二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 対戦パート2 ( No.60 )
- 日時: 2015/04/16 16:01
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
【橙はニョロトノを繰り出した!】
【ニョロトノの雨降らし!】
【雨が降り始めた】
「二体目はトノか……先発じゃなくてここでトノか」
ニョロトノが場に出るや否や、暗雲が発生し、フィールドに雨が降り注ぐ。
特性、雨降らし。数少ない、天候に直接作用する特性であり、登場時に場を雨天にしてしまう特性だ。
天候にターン制限がかかった第六世代では弱体化したものの、第五世代トップメタの戦術であった雨パには欠かせない起動役。その任を全うするのが、ニョロトノというポケモンだった。
「先発に出ないってことは、少なくとも脱出ボタンではなさそうだな。となると湿った岩かスカーフ、ってところか?」
そもそも雨始動要員が先発でないという事態が比較的レアケースだ。起点構築の起点作成要員が先発に出てステロを撒いたり壁を張るように、天候始動要員も先発で出ることが多い。
「……たぶん、こっちの、なにかを……先発読み、したんだと、思う……」
それでもヌメルゴンが特に刺さっていそうなポケモンはいなかったと思うが。
それはそれとして、とりあえず目の前の敵について考えることにする。
「ニョロトノって、攻める場合は火力指数と耐久指数がいい感じなんだよね」
「あぁ、ニョロトノは雨始動役としての印象が強いが、単体スペックはそこまで高いわけではない。世間ではそう思われているんだろうが、指数的に見ればかなりスペックの良いポケモンだ」
「しすー? なんですか、それ?」
「詳しく説明すると長くなるんだが、要はそのポケモンのある攻撃にはどのくらいの威力があるのか、そのポケモンの耐久力はどの程度なのか、そういうことを数字で表すことだ」
「いつものダメージ計算とは違うんですか?」
「違うな。ダメ計は二体のポケモンの状況——互いの努力値振り、道具による補正、攻撃側の技選択、天候、設置物、その他要因——を細かく設定して、正確なダメージ量を計算するのに対し、指数は一体のポケモンのみを見る」
つまり、このポケモンがこのポケモンにこの技で攻撃すれば、このくらいのダメージが入る、というのがダメージ計算。
対して指数は、このポケモンのこの技は、このくらいの威力が出る、ということを数字で表すものだ。
「指数の具体的な基準については、前話の対戦後の茶番を参照してね」
「またお前はわけわからんことを……まあいい。とにかく話を戻すが、ニョロトノは指数的に見れば、大抵の攻撃を一発は耐える耐久力、雨補正も加わり大抵のポケモンなら確定二発圏内に収められる火力、両方を兼ね備えているポケモンだ。とはいえこれは、CSベースで考えた場合だがな」
「つまり、振ってなくとも耐久力はそこそこ高いということね。なら、あたしのムンフォじゃまず倒せないわね」
「そういうこった」
長々と指数の説明をして分かることはたったそれだけだった。いやしかし、モノクロが指数という考え方を学んだ始まりがニョロトノだったので、説明しておきたかったのだ。雪姫に話を通していたのだが、ちゃんと誘導してくれたようでなにより。
これが分かれば、どのポケモンがどの攻撃を耐えるのか、このポケモンの攻撃はどのポケモンなら一撃ないしは二撃で倒せるのか、といったことが大雑把に分かるようになり、対戦での目安になる。興味があれば調べてみよう。
「というわけで、一発じゃ落とせないトノ相手にココロで突っ張るか退くかだが——」
「雷切君」
ここでの押し引きについて雷切が思考を始めようとしたその時。
みゆりから声がかかった。
「……なんすか、先輩」
「ここは私が出ますよ。今回の私は特殊受け、さらに水タイプには強い種族です。私で相手できます」
「いやでも、先輩じゃ氷技で弱点を……」
「ニョロトノが指数的に強いというのも、それはあくまで雨の恩恵を受けるから火力が上がっているだけ。なので、サブウェポンの冷凍ビームくらいなら、耐えきってみせます」
「しかしですね……」
出ようとするみゆりを雷切は困りながら、しかし必死で止めようとするが、しかし今度は外野からも声がかかった。
「なにをそんなに渋っているの、ライ。別にいいじゃない。あたしはユリさんに交代するのが最善手だと思うけど」
「ココロちゃん単体じゃメガバナの突破はできないっつっても、まだバナがいるって決まったわけじゃないしねー。スカーフで上は取れるから、残しておいてもいいんじゃない?」
「せっかく来てもらったんですし、みゆりさんにお任せしましょうよ、らいきりさん。わたしもみゆりさんが戦ってるところ見たいです!」
「お前ら……!」
BOHパの三妖精がみゆりの味方をし始めた。
それを聞き雷切は、これはお前らのためでもあるってのに……などと胸中で愚痴るように呟く。
「はぁ……仕方ねぇ。確かにグロスもいるかもしんねーし、ラグナは消耗させらんねーか……先輩、お願いします。あんま変なことしないでくださいね」
「はーい。では、行きますよ」
【サーナイト、交代! 戻れ!】
【行けっ、ユレイドル!】
『Information
みゆり(DM:ユレイドル)
性格:温和で穏やか、かつ茶目っ気もある人間味に溢れた性格。しかし雷切やラグナロクは苦手としているようで、彼ら曰く“本性”を隠しているらしいが……
性質:粘り強く居座って定数ダメージや反射技によるダメージの蓄積で相手を消耗させていく耐久型。纏わりつくなどで対面操作などもでき、結構器用。
攻撃性能[D] 防御性能[A] 機動性能[F] 多様性[A]
職業:考古学者、政府役人(調査班所属)
End』
ココロに代わり、みゆりが場に出て来る。
この時ハイドロポンプか熱湯か、なんでもいいが水技が飛んで来れば無償降臨なのだが、しかし、
【ニョロトノの冷凍ビーム!】
【効果は抜群だ! 急所に当たった!】
[ユレイドルHP:115/193]
「ここで冷凍ビームですかぁ!? 交換を読まれたんでしょうかぁ……」
「いや、ドロポン外しを考慮して命中安定を選んだんだろう。あの体力のココロなら、不一致等倍の冷ビ程度でも落ちるからな」
「……というか、硬い……」
タイプ不一致とはいえ、効果抜群かつ急所に当たった冷凍ビームで半分も削られていないことが、みゆりの特殊耐久の高さを物語っていた。
「今のはちょっと冷たかったわね。寒いのは苦手なのですが……」
「この耐久力は流石としか言いようがありませんよ、先輩。つっても、相手もそんな火力には振ってなさそうだが……」
どちらにせよこの程度のダメージなら、自己再生で受けきれる。とりあえず再生を連打して体力を確保しつつ、隙を見て削りに入るところだ。
唯一の懸念材料と言えば、冷凍ビームによる凍りくらいだが、その心配もなかった。
【ニョロトノのハイドロポンプ!】
「え? ドロポンですかぁ?」
「……ユレイドルに、水技……悪手……」
「あー……これは相手、ユレイドルの特性を知らなかったっぽいな」
ユレイドルはまだまだマイナーなポケモンだ。認知度も低いだろう。
だからこそ、相手はユレイドルの夢特性を知らなかったのかもしれない。
【ユレイドルの呼び水。ユレイドルの特攻が上がった】
雨によって増水したニョロトノのハイドロポンプが、みゆりの顔面に叩きつけるようにして噴射される。
しかし、
「んく、んく……ふぅ。いいお水ですね、美味しいです」
「いやそれトノの体液みたいなもんですし……というか、そんなボトルの水を飲む感覚で雨ドロポンを飲まないでください……」
無振りだとしても、指数にして27225。火力にまったく割いていなくとも、雨下のドロポンはメガクチートの不意打ちに匹敵する威力なのだ。
それを飲み水にしてしまうユレイドルの特性が、呼び水。見ての通り、水技を無効、吸収し、特攻を上げる特性だ。
【ユレイドルの自己再生!】
[ユレイドルHP:全回復]
そして今度は自己再生。恐らく相手はユレイドルへの有効打はないと思われるので、これで封殺できるだろう。
「となると、退いてくるか……? 冷ビ急所で半分も入らねー相手に、タイプで不利なトノが突っ張る道理もねーし、退けるなら退くだろ」
退き先としては、メタグロス、フシギバナ、後は精々ボルトロスくらいだろうか。
「残念ながら、私は交換読みで使える技がほとんどないんです……ですが、メタグロス以外なら、なんとか相手できると思います」
「グロスはラグナ君で受けられるし、とりあえず普通になんか選んどけばいいんじゃない?」
などと、有利対面になるとよくあるぬるい思考が生まれ始めたところで、一抹の不安もよぎる。
「……なにか忘れているような気がするのよねぇ」
「あぁ……相手は恐らく火力無振り。つまりは耐久トノだ。そいつが覚えてる技っつったら……」
【ニョロトノの催眠術!】