二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 対戦後の茶番 ( No.9 )
- 日時: 2015/03/01 22:35
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
「お、覚えていやがれ!」
と、そんな三流以下の負け犬丸だしな捨て台詞を吐いて、黒スーツの男たちは雷切の前から姿を消したのだった。
「……覚えるわけねーだろ、お前らみてーな負け犬を」
「そうやって知らず知らずのうちに敵を作っていくのね……」
「それより雷切さん、さっきの方々は雷切さんにどのような恨みが?」
「あん? ほとんど逆恨みだよ。俺がいい感じに稼いでそろそろ帰ろうかっつー時に目ざとく俺の稼ぎを見て寄ってきてな。まあ、あんな連中はカモ以外の何物でもなかったが」
「でもイカサマしたんでしょう?」
「まーな。勝てる勝負じゃなきゃ、誰が好き好んで受けるかってんだ。それに相手も口座一つを餌に自前のカードでイカサマしてたんだ。お互い様だろ」
「口座一つ……? それはそれは、お相手も気の毒ですねぇ、それじゃあ破産じゃないですかぁ」
「馬鹿か。あーいう奴が一つしか口座を持ってないわけねーだろ。どうせいくつにも分散させといて、俺には一番預金の少ない口座番号を教えたんだろーよ」
「あ、成程」
「じゃなきゃ勝負なんて申し込んでこねーよ」
何事もデメリットを最小限に回避する形でメリットを求めるものだ。
それはギャンブルでも、そしてポケモンでも。
「ま、だけど俺らは、どこかで絶対に分の悪い勝負を仕掛けなきゃなんねー舞台に立ってるんだけどな」
絶望的でも、敗色濃厚な試合でも、勝ち筋が残されている限りはその可能性に縋る。
3割に頼り、十六分の一に賭ける。そんな薄い可能性でも、追い続けていれば、いつかは掴み取れるのだ。
先の見えない勝利を。
「……ま、今回は完全に運勝ちだったな。雪崩で怯んで地震が急所に当たらなかったら終わってたぜ」
「そういえばライ、随分自信満々だったけど、あの対戦で負けてたらどうするつもりだったの?」
「借金して許しを請い、その借金も稼いで返すしかなかったな」
「要するに今の借金の上乗せね……あなたそのうち闇金とかに手を出さないでしょうね?」
「そこまではしねーよ。ガキどもに迷惑かけらんねーしな」
「とりあえず、そろそろ帰ったらどうですか、雷切さん。明日もちーちゃんさんたち来ますよぉ」
「明日こそ対戦するって、あの子たち張り切ってたわね」
「……そうか。なら帰るかね、あの借金まみれの家に」
今、自分をこの地に縛り付けているあの家に戻ると思うと足取りは重くなる。
しかし、
「あいつらとも一緒に戦うとなると……縛られてるのも、悪くねーかもな——」
そんなことを口走りながら、雷切は我が家を目指す。
明日、仲間と共に戦う拠点となる、あの家へ——