二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート6:雷電霹靂(4) ( No.78 )
日時: 2015/03/27 00:20
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

「……あんたって、本当教え子や後輩には恵まれているわよね」
「そうか?」

 アクア達を見送った後、静炎邸には新たに居候することになったレイド、ガメリオを加え、ボマー、ムゥ、フレイの計5人が残ったのだった。
 ただし、ムゥは今この場には居なかったが。
 さて、フレイの質問についてだが、彼としては本当に分からなかった。
 確かに恵まれているといえば、そうなのかもしれない。
 アクアもなんだかんだで自分に着いてきてくれた。
 旋も無茶苦茶な特訓に根を上げず、覚醒した。

「あんた、結構人を引っ張るのには向いてるかも」
「ほっとけ。引っ張りたくて引っ張ってるんじゃねぇ」

 だいたい、こんな馬鹿に着いてくるのも馬鹿ってやつだ、と自虐した彼は、今度はガメリオとレイドの方を向いた。

「お前らも此処に住むのかよ」
「向こうからこっちに来るのも骨だしよー」
「仕方ないでさァ」

 ふーむ、とボマーは納得したように頷いた。
 妥当といえば妥当ではあろう。
 そして、最後にフレイに聞いた。

「そーいや、ムゥはどこに行った」
「大浴場よ。疲れたらしいわ」

 擬人化体の際は、完全に体の構造は人間と同じになる。水も苦手意識を持つだけで平気だ。
 よって、風呂程度ならばOKという水弱点ポケモンも多い。
 そうでないならば、炎ポケモンの場合は原型の姿で炎を浴びるのが風呂の代わりになるのだという。

「ほーう」

 がたり、と立ち上がったボマーは言った。

「おいレイド。そんじゃあ、ムゥを労いに。いや、あの二丁の凶器を拝みにいくとするか」
「そりゃ良いな、ボマー!」


【フレイの破壊光線!】

【急所に当たった!】

【ボマーとレイドは倒れた!】


 右手から放たれた破壊光線(レーザーガン)により、ボロボロにボマーとレイドは焦がされたのだった。

 
 ***


 次の日だった。
 ボマー達の行き先は、既に決まっていた。
 それは、コンビナート連なるボックス内の情報システムの核、雷電械域だ。
 そして、今朝のことである。

「---------先輩方、昨日から少しコンピューターの解析を進めていたのですが、どうも上手くいかないんです。有用そうなソフトや役立ちそうなものがあれば、借りてきてくれませんか」

 と、アクアが言っていたのである。
 しかし、この要求は余りにもアバウト過ぎるのでは無かろうか。

「んな都合の良いモンあるわけがねえっつーの」
「でも此処、雷電械域ならあるかもよ」
「ムゥ、お前はどう思う」
「ふんっ、えっちなボマーさんのことなんか知らないのです」
「完全に怒ってる……レイドはどう思う?」
「特殊ポケモンの♀がいれば、OK」
「ブレねぇな、お前も」

 しかし、人のことはぶっちゃけ言えないのである。
 
「で、ボマーはどう思うのよ」
「胸のでかい♀ポケモンが居ればOK」
「アンタもか!!」

 何故ならば、こいつも変態だからである。

「男が変態で何が悪い!」
「そーだそーだ!」
「常識人を増やして、このパーティ」
「仕方が無いですぜィ」

 さて、しばらく進んだところに工場があった。ぱっと見、かなり大きいがそれもそのはず、この工場はこのエリアの殆どの面積を占める程広いのである。
 中では様々なシステムが組み立てられているが、今は特に影の携帯獣に対抗するためのものを作っているという話だった。

「レーダーによれば、この工場の中にコンピューターがあるらしいですぜィ、皆さん。気ィ引き締めて行きましょうや」
「そーだな。こっからは真面目モードだ。中に敵が居たら、即潰す。それだけだぜ」
「全く、最初っからそうして欲しかったわ」
「頼むから、ボマーさんのような敵だけは出てこないで欲しいです……」
「特殊型の♀ポケはいるかね、うへへ」
「あんたら……少しは纏まりを持ってくだせィ」

 呆れた様子でガメリオは呟いたのだった。

 
 ***


「此処には一応、俺の知り合いも居る。BOHの時に戦った戦友だ」
「レアコイルのジルル……だったっけ」
「ああ。進化前のポケモンにも関わらず、スカーフを持てば130族抜きも可能な強いやつだ」

 レアコイルの火力は元・最終進化ポケモンだっただけあり、そこそこ保障されている。
 さらに頑丈による耐久、スカーフによる素早さで小回りこそ利かないが、パーティで重い敵を仮想敵に定め、投入したのだった。

「最初はジバコイルのバルルが入っていたんだが、フレ戦の帰りにトラックに跳ねられて爆発四散、修復作業に入ったからジルルにすることにした」
「トラックって……」

 それはともかく、である。
 中の工場には、沢山のコイルが居た。物資を運んだり、ベルトコンベヤから流れてくるものに流れ作業の要領で何かを取り付けたり、などである。
 何気にコイル系統のポケモンは、3匹共対戦でも使えるスペックの持ち主だったりする。
 コイルはレベル1無限戦法、レアコイルはスカーフ輝石でジバコにできないことをやり、ジバコイルは単純な高火力アタッカーとして使われる。レベル1コイルの実用性がどれほどのものかはさておき。
 工場自体は普通に作動しているようだった。
 すると、奥のほうから男女がやってきた。
 作業服に金髪で、容姿の似た男女---------即ち兄妹か姉弟のそれだった。
 ボマーとフレイはレートパでも何度か見知った仲の2人だった。
 声を掛けようとしたところ、向こうから言葉を発した。

「ライボルト族のボルルだ」
「同じく、デインです」

 社交辞令のつもりか、会ったことの無いメンバーに自己紹介をする。

「此処に何の用だ、ボマー君」

 女、ボルルはいつになく、強気な口調で言った。男勝り、という言葉が似合う。
 現に、2人ともボマー一行を歓迎する様子ではなかった。

「悪いが、今この工場は非常事態なんだ。帰ってくれ」
「非常事態だァ? の割にはコイル共はいつも通り働いてるじゃねえか」
「働いている、ではないのです」

 弟と思われる男、デインが進み出た。

「正確に言えば、働かされている、が正解でしょうか」
「んなもん一緒だわ、どっちも」
「あっし達ゃ急いでるんだ、時間が惜しい。邪魔すんなら、あんたらでも容赦なく潰すぜィ、ライボルト」
「あわわ、喧嘩腰は良くないですよぅ」
「同感だ、てめぇらこちとら急いでるんだよ」

 ムゥが既に飛び掛りそうな2人を抑えようとするが、引きずられてしまう。

「全く、血の気の多い連中だ。このコイル達は、我々の意思に反して”強制的”に働かされ続けているのだよ」

 呆れたように言ったボルルは、コイル達の方に指を指して言った。


「この工場は既に乗っ取られたんだよ! 無機物ポケモンは、やつらの傀儡と化した!!」

 
 ***


-----------全テ、私ノ思イ通リ……ソシテ、マイ・アドミラルノ思イ通リ-----------!!