二次創作小説(映像)※倉庫ログ

対戦パート3 ( No.27 )
日時: 2015/03/21 16:01
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)

【龍たちはカイリューを繰り出した!】


「来たか、カイリュー……!」

 今回のグレンは、カイリューに有効打を持たない。すべての技が半減以下にされるのだ。
 一方、相手は龍舞型。ならば、地震くらいは持っていてもおかしくない。
 かなり絶望的な対面だ。

「……勝ち目はあるのか? 非常に遺憾だが、このまま背を向けて走るという手もある。無理に戦い続ける必要はない」
「あ、作中にも降参みたいなコマンドはあるんだ」
「? なんのことだ?」
「ご主人様の代弁?」
「意味が分からんのだが……それはどういうことだ?」
「あー、グレン。あいつの言うことに真面目に取り合うな。馬鹿を見るぞ」
「馬鹿とはなにさー、馬鹿とは」
「分かった分かった。このまま脱線し続けるわけにはいかねーし、話を戻すぞ。確かに俺らの選択肢には逃走もあるが、まだ勝ち目がないわけじゃねぇ」
「本当か?」

 グレンが尋ね返すと、雷切は無言で頷く。
 そして、そんなグレンへと指示を出した。

「ま、次の行動次第ではあるけどな。俺たちが勝つには三つのタスクをクリアする必要があるが、とりあえずグレン、一発あのマルスケデブを殴れ」
「膝でね!」
「了解だ……む? 殴る、膝で……?」
「ユキ、話がこじれるから、あなたはこっちであたしと見ててなさい」
「膝を撃つってのは合ってんだけどな」
「とりあえず、跳び膝蹴りを当てればいいのだな。了解した!」

 一息で飛び上がり、グレンは空中で片足を折り畳むと、そのままカイリュー目掛けて急降下する。
 そして、その膝を叩き込んだ。


【バシャーモの跳び膝蹴り! 効果はいまひとつのようだ……】
[カイリューHP:6割弱]


「くっ……!」
「意外と入ったが、半減じゃこんなもんか……」

 攻撃特化したグレンの最大火力の跳び膝蹴りだが、流石にタイプが悪い。半分も入らなかった。

「半分入れば、次の膝で落ちてたかもしんねーが……ますますステロを撒かなかったことが悔やまれるな。ステロダメで削ってリャ、乱数次第で落とせてたかもしれねぇ」
「申し訳ないです……」


【カイリューの地震!】


 細い勝ち筋がさらに細くなりつつある中、相手のカイリューも、巨体を地面に叩きつけ、衝撃波を放つ。

「やっぱ地震は持ってたか」
「というかライ、この地震は耐えられるの?」
「可能性はある。メガシンカしてグレンの耐久は上がってるからな」
「でも……」
「それだけじゃねぇ。奴は一舞しても、ドラクロで半分削れたラグナを落とせなかった。だから恐らく、あのカイリューはAを削って耐久を多く割いてんだろーぜ。それなら」

 耐える見込みはある。
 そして、カイリューの放った地を這う衝撃波が、グレンの身体を突き抜ける。


【効果は抜群だ!】
[バシャーモHP:14/158]


「くぅ、流石に効いたが……!」
「おぉ、耐えましたねぇ! グレンさん!」
「とりあえず、第一タスクはクリアだな」

 案外バシャーモ、とりわけメガバシャーモの耐久は、ここぞという時に頼りになる。
 減り方からして乱数っぽいが、運良く低乱数を引けたのかもしれない。


【バシャーモの加速! バシャーモの素早さが上がった!】


「さて、じゃあ次の問題だな。見た感じ、グレンの膝は奴に確定三発……多く見積もって低乱数二発だ。予想通りっちゃぁ予想通りだがな」
「なんにせよ私にできることは、再び跳び膝蹴りを当てることだけだが」
「そもそも、カイリューってことは……」
「あるよねー、神速」

 唯一無二、優先度+2の先制技、神速。
 今のグレンは、明らかに神速圏内だ。

「だから第二タスク、神速がないことを祈れ」
「そんな無茶な……」
「神速切りのカイリューなんて、ほとんどいませんよぉ」

 龍舞型だろうと、鉢巻型だろうと、カイリューはほぼ確実に神速を持っている。持っていないのはヤイリューくらいなものだろう。
 しかし相手の火力的に、ヤイリューであることは考えにくい。

「それでも今はないと考えるしかねーだろうが」
「でもさぁ、仮に神速がないとか、押しミスしちゃったとかあっても、次の膝じゃ落ちないんじゃない?」
「あぁ、そこが第三タスクだ」

 相手の残り体力と、先ほどのダメージ量から見て、次の跳び膝蹴りで倒すことは難しいだろう。
 なら、どうすればいいか。簡単だ。

「急所に当たることを祈れ」
「また運ゲーなの……」
「しかも相手依存ですよぉ!」
「無茶苦茶にも程があるな」

 第一タスクをクリアしても、第二、第三タスクが無茶難題。
 相手依存で神速切り、自覚に賭けて急所狙い。確かに正攻法ではないが。

「結局、単純にもう一度私が飛び膝蹴りを当てるということではないか」
「そうなるな。さあ行ってこいや」
「……いざとなれば、貴様を餌に我々は逃走するぞ」

 最後の一言そう言い残してから、グレンは飛び出していく。

「神速があれば、ここで撃つ以外にはあり得ねぇ。さーて、どう来る……?」


【バシャーモの跳び膝蹴り!】


 グレンが跳ぶ。その瞬間にも、相手のカイリューに動きはなかった。
 跳び膝蹴りを放つ刹那の間まで攻撃がないということは、つまり、

「本当に神速を切ってたの……なんなのかしら、このカイリュー」
「役割重視で、残りは炎パンとかだったのかもな」

 火力に削ったカイリューであれば、あり得ない話ではないと思う。
 なんにせよこれで、第二タスクはクリア。
 後は、すべて天運に——グレンの自覚に、委ねるだけだ。

「グレンさーん! ファイトですよぉ! あなたなら大丈夫です! HAHAHA!」
「ここまで来て倒せないとか抜かすんじゃねーぞ脳筋女! きっちり決めてこいや!」

 後ろでは、グレンに対する声援らしきものが響く。
 滞空しながら、そんな旧友の言葉に溜息をつきたくなる。

(相変わらず連中は要求が無茶苦茶だな。だが)

 自分たちはいつだってそうだった。
 無茶苦茶でも、無理矢理でも、時に計略を用いて、時に強引に攻めて、如何なる障害をも突破してきた。
 だから、そんなことは今更だ。

「今更、言われるまでもない——決める!」

 今度はいちいち降下して膝を当てたりはしない。空中にいるカイリュー目掛け、地面を蹴った勢いのまま、下から上に膝を突き込む。
 上から落下した方が重力による後押し、抵抗のなさがあるため有利だと思われるが、それは打ち合いや鍔迫り合いの時に限る。一撃のインパクトを加えるのであれば、むしろ勢いが乗った状態の方が威力が跳ね上がる。
 そしてグレンは、その勢いが最大まで達した瞬間。カイリューの腹に、最大火力の跳び膝蹴りを叩き込む。

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


【効果はいまひとつのようだ……】

【急所に当たった!】

【カイリューは倒れた!】


 そして。
 その一撃で、カイリューは撃沈した。

「……マジで急所に当てやがった」
「当てろって言ったのは雷切君だけどねー」
「いや、本当は倒しきれないと分かったら、あいつを餌に逃げるつもりだったんだ」
「うーわ、サイッテー」
「グレンさんならどこまでも加速して追いかけてきそうなものですけどねぇ」
「すべて聞こえているぞ、貴様ら」


【バシャーモの加速! バシャーモの素早さが上がった!】


 なお加速するグレン。第五世代までは御三家最速であった雷切でも追いつけないスピードになったグレンからは逃げることはできない。
 つまり、最大の障害であったカイリューがいなくなった今、残るリザードンでは、グレンは止まらないということだ。


【龍たちはリザードンを繰り出した!】


「雷切に制裁を加えたいところではあるが……討伐の任が先決。まずは貴様から、成敗してやろう」


【バシャーモの地震! 効果は抜群だ!】

【リザードンは倒れた!】


 三度目の震脚で、メガリザードンXも突破。
 これでこの洞窟を巣食うボス、三体の龍はすべて倒したことになる。

「……任務完了。他の龍たちはリーダーを失い、じきに散るだろう」
「だったらここにはもう用はねーなぁ。とっとと帰ろうぜ」
「そうね、あなたたちが暴れて、ここも随分と埃っぽくなったし」
「とゆーか、ぶちゃけ勝てるとは思わなかったよ。今回も随分な運ゲーだったね」
「それを言うな。勝ちゃーいーんだよ、勝ちゃぁ」
「勝てばよかろうなのだぁ! だね!」
「まあ確かにその通りだが……なんだその言い方」

 そんなこんなで、一同は倒れた龍たちを放置したまま、洞窟から立ち去るのだった。



【荒ぶる龍たちとの勝負に勝った!】