二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート3:湖の決闘(1) ( No.21 )
- 日時: 2015/05/05 15:37
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「----------チャモさんっ!!」
「きゃああああ!!」
まずい。このままでは、この小説の対象年齢が上がってしまう。
しかし、アクアはこの光景になんとなーく覚えがあった。
「……待てよ、こいつ見覚えが」
触手の伸びている根元を見た。
不自然に動く背丈の高い草むら。何かが隠れているのが見え見えである。
そして、そこに容赦なくアクアは拳を打ち込んだ。
【アクアの冷凍パンチ!! 効果は抜群だ!!】
「ぎゃす!!」
触手がチャモの身体から離れる。そして、アクアは手応えのした”何か”をこちらに引っ張り、ようやくその姿を白昼に晒した。
「レイドさん……また、あんたですか」
レイドとアクアが呼んだ、いわつぼポケモン・ユレイドル。原型の姿はうみゆりのような生命体、といった感じでそこはかとなく不気味だ。
そんでもって、このレイドはBOHでアクア達とともに戦ったメンバーの1人である。
「い、いや、悪かったってー、でも挨拶代わり、にね?」
「挨拶代わりじゃねーんですよ、ファッキン触手野郎。あんたの身体から生えてるモン全部もぐぞコラ」
原型から、擬人化体に戻ったレイド。その姿はマフラーを巻いた14歳程の子供、といったものだった。しかし、そのマフラー、うねうねと動いているのがかなり気味が悪い。
「ううう……れーくん、やめてよ本当……」
身体を擦り、恐る恐るレイドに近づくチャモ。心なしか、涙目になっていた。
「だってさぁー、ユレイドルといえば触手プレ」
【アクアの馬鹿力!! 効果は抜群だ!!】
言おうとした顔面に、アクアの拳が再びめり込んだ。
「今なんつった、てめぇ。前に調子乗って、相手のメガクチートにまで纏わり付いた挙句、気合パンチで木っ端微塵になった悲劇を繰り返してやりましょうか、変態ユレイドル」
「大丈夫、僕は自己再生持ってるからー」
「その試合は結局あんたの所為で負けましたよね、覚えてねぇとは言わせませんよ、ファッキン触手野郎」
「いやいや、お前がメガクチートの身代わり壊さなかったのもあるだろー?」
「九割九分九厘、あんたの所為でしょうがぁぁぁぁ!!」
と怒鳴り、再びアクアは冷凍パンチを打ち込んだのだった。
***
「草タイプとはいえど、水辺が好きな貴方が何故此処に住んでるんですか」
「いや、さ」
話すと長くなるが、このレイドは元々ボマー達と一緒に、BOHメンバーを探しに行ったときに、あるエリアの岩場で発見した化石を復元した結果生まれたポケモン(という名の古代の負の遺産)である。
BOHが終わった後、レイドがどこに行ったのかは知らなかった。
「この中部緑地は、中央に湖があるんだー。その湖は水底から温帯水域に繋がってるから、塩分があるわけ。つまり、俺の好みってことよ。ま、家は湖の近くに借家を借りたけどなー」
---------本当は、可愛い草タイプの女の子目当てだけどね、うへへ。
というのは敢えて言わないことにしたレイドだった。
「で、それが何でこんな鬱蒼とした森の中にいたんですか」
「その湖にさー、昨日変なのが降ってきてよ。それ以来、誰もその湖に入れなくなっちまってな。バリアっぽいのが貼られてよー。残念だぜー、折角あそこは水浴びする女の子でいっぱ」
『アクアの冷凍腹パンチ!! 効果は抜群だ!!』
「おえ、ごふっ、げっふ」
「顔面殴るのは流石に気が引けてきたので、腹(そこ)で許してあげますよ」
「気が引けてきたぁー? だから腹パンー? おげえええ」
「というか、あんたのやってる事全部に対して僕はドン引きしてるんですがね。さあ、行きましょう、チャモさん。そもそも僕が来たのは、こんな奴をパーティに迎えに来たからじゃないんですよ」
アクアの頭に1つの影がよぎる。
信じられない程速く、そして強い。
ボマーと同様に、龍の魂を心に宿した男だった。
「草タイプは、僕が一番嫌いなタイプですが、その中で僕が唯一好きな種族、それがジュカインです。何故ならば、ジュカインという種族だけで2人も尊敬する人がいますから」
1人は、このサーバーのポケモンではありませんが、とアクアは続けた。
「しかし、もう1人はこのサーバーのポケモンで、しかも龍の魂を宿しています。それも、屈強でボマーさんに引けを取らない」
そう、アクアの本命は間違いなく彼だ。つまり、メガシンカの力を持つのだ。
彼を仲間にすれば、今後の戦いも有利に進めることが出来るだろう。故に、敵から狙われる可能性もあるのだが。
しかし、そんなアクアの淡い希望はすぐに壊された。
「あっ、そうそう俺もさっきので逃げてきたんだけどよー、ついでにこの辺妨害電波っぽいのが流れてて、この電子地図がバカになっちまって道に迷っちゃったんだー、参ったね」
ピシッ、とアクアの顔にひびが入った。
目的地に着けない理由は数秒で分かった。
レーダーがその妨害電波とやらでダメになってしまって当てにならないからだ。
「うあああ! 何で僕の考えは、いっつもかっつも挫かれるんだぁぁぁぁ!! 折角発明した、高性能レーダーがぁぁぁ、これじゃあ唯のガラクタじゃないかぁぁぁ!!」
「落ち着いて、あっくん!!」
「何で、何で、何でですかぁぁぁ!! 僕らはずっと、バカになったレーダーを頼りに歩いていたんですかぁぁぁ!!」
『アクアの冷凍パンチ!! 効果は抜群だ!!』
「えぶしっ! 俺は、悪くないのに……」
***
「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ」
カタカタカタ、とノートパソコンを打ち鳴らし、レーダーを改造するアクア。このエリア全域の妨害電波に負けないものを作ろうとしてるのだ。
「れーくんは、そういえば何で逃げてきたんだっけ」
「そういや、それを言うのを忘れてたー。あの光が降って来た後、変な影が出現してだな、変な弾を撃ちだしたんだー。皆驚いて逃げ出しちまったよー」
「黒い影、ですか」
ふむ、とアクアは呟く。
やはり、昨日のボーマンダの影と、あの光は関連があると断定して良いのだろう。
「よし、出来ました。もう夕方の4時ですが、とっとと行くとしますか------------」
***
----------フフフ、コレデモ尚来ルツモリカ……面白イ、相手ニナロウ……!!