二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート3:湖の決闘(2) ( No.22 )
日時: 2015/02/24 00:58
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

 --------どこだ? 敵はどこに隠れた?
 開けた湖の中、”彼”は呟いた。
 しかし、その答えはすぐに訪れる。

 がぱぁっ

 物の怪の口のように、背後の空間がばっくり、と割れた。

「っちぃ!!」

 伸びてきた手にすかさず肘の刃を突き立てる。
 ざくり、と切れたそれは、黒い血の様なものを噴出した。

「龍のっ、波動ォーッ!!」

 そして、ダメ押しに一発。龍の力が篭った波動を撃ち込んだ。
 しかし。

「刃デコノ私ニ勝トウトハ、100年早イナッ!!」

 一瞬で相手の腕から伸びている刃に受け止められた。
 敵の特殊防御力が高いことが伺える。

「ソシテ、貴様ノメガシンカエネルギー……貰ウゾ!!」

 白い手が伸びる、すかさずそれを自身の巨大な尾で振り払う。
 が、そのまま掴まれてしまう。

「捕マエタ……!!」
「いーや、形勢逆転だよ!!」

 次の瞬間、木の葉が彼の周りに浮き上がる。

「残念、無念、再来年っ!! リーフストームを食らえええええ!!」

 そして、手が掴んでいた尾は回転し始め、次の瞬間-------------巻き起こる木の葉の竜巻とともに、ミサイルの如く放たれた。
 

 ***


「着きましたよ! 流石僕のレーダー!」

 森を抜けた先にあったのは、やはり湖だった。相当広く、周囲には木が生い茂っているものの、水は澄んでいた。

「どうやら、僕らはぐるぐる回っていたみたいですが、もう此処まで来れば大丈夫です!」
「ほんっと、疲れたよー」
「お、俺もー」
「何でレイドさんまで着いて来てるんですか」
「だって俺んちこの近くだしー」

 と、レイドは言った。
 まあ仕方があるまい。
 しかし、次の瞬間だった。
 ピキ、ピキ、と目の前の空間が割れる。
 そして、幾多もの牙が生え中央から人影が現れた。ぞくり、と肌があわ立つ。
 何の前触れも無しに現れたからだろうか。

「影、ですか……!!」
「ちょっと、ちょっと! まだ3人目が見つかってないのにぃ!」

 慌てるチャモ。しかし、影の中の人影は”何か”を無機質に放る。それは、人のようだった。
 そして、静かに一言告げた。


「……こいつは、置いていくぞ……」


 放られて、横たわっているのは、アクアと同年代ほどの少年だった。それも、アクアにとっては見覚えのある少年だった。

「ラ、ラプターさんっ!!」
「ラプター……? あっくん、知り合いなの?」
「ええ、以前組んだこともあります。とあるパーティを組もうと思ったときに(マスターに無断で)協力してくれたんですよ」
「はは、しくじった」

 フランクな笑みを無理して浮かべようとするが、身体がずきずき痛むのか、ラプターと呼ばれた男は顔を歪めた。

「大丈夫ですか!?」
「アクア、悪いがオイラはもう無理だ。あと少し、あと少しのところだったんだ……! 御三家最速が情けねえ」

 この男こそが、アクアが探していた人物だった。
 しかし、時既に遅し。影と戦い、ラプターは敗れていたのだ。

「私はこのエリアのガーディアン。近付く者は排除する」

 影の奥にある人影は、無機質な声で言った。

「くっ、ホウエン御三家が揃えば敵無しと思ったのですが、流石に都合が良すぎましたか……」

 ちらり、とアクアはレイドの方を見た。

「仕方がありません、レイドさん頼みますよ」
「俺でいーのー?」
「止むを得ません。逃げるのも気が引けてきました」

 何故ならば、とアクアは続ける。


「今の僕は、最高に怒っているので」


 フフフ、と目の前の影から声がする。
 割れていた周りの空間が収束し、携帯獣としての原型に近くなった。
 それは、刃ポケモン・エルレイドだった。
 両腕の肘に刃がついている人型のポケモンで、腰周りが大きいものの、スマートな外見の男性的な容姿のポケモンだった。

「私に勝負を挑むと。良いだろう。完全体に成った今、もう無差別に相手を襲う必要もない。貴様らの土俵で命と命を賭けた決闘をしてやろうではないか」

 エルレイドの影は、嫌な笑みを浮かべた。次の瞬間、5つの影が背後に現れる。
 
「成る程、今回は6対ですか。こちらには選択肢はありませんが」
「気をつけろ……!」
「ラプターさん、休んでいてください。絶対に勝つので」

 前に進み出たアクアは一度息を吐くと言った。

「チャモさん!」
「おっけー!」
「レイドさん!」
「こっちも覚悟は出来たぞー」

 戦ってくれる仲間がいる。
 
「ま、仕方ないわな。BOHで一緒に戦った仲だー、此処で逃げたら触手が廃るってもんだぜ」
「頼みますから、触手は廃れていてください」

 些か不安ではあるが。

「私に勝てる訳が無かろう。私はラルトスの恨みから生まれたのだ」

 憎しみに満ちた眼差しで影は言った。

「サーナイトは女性的な容姿のポケモンだ。♀を望むプレイヤーは多い……故に!! 我々は理想個体にも関わらず、♂という理由だけでエルレイドにも成れずデータの塵になって消えていった……!」
「いや、知ったこっちゃないよ!」
「そーだなー、サーナイトたん可愛いもんなー、♀が良いよなー」
「あんた、もうこの湖に沈めてやりましょうか!?」

 クハハ、と目の前の影は笑う。

「馬鹿馬鹿しいと笑いたいならば笑え。だが、性別厳選などという下らん趣味の所為で、我々は無念のまま消えていった……!! 切り刻んでくれる、我は我が主の命に従うのみだ-------------!!」

 そして、選出画面に移行した。

「これはまた、面倒な敵ですね……!!」