二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 追加戦士に憧れて 【しゅごキャラ!×スーパー戦隊】 ( No.6 )
日時: 2016/05/15 13:13
名前: 夜星 ◆Cy8HiY0qWk (ID: byaeXgri)

「み……ミコト、くん?」

「よ、よう、日奈森」

 さて、跳んで来たは良いものの……どういう状況なんだろう。

 ヒイロに煽られて反射的に来たけれど、考えてみれば状況把握なんて出来よう筈もないし、そもそも助けが必要なのかもわからない。

「……」

 男の方は、唖然としている。

 長身でひたすらに黒一色。

 ある方面の美男子として完成された姿だが、それを壊す要素が二つ。

「……猫?」

 猫耳と、猫の尻尾。意味が分からない。室内ならばともかく往来でこのような恰好。

 もしや趣味なのか。変態だ。その手の趣味嗜好に理解はあれど、こうして前にするとやはり顔を引きつらせるほかない。

「……お前も、キャラ持ちか」

 男は俺に付いて浮遊するヒイロを見ながら言う。

 見れば男の隣にも、同じような小人がいるではないか。

「あれ……日奈森にも?」

「へ? あ……」

 そして日奈森の方も見ると、チアリーダーを彷彿とさせる少女の小人が浮いている。

 こいつら……全員しゅごキャラ?

「——ハッ! ちょ、ちょっと、ナイスミコトくん! アレ! アレ取り返して!」

「アレ?」

 我に返ったように男を指さす日奈森。

 正直あまり視界に入れたくない人種だったのだが、仕方ないか。

 目を向けると、男は見せびらかすように手に持ったモノを揺らす。

 ——タマゴだ。ヒイロが孵ったものと同じような、カラフルなタマゴ。

 取り返せってつまり……盗まれたと?

「お、おい! さっさと退散するぞイクト!」

 男のしゅごキャラだろう猫耳尻尾の小人が叫ぶ。

 反射的に猫の俊敏性を思い出し、行動に移すまで、自分でも信じがたい速度だった。

 駆け出して、ウイングペンタクトを振るう。

 咄嗟に下がった男に当たることこそなかったが、ポロリとタマゴが手から零れ落ちた。

「——危ねえ!」

 追う。一つ——緑のタマゴをキャッチし、

「日奈森! キャッチ!」

 放り投げる。わ、わ、わと慌てる声が聞こえたが、それどころではない。

 もう一つ——青のタマゴに向かいもう一度手を伸ばし——取った。

 しかし同時にようやく理解する。

 自分が無謀にも鉄柱から跳躍していたことに。

 着地を想定して跳んだ訳でもない以上、すぐにそれに移行することも出来ず——

「ヤバ——」

 とにかくタマゴを守るように身を丸めながらも、落ちていく。


 ————翌日。今朝から、否、昨日からどうにも実感が湧かなかった。

 しゅごキャラだのなんだの、昨日一日で起きた異常があまりにも自分の理解できる領域をオーバーしてたから。

 一先ず、俺は生きている。

 しかしながら、あの落下でどうにかなったのは俺の力でも日奈森の力でも、ましてあの男の力でもない。

 そこに居合わせた四人目。辺里のおかげだ。

 タマゴを取り返せたはいいものの——結局、辺里に良いところは取られてしまったことになる。

 まあ、こういうと何だか後悔しているようにも聞こえるが、案外そうでもない。

 やるべき最善は果たせた。

 出来ることは、あの程度だっただろう。

 さて、そんな俺には新たな問題が付き纏っている。

(おいゴースト、くれぐれも余計なことするんじゃないぞ)

「だから幽霊じゃねーっての。俺はしゅごキャラだ」

 この小人、ヒイロの存在である。

 どうやら一部の人間にしか見えてないようで、家に帰る分にも学校に来る分にも問題はなかった。

 しかしこれに付き纏われているのは何というか、幽霊に憑りつかれてる気分なのだ。

「はぁ……ったく」

 悩みの種はもう一つ。

 それは今、俺の手にある。

「行きたくないっての……どうせコイツみたいなのの巣窟だろ」

 学校に来て早々、日奈森と俺に渡された、ロイヤルガーデンの茶会への誘いである。