二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第一章「デジタルモンスター」 ( No.10 )
- 日時: 2015/03/24 01:16
- 名前: ポカラ (ID: gJuvDJZQ)
腕が掴まれる感覚が一瞬にして消えれば、そこに居たはずの絡んできた男達はその場から消え去っていたのだ。
取り上げられた自分の携帯だけが地面に落ちている。まるで手品でもしたかの様な、一瞬の出来事であった。
「今…何を…?」
驚きで漸く発せた言葉はそれだけ、メイもキョトンとしながら今起きた状況を必死で頭の中で整理している様だ。
「あー、気にすんな。あいつ等はログアウトしただけだ、死んじゃいねぇよ。邪魔だからな、帰ってもらった。」
ログアウト?強制的にログアウトをしたということなのだろうか。指を一度鳴らしただけで、デジタルで構成されているこの世界の者を一瞬で現実に戻してしまった。
それは本当なのだろうか、そんな事が可能なのだろうか?とてもじゃないが信じられない…けど、実際に自分達の目の前でそれは起こったのだ。
そしてこの男から耳を疑う様な一言が告げられた。
「用があってこの街に着たんだろ?朔日リンちゃん。この先で、君の事を呼んだ者がお待ちかねだぜ。」
ニっと笑いながら自分の携帯の画面を指差すこの男。画面の液晶には相変わらず文字が…しかし、先程と違い今度は赤文字で【この人に従って】と変換されている。
この人は全てを知っているんだ。不可解だった全ての現象を…素性も何も分からない人物だが、今はこれに従うしか道はない。
「あなたは、一体……分かりました、着いて行きます。」
「いい根性だ、それとお友達はそこで待っててもらおうか。導かれたのはあくまで君だ、折角一緒に来てもらったのに悪いんだが少しの間その辺で待っててくれるかい?なぁにさっきみたいに変な奴らに絡まれる心配ももうないしな。」
どうやらメイは一緒に着いて来れないらしい、そして絡まれる心配がないと一言…その言葉を言われ始めて気がついた、この街にさっきまで沢山いた人が一人残らず居なくなっている事を。
誰一人としていない人がいないアンドロもこれはこれで不気味である…しかしこれでこの男の人が只者ではないとハッキリした。
「わ、分かったわよ。あたしは此処で待ってる…リン、気をつけてね。そんでそこの怪しいおっさん!あたしの親友に何かあったら承知しないんだからね。絶対にあんたを許さないから!」
普段のメイなら一緒に行くと突っかかってくる筈だが、今回はあまりにも異様な光景と現象を目の当りにし素直に従ったようであった。
「だからよーおっさんじゃねぇって言ってるだろうが、怪しいも余計だ!とまぁこの子安全は保障するぜ、大丈夫だ俺は約束は守る男だ。さぁ行こうか、嬢ちゃん。」
その言葉に小さく頷けば、親友を見つめる。何も言わずにアイコンタクトだけで気をつけなさいよと言っている用に感じ取れた。
そして謎の男に着いてい行く、細い道をひたすら真っ直ぐ進んでいった。進めば進むほど、何故なのか景色が徐々に変化し始める。
不気味な赤黒い景色から一点、青色のデータが流れる景色へと変わっていく…地面もがデータに変わっていき、まるで空中を歩いているような感覚に襲われた。
やがて小さな空間に出れば、そこの中央に…その生物はいた。
「到着だ、さぁあいつがお前を呼んだんだ。」