二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 対戦パート2 ( No.35 )
- 日時: 2015/03/25 02:06
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
「硬ぇ!? なんだこいつ!?」
「どうだ見たか! 『壁山』の防御力を甘く見るなよ!」
「畜生、悔しいがこれには驚かされたぜ……いくら火力に振ってないラグナとはいえ、四倍弱点の技をここまで抑えるか……!」
「ま、どうせ確定二発も上も取れてるから、次で倒せるんだけどねー」
しかしこの耐久は素直に驚いた。それは事実だ。
もしやこの耐久、二倍弱点程度なら余裕で耐えてしまうのではなかろうか。
「よーし、それじゃあお返しッス!」
「……これ、耐える……?」
「気合で耐えろ、ラグナ!」
「が、頑張ります! ふんぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
【サイドンのしっぺ返し!】
[ラグラージHP:45/207]
「……って、しっぺ返しだったわね」
「地震じゃねーのか」
「間違えたッス!」
「おまえぇぇぇ!」
地震でも耐えた可能性はあったが、なんにせよこれでサイドン突破は確実になった。
だが、相手の裏にいるポケモンも考慮すると、ラグナロクの体力は残しておきたい。
「上が取れてて、乱数二発なら……ラグナ、回復だ」
「HAHAHA! あれですねぇ! 了解ですよぉ!」
ラグラージは水・地面の優秀な複合タイプだが、自己再生などの高速再生技がない。その点が、ヌオーやトリトドンに劣る点だ。
しかし、自己再生がなくとも、回復技が皆無なわけではないのだ。
【ラグラージは眠るを使った!】
【ラグラージは眠って元気になった!】
[ラグラージHP:全・快!]
【ラグラージはカゴの実で目を覚ました!】
「今回のラグナはねむカゴのろい型。これでもうしばらくは戦えるはずだ」
「HAHAHA! まだまだ行けますよぉ!」
本来なら上手くのろいを積んで無双する型なのだが、ねむカゴはこういう時にも役立つのでなかなか便利だ。
「さて、とりあえず次は来るだろう地震をそれなりに耐えて、次の奴に備えねーとな」
「……さて、そう上手く行くかな?」
【サイドンの地震!】
[ラグラージHP:96/207]
「……半分以上喰らってるんだが」
「し、しょうがないじゃないですかぁ! 乱数二発って言ったじゃないですかぁ!」
「ここで高乱数を引くとか、面倒くせぇ……まあ大勢に影響がないだけまだマシか。今回は許してやってもいいぞ」
「なんでライはこうも自分より仕事するはずのラグには強気なのかしらね……レンにはあれだけボコボコにされてたのに」
「三竦みが成立してるんだよ、きっと」
雷切→ラグナロク、グレン→雷切。
こんなところだろうか。
「しかし、それでもこれでサイドンは突破できるはずですよぉ! ふんぬらばぁ!」
【ラグラージの滝登り! 効果は抜群だ!】
【サイドンは倒れた!】
「うぅ、団長、すまないッス……!」
「いや、おまえらはよくやった。もうやすんでてくれ」
『壁山』ことサイドンが戻ると、リーダー格の少年が飛び出すように前に出て来た。
「次はボクの出番だ!」
【団員たちはミミロップを繰り出した!】
「ミミロップか……ん、待てよ。ミミロップ?」
相手の最後のポケモンを見るなり、雷切が思案し、そして顔色を悪くしていく。
「……やべぇかもな、これ……」
「え? どういうこと、ライ?」
「残りの面子じゃ、こいつの攻撃を受け切れねぇ」
現在、こちらの残存戦力は三体。半分ほど削れたラグナロクとスパコンピ、そして無傷のココロだ。
数の上では圧倒的に有利だが、ラグナロクとスパコンピが削られているというのが、非常にまずい。
「こいつがメガミミロップのテンプレ——猫騙し、恩返し、跳び膝蹴り、あと一つが冷えパンかアンコだとすると、全員持ってかれる」
目の前のラグナロクは猫騙し+恩返し、スパコンピは跳び膝蹴りで削り切られ、ココロも恩返しで乱数一発。
ここに来て、メガミミロップ一体に全抜きされる可能性が出て来てしまった。
「それって、かなりまずいじゃないですかぁ!」
「あーそうだ。スパコンピを消耗させすぎちまった。ここに来てダストシュート読みに失敗したことが響いてやがった……俺たちの勝ち筋は、ざっと考えるだけで三つだ」
と言って、雷切は三本指を立て、一つずつ折り曲げる。
「一つ。ココロがメガミミロップの恩返しを耐える」
「返しの攻撃は確一だから、一発耐えればまず勝てるわ」
ただし、耐久は無振りなので、その一発を耐えるかが問題だ。
「確か、A252振りメガロップの恩返しは、耐久無振りのサーナイトには乱数だったはずだが……どのくらいの乱数だったか」
「ダメージ計算できればいいんだけどねー」
「……ここに、計算機、というか、スパコン……あるんじゃ……」
「無理だな。さっき確認したが、ダメ計プログラムはアンインストールされてた。新しくインストールしなおさねーと、計算できねぇ」
とはいえ、乱数でも一撃で落とされることは確定なので、天運に任せることには変わらないのだが。
「とりあえず、次、二つ目。スパコンピが膝を躱すパターン」
「これも運次第ね……しかも10%の賭け」
そして最後、三つ目。
「相手の技構成が、猫騙し、跳び膝蹴り、冷凍パンチ、アンコールみてーに、恩返しを切ってる場合だ」
「……そんな、メガミミロップ……いるの……?」
「可能性としては、ありえない話じゃない」
「なおPGLのランキングでは、ミミロップの恩返し採用率は約70%な模様」
「んなこと分かってんだよ! だがこうなると、もう相手依存で勝ち筋を探るしかねぇ」
そもそも、今まで挙げた勝ち筋は、すべて複合的に狙えるものだ。
つまり勝てる可能性は、ココロが生き残る確率、スパコンピが膝を躱す確率、相手が恩返しを切っている確率、これらを掛け合わせたものとなる。
それでも、分の悪い賭けになりそうではあるのだが。
「……というかさ……」
「なんだよ、トンベリ」
「……相手……メガ石も、キーストーンも……持って、なくない……?」
そう言われて、初めて気づく。
確かに、相手の少年——ミミロップ——は、どこにもメガストーンらしきものをつけていない。
しかも、団員という者たちも、誰一人としてキーストーンらしきものは持っていなかった。
「……成程な。こいつらにトレーナーがいるのかどうか知らねーが、いないならキーストーンを持ってるはずはねーし、いたとしてもガキ共だけに持たせはしねーか」
メガストーンもキーストーンも、非常に貴重なものだ。なので、まだ幼い彼らに持たせ、管理を一任することをトレーナーは渋ったのかもしれない。
それならば好都合だ。メガミミロップでなけば、残り三体で押し切れる。
「これは行けるぜ。奴はメガシンカできない。それならばまだ勝てる見込みは十分ある」
「HAHAHA! 少しヒヤッとしましたが、これなら大丈夫そうですねぇ!」
「残念だけど、メガシンカもできないニワカは相手にならんよ」
「……なんだか、嫌な予感がするのだけれど」
「……オレも……」
そして大抵の場合、そういう予感は当たるものだ。
リーダー格の少年、もといミミロップが、拳を突き上げて、大声で叫ぶ。