二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート1:謎の敵(6) ( No.10 )
- 日時: 2015/02/18 20:20
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「ば、バカ、ナ……我々ノ……ソラヘ……ノ、夢……ガ」
黒い影は揺らめく。そして、その姿も何だったのか分からないくらいぐちゃぐちゃになっていくが、最後に一瞬だけ”何か”になった。
---------タツベイ。ボーマンダの進化前のポケモンのタツベイだった。
「オギャア、オギャア、オギャア……」
突如、小さなこの竜は咽び泣くような声を上げる。
「これは……」
「どういうこと、かしら……」
赤ん坊の咽び泣き。苦しさが伝わっていく。
そして、その姿はデータの塵となって再びこの空間に還っていく。
しばらくし、タツベイの姿は影も形も無くなっていた。
ようやく、その最期を見届けたボマーが呟いた。
「同属の恨み……だったのか、それとも……」
どちらにしても哀れだな、と呟くと踵を返し元の姿に戻る。ずれたサングラスを押し戻し、皆の居る方へ向いた。
そして、その方向に向かって-----------倒れた。
慌ててアクアが駆け寄ってくる。
「わり、ちょっと疲れたわ……かっこ悪いな、へへ」
「良い所全部持っていって何ほざいんてんですか、アンタは」
アクアに担がれると、ボマーは呟いた。
「あそこのステロ……此処までを見越してやったんじゃないか?」
「あれは僕のミスです」
「お前がミスなんて珍しいと思うんだが」
「それでも、あそこで吼えてマンダが出ようがブシンが出ようが、ステロは撒けましたし、どう転んでも大丈夫だったとは思いますよ。貴方の運もあれば」
確かに、その通りだ。最終的には結果オーライではあったが。
「それと、一撃技がどうだとか言ってましたが……一撃技は命中率上げても成功率は30%のままですよ?」
沈黙した。似たような戦法にやられたことがあるフレイも押し黙った。
作者もついさっきまでは知らなかった。
これが所謂、注意書きにある”にわか発言”である。
「……嫌な……事件だったな」
「ええ、ある意味ですね」
***
「ほんっとう、心配したんだからっ!!」
膨れて、フレイは怒鳴った。
「こっちだって同じだ、くたばったかと思ったじゃねえか!!」
しかし、負けじとボマーも怒鳴り返す。
「あたしはBD種族値90よ、あんたと違ってメガシンカしなくても丈夫なのよ! 種族値に無駄がありすぎるあんたと違ってね!」
「誰の種族値が無駄だって、コラ」
「アンタ以外の誰がいるのよ!」
あーあ、折角良いところだったのに、このザマである。ボマーとフレイ、この2人が会うなり、また口喧嘩が始まってしまった。
「流石AC145コンビ。口の火力も伊達じゃない上に持て余してるから、こうやってぶつけるしかないんでしょう」
「種族値で言えば、メガボーマンダの攻撃とシャンデラの特攻って同じなんだよね」
「どっちもアホみたいな火力してますから、あいつら」
はぁ、と溜息つくとアクアは辺りを見渡す。
多くのポケモン達が担架で運ばれたり、その場で応急処置を受けたりしていた。
「さて、他の皆様も病院に行ったりなんだりですが……ガブリさんが重傷のようです」
「倒れるまで先陣切って戦ってたらしいね」
「虚しい限りです。僕らが早く着いていれば」
それと、とアクアは付け加えた。
「まずは、この脅威が何なのか……ってことですが」
呟き、そして思考する。
---------奴はタツベイ達の恨みが何だとか言っていた。ひょっとして、厳選の過程で淘汰されたポケモン達の怨霊のようなものか? しかしこのデータ空間にそんなものが有り得る訳が無い。
「……幽霊? 怨霊? ゴーストポケモンの仕業……にしては度が過ぎている?」
「ゴーストタイプの所為にされるのは正直心外だなー」
口喧嘩が終わったのか、フレイがやってくる。見ると、ボマーは少ない体力から、フレイのシャドボを食らったのか伸びていた。
「す、すみません、失礼しました」
「でも、消えたはずのデータの塵が集まって----------っていう話は聞いたことがあるよ。ただ、それでも何らかの”統一される意思”が無ければ成り立たない、つまり裏で誰かが操っていないといけないみたい」
「じゃあ、今回の件は逃がされた、つまりデータ上では消去されたタツベイ達のデータの塵を、誰かが集めた結果、起きたってことですか」
「うーん、どうかな……何か引っかかるんだよね……」
「でも、此処までの騒ぎになったら、ゲームサーバーを管理している本部も手を打つんじゃない、あっくん」
「そうなったときは-----------」
アクアは続けた。
「僕らも再び戦わなければいけないかもしれません。この未知の脅威と」
***
「じゃあ、俺らはそろそろ帰るわ」
3人は手を振り、邸から去ろうとする。本当、散々な目に遭った。
早く帰りたいところである。
「待ってよ、ボマー」
フレイが表まで追いかけてきた。彼女はもじもじと恥ずかしそうにしていたが、声を振り絞って言った。
「……今日はありがとう、助かったわ」
「何を今更。仲間だろ」
「……そうね」
じゃあね、と手を振って彼女も邸に戻ろうとした、そのときだった。
ひゅるるるるる
花火の音のようなものが聞こえる。
空を見上げると、それに似たようなものが打ち上げられているのが分かった。
そして、それは空高い場所で-------------爆発した。
その際に光が6つに分裂し、それぞれの場所に飛んでいくのが見えた。
「おい、アクア。今日は花火なんか上がる祭りってあったか?」
「ないですね」
「じゃあ、これは何だ?」
「知りません、が------------少し気になりますね」
しかし、飛んでいった方向はいずれも此処から遠い。追いかけるのは少々、非現実的か。
「また明日、調査するとしましょう」
「そうだね!」
「じゃあ、明日も皆9時に此処に来てくれない?」
というのは、フレイの提案だ。
「ちょっと今の、あたしも胸騒ぎがしてね……」
ということだったのだ。
「じゃあ、明日の朝9時に此処に集合だ! 良いな!」
「オッケー!」
「了解です」
「話が纏まって来たわね。後輩達もBOH(バトルオブ・ホウエン)で相当成長したみたいだし、あたしも頑張らないと、ね」
***
-----------イマイマシイ……ケイタイジュウドモメ……!!