二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート7:暴龍警報(13) ( No.117 )
日時: 2015/05/03 04:43
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
参照: https://www.youtube.com/watch?v=u3XCTloHsLs

 ***

【影の携帯獣が勝負を仕掛けてきた!】

 
 見た所、敵の中にメガシンカを使うポケモンは居ないようだった。今までの影の携帯獣は、いずれもメガシンカを使うポケモンがいたため、些か不自然に感じてしまう。

「今までと、少し違うわね……?」
「やつらは、影の携帯獣の”巡回級(パトロール)”と呼ばれる級種だ」

 トトが口を開いた。まるで、忌々しいものでも見るかのように、それを一瞥する。

「かつて、セブンスドラゴンが現れたとき、”中央電脳政府”は掃討班をまだまっさらだったこのボックスに送り込み、幾つ物データの部屋の中から敵のバックアップの居場所を突き止めた」

 そして、と彼は続けた。とても、悲しい顔だった。

「僕以外、送り込まれた掃討班は全滅した」
「……待って。だとしたら、貴方は----------」

 フレイの問いにトトは険しい顔で頷く。


「--------僕も、そのとき掃討班の一員だったんだ」


 全員に衝撃が走る。そして察することができた。あのときのトトの躊躇いがちな態度、そして彼らを止めようとしたのは、彼がかつて彼らと相対したことがあるからだ、と。
 
「かつては第五世代。まだ発見されていないポケモンだったニンフィアに至っては打つ手なしだったんだ。”運営”が放った”フェアリーワクチン”が散布される前だったからね。誰もフェアリーのことなんか知らなかったのさ。あそこにいるニンフィアは、誰かがフェアリーワクチンのデータを盗んで作ったんだろう」

 フェアリー・ワクチン。それは適性のあるポケモンに妖精の力を与えるものだった。
 しかし、目の前の敵は盗まれたそのデータで生まれたのだろう。

「ドラゴンの敵はドラゴン……だから、その敵であるフェアリーに守らせる。敵の敵は味方という言葉があるように、やつらは情報量の少なかった僕らをそれで一方的に屠った訳だ」
「関係ないわ」

 言ったのはフレイだった。毅然とした態度で彼女は戦場へ赴く。身体が燃え上がり、そのまま霊としての姿・シャンデラの原型へと成り、目の前の敵を見据えた。

「相手が誰だろうが、あたしが焼き尽くすだけ! マスターのポケモンは、あんたが俯いてる間に以前と比べ物にならないくらい、強くなったのよ!」


【チーム・ボマーはフレイを繰り出した!】


 今回のフレイの型は、ラムみが型。安定した強さで自分よりも遅い敵、または身代わりにものを言わせて好き勝手してくる害悪ポケモン共を焼き払うスタイルだ。
 しかし、敵もそれはある程度想定していたのか---------


【巡回級はニンフィアを繰り出した!】


「ノコノコト……マタ、ヤッテキタノカ……」


 現れたのは、結び付きを司る妖精・ニンフィアであった。その特性は十中八九フェアリースキン。
 ノーマルタイプの技の威力を1.3倍にし、フェアリータイプにするというもので、ほぼボマーのスカイスキンと同じようなものと考えて良い。
 問題は、ニンフィアの特防は非常に高い上に、ハイパーボイスはこの理屈だと非常に威力が高くなるということだ。
 しかし、フレイは生憎炎タイプ。ニンフィアのフェアリー技は半減される。

「だからといって、こちらからの有効打も無いわね……」
「あっしに引いても、倒せるかどうか。瞑想型だったら、メガマンダの捨て身タックルをギリギリ耐えれるくらいまで調整してあるはずでさァ」
「そうね。なら、火傷狙いで一発燃やしちゃいますか」

 試しに、一発ブチ込んでみることにする。幸い、フレイは不一致抜群程度ならば耐えられる耐久をしているので、相手の型を見極める意味でもこの選択は正解だったと思いたい。


【フレイの火炎放射!】

『ニンフィア残りHP:70%』


「うわっ、しょっぺぇ! これC145の補正あり一致技なんでしょ、入らなさすぎでさァ!」
「うるさい! あたしだって、好きでこんなダメージ入れたわけじゃないわよ!」
「しかし、これは相手耐久に振っていますねィ」

 問題は、相手の次の行動だ。殴られたら困るが-----------


【ニンフィアの瞑想! ニンフィアの特攻と特防が上がった!】


 積んで来た。このままでは全抜きされる可能性すらある。
 フレイが向こうに与えられるダメージはより小さくなり、相手は逆により大きなダメージを与えられるようになってしまったのだ。
 ---------どうする、僕……? またあのときと同じことを繰り返すのか?
 目の前で起こる惨事に逃げることしかできなかった自分。
 ---------いや、駄目だ。僕が立ち直ることを信じてマスターもメガストーンをくれたんだ。
 しかし、いざ敵を目の前にすると脚が竦んでしまう。

「しっかりしろ、トトの旦那!! 今はあんたがエースなんだ!! ドラゴンの意地はどこに行ったんだ!!」

 叫んだのは、ガメリオだった。
 龍の意地。
 それは一度は捨てた。
 しかし。ボマーは、後輩は言った。
 ---------俺たちが負ける、道理はねぇ。
 メガストーンがある。仲間がある。


「もう、二度とあの無様なトトには戻らない!!」


 ばっ、とトトが躍り出る。そして、フレイに呼び掛けた。

「フレイ君、下がっててくれ! 僕が奴を仕留める! 仲間の仇は僕が討つ!」
 

【チーム・ボマーはフレイを引っ込めた!】

【チーム・ボマーはトトを繰り出した!】


 トトは高らかに言った。
 目の前の妖精は龍の力では倒すことなど、到底成し得ない。
 しかし、別の力ならばどうだろうか。
 妖精に傷を付けられたことで発現したトトの力、それが妖精の魂だった。
 それは、妖精をこの手で葬るため。
 仲間を討った敵を今度は倒すため。

「ケキャキャ……馬鹿メ……死ニニ来タノネ……」
「違う。死ぬのはお前だ」

 トトの身体が龍へと変化していく。羽毛に包まれた龍へと。

「ボーマンダが力、破壊を司るならば」

 そこに叩き込まれる、影の玉。


【敵のニンフィアのシャドーボール!】


 だが、それを受け止めたトトは微動だにしなかった。



「僕達、チルタリスが司るは護り、そして---------正義」


『トト残りHP:82/151』


 次の瞬間、トトの首輪に付けられたメガストーンが反応した---------