二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 茶番2 ( No.31 )
- 日時: 2015/03/24 14:12
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
そんなやり取りがあった後日。
雷切たちは、雷切が今やスクラップと化したパソコンを拾ったというゴミ捨て場へと向かっていた。
しかし、そこにちーちゃんの姿はない
「なあ、ずっと聞きたかったんだが、ちーちゃんはどうしたんだよ、トンベリ」
「……補習……小テスト、の……」
「学生は大変だなぁ。お前はなかったのか?」
「……ギリギリ……」
「トンベリくーん、ちーちゃん待っててあげなかったのぉ? かわいそー」
「……先に、行ってくれって……言ってたから……待ったら、待ったで……ちーちゃん、申し訳、なさそうに、するし……」
「そんなちーちゃんは見たくない! って? かっくいー! さっすがトンベリ君!」
「……焼くぞ……!」
「お? おねーさんとやるかね? ゆっきゆきにしてやんよ」
トンベリが指先から鬼火を灯し始め、雪姫が(なぜか)徒手空拳の構えを取った辺りで、やっとココロからの制止が入った。
「はいはい、昨日も言ったけどやめなさい。ゴーストタイプどうし、もっと仲良くてもいいんじゃないかしら……」
「別にタイプが同じからって気が合うとは限らねーだろ。特にゴーストタイプは、曲者揃いの個性派ばっかだからな」
「でも、同じパーティーなんだし、いざこざはよしてほしいわ……」
これ以上悩みの種は増やさないでくれ、とでも言わんばかりにココロは溜息をつく。
最近になってようやく雷切の賭け事がなりを潜めてきたというのに、また新しい問題が起こっては敵わない。
「……っと、着いたぜ、ここだ」
しばらく歩いていると、雷切が足を止める。
見ればその先には、大量のスクラップの山が連なった——ゴミ捨て場があった。
特に立ち入りが制限されているようではなかったので、適当な策を飛び越えて敷地に入る。
「ゴミ捨て場というか、スクラップ置き場……?」
「そう言った方が正しいかもな」
ゴミ捨て場と言っても、そこに捨てられているゴミはただのゴミではない。扉が外れた廃車、画面の割れたテレビ、ホースが切断された掃除機——その他、屑鉄なども大量に積みあがった、スクラップの山脈だ。
「こういう場所だから、漁ってみると案外おもしれーもんが見つかるんだぜ。ガキの頃は結構ここで遊んでたなぁ」
と、過去を懐かしむのもそこそこに。
このゴミ捨て場で、まだ使えるパソコンがないか、捜索が始まった。
「と言っても、当然ほとんどが壊れてるわよね……使えるパソコンなんて見つかるかしら?」
「どっかにゃあんだろ。とりあえず探せ探せ」
「……適当な……」
実際、アテがあるとは言ったが、こんなスクラップ山脈からパソコン一つを掘り当てるだけでも相当な重労働だ。
今日一日で終わるわけもない。下手すれば、何週間もここに通ってパソコンを探すことになるかもしれない。
そんなことをするくらいなら、いっそ買った方がマシだと、ココロやトンベリなんかは思う。
「洗濯機、電磁レンジ、芝刈り機、冷蔵庫、扇風機——この辺にゃねーかねぇ。もっと奥か?」
「お、おぉ!? 雷切さーん!」
「なんだよラグナ、キモイ声上げてんじゃねーぞ」
「そんなことより、これ見てくださいよぉ! 凄いもの見つけましたよぉ!」
「あぁ? 凄いもの……? あんだよ」
ラグナロクがキモイと言われても、そんなことと言い捨てるほどの掘り出し物が見つかったのだろうか。
雷切はどうでもいいものだったらリフストでぶっ飛ばしてやろう、などと考えながら、屑鉄の山を飛び越えてラグナロクの下へと駆け寄る。
そこだけは、スクラップの山が低くなっており、また屑鉄も脇へと寄せられており、少しだけ開けていた。まるで誰かが掃除でもしたかのように。
そしてその中央に鎮座する、蒼色の鉄塊。脚のようなものが四本突き出しており、非常に奇怪な形をしている。
だが雷切は、それを一目見た瞬間、その眼を見開いた。
「こ、これは……! でかしたぞラグナ!」
「HAHAHA! まさかこんなところで見つけられるとは思いませんでしたよぉ!」
「あぁ俺もだ。懐かしいな、まさかこんなとこに捨てられてたとは……!」
感極まったような二人。他の三人も、そんな二人へと駆け寄ってくる。
「どうしたの? なにか見つかった?」
「おうよ、すげー掘り出しもんだぜ、こいつは」
一見すると、少し変わったただの鉄塊にしか見えない。
雪姫がペチペチと叩いてみるも、反応はなかった。
「……なに、この、鉄の塊……」
「こいつはポケモンだ」
「え? ポケモン? これが? その辺のスクラップとあまり変わらないように見えるけど……というか擬人化とかじゃないの?」
「そうだな。こいつは俺らが学生の頃、学校内のネットワークを管理してたメインサーバープログラムだ。とにかく高性能でな。情報処理能力、演算能力がスパコン並で、自律思考と周囲の環境や情報を吸収して随時最新のプログラムをインストールする高度なAIは、ほとんど生物としての意志と遜色ない。さらに頑強なボディによって単独で戦闘もできる。とにかく多機能なコンピューターなんだぜ」
「それ、コンピューター、違う」
「正式名称はスーパーコンピューターMX/CPU201番型つって、俺らは通称としてスパコンピって呼んでたな。懐かしいぜ」
「ポケモン……なのかしら……?」
などと言いながら懐かしむ雷切だが、懐かしむだけではない。
そんな高性能なコンピューターだ。今の雷切たちにとっては、喉から両手両足が出るほどに欲しい物体である。
「こいつを適当なキーボードに接続して使えば、あっと言う間に超高性能PCの出来上がりだ」
「……ポケモン、なのよね……?」
「まあ多少の調整は必要だろうがな。自律してバトれるから、ダメ計プログラムも残ってるだろうし、いいもん拾ったぜ」
「でも、なんでそんな高性能なスパコンちゃんが落ちてたのかな? こんなの捨てるの勿体なくない?」
雪姫の言うことももっともだ。
それほど高性能なコンピューターなら、まだまだ使えそうなものではあるが。
「あー……さっきは色々褒めそやしたが、それでもこの超高度な情報社会だと、こいつよりも高性能なコンピューターはいくらでもあるんだよ。それにこいつはポケモンだからな。第六世代で逆風が来て、機能を維持し続けるのも大変らしいぜ」
「……機能を……維持……?」
「定期的にバトらせる必要があるんだ。そうじゃねーと、バトル用の思考プログラムが腐っちまって、他のプログラムにも影響を及ぼすんだと」
「……コンピューター、なのよね……? いや、ポケモン……?」
「ま、常日頃からバトッてる俺らにゃ枷になんねーし、なによりその程度でこいつが手に入るなら安いもんだ。ラグナ、こいつを運べ」
「了解ですよぉ!」
と、サラッと荷物持ちにされるラグナだが、そんなことが気にならないくらいに彼らはハイだった。
しかしそんな高揚する彼らに、立ちふさがる集団がいる。
ラグナロクがスパコンピを持ち上げようとした、その時だ。