二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート7:暴龍警報(12) ( No.116 )
- 日時: 2015/04/29 10:08
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
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-----------お、おい、こいつらやばすぎる!!
-----------やべぇよ、皆やられちまうなんて!!
-----------く、来るッ!!
-----------いぎゃあああああああああああああああああ
仲間の携帯獣がミンチにされていくのが分かった。
目玉が飛び出し、胴は裂かれ、そこに転がされていく。
鬼のような形相の3匹の携帯獣。
この3匹だけに、彼らは全滅した。
ただ1人を残して。
彼に残された手段は、仲間が殺される隙に-----------------逃げることだった。
***
「すげぇ……! みんな、セブンスドラゴンを食い止めてやがるぞ!」
端末の映像には、それぞれのエリアでの激闘が映されていた。ボックス内を巡回する飛行ユニットが撮影したものである。
ボマーは流石マスターが育てたポケモンだ、と言いたいところであったが、当のマスターが肝心なところで役に立たないド無能マスターだったことも思い出した。現に今もそうである。タクのことであるが。
「……おい、トト、大丈夫か?」
ボマーが肩を叩くと、彼は我に帰ったように「あ、ああ、すまない」と返す。
すると、そのときだった。検索エンジンがブザーを鳴らし、検索結果を知らせた。
そこには、自分達が求めていた情報、敵の居場所が記されていた。
”FD-4267923”。これがそのエリアの番号だった。
「やった、検索エンジンが遂に敵の居場所を突き止めた!」
全員は歓声を上げた。しかし、「まだ喜ぶのは早い」と彼だけは張り詰めた表情をしていた。
それで全員も我に帰ったかのように静まる。
思い返せば、敵のバックアップデータを守っていたプログラムは、セントラル・フィールドの掃討班を抹殺したほどの実力者であるのだから。
しかし、それをボマーはだけど、と否定してみせた。
「……俺達ポケモンのスペックは、第五世代よりも上がっている。かつての掃討班が勝てなかったとしても、今のオレ達が勝てない道理はねぇ」
ポケモンを舐めるな、と彼は言いたいのだ。
第六世代になって、強化された自分達を。
一度は負けた。だが、それさえも、逆境させも乗り越えて、ボマーは目の前の敵に立ち向かおうとしているのだ。
「そうよ! ボマーとトトのメガシンカだけじゃない、此処にいる全員が第六世代で強化されたポケモンだから!」
「力を合わせれば、勝てないはずは無いのです!」
「ま、サクッと殺ってサクッと終わらせようぜィ、トトの旦那ァ」
その言葉を聞いて、ようやく安心したのか。トトは表情を緩めると言った。
「分かった。案内しよう。バックヤードベースへ」
彼は立ち上がり、すぐさま書斎から出る。
それに、ボマー達は着いていった。そこから先は、暗い階段が続いていた。しばらく誰も使っていなかったようだった。
薄暗くて不気味だったが、ようやく1つの部屋に出た。そこの異様に固められた鍵を解除すると、扉が開く。
大きな円盤のようなものがコンピューターに繋がれている部屋だった。
「----------だけど、本当に良いのかい」
止めるように、彼は言った。まるで、何かに怯えているようだった。彼ほどの力を持っている人物が何を言っているんだ、とボマーは言おうとしたが、それは流石に憚られた。
今此処は、バックヤードベース内のコンピューター。此処で検索したエリアへワープ装置で飛ぶことができる、この図書館の地下にある最大のギミックである。
「……おいおい、一刻の猶予もないって言っただろ。行くぜ」
「あ、ああ……」
彼の顔色が少し悪くなっていることに、フレイは気付いた。
しかし、ボマーが強引に押し込むようにしてワープ装置に突き出したため、それを問う暇もなく。
そして、トトも「す、すまない」と言うと、すぐさまワープ装置へ向かっていったのだった----------
***
「何だ、此処は」
開口一口、それがボマーの台詞だった。殺風景な、青いキューブのようなものが浮かんでいるエリア。
ただ変わっていたとすれば、だ。
ドラゴンが、水晶のようなものに入っていた、ということである。
それも1つや2つではない。何百個も。
「これが、バックアップデータ、というわけか」
と、そのときだった。水晶の1つが消滅し、再び新たに現れる。
フレイは思わず、トトに問うた。
「これは何?」
「多分、相手がバックアップを此処から取り寄せたんだろうね」
成る程。連中はこうして、バックアップを呼び寄せていたのか、とフレイは感心した。
そういえば、である。こういうときに、一番厄介なのは敵ではなく、調子に乗ってうろうろしまくるボマーである。
何かやらかしていなければ良いのだが-----------
「おーよちよち、可愛いなー」
ずっこけた。ボマーが1匹のイーブイを抱きかかえている。パッと見、微笑ましい光景ではある。
「迷子か? 何でこんなところに居るんだろうな」
問題は、ボマーが少し目を離したそのときであった。
フレイの顔は青ざめる。
-----------イーブイの首がみるみるうちに、濁ったピンク色に染まって口をカパッと開けている-------------
「ボマー!! そのイーブイ(?)を離しなさい!!」
「は、何を言ってるんだおま-----------」
ようやく気付いた。
このイーブイ(顔だけは恐らくニンフィアであろう)は、ハイパーボイスの構えを取っていたということに。
キィィィィ、と空気が肺へ吸い込まれる音が聞こえてくるからである。
ボマーの顔は、今度こそ真っ青になり------------
「うおおおおおおおおおおおおおお、ふんぬらばああああああああああああああああああああ!!」
絶叫半分にイーブイを投げ飛ばす。高く高く舞い上がったそれは次の瞬間-------------強烈な音波でバックアップを巻き込み、エリアを役数m圏内、吹っ飛ばした。
バックアップはすぐさま再生したものの(したら困るのであるが)、直撃ではないといえ、巻き込まれたボマーはぶっ倒れたままだった。
「きゃうっ!?」
さらに、今度はムゥが悲鳴を上げた。
何かに捕まってしまっているようだった。
それは、拘束リングのようなもので、ムゥの身体を縛っていく。
「く、苦しいですよぉ……助けてくださーい!」
「ムゥちゃん!?」
思わずフレイが声を掛けたが、時既に遅し。完全に動きを縛られていた。
そして、極めつけは虚空から現れた2体の携帯獣。
炎を纏うサルの姿をした火炎ポケモン、ゴウカザル。そして磁石のような姿をした磁場ポケモン・ジバコイルだった。
やつらが敵の刺客だとすれば。残った3人は囲まれたのだ。ムゥとボマーを助けに行くには、敵を倒すしかない。
「……これは、あのときの雪辱を晴らすときなのか」
3つの影を見渡しながら、トトは呟く。
「丁度3対3、丁度良いですゼィ。この際、奴等だけならやっちまいまさァ」
「そうね。何が何でも突破しないと!」
「……そうだね」
彼は噛み締めるように言った。
「……何が何でも倒さないと」