二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート5:この風が泣いている(11) ( No.60 )
日時: 2015/03/14 22:50
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

【番人はクレッフィを繰り出した!!】

 さて、此処からである。幾ら旋といえど、クレッフィの電磁波を食らった瞬間、アウト。そうでなくとも、身代わりを無駄打ちすれば、ドレインキッスの応酬が待っている。

「此処は、僕に任せてください!」

 受け切れる。あの程度なら。
 アクアはもう迷わない。

「……そうだな。任せたぞ」

 旋の言葉が、追い風になった。


【チーム・アクアはピジョットを引っ込めた!】

【頑張れ! ラグラージ!】


 アクアに迷いは無い。
 
「ウッフ〜ン、サッキノ良イ男ォ〜!!」

 クレッフィがドレインキッスを放ちにやってくる。
 しかし。


「貴方に用はありません」


【クレッフィのドレインキッス!!】


「ウ、ムッチュゥゥゥ〜ン!!」

 じゃらじゃらとやかましく音を立てながら、意にも介さず、クレッフィは迫っていく。
 しかし。


「邪魔です」


 がしり、と鍵の妖精の顔面はアクアの巨大な掌に掴まれて、動かなくなった。
 全く、アクアの表情は動じていない。
 先ほどとは打って変わって。


『アクア残りHP:131/207』

【クレッフィはアクアから体力を吸い取った!!】

『クレッフィ残りHP:55%』


 あ、ひ、とクレッフィの口から悲鳴にもならないような声が響いた。
 アクアの顔は、鬼のような形相だった。

「砕け散れ、大地の力、ですっ!!」
「ヒィィィイイイ〜!!」

 逃げていくクレッフィ。どうやら、相手も交代するつもりだったらしい。


【番人はクレッフィを引っ込めた!!】


「ラ、ラグラージ様ァァァァ!!」

 チッ、と相手のラグラージが舌打ちをしたのがわかった。
 苛立ち、悪意、負の念が篭っている。
 
「全ク、全テ壊サナケレバイケナイヨウデスネ……!!」

 しかし、飛び出た瞬間だった。


【アクアの大地の力!!】


 地面を強烈に叩き付けたアクアを中心に、地面へヒビが入った。
 そして、一気にヒビが広がり、そこから溶岩が溢れ出す-----------!!

「行け、アクア!! 奴を倒すんだ!!」
「やれるぜ、アクア!!踏ん張れぇぇぇ!!」

 うおおお、と気合の咆哮を彼は力の限り叫ぶ。

「飲み込めぇぇぇぇ!!」

 アクアの叫びと共に、怒る大地はラグラージを食らい尽くそうとした。
 しかし。


「コノ程度デスカ」


『ラグラージ残りHP:10%』


 耐えている。
 流石に、無振りの火力では、倒しきれなかったか。
 
「僕ハ、全テノラグラージ、否、ラグラージ系統ノ恨ミカラ生マレマシタ」

 ぎょろり、と尖った視線がアクアを捉えた。

「系列共々、ミズゴロウノトキカララグラージノトキマデ、3種全部ガ笑イモノニ……御三家最強種族値ノ名ガ泣イテイル……!!」

 怨念が込められた瘴気が辺りに漂った。只ならぬ雰囲気に、チャモ達は狼狽した。
 
「な、何これ……気持ち悪いよぉ……!!」
「あいつが、放っているってんのかよ!!」

 吼えたラグラージは続けた。

「僕達ガ壊スンダ……!! 欺瞞ト理不尽ナ仕打チガ溢レタコノ世界ヲ……!!」

 はぁ、とアクアは溜息をついた。


「馬鹿らしい」


 その一言で、場は凍った。
 アクアの今の一言は、まるで、過去の自分である目の前の影を見限ったかのように見えた。

「ウ、ウガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「世界を壊す暇があったら-----------」


【敵のラグラージの岩雪崩!!】


 岩が上空から降り注ぐ。
 しかし、それを意にも介さない表情で、彼は受け止める。旋の交換読みだろうか。
 だが、そんなものは甘え。アクアには通用しない。


【効果はいまひとつのようだ】

『アクア残りHP:111/207』


 そして、ラグラージへ飛び掛った。


「---------まずは腐った自分をぶっ壊せば良いんじゃないですか」


 ありったけの力を込めた拳がメガシンカして、一回り大きくなった巨体のメガラグラージを捉えた。
 貫かれた衝撃は、そのまま身体全身に響き渡る。
 

【アクアのカウンター!!】

 
 巨体の顔面は見事に抉り取られて、影へ戻っていく。


「その方が、安上がりでしょう」

 
『敵のラグラージは倒れた!!』


 残るは1匹。クレッフィのみだ。

「ウッフ〜ン、マダヨ、アタシハメゲナイワ〜!!」

 ドレインキッスで襲い掛かるクレッフィ。
 相変わらずしぶとい。


【クレッフィのドレインキッス!】
『アクア残りHP:69/207』
『クレッフィ残りHP:60%』


 しかも、ドレインキッスの回復量が多い所為で、まだ倒れそうに無い。

「やべぇぞ……! アクアはそろそろ限界だ! あいつ、アクアの活動プログラムごと吸い尽くすつもりかよ!」
「え、それじゃあ、此処で負けたら、あっくん死んじゃうの!?」
「そうなるな」


【アクアの大地の力!! 効果は抜群だ!!】

『クレッフィ残りHP:10%』


「くっ、しぶとすぎる、まだやるつもりですか!!」
「アタシハ、メゲナイワ!! アンタノ命ヲ吸イ尽クス、ウヒ、ウヒ、ウヒャハハハハ!!」

 叫んだ鍵の妖精は、再びアクア目掛けて飛び掛る。


【クレッフィのドレインキッス!!】

『アクア残りHP:28/207』


 ドレインキッスを腕で受け止めたアクアの身体は、既に疲労しきっていた。
 ----------まずい、こんなやつにやられる訳には---------くそっ!!

「頑張って、あっくん!! 後、もう少しだよ!!」

 声が響いた。
 チャモの声だ。
 まだだ。まだ、自分には体力も、知力も、PPも残っているではないか。
 
「アクア!! 師匠が言っていた!! 何にも考えられない奴、または何にも考えられないとき、ただ我武者羅に突っ込めば良いと! 迷いを捨てれば、活路は開けると!!」

 その言葉には、聞き覚えがあった。
 アクアが何だかんだ言っても、最も信頼している先輩の言葉に似ていた。
 ----------馬鹿は、殴るだけだ!! 力任せに、迷いなんか振り切ってな!!


「----------全く、仕方ないですね……やれやれ、また筋肉痛で苦しむハメを見ますか」


 はぁ、と溜息をついた。
 今日だけで何度目だろうか。
 しかし。


「ま、それも悪くないかもしれません」


 迷いは、既に捨てていた。
 筋肉が一気に膨張し、腕を地面につきたて、怒りのままに揺さぶる。
 そして、溶岩が溢れ出し、鍵の妖精を飲み込んだ-------------!!

「ギャ、ギャアアアアア!!」

 妖精は熱を帯びた溶岩に溶かされていく。
 見るも無残な光景だった。
 

「これが、害悪糞鍵の、」


【アクアの大地の力!! 効果は抜群だ!!】

【敵のクレッフィは倒れた!!】


「哀れな最期ですか」


【峡域の番人に勝った!!】