二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート3:湖の決闘(6) ( No.26 )
日時: 2015/02/24 14:47
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

【番人はクロバットを引っ込めた!】


 やはりだ。クロバットは番人の下に戻っていく。

「おのれ……下郎め……!!」
「戦いに卑怯もらっきょうも、ましてや下郎もアホウも無いと思うけどー?」

 しかし、番人はレイドの挑発に乗る前にポケモンを繰り出した。


【番人はレントラーを繰り出した!】


 電気タイプの中でも、高い物理攻撃力を持つポケモン、それがレントラーだ。特殊型もいるといえばいるが。しかし、レイドは再び目をハートマークにしていた。

「やりぃ、また♀だぜー! あいつ程度の攻撃なら余裕で耐えてやんよやんよ」


【レイドの纏わり付く! レイドはレントラーに纏わり付いた!】

『レントラー残りHP:減った?』


「とりあえず、特殊型の可能性もありますからね、様子見でミラーコートを使っておけば、良いんじゃないですか」
「……なんか忘れてる気がするんだけど」


『レントラー残りHP:7/8弱』

『レイド残りHP:食べ残しで全快』

 チャモは何かが気になるようだったが、構わずレイドは再び特殊攻撃を跳ね返す壁を貼る。
 しかし、次の瞬間チャモが声を上げた。

「や、やばいよあっくん! 相手は100%物理型だって!」
「……え?」
「だって、相手のレントラー、威嚇した?」

 そういえば、そうだ。
 つまり、相手のレントラーの特性は威嚇ではない。
 そして、威嚇以外のレントラーの特性で考えられるのは------------

「し、しまった! レイドさぁぁぁん!?」

 
【レントラーの氷の牙! 効果は抜群だ!】

『レイド残りHP:111/193』

【レイドのミラーコート! しかし、上手く決まらなかった!】


「ですよねぇぇぇ!!」

 根性。状態異常時に攻撃をあげるというもの。つまり、必然的に構成は物理技に絞られる。
 というか、レントラーという種族自体物理型が多い。というか、ミラコ持ってる奴にわざわざ交代してまで出す訳が無い。

「言い訳のしようがないプレミです……」
「ど、どんまいっ! ミスは誰にでもあるよ!」
「とりあえず、自己再生で回復してください! 定数ダメを稼いで、僕に繋げるんです! 今のダメージは80、つまり確定3発、悪くて乱数2発! 余裕で受けられるはずです!」
「わ、分かってるよ!」


【レントラーの氷の牙! 効果は抜群だ!】

『レイド残りHP:37/193』


 成る程、これだけを見れば余裕で受けられるだろう。再生込みで。しかし、現実はそんなに甘くはないのだ。


『レイドは凍ってしまった!』


「って、おいいいい!!」


 カチンコチンに噛まれた場所から凍っていき、しまいには氷漬けになってしまったレイド。
 多分これ、口は利くことは出来ないと思う。

「大丈夫、即溶けがあるはず!」


【レイドは凍ってしまって動けない!】


「だと思いましたよ、ちくしょー!!」


『レントラー残りHP:纏わり付くで55%程』


 まずい。恐らく、レイドはこのターンで氷の牙を食らって倒れる。
 そうなった場合、アクアで2体を相手にすることになる。

「クロバットはギガドレイン持っていますし、命中不安なこの技じゃ些か不安ですね……!」

 頼む。どうにか奇跡が起こってくれ。


【レントラーの氷の牙!】


 冷気を纏わせたレントラーの牙が、そのままレイドに襲い掛かった--------------


【しかし、レイドには当たらなかった!】

【レイドは凍って動けない!】


 レイドは凍って動けなかった。しかし、時間は十分に稼げた。


『レントラー残りHP:纏わり付くで40%』

『レイド残りHP:食べ残しで61/193』


 纏わり付くの定数ダメージは、凍っていても発動するのだ。
 これならば、アクアでも余裕を持って倒せる。
 ----------へへ、後は頼んだぜ、アクア。


【相手のレントラーの氷の牙!! 効果は抜群だ!!】

【レイドは倒れた!】


 その身体を噛み砕かれ、レイドは力尽きる。

「へへー、此処までお膳立てしてやったぜ。後はお前が暴れるだけだろー?」
「全く、あんなところで凍るなんて……」

 しかし、アクアの顔はレイドの活躍を称えるように、輝いていた。
 残るは手負いの2体のみ。

「あっくん! 頼んだよ!」
「お前が頼みの綱だぜ!」

 アクアは振り向かない。
 唯、頷いただけだ。


【タクはラグラージを繰り出した!】


 普通のラグラージならば、レントラーを撃破してもクロバットのギガドレインで倒される危険がある。
 しかし、今回のアクアはそんなヤワな型ではない。

「行きますよ」

 此処で2体共倒すため、まずは全抜き体勢を整える。


【アクアのラグラージナイトとタクのメガバングルが反応した!】


 激しい光にアクアは身が包まれる。
 そして、その光が弾け飛んだとき、アクアは更なる限界を超えた進化を果たしていた。


【アクアはメガラグラージにメガシンカした!】


「ウラァァァーッ!! メガシンカ、完了ですよぉーっ!!」

 凛々しい瞳、更にたくましく、太く、そして強靭になった両腕。
 全てが邪魔をするものを破壊し、勝利へ突き進むために存在する。

「これが、あっくんのメガシンカスタイル……とっても強そう!」
「重戦車、パワーファイター、飾る言葉は幾らでもあるが、今のアクアは、さっきまでのアクアとは一味も二味も違うぜ」

 その言葉の通り、インテリ系だったアクアの姿は無い。
 純粋なパワーファイターとしての姿がそこにあった。


【敵のレントラーの氷の牙!!】


 その強靭な筋肉は、並大抵の攻撃では傷つかない。逆に跳ね返してしまったほどだ。


『アクア残りHP:164/200』

 アクアは地面を叩き天に向かって吠える。次の瞬間、暗雲が立ち込め始めた。
 そして、大雨が降り始める。


【アクアの雨乞い! 雨が降り始めた!】


 次の行動は唯1つ。
 特性・すいすいによって雨になるとメガラグラージの素早さは2倍になる。よって、レントラーは愚か、後続のクロバットよりも速い。
 もう、殴るだけだ。

「地震でもいいのですが、雨のターンを稼ぐ為に交代されたら嫌なので、僕の必殺技で決めてやりますよぉ!」

 激流を尾に纏わせ、レントラーをめがけて振り下ろす。

「おんどりゃああああああああああ!!」


【アクアのアクアテール!】

『敵のレントラーは倒れた!』


 猛々しい咆哮と共に、命中。そして、その勢いに跳ね飛ばされたレントラーは地面に激突し、そのまま消える。
 アクアテール。命中不安ではあるが、水タイプの物理技では威力が最高なのである。


【番人はクロバットを繰り出した!】


「バカな、私が負けるはずが----------!!」
「もう一丁ですよぉ!!」


 アクアは吠えると、再び激流を尾に纏わせる。
 そして、クロバットめがけて、咆哮と共に---------------振り下ろした。

「ふんぬらばあああああああああああ!!」


【アクアのアクアテール!!】

【敵のクロバットは倒れた!!】


 真っ二つ。
 手負いでボロボロだったクロバットは悲鳴を上げ、そのまま消滅した。

「あ、ぎ……そんな、何故誰も……私の存在を認めてくれないのだ……もはや、これまで……」

 そして同時に、影の本体・エルレイドも消滅していく。
 しかし、その顔はどこか満足気だ。

「だが認めてやる、アクアよ……エースとしての活躍も然る事ながら見事な采配だったぞ……!」

 そこに絶望はなかった。最後の言葉を残し、完全にデータの塵となって消滅する。
 その最期を見届けたアクアは呟いた。

「勝者へのリスペクトを忘れない姿勢、自分が認められなくても、認めようと思う相手は素直に認める姿勢、騎士道というやつでしょうか。敵方にも貴方のような人がいるなんて……少し残念だ」


【緑域の番人との勝負に勝った!】