二次創作小説(映像)※倉庫ログ

番外編:パート1 ( No.99 )
日時: 2015/04/02 16:57
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「おい、今のうちに逃げるぞ!!」

 叫ぶドーラ。何とか盗賊団を打ち倒し、メタンと共にその場を後にする。
 あぐ、とうめき声を上げるミミロップ達だが、すぐさま騒ぎを聞きつけた警備係のポケモンが駆けつけて、お縄にされたのだった。
 その隙に逃げる2人と1機。

「ひゃっはー、やったぜ! これで俺達の仕事も楽になるというものよ!」
「完全に悪役なんだけどなぁ……」
「悪タイプに何言ってんだ、ルル。つーわけだ、じゃーなミミロップのおねーちゃん! 胸の詰め物はバレッバレだったぜ!」
「な、何ぃぃぃ!!」

 次の瞬間、取り押さえられているミミロップの女の胸元から、丸い何かが転げたのが見えた。
 ドーラの見立てどおりだったらしい。

「覚えておきなさいよ、このクソサザンドラァァァァァァァァァァァ!!」
「俺何にもやってねーけどな。つーか貧乳はステータスだしな、あっはっはっはっはっは!!」
「さっさと逃げるとしましょう」
  
 
 ***


「しっかしよー、大変だったぜ」
「あんた何もしてないだろ」

 ドーラは酒場でメタンの装甲を磨きながら、ため息をついたのだった。

「賞金は手に入らなかったが、何とかなったって訳だ。メタンさえ居れば、仕事も何とかなるってもんよ!」
「ええ、この完全完璧パーフェクトォォォな敏腕凄腕スパコン執事・メタンが居れば、どんな仕事も簡単に終わらせることができますできるのです、そうなんです」
「少々うぜーけどな」

 ま、何であれ、だ、とドーラは立ち上がり、店を出る。ルルもそれに続く。
 経緯こそ本来想定したものとは違ったとはいえ。
 賞金こそ手に入らなかったとはいえ。
 驚異的計算能力を誇るスパコンを手にすることが出来たのだ。
 それだけで十分というもの。
 
「さーてと、何か仕事の依頼は来てないかね」

 と、ドーラがタブレットを操作し、そこに映し出された画面を見た。

「……あー、何かやべーことになってるわ」

 ドーラは2人に呼びかける。

「行くぞ」
「え、ちょっと待てよ!」
「どうしたんですか。ドーラさん」
「早速仕事だ。着いて来い、おめーら!」


 ***


 依頼は地下に潜んでいたギャングの抗争鎮圧だった。2つの中堅組織、魔入羅団と罵車亜茂団が乱闘を起こしているとのことだ。
 ギャングといっても、スーツに身を包んだマフィアなどのそれと全く変わらない本格っぷり。
 しかも数が多く、どうもこのままではこちらが返り討ちにされるだけだ。

「というか、こういう任務のとき、何でドーラはいっつも殲滅するって考えに辿り着くのかな」
「うるせー、こんな騒ぎを起こすような連中は両成敗しろっつーのが裏社会の掟だ」
「しかし、どうするんですか? まずはこの高性能スパコン執事の私が----------」
「いや、結構」

 現在、廃工場の一室で、既に戦闘体になったギャングポケモン達が、今にも技を撃ち合いそうな雰囲気になっている。
 乱闘というには静かだが、前の部屋で共倒れになっているギャング共を見ているので、それほど驚きはしなかった。
 一触即発。そんな言葉が似合いそうな空気。
 そこにドーラは-----------戦闘体になり、笑顔で踏み込んだ。

「すいませーん、出前に来ましたー」

 は? とギャング全員はこちらを向く。
 直後、技の狙いが全てドーラを向いた。しかし。


「流星群全員分特盛ですねー? あっついので、ふーふーしてから食らいやがれやオルァァァァァァァァァ!!」


 その瞬間、天井を突き破って大量の流星群が降りかかった。
 当然ながら、ドーラが呼び寄せたものだ。自分に視線、意識を集中させ、上から降りかかる流星群に気づかせない、一瞬の隙を作る。これが彼の作戦だった。
 流星群の命中率は90%。故に、避けられる可能性は十分にある。しかし、今の作戦を用いたことにより、命中率はほぼ100%に。
 C種族値125、タイプ一致威力130×1.5。
 それがギャング達に襲い掛かる。
 あべしっ、ひでぶっ、たわらばっ!! と言葉にならない悲鳴を上げて、あちこちで爆発が起きている上に、技の撃ち合いが即座に起こり、ギャング共が共倒れになる阿鼻叫喚の様を見て、ドーラは1人はははは、と笑い声を上げていたのだった。

「いやー。愉快愉快」
「外道にも程があんだろ、あんた」
「流星群は当たったときが爽快なんだよなー」

 さ、帰るか、とドーラが踵を返したそのときだった。

「お、おのれぇぇぇ、よくもやったな……!!」

 まずい。さっきのギャングの生き残りだ。しかも、両団のボス格らしい。
 マニューラと、バシャーモだ。
 それを見て、なおも余裕を見せるドーラ。
 
「へっへーん、魔入羅団と罵車亜茂団の諸君、これに懲りて喧嘩はやめろという上からのお達しだ、抵抗するなら返り討ちにするがな!」
「ああ、そうだ……喧嘩はやめるとするよ」
「2人掛りでてめーらを殺るけどな!」

 あ、やべ、とドーラは呟く。

「良いんじゃない? 丁度バシャーモでイライラしていたところだし、本編にもマニューラ出たばっかりだし」
「あんだとコルァ!! このサザンドラ、俺に因縁つけんのかコルァ!!」
「いや、それは別のバシャーモでだな……アハハ」
「あんだとゴルァ!! おいサザンドラ、本編って何のことだゴルァ!!」
「いや、本編ってマジで何のことだよオイィ!?」

『野郎、ぶっ殺してやぁぁぁぁる!!』

 今にも襲い掛からん雰囲気の2体。

「だから言ったんですよ、このパァァァフェクトゥゥゥなスパコン執事の私に任せていれば良かったものを」
「おめーのそれはいっつもうぜぇんだよ!」

 とか言っている間に、ギャングボスは使えそうな部下を引っ張り出して行く。

「何か、これしか居なかったが、どうする」
「仕方が無い! どいつでも良い、戦力になりそうな奴はこっちに入れろ!」

 画して。対戦小説史上初の1パート二戦目……というより、ドーラ達始末屋とギャングの対決が火蓋を切ったのだった。