二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- パート6:雷電霹靂(7) ( No.81 )
- 日時: 2015/03/27 15:39
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
工場、最深部。守護級が巣食っているのは、このエリアだという。
そもそも、しばらくは使われていなかったエリアだったようで、守護級の反応を追い、初めてここを知ったものさえ居たと言う。
あのライボルト姉弟も例外ではなく。
「……つーか、離れろ!! ふざけてんじゃねえぞ、テメェ!!」
さっきから、ボマーの腕からくっついて離れないモーター。
「ハイハイ、分かってマース! うふふ」
「畜生、この電子幽霊……真面目にやれっつのーの、真面目に!」
「良いんデスかー、そんなこと言って。意地悪言うなら、ビリビリさせちゃうネー!」
どんなにボマーに邪険に扱われても、彼女はめげる様子は無い。にこにこ、と無邪気な笑顔を絶やさない。
「これがマスターの最古参メンバーの1人だから泣けてくるわ」
「最初はただの従順なコンピューターだったんだが……」
「んー? 今もワタシは従順デース?」
「何でこのパーティにはアクの強い方しか居ないんでしょうか……常識人は居ないんですか」
ムゥが呆れたように言うと、
「ちょっと待ちなさい、あたしはまともよ」
「あっしもまともでさァ」
と、割とまともな2人が憤慨し、
「そーだそーだ、俺だってまともだ」
「俺だって、触手プレイヤーであることを除けば常識人だぞー」
「ワタシもデース!」
どう考えてもアクが強いとしか思えない3人が憤慨した。
「このチームのカオスの原因は、明らかにあんたらでしょうがぁぁぁ!!」
***
重々しい扉があったが、即・突破。
改めて、ボマーの捨て身タックルは強力であることを、全員は思い知ったのだった。
「さっすがネ、ワイルドで最高デース!」
「……何だかなァ」
部屋は暗く、どこに何があるのか、全く分からないという状況だった。
が、ボマーが先陣切って踏み込んで行く。そのときだった。
何か、冷たいものが頬を通り過ぎて行った感覚を覚えた。
ぷつん、と何かが切れる。
そして、雫が流れた。
赤い、赤い雫が。
「-------------ッ!!」
直後、鉄拳で目の前に現れた何かを吹っ飛ばす。
奥へ突き飛ばされたそれは、転ぶ様子は見せず、アクロバティックな動きで引き下がる。
「んっん〜、流石と言ったところか。私の太刀を避けるとは、俊敏だよボマー君」
声にはノイズが掛かっていた。
同時に、部屋の明かりがつく。古い、メインサーバールームの中央に、どろどろしたものに包まれたコンピューターがあった。
そして、目の前には2本の大太刀を、それぞれの腕で振るう男の姿があった。赤い武士の服に身を包んだ大柄の男だった。
周囲には、邪悪な瘴気放つ空間が牙を剥き出しにして開いている。
同時に、ボマーの頬には切り傷が開いていた。その部分が電子分解(データ生命体が損傷を負うと、その部分を修復しようとナノマシンが集まっていく現象)を起こしている。
もう少しで上顎と下顎が切り離されるところだった。
「……大丈夫!?」
「けっ、こんくれぇ何ともねぇ!!」
吐き捨てるように言った彼は、目の前の敵を睨み付けた。
「暗闇で闇討ちとは、随分とまぁ姑息な手段を使うモンだな」
「今のは余興だよ、ボマー君。マイ・アドミラル(私の司令官)は任務を完遂しろと言ったが、遊んではいけないとは言わなかったからね」
「舐めんじゃねぇぞ、クソッタレが。すぐさま消し飛ばしてやる----------」
と、彼が言いかけたそのときだ。
すっ、と何かが自分の傍を通り過ぎて行ったのを感じた。
「らああああああああああああ!!」
ビリビリ、と電撃を至近距離で放ち、影の男に食らわせるモーター。
その姿、鬼神の如き。
「あぎいいいいい!?」
全員は唖然としていた。
これが現環境トップメタの力か、と。
***
「雷電械域と言えば、ですねモーターさんという方がいるんですよ」
アクアはコンピューターの解析を進めながら、チャモに話しかけた。
「はっきり言って、かなりふざけた方ですが」
「強いの?」
「-----------強いなんてもんじゃありません」
アクアは目を伏せた。
「現環境トップメタの一角にして、新たな技をORASで会得、さらに今まで幾つもの敵をレートで滅ぼしてきました」
「ええ!?」
「あるときは、メガサナのムンフォを耐えて10万ボルトで撃破、ファイアローを残さず殲滅、さらにAI補正で命中不安技も100発100中の凶悪性能の持ち主ですから、恐ろしいことこの上ないんですよ」
「やばくない!?」
「……一番恐ろしいのは-----------病んだレベルに到達したボマーさんへの恋愛感情でしょうか」
***
「ガァァァァァーッデム!! ボマーに傷を付けることは、ワタシが許さないのデース! 例え、火の中水の中草の中氷の中ブラックホールの中、例え世界をオーバーヒートで焼き尽くしても、ハイドロポンプで沈めても、リーフストームでビルが倒壊させまくっても、吹雪で氷付けにしても、エアスラッシュでバラバラ死体にしてでも、仇なす奴は遺伝子レベルで消滅させマース!!」
「落ち着け、モーター!!」
「離して下サーイ!!」
ボマーが必死で押さえつける。このままでは暴走してしまうだろう。AIが本当の意味でオーバーヒートを起こしたらヤバいのである。
こんなときにヒートロトムにしてはいけない。
「お、お、おのれぇ……出て来い貴様ら!!」
そうこうしている間に、男の背後に、5つの影が現れた。
マニューラ、エーフィ、ランドロス、ライコウ、リザードンの5匹。
そして、男は周囲の空間を巻き込み、携帯獣の姿となった。
赤き鋼鉄の鎧に包まれた甲殻虫のポケモン、弾丸の拳の持ち主、ハッサムだった。
「私は全てのハッサムの恨みから生まれたのだ!!」
「はぁ? ハッサムはどっちかと言うと恵まれてるでしょ」
やーやーやってるモーターを横目にフレイが問いかけた。
「あれは去年の映画だった! 予告ではいかにも劇中でメガシンカしてメガアブソルと戦う感じだったのに!! 実際はOPでちょこっと出ただけだという酷い扱い!! 全米のハッサムがないた、この事実! どう晴らしてくれようか!」
「確かに去年の映画、予告詐欺酷かったもんなー」
「面白かったのは事実だけど」
また、これか、と全員は呆れた。
映画ネタまでぶっこんでくるとは誰が思おうか。本編が面白かったので、何の問題は無いと思いたい。
「覚悟しろ、貴様らの眉間をブチ抜いてくれる! あ、いや切り刻んでやる!!」
「どっちだよ」