二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート4:忍の街(4) ( No.36 )
- 日時: 2015/03/02 20:20
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「さあ、食った食った! じゃあ、行くか-----------」
と、ボマーが立ち上がったそのときだった。
「--------あり?」
がくり、と自分の足が崩れるのが分かった。さらに、それだけではない。瞼が重くなり、視界がぼやけてくる。
異常な倦怠感。これは----------眠気だ。それも、普通では考えられないほど強く、意識を闇に引きずり込もうとしてくる。
ちらり、と後ろを見たが既にムゥも店の壁に寄りかかって眠ってしまっていた。
「ど、どうなってるんだ-----------!!」
ばたり、と自分の身体が地面に倒れる。
そして、そのまま何も考えられなくなった--------------
***
「ちょっ、どうしちゃったのよ、あいつら!」
一部始終を見届けていたフレイはすぐに2人に駆け寄ろうとした。
おかしい。団子を食した後に眠りに付くなんて。
しかも、一向に起きる気配が無い。いや、当然か。
次の瞬間だった。
轟! と旋風が吹き、2人の身体を巻き上げていく。
そして、そのまま2人の姿は------------霞んで見えなくなり、消失した。
「う、嘘でしょ……どうすんのよ、これ……」
そして、団子屋に「ちょっと団子屋の人----------」と怒鳴り込もうとするが、中には既に人は誰もおらず、蛻の殻だった。
外を見渡してもボマーとムゥの姿は見当たらない。
「あいつら……どこ行ったのよ!」
そのときだった。
アクアのレーダーに目を向ける。
「……これ、改造したら使えるかも……!」
***
----------腐るのも大概にしなさいよ、あんた。学校にも最近来ていないでしょ。マスターが考えた新しい型(スタイル)を試さなくていーの?
----------うるせーな、もう努力すんのは諦めたんだよ。例え、メガシンカを貰ったって、活躍できるか分からないんだぜ? もう良いさ。主人にちょっとの間だったが、相棒だの何だのって持ち上げられて、俺は満足だ。
----------へー。それで? 努力を諦めた奴が、何でこんなにボロボロな訳?
----------喧嘩しただけだ。
----------あんたに喧嘩売る奴が世の中に何人いるでしょーね。
----------自分から吹っかけたんだ。
----------バカね。あんたがそんなことする奴じゃないって、あたしは分かってるわよ。
----------チッ、全部お見通しか。そーだよ。バカな俺様はまだ無駄な努力を続けているのさ。それを笑いに来たのか?
----------笑いに来た? 止めに来たっていうのが正解ね。オーバーワークは身体に毒よ。二度とバトルができなくなる可能性すらあるわ。
----------見てたのか? 全部。
----------ええ。
----------それでもだ。俺は何かしねぇと気がすまねえんだよ。
----------……強さへの飽くなき執念、か。仕方ないわね、付き合ってあげる。
----------は?
----------今度練習の時はあたしがあんたを見張っておくわ。あんたが無理しないように、ね?
----------勝手にしろ。止めろって言われても俺は止めねぇぞ。
あいつは、俺のことをいつも信じてくれた。
----------なーはっはっはーっ! 粉砕、玉砕、大喝采! メガシンカ、ついに手に入れたぜーっ!
----------荒れていたのが嘘のようじゃない。
----------やった……これでバトレボ時代のボーマンダ族の栄光、いやそれ以上の栄光が手にできるんだ……!
----------努力の賜物ね。それを知ってるからマスターもあんたにそれを託したのよ。
----------おうっ、お前が着いていてくれたから、練習を止めないですんだんだ、ありがとな!
----------違うわ。あんたが自分で掴み取ったものよ。さて、マスターが今度、あたしに闇の石をくれるらしいわ。やっと、あたしもシャンデラに進化できるのよ。
あいつが傍に居たから此処まで来れた。
----------ギルガルドか……流石に俺は此処までだな。マスターの指示は?
----------当然、あたしが出ろって言ってるわ。
----------そーだな。行って来い!
----------言われなくとも、よ!
俺もあいつを信頼していた。
----------え、そんな、嘘……。
……これは、何だ? フレイが、凍っていく-----------
----------助けて、ボマー……炎が……消えちゃう……
おい、何やってんだよ俺……早く助けねぇと!!
……嘘だろ? 足が動かない……!?
----------ぼ、まー……冷たいよ……あたし、もう……
おい、ふざけんなよ、こんなの、こんなの-----------
「フレイッ!!」
気づけば、叫んでいた。
そこで、思考は途切れた。全て、夢だったのだ。冷や汗が背を伝うのがボマーには自分で分かっていた。
「何で、あんな夢を……!! つーか、此処はどこなんだよ!?」
「ボマーさん、やっと起きたんですかぁぁぁ」
ムゥが近くでしゃがんで座っていた。彼より先に起きていたらしい。しかし、うるうると涙目になっている。
どうやら、見渡す限り木造建築の建物の中らしい。
床は木、部屋は薄暗く、よく見えない。
「どうやら、何者かに連れて来られたようですよ。どうしよう、もし一生出られなかったら、私……うっ、うっ」
「おいバカ、泣くなって。俺が起きたからには大丈夫------------」
と、言いかけたその時だった。
ガラガラ、と音がする。次の瞬間、巨大な岩が-----------
「危ねぇっ!!」
ムゥを突き飛ばし、自分も飛び退くことで難を逃れた。岩は砕けてデータの塵と化す。
「どこのどいつだ、オイ!! 姿を現せや!!」
原型の姿と成り、目の前に何者かの気配を感じる。
「そこだなっ、ぶっ飛べやこのチビがぁぁぁぁーっ!!」
敵は小柄なポケモンだ。こんな奴は、メガシンカするまでもない。
捨て身タックルで突っ込んでいく。
しかし、違和感を覚えた。
「--------避けない、だと!?」
捨て身タックルは命中率100%の技。しかし、暗がりなので避けられれば外れる可能性もある(それならばボマーは旋回して再び突撃するつもりだったが)。
しかし、相手の動きに避けようとかそういう意思が全く感じられない。
そして、突撃は見事に目の前の敵に命中した。
が。
「か、かってぇ!! どうなってんだ、こいつは!! 皮膚が岩石みたいにかてぇぞ!!」
まさか、受け止められてしまうとは予想外だった。
しかも、敵の肌の感触はかなり硬い。
「成る程、岩タイプか。なら----------これでも食らえ!!」
と、地面を踏み鳴らそうとした瞬間、敵影が飛び掛ってくる。
あまりにもすばやかったので避けられなかった。
しかし、何とか振り払い、地面に叩き落す。
そして----------
「ムゥ、床にしがみついとけよッ!!」
「は、はいっ!!」
【ボマーの地震!】
床を踏み鳴らして揺れを起こす。
相手が岩タイプならばこれで倒れたはずだ。
岩タイプならば。
「お、おかしい……立ってやがる、だと!?」
立っている。相手はボマーの地震攻撃を食らっても尚、立っているのだ。
おかしい。先ほど攻撃したときは、岩タイプだったはずなのに。
「しかも影からして、飛行タイプには見えねぇ。どうなってやがるんだ!?」
「相手の特性が浮遊とか?」
「いや、違ぇ。何かが根本的に違ぇんだよ------------!!」
姿が見えないだけではなく、タイプすらも見えない敵。
ボマー達は次第に、暗い恐怖が心に巣食っていくのが分かった---------