二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート4:忍の街(12) ( No.46 )
日時: 2015/03/02 20:28
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「あ、がっ……タノシ……ソウダナ……アハハ……」

 断末魔は、あっけなく、そして切ないものだった。ゲンガーはそのまま、本当の影として、消滅した。
 はぁ、と息を漏らすボマー。

「何だかんだ言って、こいつは寂しかっただけ、ってことか」
「だが何であれ、脅威は去りやした。クナイさんも、これで安らかに眠れるはずでさァ」
「いや、拙者まだ死んでないから」

 杖をついたクナイが、苛立ちを込めた眼差しと声で突っ込む。

「まあ、倒せたし良いんじゃないの?」
「そうですねっ!」
「だけど、結局こいつらが何で生まれちまうのかも、俺らは調べていかないといけねェな」

 そう言い、ボマーはさっき影が消えていった方向に目を向けたのだった。
 「それより!!」と、フレイが切り込む。

「あんたら、あたしがレーダー改造してる間に、団子屋でのこのこと団子を食べていたみたいじゃない」

 ビキビキ、と彼女のこめかみに血管と本来のゴーストとしての怖さが浮き上がった。
 
「2人で仲良くお話してたの、しっかり見てたわよ?」
「ご、ごめんなのです!」
「……ま、まさか、全部話の内容聞いていたのか?」
「ええ、勿論そうに決まって------------」

 フレイは言葉を失った。顔が真っ赤に染まっていく。
 そして、半ば諦めたように、縦に首を振った。
 
「あっちゃー、お前に全部聞かれているとは思わなかったぜ……。ちげーよ? ちげーんだよ? 全部このマセガキが----------」
「分かってるわよ、そんなことくらい!」
「あうう、不憫なのです……」
「まあまあ、店の中からあっしも話は聞いてましたゼィ、要するにボマーの旦那とフレイのお嬢、これなんでしょ?」

 と、ガメリオが小指を立ててからかってきたのを見たボマーとフレイの意思は合致していた。


【ボマーの捨て身タックル!!】

【フレイの大文字!!】

「いや、ちょ、おま、待ち----------まだ、あっし何にも技使ってな-----------」


 ズドォン。
 爆音が響いて、完全にガメリオは伸び切っていた。2人の最高火力技だから、当然といえば当然ではあるのだが。

「誰がこんなバカ、好きなもんですか!!」
「右に同じく、こんな特攻お化けと恋仲になるなんて、ボーマンダ族の末代の恥ってもんだぜ!!」

 と、完全に2人はぎくしゃくしてしまったのだった。
 ----------お、おっかしーなぁぁぁ? 今のは、息ピッタリの連携でしたゼィ、お二方ァ、ぐふっ。

 
 ***

 
 あの後、コンピューターはしっかりとボマーが破壊した。どうやら、レーダーがおかしくなっていたのも、コンピューターの妨害電波が原因だったらしい。

「いや〜、散々迷惑掛けてすいやせんでした、御三方。はい、あっしの自慢のみたらし団子でさァ」

 団子屋・隠れ蓑。あの後、空腹を満たすのと、彼が謝罪したいと言ったのも兼ねて、タダで此処で食べさせて貰っていたのだった。
 勿論、団子の中にキノコの胞子が入っていることはない。

「タダなんだな? 何本食ってもタダなんだな、ガメリオ」
「ええ、そりゃあ、旦那から金を取ろうだなんて、とんでもない。勿論、お連れのお二人もですよ」
「うん、美味しいじゃない。今度静炎邸の皆にも紹介してあげるわ」
「どうも、ありがとうございやす、フレイのお嬢」
「ほんっと、美味しいです!」
「いやいや、そう褒められると嬉しいですゼィ、あははは」

 陽気に笑う4人。だけど、とガメリオは続けた。

「しばらく、この店も閉めなきゃいけねーでさァ。俺も戦うつもりですゼィ、ボマーの旦那」
「これからも私達の力になって頂ける、心強い限りです」
「そうね。ま、こいつに似てちょっとお調子者だけど、さっきも火傷を負いながら、リザードンをやっつけたらしいし? 実力は確かだからね、あんた」

 ---------忍をやりながら、団子屋やる気ままな生活も悪くは無かったゼィ。だけど、俺の力を頼りにしてくれる人たちが此処にいる。
 ボマーの手は、いつの間にか、ガメリオの手を強く握り締めていた。

「そうだな。これからも、頼むぜ。ガメリオ!」

 ---------クナイさん。俺ァやってみますゼィ。あんたが認めた程のポケモン達に遅れを取らないように、自分を磨き続けまさァ。そんでもって、このボックスを守って見せますぜィ。
 
「ええ、勿論でさァ!!」

 こうして、ボマー達に新たな仲間が加わった。そして、同時に残るエリアは3つ! そのうちの1つは----------

 ***

 ----------天獄峡域。アクア達は、北風が吹き荒れる厳しい気候のこのエリアにやってきていた。
 これは、くじの結果というよりは----------

「ボマーさんに必死に頼んだ結果って奴だよね、あっくん」
「あの人があっけらかんとした人で助かりました」
「必死って程でも無かったよーな? ま、いーか。俺は誰でもいいから、特殊型の♀ポケモンがいれば、それで十分なのさー」
「うん、もうこの人無期懲役で良いや」

 アクアが、さらりと怖いことを呟く中。


 ----------風が----------泣いている。


 それを見つめる、1つの影-------------!!