二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート1:セントラル・フィールドへ(2) ( No.139 )
- 日時: 2015/06/11 21:13
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「……考えてみれば、考えてみるほど分からんもんだぜィ」
デスクトップパソコンに端末を繋げ、過去のバトルビデオを見ているのはガメリオであった。
その内容は、フレ戦のものであった。調べてみると、ボマー、というかマスターは何度も同じ相手と戦っている。
だが、ガメリオの呟きはそのバトルビデオから得られた疑問によって発せられたものではなかった。
「……パーティの構築、か……」
カタカタ、と無機質にキーボードを叩く音が響く。現在、このパーティで最も警戒するべきポケモン。それは-----------
”メガガルーラ”、”ポリゴン2”、”ラッキー”
「ノーマルタイプかィ。全く、流石にあっしが相手できる敵じゃねェ」
格闘技を持つガメリオでも、先に潰されたり、逆に数値が足りなかったりで対処のできない敵であった。だからといって、ほかの面子でも対処はできない。特にメガガルーラは異常だ。特性:親子愛はチートに尽きる。
それは、完全にボマーが考えていたことと一致していたのであった。
その火力はボマーの捨て身タックルをも上回るやもしれないのだから。
さらに、耐久型のポケモンに対しても脆いところがあるこのパーティ。
------------マスターは言っていた。火力でごり押せない相手には----------
画面に映ったのは、2つの英単語。前にマスターに同じ質問をしたところ、送られてきた回答であった。
・poison
・trick
「はぁー、こんな凝った回答にしなくてもねィ。つまりはどくどくを使った戦法とトリック戦法か……誰にやらせるかは----------うーん」
と、そのときであった。
「……HEY! ガメリオー! 何やってるデース?」
「……モーターのお嬢。何用で」
天井にぶら下がっているのは、ロトムのモーターであった。にししー、と無邪気な笑顔を浮かべている。
それを呆れ顔で一瞥したガメリオは、再びパソコンに向かったのだった。そのまま、ぐいっ、と紙コップに注いだ麦茶を喉に押し込み、渇きを潤すと集中をそのまま崩さなくなる。
モーターも面白くなくなってきたのか、その場を離れようとしたが---------そのときだった。
「おきてるか、ガメリオーッ!!」
意識は馬鹿でかい声で一気に呼び戻された。
「うるせぇ、何の用ですかィ。今夜の何時だと----------」
「昼の二時だ馬鹿野郎。いつまでやってやがる」
「……やっべ」
PCの時計を確認し、ようやく自分が約13時間もの間集中していたことに気づいたガメリオは一気に脱力感が襲い掛かり、椅子にもたれ掛ったのだった。
「ボマー! ハロー!」
「ああ、モーター。良いから離れろ」
「相も変わらずの女ったらしですねィ」
「黙れ」
とりあえずだ、とボマーがガメリオに向かって言った。
「セントラル・フィールドの地下闘技場に今から用があって行くんだが、お前も来い」
「強制ですかィ。まあ、旦那らしいとは思いますがねィ。ま、ちょっくらいきますか」
「ボマーのいくところならどこでも着いて行くネ!」
「分かったから、てめーは離れろ!!」
***
------------中央区域、セントラル・ゲート。この先はセントラル・フィールドに繋がるワープゲートとなっている。
久々に行く中央都市。
「地下闘技場か……。しばらく行ってねぇな、あそこも」
「あんたもあそこで戦ったことあるんだっけ?」
「いや、観戦しかしたことがねぇ。マスターからは危険だとキツく止められていたからな」
「確かに。メガシンカも無いあんたが行ったところで、返り討ちに遭うだけね」
「るっせ。今はこうして力も付けた。もう参加しても大丈夫だ。大体、お前がランプラーだった頃の話だぜ?」
当時のボマーはまだメガシンカしておらず、フレイもランプラーだった。
マスターが止めるのも無理はないというものだろう。
「旦那ー! 早くしてくだせぇ!」
「ボマー! こっちへカムヒアー!」
「先に行っちゃいますよー!」
ああ分かった、と彼は答えると、すぐさまワープ装置に飛び乗った。フレイも後に続く。
「んじゃ、行くぜ! 行き先はセントラル・フィールドだッ!」
***
「……それは本当なのか?」
男は問うた。緑の地に黄色い斑点のコートを着込んだ男だった。
向かいにいるのは、白髪でスマートでありながらも筋肉質な武人肌の人物だった。
「ああ。既にいくつかのユーザーのポケモンは、セントラル・フィールドとの行き来を可能にしている」
「うちの主人野郎はどうした?」
「未だ音沙汰なし、だ」
「ケッ、使えん」
「それと、地下闘技場の件だが、あそこには”血涙(ブラッド・ティアー)のルカ”がいるらしい」
「血涙のルカ? 何だそいつぁ」
「以前、裏社会で暴れまわった”狂犬”だ。今は地下闘技場で暴れまわっているという」
そこで、だ、と向かいの白髪は言った。
「地下闘技場に一度行くことを私は勧めるが」
んあ?、と男はため息混じりに返す。
「何で行かないといけねーんだ。大会は10日後だろ?」
「まず、奴のことは私も知らない。仕事の都合上、裏社会の重要人物は調べることが多いが、奴の場合そもそも何者かによって情報が隠され、分からない。奴が誰のトレーナーなのかもな。大会で優勝するなら、奴が一番の壁になると考えている。奴にパーティがいるならな」
それに、と白髪は続けた。
「あそこでは毎日小規模のトーナメントが開かれる。どうだろうか? あそこにいる面子を偵察するために、まずはそれに参加するというのは」
「成る程。それで敵のことが知れるなら、悪くは無い。それに優勝商品がそれで手に入れば多少の足しにはなるわな。お前にしてはよく考えたな筋肉女」
「しばくぞ」
「やんのか、てめぇ」
しばらく睨み合ったが、それも馬鹿馬鹿しくなったのか。
オーケー、と彼は言って立ち上がった。
「じゃあ、まずはそのトーナメントとやらに優勝してやろうじゃねえか。てめぇをぶっ飛ばすのはその後だ」