二次創作小説(映像)※倉庫ログ

対戦パート2 ( No.108 )
日時: 2015/05/21 00:38
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: rGbn2kVL)

「一体撃破、なのです……!」

 電はその炎でサンダースを焼き払い、駆逐する。
 その代償として特攻が大きく下がってしまったが、とりあえず一体持っていったので、仕事はしたと言えるだろう。

「……問題は、この先、だけど……」

 なにか、嫌な予感がする。そしてそういった悪い予感は、大抵の場合は的中するものだ。
 今回も、それは例外ではなかった。


【6組はバシャーモを繰り出した!】


 相手の二番手は、激重のバシャーモ。今回の面子では、上手く攻撃を読まなければ、まともに受けられない強敵だ。
 だが、それだけではなかった。
 相手のバシャーモの姿を見るや否や、キャンディが指さして声を上げる。

「あ、あんた!」
「久しぶりねキャンディ! 今日こそ決着をつけるわよ!」
「……誰……?」

 相手はなにやらキャンディに敵意を向けているように見えるが、一体誰なのだろうか。

「去年、隣のクラスの委員長だった子……今年は6組の委員長みたいね」
「当然! 今年こそ、どっちが委員長にふさわしいかを、この舞台で決めるわよ!」
「いや、私は5組の委員長で、あんたは6組の委員長で、どっちがふさわしいとかないから」
「……どうでもいい……対戦、進めるぞ……」

 6組の委員長らしいバシャーモの敵意が、酷く個人的で一方的だと瞬時に理解したトンベリは、とりあえずその私情は無視して対戦に戻る。

「相手はバシャ……たぶん、メガバシャ……となると……」

 ニコラスのアクアジェット一撃では、倒せないだろう。
 通常バシャなら倒せる可能性もあったのかもしれないが、メガバシャーモともなれば、メガシンカで上がった耐久により、確定で耐えられてしまう。

「どうする、トンベリくん」
「……バシャの突破手段は、二つ、ある……」

 一つは、ニコラスのアクジェで、加速を無視して倒す方法。しかしそうするには、事前にバシャを体力をある程度削らなければならない。
 もう一つは、トンベリのメタルバーストで反射する方法。ただし、剣舞型も多いメガバシャーモだ。安定して反射できるとは言いがたい。メタバが読まれなくても、交代読み剣舞だってありうる。なので対面した時に、フレドラ読みメタバか、剣舞読み挑発の択ゲーとなる。

(……バトル・オブ・ホウエンでは……それで、何度も、やられてるし……)

 できれば後者は取りたくない選択だ。

「……とりあえず、ここで退くのは、ハイリスク……電、悪いけど……」
「電ちゃんはここで切るしかねえよなあ……」

 メガバシャーモの火力は、積んでいなくても驚異的。フレアドライブで来る可能性が高いため、軽々にトンベリに代えられるわけもない。
 なので、電はここで捨てることにする。

「り、了解なのです……」
「……悪い……」
「い、いえ、そんな……仕方ないのです。これも、みんなの勝利のためなのですから」
「……相手も、動き出したわよ」


【バシャーモのバシャーモナイトと、6組のメガバングルが反応した!】

【バシャーモはメガバシャーモにメガシンカした!】


 トンベリの予想通り、相手のバシャーモはメガシンカ。メガバシャーモとなる。

「とりあえず、上は取れてるはず。特攻は下がっちゃいましたが、オーバーヒートで少しでも削ります!」

 守るさえなければ、電はバシャの上を取れる。このオーバーヒートで、ニコラスのアクジェ圏内に入れば、ぐっと楽になる。
 仮に守るがあっても、その場合は剣舞がない場合が多いはず。ならば、トンベリのメタバでかなり安全に反射できる。


【いなずまのオーバーヒート! 効果はいまひとつのようだ……】
[バシャーモHP:8割ほど]

【いなずまの特攻はがくっと下がった!】


「あぅ、全然効いてないのです……」

 特攻二段階ダウンに、タイプで半減されてしまえば、ダメージも低くはなる。しかしバシャの耐久の低さと、眼鏡の火力で、四分の一にしては入った方だ。
 それでも、アクジェ圏内かどうかは、かなり怪しいところだが。

「ぬるい攻撃ね」

 6組の委員長は、そう吐き捨てるように言った。

「……相手は、守らなかった……ということは、剣舞の可能性が、高い……」
「剣舞? まあそういうのもよかったんだけど、そんなありきたりな技じゃ、新入生も飽きちゃうわ。今回は、これよ!」


【バシャーモは爪とぎした!】

【バシャーモの攻撃と命中が上がった!】


「爪研ぎ!?」
「あまり見ない技ね……」

 爪研ぎは、攻撃と命中を同時に上げる、珍しい積み技。
 アタッカーにすると、どうしても命中不安がつきまとうバシャーモとは、相性がよい技ではある。


【バシャーモの加速! バシャーモの素早さが上がった!】


「さあ、これでもうアタシには追いつけない! この勝負もらった!」
「はわわ……まずいのです……」

 流石に一度加速されてしまったら、電もメガバシャーモには抜かれてしまう。
 そうでなくとも、オバヒで拘り、特攻は四段階も下がっている。もはや起点以外のなにものでもない。こうなってしまえば、トンベリのメタバで反射するプランは瓦解したも同然である。

「……爪研ぎ……」

 この時トンベリは、相手の次の一手を考えていた。
 爪研ぎを採用しているということは、相手は命中不安技を抱えているということだ。ブレイズキックも命中不安だが、それ以上に確実に採用されているのは、飛び膝蹴り。
 相手としても、ニコラスのアクジェは警戒するだろう。電の残り体力が少ないとはいえ、フレアドライブで体力が削られるのを良しとは思わないはず。

(……こういう時……あいつだったら、どうする……?)

 自分に指令塔などという役目を勝手に押しつけた、あの男の顔を思い浮かべ、思考するトンベリ。
 バシャーモの突破方法については、いつも頭を悩ませてきた。彼はどうやって、この軍鶏の首を絞め上げてきたか。
 やがて、トンベリは顔を上げる。そして、決断した。

「……電、交代……」
「へ……?」
「……オレに、代われ……」

 トンベリが指示した選択は、自分への交代だった。

「だ、大丈夫なの? もうあんたが受けられる火力じゃないよ、あいつ」
「問題ない……ここで、相手の選択は、爪研ぎ……お陰で、次の一手が、読めた……」
「えー? マジー?」
「マジ……爪研ぎを使うってことは、命中不安技を、採用してる……少なくとも、馬鹿力じゃなくて、膝は採用、してる……」

 電を起点にして、とりあえず積んだのだろうが、相手としても、ニコラスのアクジェの存在がちらつくため、フレドラの反動はできれば嫌うだろう。
 ならばここは、さっき見せたニコラス交代読みも兼ねた、膝を撃ってくると見ることができる。爪研ぎで命中を上げているので、相手の膝は外れることもない。安心して撃てるだろう。
 ただし、

「……オレなら、膝を、透かせるから……」
「あ、そっか。トンベリはまだ見せてないもんね。相手の警戒も薄いはず」
「そんでもって、膝を外したら骨折ダメを受けるからー」
「俺のアクアジェット圏内に入るって寸法だな! よし、その作戦でいこうぜ!」
「膝を透かした後は、わたしを捨ててください。トンベリ君はまだお仕事ができるので、わたしが身代わりになるのです」

 と、メガバシャーモの火力に戦慄していたが、勝機が見え始めてきた5組の面々は、表情を明るくする。
 ただし、ちーちゃんだけは、どこか心配そうだった。

「トンベリくん……」
「…………」

 やはり彼女にはばれているか、とトンベリは思う。
 しかし、勝つためにはこれしか手はない。リスクの高い賭けだが、残された手は一つなのだ。
 ならば、それを実行する以外はあるまい。トンベリは、既にその覚悟ができていた。


【いなずま、戻れ!】

【行け、トンベリ!】


「てっしゅーなのです! お任せしました、トンベリ君!」
「ん……」

 電と交代し、場へと出て来るトンベリ。
 理想的な流れは、ここでバシャの膝を透かしてダメージを与え、電を捨ててから、ニコラスのアクアジェットで仕留めること。
 それが理想だ。
 しかし、世の中、理想的なことばかりが起きるわけではない。
 そして、現実はいつだって非情なのだ。

「……来るか……」



【バシャーモのフレアドライブ!】