二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート2:遮断された箱庭(8) ( No.19 )
日時: 2015/02/23 19:01
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

「さっきは……ごめんね?」

 フレイはムゥに向き直って、謝る。
 
「あたし、カッとなっちゃうといっつもこうだから……」
「許しません」

 へ? とボマーとフレイの顔が引きつった。 
 余りにも意外すぎる返答だったからだ。

「……許してあげてもいいんですけど……」
「付け上がるんじゃないわよ、こいつ……!」
「まあ待て、フレイ」

 再び、怒りが心頭に達そうとしているフレイをガブリは止めた。

「……あたしに勇気を教えてください」
「え?」
「それが条件です」

 少し、恥ずかしそうに彼女は言った。

「勇気……か」
「フレイさんの姿を見て思ったんです。あたしもああなりたいなって」

 そうだ、とボマーは割って入った。

「じゃあ、こうしよう。ムゥ、お前今後もこの脅威を俺らと一緒に立ち向かってくれねえか?」
「ちょっと、ボマー!」
「そしたら、俺らといる時間も必然的に増える。お前が思ってる勇気云々だとかは、その中で学べるだろーしな」

 うう、と言いくるめられたのがフレイは悔しいようだった。

「仕方ないわねっ! 良いわ、貴方も今日からこのパーティの一員よ?」
「はいっ、よろしくお願いします」

 深く頭を下げるムゥ。
 恥ずかしそうに頭を掻くフレイ。
 その光景を見ながら1人、ボマーは笑っていたのだった。

「……そーいや、俺今回出番無かったな……」

 
 ***

 
 さて、問題はこのロックであるが----------

「でええええい!!」

 出番が無いのを憂いたボマーが、スカイスキン捨て身タックルによって、一瞬で破壊してしまった。
 恐らく、これによってロックは解除されたはず(希望的観測)
 
「んじゃ、帰るか。用も終わったしな」
「そうね」

 はぁー、とムゥは疲れたような溜息をつく。

「少し、安心したら暑くなっちゃいました」
「そーいや、このエリアだけ冷気が流れて来ていねーしな」
「……ちょっと、脱ぎますね」
「え、ちょ、おま」

 分厚いファーコートを着ていた彼女はそれを脱ぎ捨てる。ボマーとフレイの戸惑いも無視して。
 彼女が下に着ていたのは、黒いシャツだった。
 しかし、問題はそこではない。
 つい、ボマーもフレイも彼女の胸に目が行ってしまったのである。

「それじゃあ、行きましょうか」

 しかし、ボマーとフレイは真っ先にその感想を小声で述べた。

「……でっけぇ」
「……特性:厚い脂肪ってそういうことだったのね……って、どこ見てるのよあんたは!!」
「てめーも人のこと言えねぇだろうが!!」

 何も分かっていないのか、頭にクエスチョンマークを浮かべている彼女だが、はっきり言って胸がチャモ並みに大きいのである。
 しかも、あれより小柄だから余計際立って見えた。
 成る程、脂肪は全て胸部装甲に行っていたのか。納得-----------

「できるかぁぁぁ!! あたしは!? あたしは!?」
「ちょっと待て、俺に言われても……」
「負けた!! 色んな意味で負けた!!」
「そうだな、まな板」
「死ねっ!! このバカマンダ!!」

 フレイを一先ず押さえ、ボマーはムゥに問うた。

「それじゃあよ、ムゥ。静炎邸にしばらく居させて貰えば良い」
「こいつぅぅぅ!! 誰が、誰がまな板よぉぉぉ!! つーか、何で勝手に決めてんのよ!! あそこはゴースト限定よぉぉぉ!!」
「……あ、はい。分かりました」
「それじゃあ、行くか。あそこも住民がいっぱい入院した所為で寂しくなってるからな---------」

 と、言ったところでボマーはある事に気付いた。

「待てよ……アクア達はどうなった?」
「……そういえば、攻略し次第向こうから連絡入れるって話だったわね」
「そうだな。ちょっと心配だが……とりあえず、外行くか」

 ***

 
 多くのポケモンが、やってきたラッキーの手当てを受けていた。ユキキングも例外ではない。

「成る程、お前さんたちがやってくれたか」

 大きな白い髭を蓄えた巨漢の老人、ユキキングは貫禄たっぷりに言った。
 ボマーは茶化すように「親父、ちったぁ休めよ? あんたは頑張りすぎるんだからよ」と返すが、

「何、こんな傷はすぐに治るさ」

 と豪快に笑い飛ばされた。

「おじちゃんっ!」

 ムゥが駆け寄ってくる。
 
「お前も戦ってくれたんだな」
「ごめんなさい、おじちゃん。おじちゃんが戦ってるときに何も出来なくて……」
「何、良いさ。お前はその後勇敢に戦ってくれたんだから」

 彼はボマー達に向き直ると、言った。

「頼む。もう、お前さん達しか望みはないのだ」
「へへんっ、任せな! 超弩級エースの俺様がどんな奴でも一発で沈めてやるぜ!」
「そして---------ムゥ」

 ユキキングはムゥの頭をくしゃりと撫でる。

「勇気とは何かを教えて貰いなさい。この戦いを通して」
「……はい!」

 ボマーは一件落着と言わんばかりに空を仰いだ。
 しかしまぁ、やはりというべきか----------

「……コートを脱いだ途端に……なぁ」
 
 そして、持っていたタブレットでアクア達に連絡を入れようとする。
 しかし。

「圏外?」
「え?」
「何か、繋がらねぇ」

 嫌な予感がする。根拠がある訳ではないが-----------


 ***


 ----------来タカ。


 何度歩いても繰り返される同じ光景。
 チャモとアクアは好い加減、歩き疲れていた。

「どうなっているんでしょうか……」
「うーん、ちょっとこれって……道に迷ったっぽい?」
「迷いましたね。ですが、レーダーの反応は間違っていないはずです」

 次の瞬間だった。


「きゃあああ!?」


 チャモの悲鳴が後ろで聞こえ、アクアはすかさず振り向く。
 そこには、何本もの触手に絡められた彼女の姿が-----------!!


 -----------消シテクレル……!!