二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート7:暴龍警報(11) ( No.115 )
日時: 2015/04/22 00:37
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「続報です!! 中央区域に向かって進軍しているドラゴンが、遂にそれぞれのエリアへ辿り着きました!!」

 セキュリティプログラムの1体が、叫ぶ。
 そして、モニターには6体の映像が映し出されていた。
 この映像は、中央区域にも流されている。
 街のポケモン達は不安そうな顔で、その光景を見ていた。

「北より、キングドラ接近中!! 氷海水域の流氷を砕き、海を裂いて進んでいます!!」
「東より、オノノクスが中部緑域に辿り着きました!! 森の木を破壊しています!!」
「西より、群雲街域にヌメルゴンが侵入!! 粘液に触れた場所が、次々に溶解していきます!!」
「西南より、雷電械域にガブリアスが出現!! 電気を絶ち、発電所を破壊していきます!!」
「南から、天獄峡域にサザンドラとカイリューが現れました!! 熱線であらゆるものを破壊していきます!!」

 あらゆるウイルスプログラムを試したが、破壊される気配はない。
 打つ手なし、と全員が諦めムードに包まれた時だった。

「あ、あれ、これは-----------!?」

 
 ***


 軟体龍・ヌメルゴンは、そこで進むのをやめた。身体はどす黒いオーラに包まれており、ファンシーな目は空ろだった。
 その目をきょろきょろ、とあちこちに向ける。
 殺気をふと感じたからだ。
 次の瞬間-----------ゴミ箱が四方八方から”出現”した。
 
「-----------ダストシュート!!」

 そして、それがヌメルゴンへ向かっていき-----------爆発する。
 
「-----------忍法、不法投棄(ダストシュート)。良い子の皆は真似しないように」

 汚いな、流石忍者きたない。
 ゲッコウガの姿となったクナイは、既に罠を仕掛けていた。
 誰もいない、無人の街に。
 大量のゴミ箱は、いずれも光学迷彩で加工されており、ヌメルゴンが近づいた瞬間に現れ、飛び出すようにされていた。
 ヌメルゴンの物理耐久は高くは無い。
 塩を掛けられたナメクジの如く、どろどろ、と溶けていく。

「……む?」

 視界が薄暗くなった。
 

『データ再構築。肉体を転送します』


 次の瞬間、ヌメルゴンの龍の波動が至近距離でクナイの体を焼き尽くした------------ように見えた。

「成る程。再生能力に加えて、その際に近距離ならばワープできるのか」

 ヌメルゴンは、倒したはずの敵の声を聞き、その方向へ向き直った。
 建物の屋根の上に、クナイの姿が。

「残念だが、それは身代わりだ。拙者の速さを舐めるな」

 傷を負っていたとは思えない程の早業で、彼は答えた。
 ----------ガメリオ達が何をしているかは知らん。だが、この街を救ってくれたあいつらに、せめてもの恩返しをしたい!!


 ***


「ギッシャアアアアアアアアアアアアアア!!」

 ハサミギロチンにより、森の木が次々に倒されていく。
 牙王龍・オノノクスだ。
 チャモの首を跳ね飛ばした、その斧のような牙で、何も考えずに直進していく-------------が、そこで進むのをやめた。
 いや、それ以上進めなかった。
 頭が吹っ飛んでしまったからだ。

「チャモって奴にも同じことやったんだろ? お相子だ」

 そこには、メガジュカインとなったラプターの姿があった。
 しかし、これで終わるとは思っては居ない。
 すぐさま、肉体を完全に再生させてしまう。

「ギッシャアアアアアアアアアアアアアア!!」

 興味をこちらに向けたようだ。
 オノノクスにとって、ラプターはすぐに壊れるおもちゃ、という認識でしかないからだ。
 だが、その認識は間違っている。
 速い。
 あまりにも速過ぎて、オノノクスには着いて来られないのである。

「密林の覇者の異名は、伊達じゃねえ!!」

 二撃目の龍の波動が、オノノクスの胴体を貫いた--------------



 ***


 海底龍・キングドラは、見境なく氷海水域の氷を叩き割った。
 そして、渦を巻き起こし、ただただ暴れ狂う。
 氷海水域の寒冷気候など、水タイプを持つこの龍には関係のないことだった。
 しかし。
 

「ふんぬっ!!」


 海底龍は、周囲の海水諸共一瞬で、凍り付いた。
 メガユキノオーと成ったユキキングが、そこに佇んでいた。
 
「王を名乗る資格は、貴様には無い」
「グギュルギュルギュルルリリリリリリ……!!」

 呻き声を喉で上げるキングドラは、氷を叩き割り、再び現れる。そこに開いた穴から海へ潜った。
 逃げたのではないことは、当然ユキキングも理解している。
 そして、再び不意をうって攻撃するつもりなのだ。
 氷を破り、敵の背後を取ろうと氷の海面へ思いっきり浮上するキングドラだったが----------


 ゴツン!!


 氷は砕けない。
 見れば、何か細いものが氷のフィールドに食い込んでいる。

「すまんのう。根を張る、で此処ら一帯はもう補強した。海底から氷を砕く不意打ちは通用せんぞ。しかも、根は氷の小さなヒビから奥まで通している。無論、海水までな-----------」

 次の瞬間、巨大な根がキングドラを捕らえた--------------


 ***


 海王龍・カイリューと、凶暴龍・サザンドラは、天獄峡域を破壊しながら進んでいた。
 しかし、ふと動きを止める。
 メガピジョット、トゲキッス、エアームド。

「……此処は通さん。下郎が」
「神に誓い、貴方達を滅しましょう」
「……処刑……」

 彼らからすれば、唯の雑魚にしか、最初は見えなかった。
 カイリューは自らの必殺技である神速で追い抜こうとする。しかし。
 暴風が襲い掛かった。
 羽根が圧し折れて、動きが止まる。
 一方のサザンドラは、龍の波動で暴風を巻き起こすメガピジョットをめがけて放つ。しかし。

「龍の攻撃は、私には通用しませんよ」

 シャムハザがそれを受け止め、微粒子として流した。
 思わず怯むサザンドラ。
 だが、それだけでは終わらなかった。
 直後、カイリューも体勢を立て直そうとするが、ビリッ、と何かが破れるような感覚を覚えた。
 サザンドラの首筋からも同じ音が聞こえる。


「……もう、斬った」


 鋼の刃により、2体の龍の身体は真っ二つに裂けたのだった。
 しかし。無限循環種である彼らがこの程度でくたばるわけはない。
 再びバックアップデータをどこからか読み込んで、この世に復活する。

「まだ、動けたのか」
「これは厳しいですね」
「……嘘が下手……2人とも」

 まだまだやる気の猛禽3匹。
 シェムハザ、雲斬、そして旋。
 彼らは今にも、目の前の敵に襲い掛からんとしていた-----------。


 ***


「くっ、駄目だ!! まさかガブリアスが来るなんて!!」

 工場内に入り込んだ、砂迅龍・ガブリアスは、まず手当たり次第に機械やコイル達を殲滅しだした。
 呻き声を上げるボルル。電気タイプと地面タイプでは、絶望的に相性が不利なのだ。
 自らもメガシンカして、目覚めるパワーをブチ当てていくが、全く歯が立たない------------


 ざくり


 直後。ガブリアスの身体が縦に真っ二つになった。


「すまんな。遅れてしまった」


 笑みを少し零し、そこにまっすぐ立っていたのは------------真のガブリアスである女・ガブリだった。

「休んでいるつもりだったが、やめた。このエリアは私が来たからには、もう大丈夫だ」

 一方、敵のガブリアスはすぐさま再生を開始する。

「ほう。まだやるのか龍の面汚しめ」
「ガルルル……!!」

 ギリギリ、と歯軋りをしたガブリアスは、ガブリに敵意の視線を向けた。
 それは殺意。
 明らかにそれは、彼女へ向けられている。
 しかし、一向に彼女は怯む様子を見せないのである。

「ガブリ……大丈夫なのか、身体は」
「私を誰だと思っている」

 ボルルに笑みで返した彼女は、誇らしげに言った。


「現環境トップメタ・ガブリアスとは私のことだろう」