二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 番外編:パート1 ( No.102 )
- 日時: 2015/04/03 21:41
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「ちーっと、やりすぎちまったか。反省」
気を失ったルルを背負い、ドーラとメタンは帰路に着いていた。ギャング共は全員重症。一応救急車だけは呼んでやった辺り、彼の良心は残っていたのであろう。
「あの流星群……もしもルルさんがフェアリータイプじゃなかったら、彼女もやられていたところです。もっと冷静になってください」
珍しく、真面目な声でメタンが言った。
確かに、彼女がフェアリータイプでなければ、さらに彼女にダメージを与えていた可能性するある。
「ふん、大怪我は負わせねぇよ。金の無駄遣いってんだ」
「全く」
だが、そこまでドーラは馬鹿ではない。例え、キレていてもどっかの空飛びバカとは違い、冷静な判断力だけは頭のどこかで持ち合わせ続けている。
だけど、とドーラは呟いた。
「……こいつを汚そうとした、あのギャング共が許せなかった、それだけだ」
本当にキレたのは間違いないようだ。
「口汚く罵り合ってはいますが、貴方達本当は仲良いんじゃないですか」
「黙れ。ただの腐れ縁だ」
はぁ、とドーラは溜息をつく。
「俺が何でこいつと、始末屋なんてあぶねー仕事やってるのか、お前知ってるか」
「はて。私の知る限りではその理由は記憶にないですね」
メタンが困ったように言うと、彼は言った。
さっきまで、ずっと止めていなかった足を止めて、その場に座り込んだ。
裏路地の一角で暗いが、落ち着いて話せるであろう。
「……どうしても始末してぇ奴がいるからだ」
「始末したい奴、ですか?」
「……ああ。どーしても俺がこの手で掛けないと気が済まん奴だ」
ドーラは溜息をつく。どうしてもこの手で消さなければならない敵。
そのために彼は始末屋をやっていた。
「そいつは、まるで影のような野郎だったらしい」
「らしい? ではドーラさんはそのことを間接的にしか-----------」
「ふぁ〜あ」
メタンが、声を発そうとしたそのときだった。ドーラの後ろから、大きな欠伸が聞こえた。
見れば、ルルが目を覚ましているようだった。
「……んあ? ドーラぁ?」
「目ェ覚ましたのか」
うん、と頷くとルルはドーラの背中から降りる。
「ごめん……ドーラ。今日迷惑一杯掛けちゃったね……」
「いや、良いんだ。こっちは、既に迷惑なんざ慣れた」
「……そうだったね」
強張っていた彼女の顔は、だんだん綻んできた。
一方のドーラは、いまだ強張った面付きであったが。
「次の仕事は、休むか? ルル。怖かっただろう。俺としては----------」
「バカ。何でボクがこの格好してるのか、分からない訳じゃないよね」
いつもの、尖ったような言葉で、彼女は答えた。
「この姿は、覚悟の証。髪を切ったのも、男のような格好してるのも、ずっとドーラとこの仕事をやっていきたいと思ったから。もう、後戻りはしないって決めたから」
髪を切ったのは、舐められるからとかそういう理由ではなかった。一生、ドーラに始末屋のルルとして着いていくと決めたから。
そのために、女を捨てたかったから。
彼女の覚悟は相当なものだった。
「馬鹿か、おめー……んじゃ、心配掛けんじゃ……ねーよ」
「ドーラ?」
俯く彼の顔を覗き込もうとするルルだが、先にドーラが顔を上げた。
「おめーら、行くぞ! もたもたしちゃ、いられねぇ!」
「ねぇ、次の仕事は洞窟で暴れる格闘ポケモンの討伐とかどう?」
「俺を殺すつもりか!」
「ははは、このパーフェクトゥな私のサポートがあれば、簡単ですよ!」
「いや、無理があるだろ!」
突っ込んだ彼であったが、仲間は増え、この仕事も少しはやりがいのあるものになってきたか、と安堵の息を零したのだった------------