二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第二章:携帯獣対戦のすゝめ ( No.18 )
日時: 2015/02/15 13:49
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「いや、ストップ。そんなのおめーらがやれば良い話」

 ガタリ、と立ち上がった御剣がドスを利かせた低音ボイスで詰め寄るが、それに臆した様子も見せない翼はサラリ、と

「どーしよっかなー、どーしよっかなー、こないだお前らがやらかそうとしたこと、全部先生にちくっちゃおうかなー」

 笑い声混じりに言うのだった。
 無論、これは本気ではない。翼とて、大事になるのは避けたいのである。
 避けたいのであるが、最凶のカードをチラ付かせておき、事を有利に運ぶ。翼の中の交渉の常套手段の1つである。

「ぐむむむ……」
「いーじゃねぇか、別にこれくらい。それとも後輩相手の対戦ですら怖いのか」
「るっせぇ! んな脅し食らおうが食らわまいが、自分から行ってやる!」

 御剣がそう叫んで出て行った後、翼は「ちょろい」と言いかけそうになったのだった。
 静谷曰く「翼、こいつ使える」。
 翼は「うん、まあこれからも色々協力してもらうか」とゲス顔。
 が、間もなく御剣が「どこの教室だ?」と聞きに戻ってきたのでずっこけた。

 ***

 -----------とは言ったものの。
 まず、御剣は翼達が仕返しに自分をどこかに連れ込んで----------というのは何となく無い気がした。
 翼の先日の言動からそんな卑劣な仕返しをする下郎には見えないので、仕方なく今回の誘いに乗ったのである。
 つー訳で、ボロい空き教室に来たわけだが。怪しさ満載である。こんな教室よく見つけたなー、と。
 中に入ると、元は普通の文化部部室だったのが、その部が無くなって寂れている、というのが率直な感想である。
 鍵は壊れており、入れるようになっていた。教師も生徒も好き好んで旧校舎のこの教室には近寄らないのであるから、バレなかったのだろう。

「おい、夏奈。こいつがお前の対戦相手、御剣だ」

 ぱっと見は、素直そうな少女だった。その後輩というのは。ただし、ぱっと見なので、まだ信用ならないが。
 と、疑心暗鬼に陥ってみる。仮にもこの後輩を紹介したのは、”敵”の速山 翼だぜ、と。
 ---------しかし、初心者の後輩の初陣相手に回されるって、完全に俺は舐められているんじゃねえか? 

「今日、わざわざ来てくれたんですよね! ありがとうございます!」
「お、おう……こっちこそよろしくな」

 ---------何だ、普通の女の子じゃないか。
 面倒くさいのを押し付けられたかと思ったので、内心ヒヤヒヤしていたのである。

「だが、やるからにゃあ、手は抜かねぇ。勝たせて貰うぜ!!」
「こっちこそ!」

 
 ***

 <選出画面>

夏奈
バシャーモ
ガブリアス
グレイシア
ゲンガー
ウォッシュロトム
ヌメルゴン


御剣
ハッサム
ガブリアス
ウルガモス
ズルズキン
ニャオニクス
ウォッシュロトム

 
 ---------ガッチガチだなぁ、オイッ!! 600属が2体かよ。
 はっきり言おう、やはりこのパーティは高速炎アタッカーに対し、弱い。
 ウォッシュロトムがいるのは、まだマシなレベルではある。格闘で等倍取られてしまうが。
 それだけではなく、嫌な予感しかしない600属が二体。

(選出では夏奈が有利だな。バシャがいるだけで、相手の選出を縛れちまう)
(翼のときもアロー警戒でウォッシュロトム出してた。ぶっ刺さりだから仕方ないんだけど)
(ただし、思ったほど突破は簡単じゃねえぜ。御剣には、バシャ対策がもう1体いる------------!!)
 
 ----------しかもバシャまでいる、もう初手降参安定----------なーんて、んな訳ねぇだろうが! 自分の弱点把握してねぇプレイヤーはプレイヤー失格だ、俺様だって自分のパーティに何がガン刺さりか分かってらぁ!!
 ニャオニクス、だ。
 リフレクターを張ってしまえば、バシャの攻撃など、簡単に遮れるのだ。
 夏奈に聞こえないように離れて小声で話している翼と未歌は現在の状況を吟味していた。

(特に欠伸無限ループはうざってぇことこの上ねぇ)
(欠伸の代わりに麻痺撒きで電磁波を搭載してるかも)
(それもやべぇな。夏奈はどうするんだろう?)
(……嫌な予感)

 そう。ニャオニクス♂の夢特性は”悪戯心”。先制して、リフレクターや光の壁、電磁波、欠伸などのうざったい補助技を撃つことが出来る。
 つまりバシャーモにも強いのだ。
 ---------壁込みならばH振りでもメガバシャのフレアドライブ確定3発!! 返しのサイコキネシスで確定2発!! しかし、フレドラの反動で1撃で行けるはずだ! 万が一、珠両刀だった場合でも、HD特化だから問題なし、珠物理なら余りにも大きすぎる反動で落とす!!
 今回、夏奈のバシャーモにはニャオニクスが鬼門になりそうである。
----------後は、H90D150という、ギルガルドシールドフォルム以上の特殊耐久を持つヌメルゴンがきついな。ならば、こいつとこいつで落とすまで!! グレイシア? 知らん。出てきたらこいつで焼き払うまでだ!

 ***

 ---------うわあ、強そうなポケモンばっかりだよ。
 ウルガモスはかつては環境トップだったと言うし、(転落の原因は赤い害鳥)ハッサムも同じだ(こちらも赤い害鳥には成す術が無いが)。
 それだけではなく、環境でも物理受けとして名を馳せている、あのドラム缶洗濯機はバシャーモの飛び膝蹴りでも一撃で突破するのは不可能。返しのドロポンで沈むのが見えている。
 ---------”相手のポケモンが強そうに見えるのは良くあることだ、気にするな。それよか、自分のポケモンを信じろ”って、先輩は言ってたけど。いや、大丈夫。とりあえず、相手のパーティにはバシャーモが刺さっているから、絶対確定で選出して----------
 夏奈からすれば、初めてではないだろうが、ガチパに乗り換えてからは初の対人戦だ。プレッシャーは半端が無いだろう。
 対戦の駆け引きだとか、そういうことだが翼曰く「まずは、お前の思ったとおりにやってみろ」とのことだった。
 ---------とにかく、ハッサムは流石に出てこないよね? ズルズキンも出せないと思う。バシャーモに強いニャオニクス、ウォッシュロトム、ガブリアスの3体のどれかは出て来そうだけど、それなら特殊2体に強いヌメルゴンで脇を固めれば良いよね! 後は……。

 互いに選出が決まる。
 そして、この試合の流れを決める”初手”が繰り出されようとしていた---------