二次創作小説(映像)※倉庫ログ

対戦パート3 ( No.61 )
日時: 2015/04/16 16:04
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)

【ユレイドルは眠ってしまった】


「……あ」
「みゆり先輩が眠ってしまいましたよぉ!」

 滅びの歌やアンコールのイメージが強すぎてすっかり忘れていたが、耐久ニョロトノであれば、催眠術だって覚えていても不思議ではなかった。
 相手としては、裏に退けないのかなんなのか分からないが、催眠術で眠らせて、強引に突破してしまおうというつもりらしい。
 こちらとしては非常にまずい展開だ。

「おーい、先輩! 起きろー!」
「んん……もう、駄目ですよミスティちゃん、私の言うこと聞いてくれないと……でも、そういうところも可愛いですよ……むにゅ……」


【ユレイドルはすぅすぅ眠っている】


「よし、眠りは浅いな。すぐに起きるぞ」
「……ねぇ、さっきの寝言、なに?」
「そのうち嫌でも分かる……お前も少し準備しておいてくれ。俺がなに言ってもすぐに対応できるように」
「? なに、どういうこと?」

 いまいち雷切の言葉の意図が分かりかねるココロ。
 しかしその間にも、相手の攻撃は続くのだ。


【ニョロトノの冷凍ビーム! 効果は抜群だ!】
[ユレイドルHP:145/193]


 とはいえ、ダメージは大したことない。殴られているうちにまた目を覚ますだろう。
 などと思っていると、


【ユレイドルは目を覚ました!】


「んー、よく寝たわね、ちょっとすっきりしました。でも、ごめんなさい。私ばっかり休んでしまって」
「自己再生はともかく、ドロポンも催眠術も休憩には含まれるはずねーんだがな……」

 思いのほか早く、みゆりは目覚めた。
 水分補給、体力回復、睡眠も取って体調万全なみゆり。
 ここからが、彼女の反撃開始だ。

「では、まずは手始めに……」


【ユレイドルの纏わりつく!】
[ニョロトノHP:減った気がしない……今はね]

【ニョロトノはユレイドルに纏わりつかれた!】

【ニョロトノは纏わりつくのダメージを受けている】
[ニョロトノHP:割合的に5/6−α]


 みゆりはにゅるにゅるとピンク色の触手を伸ばすと、それを相手のニョロトノに絡め、纏わりつかせる。
 纏わりつく。相手の四肢を拘束することで交代を封じ、かつ触手で締め上げることで継続してダメージを与える。状態異常技を持たない代わりに、この型のみゆりがダメージソースとしている技だ。

「……相手、突っ張った……」
「やっぱり裏には退けねーみたいだな。となるとラストはヌオーか? あんま刺さってるとは思わなかったが……」
「しかしこれで交代はなくなったわけですし、問題はないですよ。ゆっくりやりましょう」


【ニョロトノの催眠術!】

【ユレイドルには当たらなかった!】

【ユレイドルの自己再生!】
[ユレイドルHP:満タン]

【ニョロトノは纏わりつくのダメージを受けている】
[ニョロトノHP:割合的に4/6(=2/3)−α]


 サラッと催眠術を躱し、悠々と回復しながらニョロトノを締め上げるみゆり。
 しかし締め上げるというのはその触手の動きはあまりにも奇妙ではあった。
 それはまるで、美術品でも扱うような、滑らかな動きをしている。


【ニョロトノの催眠術!】

【ユレイドルは眠ってしまった!】

【ユレイドルはすぅすぅ眠っている】

【ニョロトノは纏わりつくのダメージを受けている】
[ニョロトノHP:割合的に3/6(=1/2)−α]


「また先輩が寝ちまった」
「むにゃ……グレンちゃんは乱暴ですね……もう少し優しくしてくれても……んん……」
「だが、またすぐに起きるそうだ」

 雷切は夢を見ているかどうかで眠りの深さを判断しているようだが、そもそも寝ながら触手で捕えていることから、熟睡しているようにも思えない。
 どちらにせよ、早く起きるに越したことはないのだが、雷切は、対戦が終わるまで眠り続けてねーかね……などとひとりごちる。


【ニョロトノの冷凍ビーム! 効果は抜群だ!】
[ユレイドルHP:143/193]


 みゆりが眠っている間にも、ニョロトノは健気に冷凍ビームを放つが、ダメージはしょっぱい。
 この程度のダメージであれば、多少長く眠っていても、纏わりつくの拘束ダメージで倒せてしまえそうだ。
 雷切としてはむしろその展開の方が良かったのだが、世の中は個人の思い通りにはいかないもの。


【ユレイドルは目を覚ました!】


「んん……んー、また寝てしまいましたか」

 とそこで、またみゆりが目覚める。今日はやけに起きるのが早い。
 みゆりは目を擦りながら、ゆらゆらと揺れるようにニョロトノとの距離を詰めて行く。

「さて、と。それでは、そろそろでしょうか。流石に、もう……我慢、できません……」
「!」

 どこか呼気が荒いような、頬が上気したように赤らんでいるような様子のみゆり。
 そんなみゆりの挙動を見て即座に反応する雷切。
 彼は必死の形相で、ココロと雪姫に、怒鳴り飛ばすように叫ぶ。

「ココロ! ガキ共の耳に聴覚ジャック! これから発せられる音を一音たりとも聞かすな! 雪姫は目を塞げ! なにも見せるな!」
「は? いきなりなにを言って——」
「いいから早くしろ! ぼけっとすんな!」
「え、あ、うん……分かったわ……」

 あまりに凄まじい、というより必死の形相に気圧されてしまうココロ。
 雷切がここまで必死になるのも珍しいことで、それに戸惑いながらも、思念波でちーちゃんとトンベリの聴覚へと干渉し、彼らの耳を一時的に機能停止にする。

「はわっ? な、なにも聞こえませんよ……!?」
「……なにした……」

 突然、聴覚を奪われて困惑するちーちゃんとトンベリ。悪いとは思うが、それ以上に悪いものがこの先に待っているのだから仕方ない。これも彼らのためだ。
 さらに今度は、雪姫が両手を広げて二人へと近づいて行き、

「はいはーい。よく分かんないけど、こっから先は、よい子には見せられないよー」
「はわわっ、ゆきひめさん……っ?」
「っ……おい、なにを……!」

 むぎゅっ、と二人まとめて抱きすくめる。
 胸に頭を押し付けさせて抱き寄せるようにしたため、二人はこれで視界も塞がれた。
 と、ちょうどその時だ。

「もういいですよね……? こんな女の子を一人放置してそのままなんて、我慢できませんし……」

 みゆりの動きがピタッと停止し、ニョロトノの目の前で立ち止まる。
 そして、ほんの少し目を細めると、また——動き出す。


「では——頂きます」