二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート5:この風が泣いている(13) ( No.62 )
- 日時: 2015/03/21 18:09
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「最近は、めきめきと力を付けてるんじゃねえか、お前」
「はいっ、師匠のおかげです!!」
「その師匠って呼ぶのはどーにかならんかね……。俺ひょっとして老け顔? じじ臭くて嫌なんだけども」
「いえ、俺を此処まで鍛えてくれたのは、貴方です。それを師匠以外の名で呼ぶことは許されません」
「堅苦しいにも程があるんだよな」
----------とはいえ、俺もこいつも所詮はマイナーポケモン。しかも、どれだけ鍛えてもこいつの場合は、種族値も特性も使いモンになったもんじゃねぇ。どーして主人はこんな奴を厳選、しかも俺に鍛えさせたのかね。
「そーいえば、だ。暴風は完成したのか」
「はい、勿論です!」
「撃ってみろ、俺に向けて」
「い、いえそんなことは---------」
「つべこべ言うんじゃねえ!! 早くしねえと、ストーンエッジブッ刺すぞ!!」
「うわ、もうボーマンダの姿に----------」
----------しかも、特攻重視の育成法だぁ? ピジョットは攻撃の方が高いんだぜ? 普段俺が物理型やってるとはいえ、両刀染みたステータスしてなきゃ、まともに教えることもできなかったぞ。
「そ、それでは、恐縮ですが-------------」
----------お、おっ? これはちょっとやべーな。この姿でも受けきれるかどうか-----------
「うおおおおあああああ!!」
----------すげえ、すげえぞ!! 特攻種族値が低くなきゃ、死んでたぜ! おえええええ、回る回る回る----------!! んでもって、落ちるぅぅぅぅぅぅ!!
「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
「おい、やったじゃねえか!! 此処までとは思わなかったぞ!!」
「……殺ス……!!」
「は?」
「……オ前、殺ス……!!」
-----------ちょっと待て、何だこの輝きは----------!! メガシンカ!? でも、キーストーンも、メガストーンも無いのに、何故!?
***
「----------あの野郎」
ボマーはそこで回想するのをやめた。
此処は静炎邸のロビー。既に帰還していたボマー達はソファに背をもたれながら溜息をついた。
「どーしたのよ」
「……あーあ、前ならよー、こういうブルーな気分のときにボックスから出て、”セントラルフィールド”のカジノで憂さ晴らししてたんだけどな」
セントラルフィールド。全てのプレイヤーのサーバーから繋がる仮想世界である。中央に都市、その周りには色々な施設やダンジョンなどがある。要するに、インターネットの中にいるソフト、例えるならば本来は仕事がしやすいように擬人化されたそれらの住む場所である。ポケモンなども擬人化状態で住んでいたりするが。ボマー達がこうして擬人化しているのは、普段の生活で支障がないようにするためである。
先にも述べたように、ボックスから飛び出して、此処に住むポケモンも多い。以前BOHに出たついでにフレ戦でボマー達を対戦でボコボコにしやがった、とあるジュカイン達も、そこに住んでいるのである。詳しくはトップにもある『BOHパ対戦記録譚』をご参照。
最も、影の携帯獣の件でそこには行けなくなってしまったが。
「カジノってカジノって……あんたねぇ」
呆れたように、書類の整理をしていたフレイはボマーに言った。ムゥもそれを手伝いながら、げんなりした表情を浮かべていた。
「本当に好きね、そういうの……未成年でしょ。前から言ってるけど」
「……お金の無駄遣いなのです」
「ていうか、年齢制限。大丈夫なの、あんた入って」
「つーかあの店は基本無法地帯だからな。それに今は、18歳だから問題なーし。大人の”健全”なDVDも買って見て良いんだぜ?」
無論、それは紳士の見る健全なDVDに決まっている。
後、カジノについてだが、現実世界だったら大問題である。
「カジノといえば、前にギャンブラー共がイカサマ勝負吹っかけてきやがったから顔面ブン殴ってブチのめしてやったのも良い思い出だぜ」
「その後、マジでポケモンバトルになったわよね。あたしとアクア君が居なきゃ、危なかったわよ、あんた」
「相手のリーダーのメガリザードンXに捨て身タックルをカマして、結局ボコボコにしてやったけどな」
「この脳筋マンダ……」
「脳筋は褒め言葉だ。しっかしだな。あの銀の玉を転がすスリル、たまらないね、うん」
「ふにゃっ!?」
手を回す仕草をするボマー。言葉にならない悲鳴を上げるムゥ。
何故ならば、彼は既にムゥの背後にいつの間にか回っており、そしてその手は、シャツごしからも分かる彼女の豊満な胸にばっちり置かれていたからである。
そのまま、くいっくいっ、とパチンコのツマミを回す真似をしていた。
「あの、ボマーさん……何で私の此処に手を」
顔を真っ赤にし、目には涙を浮かべながら、ムゥは問うた。
無表情のまま、ボマーは答えた。
「お、すまねぇ。パチンコのツマミと間違えちま-------------」
「このクソマンダァァァァァァァ!!」
【フレイのめざめるパワー(氷)!!】
【ボマーは倒れた!】
***
「警察呼ぶわよ、呼ぶわよ!?」
「だから言っただろう。間違えちまったもんは仕方ねぇだろ、うむ最高であった、げぶほぁっ」
鼻から血を吹き出させながら言うその姿では、全く説得力が無いのである。
カタカタ、とムゥは部屋の隅で震えていた。
「いいか、これが世の中の格差だ、分かったか? だってよ、男ならば一度危険を冒してでも触ってみたくなるもんだし。ムゥのとお前のとでは違うんです、ゲホッ」
「何だと、この馬鹿マンダァァァ!!」
「ごめんなさい、フレイ先輩……」
「やめて! 今あたしに優しくしないで、死にたくなっちゃう!」
「ゴーストだけどな」
すいやせーん、と声がした。ガメリオだ。ロビーにそのまま入ってくる。
---------天井に張り付いたまま。
「何やってんのあんた」
「あ、失礼。忍者の癖でさァ」
言うと、ガメリオは床に飛び降りて、華麗に着地した。
「旦那ァ、あんたの後輩達と思われるのが帰ってきやしたぜィ」
「んお? アクア達が?」
「……つーか旦那、どうしやしたか」
見るも無残、そこにはめざパ氷を大量に食らって顔以外氷漬けになったボマーの姿があった。
「悪い、死にそうなんだわ」
***
玄関に出ると、そこにはアクアとチャモ、レイドの3人が立っていた。新しい仲間の姿はどこにも見えない。
「……どうした」
「ボマー先輩」
アクアはいつもに増して、真面目な面つきで言った。
「旋さんについて、知っていることを、全て教えて貰います」