二次創作小説(映像)※倉庫ログ

対戦パート2 ( No.17 )
日時: 2015/03/02 21:11
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)

【雨が降り始めた】


 突如として、フィールドが雨雲に包まれ、豪雨となった。

「あ、雨乞い? 雨降らせて、どうするのかしら……?」
「……見たところ、雨パ、ではない……はず……」
「純粋に水技の威力が上がるだけでも厄介そうですけどねぇ」

 などと、困惑してはいるようだが、やや緊張感に欠けた発言が聞こえる。
 しかし、雷切はそうではなかった。この技だけで、相手のシャワーズの型が判明した。

「……忘れてたぜ、こいつの夢特性……」
「……? らいきりさん? どうしたんですか? 夢特性って——」


【シャワーズの潤いボディ】

【シャワーズの火傷が治った!】


「……え……?」
「や、火傷が治っちゃいました……!?」
「あー……こういうこと」
「そういうこった」
「どういうことですかっ?」
「簡単に言うとだな、このシャワーズはうるボ眠る型、もしくはその亜種なんだ」

 うるボ——潤いボディとは、天候が雨の時、ターンの終わりに一定確率で状態異常が治るというもの。
 これと眠るを組み合わせ、雨が降る限り状態異常も関係なく体力を回復し続けるのがうるボ眠る型シャワーズだ。モノクロは会ったことはないが、嵌められたらそう簡単には抜け出せないらしい。
 ただ相手はアクアリングを使用しているので、眠るはないかもしれない。それでも体力を回復し続け、耐久型の天敵である状態異常もリセットするため、耐久型どうしではまず勝てないだろう。

「うるボ眠る型シャワーズと言えば、某絶対零度のゲスいブイズ使い……ブースターレジェンドフォルムは伏線だったか……!」
「なんにせよ、まずいわね」


【シャワーズは食べ残しで少し回復。水のリングで体力を回復】
[シャワーズHP:9割ほど]


 相手のシャワーズは残飯とアクアリングで体力を回復し続ける。こちらの鬼火は潤いボディで打ち消される。
 耐久どうしの対決でも比較的強く出れるトンベリが、完全に止められてしまった。

「く……先に、挑発、撃っとくべきだった……しくじった……」
「いや、俺がもっと早く潤いボディに気付いていればこうはならなかった」

 なんとなくうるボの影はチラついていたのだが、実際に出て来るまでその可能性に気付けなかったのは、やはりまだ弱い部分だ。
 水タイプがサポーター気質満載のラグラージしかいないパーティーに出て来たシャワーズという時点で、もう少し踏み込んで考察するべきだったようだ。

「つっても全部結果論、たらればの話をしても仕方ねぇ。思考を切り替えて、こいつの突破方法を考えるぞ」
「……悪い……」
「気にすんな。元はと言えば、反射的にお前を選んだ俺の責任だ」
「……そうだった……」

 それはさておき。
 相手はアクアリングを纏い、雨を降らせた。そうなると、そろそろ攻撃に転じるはずだ。
 シャワーズは一鳴きすると、どこからともなく波が押し寄せる。豪雨により増水した、大波が。


【シャワーズの波乗り!】
[ヤミラミHP:7/157]


「っ……きつ……」
「乱数で耐えた感じか。メタバがあればここで終わりだったが、久々に投入したイカサマが裏目に出たか……!」
「やっぱメタバって神だわ」

 とはいえ、能動的に攻撃できるイカサマの方が良い場面もなくはないので、一長一短であるが。
 いや、三分の一くらいはメタバの方が長いかもしれない。


【ヤミラミのイカサマ!】
[シャワーズHP:7割程度]

【シャワーズは食べ残しで少し回復。水のリングで体力を回復】
[シャワーズHP:8割まで回復]


 トンベリはイカサマで攻撃するも、ダメージはお察し程度。残飯アクアリングでほとんど回復されてしまう。

「ま、攻撃には期待してねーし、こんなもんか」
「ここからどうするんですかぁ?」
「相手は攻撃に移ったわけだし、後出しはしたくねーな。雪姫は電磁波撃ってもうるボで回復される、補助技も豊富で、シャドボがまともに通るとも思えねぇ」

 それになにより、ここまで削れたトンベリを取っておいても不安定なのだ。体力がこれでは、死に出しから自己再生をしたくとも、相手の積みの起点になる可能性があるため、不利な読み合いが発生する。
 それならば、

「悪いトンベリ、お前を捨ててちーちゃんを死に出しする」
「……まあ、仕方ない……オレも、もう足手まとい、だし……」
「そ、そんなことないよっ! トンベリくんは十分がんばったよ!」
「でも……メガスピアーに、鬼火、入れただけだし……」

 それだけでも仕事はしたかもしれないが、しかしちーちゃんの不意打ちで一撃なので、あまり意味はないかもしれない。
 精々、シャワーズの型を探ったくらいか。

「このシャワーズがどんな振り方をしているのかは分からねーが、少なくともちーちゃんのじゃれつくで確定二発——確一とは行かずとも、乱一くらいにできたらいいな」
「雨下でトンベリが乱数耐えしたんだし、メガシンカしたちーちゃんなら耐える……かしら?」
「……トンベリがDにも振ってることを考えたら、ちーちゃんも乱数かもな」

 しかし雪姫の道連れは軽々に使いたくない。あれは奥の手のようなものだ。
 それにシャワーズなら補助技で透かされることも考慮しなければいけない。

「……とりあえず、挑発撃って、退場……」
「ここに来て補助技を使うとも思えねーが、ま、ちーちゃんの不意打ちが通りやすくなるだけいいか」


【ヤミラミの挑発! シャワーズは挑発に乗ってしまった!】


 トンベリは瀕死寸前で挑発。これでシャワーズの補助技を封じたが、封じるなら雨が降る前に封じたかった。

「ところでトンベリ君、君いつもどんな挑発してるの?」
「……別に……」
「そんなこと言わないでさー、教えてよー、ねーねー」
「……鬱陶しい……」

 いつもぼそぼそと聞こえづらい声量とトーンで喋るため、確かにどんな風に相手を挑発しているのかは謎だった。
 根暗なトンベリの挑発がどんなものかは気になる。気になるのだが、


【シャワーズの波乗り!】

【ヤミラミは倒れた!】


「今はそれどころじゃねぇ」

 トンベリが波に流され戦闘不能。先に一体持っていかれてしまった。


【シャワーズは食べ残しで少し回復。水のリングで体力を回復】
[シャワーズHP:またも9割まで]


 そして相手は残飯アクアリングで体力がほぼ全快に。果たして、ちーちゃんの攻撃一発で落ちるかどうか。
 だが、それでもやるしかない。

「そんじゃ、頼んだぜちーちゃん」
「……任せたよ……」
「はい! 全力で行ってきます!」


【行けっ、クチート!】