を超える進化、つまりメガシンカした。つまり、翼はそのまま突っ張らせるつもりなのだ。
「一気に、叩き潰すぜ!」
「へへっ、来たな! だけどよ、グロパンで積んだ所でよ、無駄だぜ!」
そして、素早さで勝るガブリアスが地面を踏み鳴らした。
【ガブリアスの地震!】
地震だ。
こちらがグロパンを放った場合は次のターンにステルスロックで不意打ちの選択肢を消される。そして、考えたくは無いが、読み違えて隙を突かれれば倒され、そうでなくとも最低限ステロを撒くという仕事はされる。
地震でこちらに入ったダメージは40%程度。次の逆鱗で倒される。
しかし、それはあくまでも”物理型メガガルーラ”の話だ。
「ガルーラが”殴る”って、誰が言った?」
【ガルーラの冷凍ビーム!】
瞬間、ガブリアスに青い筋の光が突き刺さった。
流石大正義ガブリアス、不一致冷凍ビームで一度目は踏みとどまったが、二度目は無い。
【二回当たった!】
そのままカチンコチンに凍って倒れてしまった。
ガブリアス:残りHP0%
「あ、が、な、何だと……!?」
あんぐりと口を開けた御剣は搾り出すように声を発した。
一撃。自分のガブリアスがたったのワンパン、いやツーパンで沈んだのが信じられないのだ。
ふぅー、と翼は息をついた。ガルーラが削られた以外は特に何もされていない。これだけの被害で済んで良かった。
「最初はよー、変体型のつもりで作っていたんだが、レートでも居るらしいぜ、特殊型。数はそこまで多くは無いらしいけど」
これが、速山 翼のスタイルだった。テンプレ構築に見せかけて、その中に地雷・あるいは意表を突く技を繰り出す。役割破壊程度のものではあるが、それが思っても見ないところで役に立つこともあるのだ。
加えてガルーラなどの怪獣グループは、物理寄りのポケモンでも意外と多くの特殊技を覚えることができる。
それも、冷凍ビーム、吹雪、10万ボルトに雷、火炎放射に大文字。4倍弱点を突けることが多い3タイプの技に加えてシャドーボールも。
メガシンカによって、特攻も少し上昇する。つまり、親子愛込みの冷凍ビームで耐久無振りガブを落とす程度の火力は出るのだ。
そして、クレセリアやデスカーンなども身代わりからのシャドーボール連打で勝てる。
その代わり、普通勝てる相手に対して勝てなくなってしまうところがあるが。
「さて、ここからだな」
敵のポケモンは残り2匹。
1ターンで落とすことが出来たとはいえ、まだまだ油断ならない。
「テメェ、1ターン目から舐めた真似を……!」
唸る御剣。
そして、次に繰り出したポケモンは----------
「こいつはどうだ!! 行け、ロトム!」