二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート2:遮断された箱庭(4) ( No.15 )
- 日時: 2015/02/22 16:58
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
辿り着いたエリアには、びったりと溶けたどろどろの鉄のようなものが張り付いており、中央に柱のような機械が存在感を放っていた。
アクアの指示していたエリアは此処だが、あからさまに異質な雰囲気を放っている。
「おい、フレイっ!!」
「そりゃ、怖いとかそういう感覚は分かるわ。でも、大事なのは恐怖に立ち向かうこと。泣いて何もしないのは唯の臆病者。恐怖を司るゴーストタイプがこんな事を言うのはおかしいかしら」
「だけどよ、生き残ってたのはあいつだけだぜ、仲間にすれば--------!」
「馬鹿ねっ!! 仲間が戦っているときに助けられないような臆病者が、対戦でまともに戦える訳が無いじゃない!!」
激昂して、返すフレイ。
相当怒っているのが分かる。ボマーは、自分の周りを回っている火の精が赤く燃え上がっているのが見えた。
---------ガスバーナーの赤い炎って酸欠故に起こるんだったっけか? こいつ、興奮したらいっつもこうなっちまうんだよな……。
そして、嫌な予感がする。
---------こういうときに限って、こいつはしくじるんだ。あの地獄のクリスマスもそうだった。
「何、ぼーっとしてんのよっ!! あれを見て!!」
「えっ」
フレイが指差した方向を見ると、瘴気が発生しそこから空間が裂けて牙が生えてくるのが見えた。
「こないだのボーマンダとは違うな……」
「発生の仕方? そうね。何ていうか、あれよりも一段階上って感じがするわ」
ピキピキ、と割れた空間から人が現れる。
それは金髪で座禅を組んだ男だった。
身体はやつれてはいるが、筋肉質だ。
「ふ、ふははは、のこのこと来たか、忌々しい携帯獣め……!」
しかし、前回に増しておぞましい程の邪悪を感じる。
「私はね、大っ嫌いなんだよ。お前達みたいにうざっぽく追ってくる奴が」
「ちっ、なんて野郎だ。こっからでも覇気をビリビリと感じらぁ」
「折角完全体まで成長したんだ。私の力、特と見やがれやぁぁぁ!!」
ビキビキ、と周りの割れた空間が収束する。そして、現れたのは、黄色い身体の狐のようなポケモン・フーディンだった。
「私はなぁ、全てのフーディンの恨みから生まれたんだぁ!! 何でメガシンカしたのに、種族値が90しか上がらないんだ? 特防の種族値修正の10も入れろってことか? 納得行かん!」
「真に遺憾だぜ、そんなんでこんな化物生まれたら、俺らはどうしたら良い」
「うっせぇ! メガシンカして種族値100上昇した奴の意見は聞いてないのさ!! 赤い害鳥の流行、使用率激減、挙句の果てには夢特性厳選用という始末! メガ特性のトレースはそんなものの為に使うんじゃねぇんだよ! 前の世代までの輝きが嘘のようだっ!」
「そうだな。夢特性厳選ならサーナイトとかでやれば良いもんな」
「酷い!!」
ぶっちゃけると、こいつの言っていることは全て恨み言にしか聞こえない。
そんなものは仕方ないだろう。恨むならば、環境の逆を行く強化をしたゲーフリを恨め、と。
恨むならば、蔓延る赤い害鳥を恨め、と。
どうせマスターは夢特性厳選が面倒で、フーディンなんか使わないんだから。
「そして私は今は、このエリアのガーディアンっ!! 近づくものは全てデリートする! 全六体いるメガシンカポケモンのうちの一角さ!」
「最弱だな、種族値上昇の点で。襷の方が使いやすいぜ、ぶっちゃけ」
「さっき言った、昨日のマンダより一段階上っていうのは撤回するわ」
「おいいい!! 舐めきってんじゃないよ!!」
「単タイプより妖複合のサーナイトの方がよっぽど使いやすいもんな」
お、の、れぇぇぇ、とフーディンの身体が黒いオーラを纏った。
「どうせお前らは2人しか居ないんだ!! 消え散れぇぇぇ!!」
次の瞬間、空気中の塵が集まり、念力が実体化した。
サイコショックだ。
「うわっ、卑怯だぞ!!」
「うるせぇぇぇ、先制技の無いてめーらなんざ、私のサイコショックで十分なん------------」
ぐさり。
一瞬、何が起こったのか分からなかったが、目の前のフーディンの額に何かが刺さったのは分かった。
「……先制技なら、此処にあります……!」
振り返ると、そこにはムゥの姿があった。
「あんた、何で此処に……!」
「私だって、いつまでも泣いてばっかりじゃないっ! 弱くなんか、ないもんっ!!」
「へへん、思わぬ助っ人が出て来やがったな、どーするよ黄色いの」
おのれ……とフーディンが額を擦る。
「氷の礫か……!! 小賢しい!! 俺の自慢のおでこに傷を付けやがってぇぇぇ!! 血ィ出てるよ! どうしてくれんの! ファイアローじゃなかっただけ、まだマシだよ!」
確かに、ファイアローのブレバならば頭に風穴が開いていたところである。というか、頭吹っ飛んでね?
最も---------と彼は続ける。
「居たところで、どうにかなる問題ではあるまいっ!!」
後ろから5体のポケモンが現れる。
スピアー、メタグロス、サワムラー、ゴローニャ、カビゴン。
なるほど、確かにアロー対策はばっちりのようだ。
ゴローニャ1体だけだが。
「成る程ね、初代統一か。面白いっ!! あ、グロスいるの忘れてた」
「相手になるわ。焼き尽くすまで!」
「私も……戦います……!」
信用ならないわね、とフレイは冷たく言う。
「泣いてばかりで何にもしなかったのが戦力になるとは思えないわ」
「……居ても立っても居られなくなったんです」
「余計なお世話よっ!! 弱虫に助けられる程、破壊力SSの名は伊達じゃ無いわ!」
「まあ待て、フレイ。折角のマンムーだ。丁度俺も氷タイプもだが、地面タイプが欲しかったところでな。こいつの力を使わせていただこうじゃねえか」
「……仕方ないわね!」
彼女は渋るが、このまま選出画面に移行する。
「覚悟しろ、私の超能力には誰も敵うまい……!!」