二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート1:セントラル・フィールドへ ( No.151 )
日時: 2016/07/28 13:39
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

【クチートの威嚇で攻撃が下がった!】

 キィッ、と放たれる殺意の視線。
 これにより、上がった攻撃力が元に戻ってしまう。
 現れたのは永遠の宿敵・クチート。
 何度もじゃれつかれ、攻撃を理不尽に耐えられ、そして屠られてきた思い出が蘇ってくる。
 化物染みた火力と物理耐久、そして先制技である不意打ちの所持。
 これにより、圧倒的な制圧力を持つポケモンだ。

「ドラゴン……ドラゴンドラゴンドラゴンドラゴンンンンンンン!!」

 狂ったように叫ぶクチート。
 しかし。対するボマーは——



「テメェ、舐めてんのか」



 唸るようにして言った。
 その表情に、怯えは無かった。

【ボマーの空元気! 効果はいまひとつのようだ】

『クチート残り体力70%』

「ドラゴンがフェアリーに勝てる訳が無い、とは誰の言葉だったか——よーく言ったモンだ」

 ギリッ、と牙を剥き出しにすると獲物を捉える。
 その鋭い眼差しで。

「ボマー……」
「ちょっとお仕置きが必要のようだな。俺様を見くびってやがる」
「ゲキャキャキャキャキャァァァァーッ!! ドラゴンは大人しくフェアリーに喰われるしかないのよおぉぉぉ!!」

【黒い影の怨念が瘴気を生み出す——!!】

 次の瞬間——クチートの身体が変化する。
 禍々しい邪悪な瘴気に包まれながら、顎は2つに分かれ、脚は袴のようになる。

【クチートはメガクチートにメガシンカした!】

 何度も何度も見せつけられたその姿。
 それこそが——メガクチートであった。




「ギャキャキャキャキャキャァァァァーッ!! イタダキマァァァァァァァァァァス!!」




 メガクチートの耐久力は化け物染みていると言っても過言ではない。
 数値だけで見ればメガボーマンダ程ではないが、威嚇でそれを更に底上げしている上に鋼・フェアリーという優秀な組み合わせが弱点を少なくしている。
 しかも、対面で殴り合った場合、ガブリアスの地震さえも耐えるというよくわからない防御力はさながら怪物か。まして、ボーマンダのサブウェポンでは正面から倒すことは出来ないだろう。
 さらに、不意打ちや剣の舞といった多彩な攻め技も有しており、これによって今までボマーは落とされてきた。
 何度も。何度もだ。
 そして今度も、ボマーの首を捻じ切ろうと、鋼の顎で彼に襲い掛かる——地震を耐えて、そのまま反撃のじゃれつくで倒すつもりなのだ。幾らメガボーマンダでも、特性:力持ちで強化された一致抜群のじゃれつくを耐えることは出来ない——





「舐めんじゃねえよ」



【ボマーの地震!】



 ——はずだった。
 刹那。
 ボマーが地面へ降り立つ。そして、大きく大地が揺れ——メガクチートの分厚い装甲を衝撃波で貫通し——そのまま粉砕する。

『クチート残り体力——0%』




「ア、ギ……何デダ——」




【クチートは倒れた!】



 
 心底不愉快そうな顔でボマーは吐き捨てる。

「舐め腐るのも大概にしろよ。例え、竜舞が無くともメガ前のクチートへの威嚇入りの捨て身タックルダメージとメガ後への威嚇入り地震のダメージでH振りメガクチートは粉砕出来るんだよ。元々の攻撃力の空元気と地震がテメェに耐えきれるわけが無かったんだ」

 そう。
 メガクチートは確かに硬い。ガブリアスの地震、ましてサブウェポンの地震でも倒す事は難しい。しかし、それはあくまでもメガシンカ後の話だ。
 メガ前に下手に受け出しをすると、物理型メガボーマンダの場合——次の地震が受けきれなくなるのだ。
 しかも、メガボーマンダ自体がかなりの物理耐久を有しているので、不意打ちで落とすことは出来ない。
 よって——今のクチートへの交換は悪手、完全にボマーをドラゴンだと見くびっていた結果だと言えたのだった。

「確かにクチートはあたしが居れば処理できる。だけど、ボマーもただ怖がってただけじゃない——天敵への与ダメをちゃんと知っていたのね。だから立ち向かうことが出来た」
「まあ、旦那で倒せることに越した事は無いですからねい。そして素早さが上がった今——旦那は完全に無双モードだ」
「このまま3タテコース、行くぜッ!!」
 
【相手の影はヌメルゴンを繰り出した——】




「遅いッ!!」




【ボマーの空元気! ヌメルゴンは倒れた!】




 再び姿を現したヌメルゴン。
 しかし、既に暴走戦闘機状態のボマーの前では倒れるしかないのだ。
 そのまま空元気で倒されてしまった。
 竜の舞で素早さが上昇したボマーに、もう敵は無い。

【相手の影はシャンデラを繰り出した!】

「何だァ? こっちの仲間と同じポケモンを出してどういうつもりだコラ」

 最後に現れたのはシャンデラであった。
 しかし。一番強いメガクチートも、シャンデラも、ボマーは既に知っている。
 この程度——最早敵ではない。

「これでシメェだ!!」




【ボマーの捨て身タックル!】

 


 三日月状に広がった刃の羽。
 それで、思いっきり勢いを付けてボマーは飛んだ。
 そして——影を、切り裂いた。



「俺様を、ボーマンダを、600族を舐めるんじゃねぇぇぇぇーっ!!」



『シャンデラ残り体力0%』


【シャンデラは倒れた!】



【影の携帯獣との勝負に勝った!】





 ***




「ギ、バカナ——」

 クチートは他の影諸共消滅した。
 その姿を見届け、ボマーは呟く。

「——俺の知ってるメガクチートは、もっとつえーぞ。テメェみてーな紛いモンなんざより、よっぽど慈悲深く、そして無慈悲なまでに、強い」
「ともあれ、一件落着ね。最後にまたあたしに似たのも出てきたけど、最近影の携帯獣ではシャンデラが流行ってるのかしら」
「敵で出てくる分はそこまで強くないんですがねぇ、旦那、お嬢」
「何それ、シャンデラを馬鹿にしてんの」
「敵で出てくる分って言ったろうが」

 レートやフリーで出てくるシャンデラは基本、スカーフ、眼鏡、風船。ある程度高い火力で押し切ることも出来るので、そこまで怖くは無い。
 最も、害悪・受けの駆逐を役割に置いているこちらのシャンデラは、モノクロ氏曰く、どうやら対面すると相当警戒するらしい。

「さて、行くぞ闘技場に」
「そうね」
「ですねぃ」

 がちゃり、と重い扉をこじ開ける。
 そこには——

「オイオイ、マジかよ——」

 既に、何度か見たもの。遠巻きからではあるが、確かに見えた。
 それは制御コンピューターだった。触手のようなものが闘技場のど真ん中に貼りついている。
 そして——観客席であるこちらからだと遠いが、それを守っているのは影の携帯獣。
 どうやらここを制圧するつもりらしい。
 だが、それに立ち向かうのは——ルカ、ムゥ、モーターの3人。
 
「……何故、コンピューターが……!」
「後はムゥちゃん達に任せるしかないわね」
「お手並み拝見といこうかねぃ」

 既に始まろうとしている対戦。
 3人は、固唾をのんでそれを見守る——




 ***



「やっとたどり着いたのは良いが——成程、さっきの奴らか。俺の波動弾食らって倒れてねぇとは」

 あっけらかんとした表情でルカは言った。
 むしろ、倒れてくれていなくて良かった、と付け加える辺りバトルマニアっぷりが伺える。
 そしてそれは真の姿を現す。
 現れたのはガルーラ、現環境トップメタの親子ポケモンであった。そして、眷属で2つの影も現れる。

「私はこのコンピューターの守護級(ガーディアン)……近づくものは全て排除するよ……覚悟しな!」

 咆哮を上げるガルーラ。
 メガシンカで脅威の火力と耐久を得たこちらは、まさに大きな威圧感を与える。

「こっちは3匹——相手も3匹のようデスね……しかもボスはガルーラデスか」
「ど、どうしますか、順番は」
「なーに任せろ。先発は俺が出る」

 ずいっ、と進み出るルカ。
 どうやら先発メガガルーラを予想してのことらしい。確かにここ最近、先発ガルーラ繰り出しが多い気がする。

「まあ、理には適ってるネ」
「こっちにはそれ以上選択の余地がないんですけどね……」
「ンじゃあ行くか、オメーら。シンオウ組の実力見せてやろうや——」
「そういやこの3人、シンオウ出身ポケモンだったネ……」
「頼むから同郷ならセクハラは勘弁してほしいのです……」

 こうして。
 闘技場の決闘が始まったのであった——