二次創作小説(映像)※倉庫ログ

対戦パート3 ( No.36 )
日時: 2015/03/25 02:30
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)

「みんな! ボクに力を分けてくれ!」

『おぉー!』

 そして、彼の声に応えるように、彼の仲間たちは拳を合わせて念じ始めた。
 まるで、天に祈りでも捧げるように。


【団員たちの祈りがミミロップに届く——!】


 そしてその祈りは、果てしない力となり、


【ミミロップはメガミミロップにメガシンカした!】


 少年へと降り注ぎ、新たなる力を呼び覚ます——

「——ってちょっと待てや!」
「な、なんだよ!」
「そんなメガシンカがあってたまるか! お前らメガストーンもキーストーンも持ってねーだろうが!」
「そんなものなくたって、ボクたちの絆の力があればこのくらいはできる!」
「いやいやいや! それは俺の尊敬するレックウザだけに許されたメガシンカだろうが! お前は普通のポケモンだろ!? メガストーンでメガシンカしろよ!」
「うるさいうるさい! ボクたちの絆の力はボクたちのものだ! おまえなんかにとやかく言われたくない!」
「というか、ライってレックウザのこと尊敬してたんだ……知らなかったわ」
「僕も知りませんでした」
「……あのポケモンも……第五世代まで、三体の中で、不遇だったから……」
「色も緑なドラゴンだしねぇ」


 言うまでもないとは思うが一応言っておくと、実際はちゃんとメガストーンでメガシンカしているので、間違えないように。雷切の言うように、本来はメガレックウザだけが祈りでメガシンカします。
 今回のは、ただの演出ということで。

「畜生が……! こんなのってありかよ!」
「まあまあ、落ち着きなさい。あなたらしくもないわよ、ライ。」
「ココロ……」
「確かに勝ち筋は細くなったけど、元々想定のうちだったんでしょう? まだなんとかなるわ」
「……そうだったな。ちっと熱くなっちまったが、仕切り直しだ」
「それでこそ雷切さんですよぉ! HAHAHA!」
「とりあえず、ここは猫騙しで来るはずだ。相手がどんな型でも、まずはラグナを捨てるぞ」
「HAHAHA……知ってましたよぉ……」

 頭が冷えたことで、冷静に捨て駒にされるラグナロク。
 確かに、雷切はいつもの雷切に戻ったようだ。

「いっけぇ!」


【ミミロップの猫騙し!】
[ラグラージHP:53/207]

【ラグラージは怯んで動けない!】


 少年の気勢とともに猫騙しが繰り出され、ラグナは怯まされる。
 流石にこの体力では、次の攻撃は耐えられそうにはない。

「さて、ここで恩返しが来なけりゃ、切ってると思っていいんだが……」
「あまり期待はできないわね。なにせ、採用率69.5%だもの」
「冷凍パンチならもしかしたら耐えるかもしれないんですがねぇ……流石に無理でしょうかぁ」
「まー、ココロちゃんが頑張って耐えるしかないんじゃない?」
「……いや……意外と、そうでもない……かも、しれない……」

 恩返し切りには期待できない一同だが、トンベリだけは違った。
 少年らと同じくらいの年齢である彼には、雷切たちとはまた違った考えがある。

「……相手は、子供……それなら……」

 と、思った刹那。
 少年がラグナロクへと突っ込んできた。 


「くらえ! ボクのとっておきを!」


【ミミロップはとっておきを使った!】


「え……とっておき……?」
「……ビンゴ……」
「成程な、そういうことか」


【ラグラージは倒れた!】


 ラグナロクがぶっ飛ばされながら、雷切もすぐに理解した。
 つまりこのメガミミロップは、通常のメガミミロップの型ではないのだ。

「こいつの技構成は、猫騙し、とっておき、この二つだけだ」
「二つだけ……? 技は四枠あるのに?」
「とっておきの仕様上、そうしてるんだろうぜ」

 ポケモンの技の一つ、とっておきは、威力140という非常に高い威力を誇るノーマル技だが、事前にとっておき以外の技をすべて使わなければならないという制約がある。
 だがこの制約には穴がある。

「とっておきは、そのポケモンが、現時点で覚えている技を参照する——つまり、技をとっておきと猫騙しや守るのように、確実に1ターン稼げる技ならば、ノーリスクで威力140の攻撃ができるって寸法だ」

 勿論、技は実質とっておきに固定されたようなものだが、それがタイプ一致で連打されるとなるとかなりの脅威だ。
 ちなみに、とっておきしか覚えさせていない場合、とっておきは不発になるので注意しておこう。

「なーるほどねぃ……物理型スキンニンフィアみたいなものかな?」
「そんな感じだな。そして、相手の攻撃技はとっておきのみ。それなら……」


【行け! メタグロス!】


「スパコンピで相手できる! 最後の仕事だスパコンピ、行ってこい!」
「4249362」

 相手がノーマル技しか使えないのなら、それを半減できるスパコンピで倒しきれるはずだ。
 むしろ威力140ではココロが耐えきれない。ここはなんとしてでもスパコンピに倒してもらうしかないのだ。

「こうなっちまうと、今度は命中が不安だな……バレパン二発で倒せるような耐久じゃねーし、思念の頭突きを当てるっきゃねーが」
「思念の頭突きは命中率90%……対戦でここぞという時の九割ほど、怖いものはないわね」
「……でも……まずは、相手の攻撃……耐えないと……」

 既にスパコンピの体力は半分を切っている。いくら半減と言えども、タイプ一致の威力140だ。削り切られる可能性もなくはない。
 さらに言えば、急所にでもあたろうものなら、完全にゲームセットである。
 メガミミロップはそれらしく構えると、スパコンピ目掛けて突っ込んで来た。

「みんなおまえのことを待ってるんだ! 帰って、来て、くれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 煌めく星々を散らして、メガミミロップの一撃がスパコンピの鋼鉄のボディに直撃する。
 流石に凄まじい威力だ。等倍でこの攻撃を耐えられるポケモンはそういないだろう。
 しかし、それは等倍であれば、だ。


【ミミロップはとっておきを使った!】
[メタグロスHP:24/183]


 半減かつ耐久力の高いスパコンピならば、半分削れていても、この通りである。

「くっ……とどかなかった……!」
「おっかねぇ威力だな。もう少し削られてたら、乱数で落ちてたかもしれねぇ」

 だが、かもしれない可能性など、今この場では無意味。
 結果のみが、この場ではすべてなのだ。

「さぁとどめだ。きっちり当てろよ」
「424936269050」

 スパコンピは狙いを定めると、脳から発せられる思念エネルギーを頭部に当たる装甲へと集中させる。
 そして、その思念を解放し、メガミミロップへと——突撃する。


【メタグロスの思念の頭突き! 効果は抜群だ!】

【ミミロップは倒れた!】


【スーパー秘密団の団員たちとの勝負に勝った!】