二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート7:暴龍警報(17) ( No.121 )
- 日時: 2015/05/05 11:00
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
----------お、やっと繋がった。
----------”こっち”からあんたの方に連絡取れるとは思わなかったよ。ボックスは大変らしいね。
----------俺? 俺は相変わらず地下闘技場の方にいるけど?
----------勝って稼いでるからって飲みすぎはやめろ? マスター珍しく優しいね。でも別にいーじゃん、ヒック。俺はアルコールが少し入ってるくらいがフツーなの。
----------それで、だよ。”ブレッド”のおっさんが今調べてるところ。例の件についてはね、ヒック。
----------ほら、あの人政府の幹部やってんじゃん? とりあえず向こうのことはあのおっさんに任せときゃ大丈夫って。
----------ちょ、俺のどこがおっさんなんだよ! 仮にもレディーに対してそれは失礼じゃねーのか!?
----------あー、そうだよ! どうせもうすぐ三十路だよ、ちくしょー飲んでやる……マスターの財布から。
----------あんたには一滴もあげないからね、どーせ未成年だしさ。ガキの癖してあたし達に命令してるのも気に食わないのに……。
----------ああ、悪かったよ! 俺達はこれでもあんたのこと信じてんだよ?
----------そして、今のこの状況を打開するには、間違いなくもうすぐ行われるトーナメントの優勝商品である”アレ”を手に入れる必要がある。
-----------だけど、それには絶対あの空飛び坊主達の力が必要だ。
-----------何故ならそのトーナメント、恐らく”あいつら”も参加するだろうからね。何せあれは相当高価な値打ちモン。あいつらのとこのリーダーは金のためなら何でもやるからな。
-----------あ、誰のことか分かんなかった? でもあいつらのことは、あんたが一番知ってるはずだぜ。
-----------特に! あそこの”二口女”はあんたと、空飛び坊主のトラウマなんだから。あ、やっと分かったみたいだ。
-----------他にもヤバい面子はいるけど、リーダーの男がまだ龍の魂を持っていないのが幸いか。あれがメガシンカしたら、今度こそ坊主達は勝てなくなる。
-----------はっ! そんなことよりエリア開放はどうなった!?
-----------成る程、残るは頂龍山域だけか------------
***
「何とか、やりましたね!」
「……ああ」
トトの部屋に戻り、ボマー達は一先ず勝利の喜びを噛み締めていた。そして、セブンスドラゴンが全て討伐されたという情報を聞いたときは歓喜しそうになった。
「待って」
しかし、フレイがそれを止める。
「中央区域へ接近していたセブンスドラゴンは、6体……。セブンスドラゴンって7体いるからセブンスドラゴンなんでしょ? 残りの1体は?」
「残りの1体、か」
ボーマンダ。ボーマンダだけがセブンスドラゴンの中で唯一確認されていなかったのだった。
「恐らく、それは頂龍山域にいるとみて間違いねーだろ」
戦力は最低限残したということだろう。敵サイドの頭を叩けば、それで済む話ではあるのだが。
「僕はもう少し調べておきたいことがある。君達、悪いけど行ってくれないか」
「あ、ああ。色々世話ンなったな、あんたには」
「いや、こちらこそ礼を言いたい」
手を差し出すトト。ボマーも、しっかりとその手を握る。
「幸運を祈る」
「こっちこそ」
にこり、と微笑んで返したトトはそのままボマー達を見送ったのだった。
「……君達の仇、彼らのおかげで取れたよ。ゆっくりお休み……」
そして、どこかうわ言の様に悲しげに呟いたのだった。
***
セブンスドラゴンが討伐されたことにより、ワープ装置は開放された。そして、ボマー達もまた頂龍山域に足を運んでいたのだった。
目の前に聳え立つ山の頂上から、敵の反応がした。
間違いない。守護級はいる。
山道に入り、しばらくするとそこには-----------
「見るな、ムゥのお嬢!」
咄嗟にガメリオがムゥの目を手で隠す。
ボマーとフレイの視界には、阿鼻叫喚の様が広がっていた。
「これは……ひでーな」
「むごすぎる……」
マスターに育成されたはずの妖精ポケモンが、全てデータの塵になって消えかけていた。
妖華園域の精鋭が此処までやられるとは思わなかったのだ。
あるものは、恐怖の表情のまま息絶えており、あるものは四体をもがれて達磨のようになっていた。
そして、あるものは全身をぐしゃぐしゃに潰されていた。
「おい、このまま通り抜けるぞ。ガメリオ、ムゥの目ェ隠しておけよ。それと、”リリム”さん達に連絡は入れておくか」
ボックス内の病院の院長を務めるピンクの悪魔である彼女に此処は任せるほかない。
それぞれが壮絶な最期を迎えたであろうこの戦場。
彼らは、改めて敵の強大さを思い知ったのだった。
「あれも、再生できんのか?」
「……肉体わね。でも、恐らく”生前”の記憶は戻らないでしょうね」
「チャモみたいに、か……」
***
開けたエリアに辿り着いた。そこから、原型に戻ったボマーは、ガメリオとムゥ、フレイを背中に乗せて頂上目掛けて飛び立つ。
「アクアの奴……大丈夫じゃねえだろうな」
「……当然よ。チャモちゃんが惨殺されるところを、目の前で見てしまったんだから」
「……アクアさん……」
「仕方ねェ。俺らは信じるっきゃねえぜィ。あいつが戻ってくるのをよォ」
「なあ、俺達電脳生命体の生死の定義ってのは何なんだろうな。頭もがれるような目に遭っても、バックアップを保存しておけば再生するしよ」
「人間の生死に対する考えが反映されているからか、その辺は曖昧になりつつあるわ。でも、アクア君にも言ったの。あたしが思うに---------」
と、フレイが言いかけたそのときだった。
目の前に影が現れる。
ボマーは静止した。
そこには咆哮をあげている自らと同じ姿をしたドラゴンが-----------!
「同属……畜生、またかよ!!」