二次創作小説(映像)※倉庫ログ

パート6:雷電霹靂(6) ( No.80 )
日時: 2015/03/27 13:19
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「旦那、モーターって誰ですかィ」
「NNだ。そんでもって、そいつがバルルとトラックの事故を起こしたんだ」
「はぁ!?」
「そういえば、忘れていたわ……」

 ガメリオは、全く内容が掴めない。
 ボマーは続けた。
 
「フレ戦が終わった後のことだった。バルルが帰ろうと交差点に出たとたん、トラックに乗り移って運転していたモーターは、3Vだった所為かAIにボロが来て、運転をしくじって衝突。さらに乗せていた電子レンジがよく分からないけど爆発して、バルルも本能的に大爆発して、大惨事になった」
「入院してたから知らなかったけど、こんなことになってたのね」

 ジバコイルは一応、大爆発を覚えるのである。
 実用性は皆無。多分。

「全く分かりやせん」
「特攻、つまりブレインにVが入っていなかったからな、あいつ。だから、改修に出して、今度こそ5Vにするつもりだったんだ」

 そう、ボルルが付け加える。
 今まで3Vのまま対戦でバリバリ活躍していたのが不思議なくらいである。

「はっきり言って……不安だ。あいつを出すのは。しかし、一刻の猶予も無い。奴を連れていってくれ」

 ボルルが急かすように言った。どうやら、それを使うのは相当渋ったらしい。
 ボマーも心中を察したように、

「分かってる」

 と返した。

 
 ***

 
 研究室の奥には、何かが入っていると思われる機械が、ガタガタ音を立てていた。
 どうやら、敵の支配下でも、此処だけは正常に動いていたらしい。

「こいつとは何度もレートで戦った仲だ。ブレインこそ旧式ではあったが優秀だった。本来の名はリモーションコンピューターRT/CPU301番型って言って、パソコンなどに乗り移ることで機能する高性能コンピューターなんだ。さらに目の前の敵を確実に排除(リモーション)する優れもの。故に通称:モーターで通っている」
「それ、コンピューターじゃないですねィ、しかもこんな感じの展開どっかで見ましたぜィ。今のような説明、どっかで聞きましたぜィ」

 いや、マジですいませんでした。

「1つだけ言えるのは、どっかのポンコツスパコンとは違い、超優秀ということだ」
「さっきからそればっか。つーかそのポンコツスパコンって、あんたの同期の600族よね。というか、今明らかに失礼な発言したわよね」
「うるせぇ、ただしこいつはちょいと問題があってだな------------」
「そうね、問題ありだったわね」

 おーい、起きてるか、モーター---------とボマーがこんこん、と機械の蓋を開けたそのときだった。
 何かが飛び出した。
 それが、ボマーの顔にへばりつき、そのまま彼は後ろ向きに倒れる。


「ボマアアアア!! 会いたかったのデース!!」


 へばりついたのは、少女だった。
 ギザギザの歯に、アホ毛の立った黄色い髪、そして制服のようなブレザーを着ていた。 
 瞳には稲妻が走っており、電気タイプであることは間違いないようだ。

「離れろと言ってるだろ、この電子幽霊」
「むぅ〜、折角婚約相手のワタシがやってきたのに、それは無いと思いマース!」
「婚約ゥ!?」

 フレイ以外の全員の声が重なった。

「違う! 誤解!」
「ボマーさん……」
「ムゥ、やめろ! 違う!」
「教会立てやすかィ」
「違うと言っているだろう!!」
「触手プレイさせろー」
「黙ってろ、にゅるにゅる!!」
「にゅるにゅる!?」

 はぁ、と唯一メンバーの中で落ち着き払っているフレイが進み出た。

「モーター……あんた、好い加減にしなさいよ、毎度毎度……」
「んー? 久々なのに、フレイは冷たいデスネー。もしかして、フレイは妬いてるんデスかー?」
「妬いてなんかなーい!!」

 ふよよ、と浮いたまま、フレイに挑発するモーターと呼ばれた彼女。
 口調は、エセ外国人のそれであり、明るさと同時に、胡散臭さを感じる。
 
「……ひょっとして、モーターって……」
「見てのとおり、擬人化体の容姿で分かると思うが、ロトムだ。人格データは♀」
「しかも、何でこんな……」

 ボマーLOVEという奴である。
 提督LOVEならぬ。

「簡単デース! あれは雨の日デシタ……ボマーさんは、ゴミ捨て場に捨てられていたワタシを拾って、マスターのところに連れて帰ってくれたのデース!」
「ベッタベタだな、おい!! それで、こうなったってわけですかィ!?」
「その後、AIを強化したワタシは、擬人化体もラブのパワーでゲットしたんデース!」
「……うっとおしいことこの上ないんだ、ガメリオ。今時の少女漫画にもねぇと思う、こんなシチュ」

 ふよよ、と再びフレイに詰め寄り、小声でモーターは囁いた。

「でもでもー、フレイも前より、ボマーへのラブが深まってるように感じマース」
「ちょっ、んなわけないでしょうが!」
「フレイももっと素直にならなきゃ、ダメダメなのデース! ワタシを見習ったらどうデスカー?」
「……あんたって奴は……全部お見通しなのね……って、馬鹿! さっさと、こっち向きなさい!」

 
 ***


 モーターが手をかざすと、5種類の家電は一瞬で手のひらサイズのキューブに変わった。
 それを腰のベルトに付けた彼女(と弁机上呼ぶことにする)はボマー達に、興味津々そうな顔をして、向き直った。

「それでそれで、今日は何しに来たのデース?」
「悪い奴をやっつけに来た」
「ワオ! ヒーローごっこデスネー?」
「ちげーよ、アホ。この戦いはごっこなんかじゃねえ」
「……分かってマース」

 急に沈んだ顔を彼女は見せた。


「コイル達が悲鳴を上げているのが聞こえマース。とても、苦しいって」

 
 どうやら、愚問を問うたのはこちらのようだった。
 そりゃ分かるよな、とボマーは呟いた。むしろ、今までの態度が辛い感情を押し隠すためのものだったようにも見える。

「……早く、助けないと」
「ああ。そのために、俺らはお前を復活させた」
「勿論デース! ワタシも久々に戦いマース!」

 こうして、モーターは戦線に加わることになったのだった。

「ボマー? この戦いが終わったら、ワタシと結婚するネー!」
「しねぇよ!! 余計なフラグも立てるんじゃねぇ!!」

 いや、不安だ。正直言って。ボルルが開放するのを渋ったのも分かる気がした。