二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート7:暴龍警報(16) ( No.120 )
- 日時: 2015/05/04 15:35
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「やった! 後はバックアップの生産をしているコンピューターを破壊すれば良いだけだ!」
もう、この中にこちらを阻むものはない。それだけではない。今まで拘束されていたムゥがどさり、と転げ落ちるように倒れたのが見えた。
「大丈夫!? ムゥちゃん!」
「は、はい、何とか……」
縛られていただけで、他には何もされていなくて何よりだ。問題はボマーであるが、先ほどの攻撃を受けた後、どこに行ったのか分からず仕舞いだ。
仕方が無い。防衛プログラムに復活されても困るので、コンピューターの破壊を優先することにする。あの程度で死ぬボマーではない。
部屋の奥へ、奥へ、と進んでいくフレイ達。
そこには、巨大なコンピューターがあった。
そこから、水晶状の物質が作られ、中にドラゴンが現れる。バックアップの生産装置だ。
「後は、これを壊すだけ---------」
と、フレイがシャドーボール、ムゥが氷柱針を放とうとしたそのときだった。
妙な音が聞こえる。
振り向けば、そこには先ほどのニンフィアが口に強大な光を溜めているところだった。
悪寒がした。
あれは破壊光線の体勢である。
まさかまだ生きているとは思わなかった。
「死ネ、ゴミカス共-------------!!」
完全に追い詰められた。コンピューター諸共自分達を消去するつもりなのだ。
「やばいやばいやばい、どうすんのよ!」
「まずい、ニンフィアの破壊光線なんて此処でブッ放されたら全滅でさァ!!」
「此処、袋小路ですよぉ!?」
「万事休す、か-------------」
全員が身構えたそのときだった。何かがニンフィアの背後から迫る。
それが通り過ぎた刹那、ニンフィアの身体は一瞬で切り裂かれて今度こそ消滅した。
そこには、メガシンカしたボマーが咆哮を上げていたのだった。
「おめーら、俺を忘れるなよ?」
彼は、にやり、といつもの笑みを浮かべたのだった。
***
粘液に触れるたびに溶解していく群雲街域。クナイはヌメルゴンと死闘を繰り広げていた。
これ以上、街を傷つけさせるわけにはいかない。しかし、目の前の相手は倒しても倒しても再び復活するのだ。
「く、くそっ!!」
とうとう、精も根も尽き果てた。
ヌメルゴンの前に跪くしかない。
最後の力を振り絞り、冷凍ビームをヌメルゴンにぶつける。
閃光が走った。
思わず目を瞑る。そこには、氷付けになったヌメルゴンの姿があった。
それを砕く気力もない。
しかし、ばたりと倒れた途端に氷が砕け散った。
軟体龍は二度と、再生しなかった。
***
「くっ、何て奴----------!」
ラプターは、呻き声を上げる。何度倒しても復活する目の前の敵に。
情けない。エルレイドに倒された自分が。
また、負けるのか。また負けて屈辱を味わうのか。
「くそっ、この野郎ォーッ!!」
何度目かもう分からない。龍の波動がオノノクスの肉体を貫く。
また復活するであろう、と身構えた。
しかし。
オノノクスは一度断末魔の叫びを上げたかと思えば、そのまま爆発四散し、肉片(ミンチ)と化したのだった。
「これは……勝ったのか?」
***
「しぶとい奴!!」
一方、ユキキングはキングドラと接線を繰り広げていた。
しかし、それもすぐに終わりそうだった。
フィールド中に張り巡らされた”根”。それがキングドラを捕らえる。
「食らうが良い!!」
ユキキング渾身の一撃。
全身を震わせて、猛吹雪を巻き起こした。
それが、キングドラを直撃する。
吹き飛ばされたキングドラは、次の瞬間にはアイスバーのようにカチコチに凍えていた。
もう、二度と起き上がることはなかった。
***
何度も復活する二体の龍、サザンドラとカイリュー。天獄峡域を舞台に空中戦が繰り広げられる。
戦況はだんだん不利になりつつあった。
谷間の間を飛び回り、追う追われるの関係が逆転し続ける中。旋は何か思いついたようだった。
「二体を一気に食い止めます。そうするしか方法は無い」
「どうやって」
説明はしなかった。そのまま旋は再び敵が居る渓谷へ突っ込んでいく。
そのまま、両方の羽根を羽ばたかせて荒れ狂う暴風を巻き起こす。
しかし、風程度では最早二体の龍は動じなかった。戦う中で敵も成長を続けているのである。
「無茶だ! 1人で突っ込むなんて!」
しかし。旋が狙ったのは二体の敵ではなかった。
此処までの暴風を起こせば、脆い岩質の地形に生えている樹木は根元から圧し折れる。
そして、根という支えるものを無くした岩の壁は----------一気に崩れた。
岩ごとサザンドラとカイリューを巻き込んでしまおうという寸法なのだ。
しかし、この作戦には欠点があった。
旋の特性はノーガード。旋にも岩が直撃してしまう----------!!
「エアスラッシュ!」
「鋼の翼……!」
しかし、空気を切り裂く刃、そして鋼の風きり羽根が飛んで行き、降りかかる岩を全て切り刻んだ。
「無茶をしないでください! 刺し違えるつもりだったんですか!」
「……馬鹿……」
申し訳ない、と旋は言ったものの「でも、」と逆接して続ける。
「命を賭さねばアクアに、師匠に失礼だと思ったまでです」
***
「ガブリ! それ以上はやめろ! お前の腕は折れているのであろう!?」
相手のガブリアスと激しい撃ち合いを続けるガブリ。しかし、もう限界であった。
限界であったが、自分が今此処で倒されればまた多くのポケモンが倒される。それだけは絶対に自分のプライドが許さなかった。
「うらあああああああああああ!!」
ドラゴンクローが相手のガブリアスを切り裂く。
しかし、敵はこれまでに何度も再生している。このままでは---------と思った矢先。
相手は怯まずに今度はドラゴンダイブでガブリへ攻撃してきた。まだ、倒れないというのだ。
「く、くそっ----------!!」
避けられない。激痛が全身を動かさない。
もう、駄目だと思ったそのときだった。
「標準ロックオンッ!! ハイドロポンプ!!」
ガブリアスをめがけて一直線に激しい水流が突き刺さった。
ドラゴンダイブに失敗したガブリアスは、そのまま力なく落下してくる。
そこに、最後の力を振り絞ってガブリは-----------腕を振り下ろした。
ガブリアスは真っ二つに切り裂かれ、そのまま消滅。
そして、今度はもう再生しなかった。
「……終わったのか?」
ガブリの力なき問いには誰も答えなかった。
そして-----------
「すまない、モーター。また助けられたな」
---------彼女の視界には、既に改修を終えたモーターの姿があった。
「ボマーのところに行ってきマース。心配ネ……」
「ああ、頼む。私はもう動けそうに---------」
そこまで言いかけて、彼女の意識は糸が切れたかのように離れる。
そのまま、バタリと床に倒れたのだった。
***
各地に侵攻していたセブンスドラゴンが全て倒された、というのはボックス中にすぐさま報道された。
しかし、脅威はまだ去っていない。
「いくぞ、頂龍山域に」
ボマーは再び、そう言ったのだった。