二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート1:セントラル・フィールドへ(4) ( No.143 )
- 日時: 2015/05/17 14:06
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
ドカンッ!!
大きな爆発音が響き、ぶつかり合った2人は弾かれたように後退した。
「へっ、相変わらずよわっちぃ」
「生ぬりーな。この程度かよ」
ぶるぶる、と恐れに身を震わせたムゥは思わずフレイに抱きつき、問うた。
「あ、あの人って……」
「雷切。そして奴のトレーナーは、うちのマスターの同業者だったはずよ」
「マスターは同じサイトで知り合った彼と、仲が良かったのは確かネ。相手がこっちをどう捉えてるかは知ったこっちゃないケド。その代わり、互いのエースと参謀は相当仲が悪いネ」
「そいつが何故此処に? 奴は噂によれば、バトル・オブ・ホウエンが終わって以来、自分のボックスに戻れなくなったとは聞きましたがねィ」
雷切と直接手合わせしたことがあるのは、今のところこの中ではボマーのみだ。彼のことをもっと知っているのは、アクアだとかレイドだとか、そういう面々である。要するに、BOHに参加したことがある面子だ。
「そして、トレーナーの名はモノクロ。マスターが一番交流の深い人物でしょうね。しかも、執筆の腕、ポケモンバトルの腕、どれを取っても恐らくうちのマスターより上」
「それもそのはずでさァ。あの方はこのサイトで、『ポケットモンスターBW 混濁の使者』という作品で2年前、金賞を取っていまさァ」
「さらに、『デュエル・マスターズ Mythology』はかなりの人気ね」
「雑談掲示板『DM第壱談話室』のスレ主でもあるネ」
「さっきから3人ともすっごい説明口調なのです……」
『気にするな』
そのほか、色々お世話になっています。作品の雰囲気としては、しっかりとした世界観、そして重厚なストーリー、多彩なキャラクターがリアルに動いており、いずれの小説もドラマティックな展開がされています。また、正義・悪というよりも、さらに深く人間性を問うた作品になっており、前述の受賞暦もあってカキコではかなりレベルの高い作品と自分は思っています。
さて問題は、目の前の雷切がこの作品と世界観が同じ”BOHパ対戦記録譚”の主人公であることだ。
「とうとうこっちのスレにまで足伸ばして来やがったか、テロリストめ。面貸せ、この野郎!! メンバー諸被りなんだよ、ラグラージ、バシャーモ、そしてユレイドルに至ってはこっちの変体触手のほぼ丸パクリの型じゃねーか!! ふざけんなよ、てめーらぶっ潰してカキコで最も有名な対戦小説がM・EVOだということを証明してやる!」
「ちょ、ボマー! あんた作者が乗り移ってる!」
「はっ、何言ってるのか分かんねーな、脳筋バカマンダ。大体、そっちのヒロインのフレイ? だっけ? 前にうちの主人野郎が書いてた作品のキャラから名前取ったみてーだがな、パクリストはそっちなんじゃねぇか? ああん? あの主人野郎の肩を持つつもりなんざ皆無だが、そもそもラグラージとかバシャーモが居る時点で、そっちがパクリだろうが! 俺らが先なんだよ、俺らが先! しかも、度々こっちの小説をネタにしやがって、覚悟はできてんだろーな!」
いや、マジですいませんでした。
「見苦しいわよ、ライ! それくらいでやめなさいって!」
「あたしの名前、パクリだったの……知らなかったわ」
「やべぇ、フレイのお嬢がブルーになってやすぜィ!!」
とうとうキレたか、作者の意思が憑依したと思われる両作品の主人公。
馬鹿だがめっさ強いボマーと、色々足りないところはあるが参謀としての腕は確かの雷切。
色々正反対の2人が並んだ時点でお察しであった。
「久々にキレちまったよ……ちょっと”話”しようぜ」
「そうだな。終わるころには氷像が綺麗に出来上がっ-----------」
【???のブレイズキック! 効果は抜群だ!】
「えぶしっ!!」
突如、後頭部に強い衝撃と熱が襲い掛かった。
【雷切は倒れた!!】
雷切、たまらずダウン。その後ろでポキポキ指を鳴らしているのは、背の高い白髪の中性的な人物であった。
「すまない、こいつが迷惑を掛けたな」
「いえ、大丈夫です。こちらこそ馬鹿が迷惑を掛けました。ムゥちゃん」
「は、はいっ!」
「うおおおおおおおお、何だか知らんがラッキーだ、ぶっ飛べ雷切ィィィーッ!!」
【ムゥの氷柱針! 効果は抜群だ!】
「たわらばっ!!」
【ボマーは倒れた】
どさぁぁぁ、とボマーは床へスライディング。
見れば彼は殴りかかる寸前で串刺しになっていた。
ムゥがやったのである。いや、正確に言えばフレイがやらせたと言うべきか。
先ほどの人物が前に進み出る。
「私の名はグレン。見苦しいところを見せたな、すまない」
グレンと名乗った人物は、後ろの2人に目をやった。
1人は陰気そうなフードを目深に被った少年、もう1人は髪をポニーテールに結った快活そうな少女であった。
「雷切……自業自得」
「あわわ、雷切さん大丈夫かな、トンベリ君」
トンベリと呼ばれた少年はぼそぼそと、「……ちーちゃん……こいつ、無駄にしぶといからすぐにまた起き上がる……」と地味に酷いことを言った。
「ふふ、おちびちゃん達。もっと早く起き上がらせる方法を教えてあげよーか?」
ぞくり、と寒気がする2人。見ればいつからそこに居たのか、白い髪に、肩口を切り落とした白い簡素な着物を着こんだ女性が立っていた。
「雪姫……」
「見てなよー、えいっ!」
少女と言うにはどこか浮世離れした雰囲気の女性・雪姫は、雷切目掛けて冷気を纏った白い光線を指から---------
「ストップ、ストォォォーップ!!」
---------放つ前に雷切はぎりぎりのところで起き上がったのだった。
「殺す気かてめぇ!!」
「おや? 雷切君の特性は危険予知じゃないでしょ? まだ寝てなきゃ」
「永遠の眠りに付くところだったわ!!」
「大丈夫! 今回は特別にCS極振り火力補正+拘り眼鏡付きだよ!」
「死ぬ!! 俺死ぬ!! 唯でさえ紙耐久なのに死ぬ!!」
悪びれた様子も見せずに、悪戯っ子のようにぺろり、と雪姫は舌を出したのだった。
「やっぱり、そいつらも居たか」
と、同じく起き上がったボマー。雷切の周りにいる仲間を見回す。ようやく頭も冷えたらしかった。そして頭からはびゅーびゅー噴水のごとく血が吹き出ていた。
ボマーが言った”そいつら”とは、先ほど知ったばかりのグレン以外の5人だった。
「トンベリ、ラグナロク、ココロ、雪姫、そしてちーちゃん……BOHのエキシビションマッチ以来か。グレンって奴は新入りか?」
「いや違う。単に今日は彼らを案内していただけだ」
「そうか。……ケッ」
ボマーはドラゴンにめっぽう強いこの面子を毛嫌いしていた。そして、タイプでは有利なはずなのに様々な戦法で、こちらへ勝ち筋を突きつけてくる雷切も例外ではなく。
「何であれ、だ。決着はトーナメントで付けようぜ」
「トーナメントだぁ?」
ボマーは訝しげに問い返した。
「ああ、そうだ。俺らは”血涙のルカ”の情報を追ってるんだがな、全く収穫なしだ。そんなわけで、偵察がてら此処のトーナメントに出ることにしたのさ」
「お前らも、ルカ姉を? しかも偵察だァ? 何のだ」
「わざわざお前には教えるわけがないだろ。つーわけでだ。今日の二時からそれは開催される。逃げたって思われたくねーんなら、それに出な」
にやり、とボマーは不敵な笑みで返した。
「上等だ。俺らとあたる前に負けねぇよう頑張るこったな。よし、俺らが勝ったらてめぇらのスレを乗っ取る、良いな?」
「ちょ、ボマー!? 何言ってんのあんた」
「うるせーな、奴らは目下のタンコブだ。俺らの人気を妨げる、な」
「良いぜ、分かった。この戦い、俺達の誇り(スレ)を賭けた戦いってことで良いだろう」
「楽しい楽しいフレ戦だと思った? ざーんねん! 互いの命賭けたとんでも試合でした!」
「ユキ、そんなに気楽に言ってる場合じゃ……」
「……いきなり、超展開……」
「すれ? 何のこと?」
「ちーちゃんは何も知らない純粋なままで居てくださいよぉ」
「私はもう知らん……」
最後にグレンが呆れたように言ったのだった。
何であれ、である。こうしてボマー、雷切両チームは此処で今日開催されるトーナメントで決闘をすることになったのだった。
「……しっかしやべーな」
ボマーの視界にもう1つ入ったのは。
「じゃ、行こう、トンベリ君っ!」
「……待って、ちーちゃん」
快活そうな、ちーちゃんというポニーテールの少女であった。
「--------やっぱり、あいつとの激突は避けられねえか」