二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート3:湖の決闘(7) ( No.27 )
日時: 2015/02/25 03:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

「す、すっげーよ、お前ら! オイラ1人じゃ倒せなかった奴を倒しちまうなんてよ!」

 ラプターが感嘆とした声で喜んでいるのが分かった。
 しかし、まだアクアの役割は終わっていないのだ。

「まだです、ロックコンピューターは恐らくこの湖の遥か底にあるんでしょう。僕が行って来ますよぉ」

 メガシンカしたままで、バリアの解除された湖に飛び込むアクア。

「ちょっと、あっくん!」
「すぐに戻ってきますからぁ!」

 心配するチャモ。自分が炎タイプなので、水が苦手なのもあるが。

「ま、大丈夫だろチャモ。お前じゃあるまいし、水の中で溺れ死ぬなんて有り得ねえよー」
「う、うん、そうだけど……」

 とは言え、とラプターは続ける。野生の勘という奴だが、


「ちーっと、嫌な予感がする……」

 
 と言った。
 その場に不安がのしかかる。
 アクアにもしものことがあったら、助けられる確証はないのだ。水の中だし。
 しかしレイドは自信満々に言う。
 
「待てよ、水中の様子を見る方法なら此処にあるじゃあないか」

 ***


 水深何メートルだろうが、泳ぐことにも長けたメガラグラージには関係ない。
 ぐんぐん突き進んでいき、水底に張り付いている何かを発見する。
 ---------あれですね……!
 後はあれに自分が持ってきたプログラムを使って、ロックを解除するのみ----------

『侵入者、発見……!!』

 突如、背後から音がした。

「ぶっ----------!! げほああっ!!」

 同時に、アクアは背中に激痛を感じた。何かが爆ぜ、爆風で吹っ飛ばされる。
 ---------魚雷……!? 奥の手って奴でしょうか……!
 ガーディアンが万が一突破されたときの事も考えていたのだろうか。周囲から空間に穴が開き、そこから次々に牙の生えた魚のようなミサイル、つまりそのままの意味で魚雷が飛んでくる。
 ---------って、魚雷ってそういう意味じゃないでしょう!?
 何てコントをしている暇は無い。
 次々に襲い掛かってくる魚雷をある時は殴り飛ばし、ある時は蹴っていくが悪戦苦闘とはこのこと、だんだん疲労が溜まってくる。
 今度は真正面から空間が割れて、巨大なそれが現れる。はっきり言おう、避けられるかどうかも分からない、つまり自分とほぼ同じに見えるほど、巨大なのだ。
 ----------でかい、でかすぎますっ!! こんなの破壊できる訳が----------!!
 と、次の瞬間だった。
 ”何か”が巻き付いていき、魚雷の動きを止める。
 ----------あれは------------レイドさんの------------!!
 だが、考えている暇は無い。
 動きが止まった魚雷に狙いを定め、真正面から拳を突き刺す。
 魚雷は見事に、殴った方向に吹き飛び、爆発した。
 そして、その間にアクアは持ってきたプログラムコードを水底のコンピューターに接続し、慣れた手つきで素早くハッキング。
 そして、ロックを完全に解除することに成功したのだった。
 ----------グッジョブ、レイドさん! さて、後はこれで----------
 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 音がする。先ほどのコンピューターの方向からだ。
 そして、ピシッ、という音とともに閃光が幾つも伸びた。
 2秒後。
 水底の巨大なコンピューターは-------------


 ドオオオオオオン


 物の見事に爆発した。
 湖のあらゆるものを巻き込んで。
 それは、アクアとて例外ではなかった。

「うおおあああああああああ!!」


 ***


「あぶねーあぶねー、俺がいなかったらアクアはやられていたな!」

 元々、水中出身のレイドにとって、水の中を裸眼で見渡すことは、原型の姿ならば朝飯前だった。
 しかも、触手と首は原型の姿ならば、何メートルでも伸ばせる。
 そして、アクアが巨大な魚雷に狙われているのを視界に認めると、すぐさま自慢の触手で魚雷を掴み、抑えることに成功したのだった。
 伊達に触手プレイヤーは名乗っていない。

「すごいよ、れーくん!」
「BOHメンバーは一味違うってことだな! 全く、アクアの奴も大したのをパーティに入れたもんだ!」
「なーっはっはっは! そんなに褒めても何にもでないぞ☆ まー、もうちょっとで魚雷の爆発で触手が全部吹っ飛ぶところでヤバ-------------」


「うおおあああああああああ!!」


 絶叫。水柱。
 どごぉーむ、と湖全体が競りあがった。
 そして、水柱の中から既に擬人化体に戻ってしまっていたアクアが、吹っ飛んでこちらの方へ。
 
「落ちる落ちる落ちる落ちる落ちるぅーっ!!」

「えっ、ちょっ、あっくん-----------」

 アクアの視界には、顔を真っ青にするチャモの姿が。

「チャモさぁぁぁぁん、避けてぇぇぇぇぇ!!」

「きゃああああ!!」

 次の瞬間、彼女が拳を思いっきり振り切ったのが見えた。彼女は無意識に危機回避行動として取ったのだろう。
 しかし。


【チャモの馬鹿力!!】


 当然、飛んできたアクアの顔面に、それはクリーンヒット。
 哀れそのまま彼は地面に力なく落ちてしまったのだった。


 ***

「-----------というわけなんでふ」

 以上が、アクアがボマーに行った今までの経緯の説明である。
 ちなみに当初の本命だったラプターはあばらが持っていかれていたので、しばらく入院するため、仲間になるのは無理だということ。
 後は、自分の鼻の穴に何故今ティッシュを詰めまくっているのか、ということ。
 どうやら、それで喋りづらいらしいが、ティッシュを取った瞬間に鼻血がどばどば溢れるので仕方があるまい。

「なーるほど、それでおめーはチャモの鉄拳で鼻の骨が折れちまった、と」
「折れたってはれが言いまひたか、バカマンダ。ラグラージの耐久舐めんなです」
「うん、2重の意味でムカついたから、顔面ぶん殴って良いかお前」
「やるんですか、コラ」

 ついでにだが、レイドは「ま、またお前らに着いていったら可愛い子ちゃんに出会えるかもだしー?」と言って、着いて来やがったことも伝えた。

「ひっさしぶりだなー、レイド。BOH以来か?」
「へへー、ボマーも相変わらずみたいで何よりだぜー」
「あんたがレイドね。話は聞いているわ、よろしく」
「よろしくお願いしますね」
「おうっ! よろしくな!」

 現在、この場にいるのは6名。
 理由はそれぞれだが、いずれも謎の脅威に立ち向かう覚悟が出来た者たちだ。
 しかし。

「本当っ、ごめんね、あっくん!」
「あー、うん、もう良いんでふよ」
「あっはっはー、この構図だとチャモの格好に興奮して鼻血垂らしてるみたいにも見えるけどー?」

【アクアの馬鹿力!! 効果は抜群だ!!】

【レイドは倒れた!!】

 
「はわわー、喧嘩はだめですよぉ」
「……不安だ」
「……不安ね」

 珍しく、意見の合うボマーとフレイだった。